Copilot Studioとは?ノーコードでAIエージェントを作る方法
この記事の要点
Copilot StudioはMicrosoftのローコードAIエージェント作成ツールです。社内FAQボット・問い合わせ自動化・Teams展開などの作成手順、必要なライセンス、通常のCopilotとの違いを解説します。
Copilot Studioを使うと、「社内FAQ用のチャットボット」や「問い合わせ対応を自動化するエージェント」をコードなしで作れます。Microsoftのクラウド環境上で動くため、すでにMicrosoft 365を使っている企業は既存システムとの連携が容易です。
この記事では、Copilot Studioの概要・できること・作成の流れ・必要なライセンス・向いている用途と向いていない用途を具体的に説明します。
Copilot Studioとは
Copilot Studioは、Microsoftが提供するローコードのAIエージェント作成ツールです。以前は「Power Virtual Agents」という名称で提供されていたサービスを、生成AI機能を大幅に強化して再構成したものです。
2023年末に現在の名前に変更され、GPT-4ベースの自然言語理解・ナレッジベースとの接続・Power Automateによる処理の自動化が統合されました。これにより、テキストで質問に答えるだけでなく、バックエンドのシステムと連携して処理を実行するエージェントを作れるようになっています。
「エージェント」という言葉が聞き慣れない方はAIエージェントとはも参考にしてください。
Power Automateとの連携
Copilot Studioの強みの一つは、同じMicrosoftエコシステムのPower Automateとシームレスに接続できることです。
Power Automateは業務フロー自動化ツールです。Copilot Studioのボットがユーザーから情報を受け取り、その情報をもとにPower Automateのフローを起動して処理を実行するという構成が標準で取れます。
具体例を挙げると、次のような連携が可能です。
- ユーザーが「有給申請したい」とボットに話しかける→承認フォームを自動作成して上長に送付
- ユーザーが注文番号を入力する→基幹システムから在庫状況を取得して回答
- 問い合わせ内容をボットが受け付ける→Teamsの担当者チャンネルに転送
SharePoint・Teams・Outlook・Dataverse・各種外部APIとのコネクタが用意されており、設定画面から接続先を選ぶだけで大半の連携が動きます。
できること
Copilot Studioで作れる代表的な用途は次の通りです。
社内FAQボット
人事規定・ITヘルプデスク・経費申請手順など、繰り返し同じ質問が来る業務に効果的です。SharePointやPDFのドキュメントをナレッジベースとして読み込ませると、AIがその内容をもとに回答します。「何ページに書いてある」という回答だけでなく、内容を自然な文章で説明できます。
ナレッジベースの内容が変わっても、ドキュメントを更新するだけでボットの回答が自動的に変わる点が便利です。
問い合わせ対応の自動化
Webサイトやメールに来る問い合わせの一次対応をボットが担います。よくある質問は自動回答し、複雑な案件は担当者にエスカレーションする設計が基本です。エスカレーション条件は「ユーザーが3回以上同じ質問をした場合」「感情がネガティブと判定された場合」などの条件で設定できます。
承認ワークフロー連携
Power Automateの承認フローとつなぐことで、出張申請・購買申請・休暇申請をボット経由で完結させられます。フォームへの入力・上長への通知・承認または却下の通知が自動化されます。
Teams上への展開
作ったボットはMicrosoft Teamsのチャンネルまたは個人チャットに展開できます。社員は普段使っているTeamsの画面からボットと会話できるため、新しいツールへの慣れが不要です。
作成の流れ
Copilot Studioでのエージェント作成は4つのフェーズで進みます。
フェーズ1:トピックの設計
まず「このボットが対応する質問・シナリオは何か」をトピックとして定義します。トピックは「有給休暇の申請方法を聞かれたときの対応」「パスワードリセットを依頼されたときの対応」のように、1シナリオ1トピックで設計します。
生成AIのナレッジベース機能を使う場合は、対象のドキュメントを接続するだけで大半の質問に答えられるため、手動でトピックを設計する量を減らせます。
フェーズ2:応答の設定
各トピックの中で、ボットが何を回答するかを設定します。
- 固定テキストで回答する
- AIが生成した文章で回答する
- ナレッジベースから関連情報を引いて回答する
- フォームで追加情報をユーザーから収集する
- Power Automateのフローを呼び出して処理を実行する
これらを組み合わせてフローを作ります。設定はドラッグアンドドロップのビジュアル画面で行えます。
フェーズ3:テスト
作成画面の右側に常にテストチャット画面が表示されており、設定を変えながらリアルタイムで動作確認できます。本番公開前に想定外の回答が出るケースを確認し、トピックを調整します。
よくある問題は「AIが質問の意図を誤解して別トピックの回答をする」ことです。トリガーフレーズを具体的に設定したり、トピックの優先順位を調整したりして解決します。
フェーズ4:公開
動作確認が終わったら公開チャンネルを選びます。TeamsへのデプロイはMicrosoft Teamsの管理センターからアプリとして承認するフローで完了します。Webサイトへの埋め込みはスクリプトタグを1行コピーするだけです。
必要なライセンスと料金の目安
Copilot Studioの利用には、Microsoft 365とは別のライセンスが必要です。
2026年6月時点の料金体系は以下の通りですが、Microsoftのライセンス体系は変更が頻繁なため、最新の料金は公式サイトで確認してほしいです。
- Copilot Studio(従量課金): 1,000メッセージあたり一定の料金。小規模・試験導入に向いている。
- Copilot Studio(月額固定): 月あたり一定のメッセージ数が含まれる定額プラン。
- Microsoft 365 Copilotライセンス保有者向けの特典: M365 Copilotのライセンスを持つユーザーは、一定条件でCopilot Studioの機能を追加費用なしで使える部分がある。
Power AutomateはMicrosoft 365の多くのプランに含まれていますが、プレミアムコネクタ(外部システムとのAPI連携)は追加のPower Automateライセンスが必要です。
通常のCopilotとの違い
Copilot StudioとMicrosoft 365 Copilotは別物です。混同しやすいため整理します。
Microsoft 365 Copilot(通常のCopilot)
Word・Excel・Outlook・Teamsなどに組み込まれたAIアシスタントです。「このメールの要約を作って」「この表をグラフにして」という、使っているアプリ内での作業を補助します。ユーザーが使うものであり、設計・カスタマイズする余地は限定的です。
Copilot Studio
自社専用のAIエージェントを設計・作成するプラットフォームです。「どんな質問に答えるか」「どう処理するか」をゼロから設計します。作ったエージェントは社員や顧客が使うものになります。
一言で言えば、「使う側のツール」と「作る側のツール」という違いです。
向いている用途と向いていない用途
向いている用途
- 社内問い合わせが繰り返し来る業務(IT・人事・総務ヘルプデスク)
- 固定の手順でこなせる申請業務のデジタル化(休暇・経費・購買)
- すでにMicrosoftのスタックを使っている企業での展開
- TeamsやSharePointとの連携が必要なシナリオ
向いていない用途
- 高度な推論や複雑な会話の流れが必要なシナリオ(ユーザーの感情変化への柔軟な対応など)
- Salesforce・Slack・Googleワークスペースを主軸に使っている企業(連携コストがかかる)
- リアルタイム性が求められる生産ラインや医療現場への展開(レイテンシや可用性の保証確認が必要)
- 対話履歴を長期にわたって記憶する必要があるシナリオ(会話コンテキストの保持は設計次第)
AIエージェント全般の選び方についてはAIツール選びの基準が、他のAIツールとの比較はChatGPT・Claude・Gemini比較が参考になります。
まずデモ環境で試す
Copilot Studioは無料試用版があり、Microsoft 365のアカウントさえあれば30日間試せます。まず社内でよく来る質問10〜20件をFAQボット化して試してみると、ツールの使い勝手と自社業務との相性が分かります。本番導入の判断はその後で十分です。
よくある質問
Copilot Studioと通常のMicrosoft 365 Copilotの違いは何ですか?
Microsoft 365 CopilotはExcel・Word・Teamsなど既存のMicrosoftアプリに組み込まれた汎用AIアシスタントです。一方Copilot Studioは、自社独自のAIエージェントを設計・作成するためのツールです。「既存のCopilot機能を使う」のと「ゼロから自社専用ボットを作る」という違いがあります。
Copilot Studioを使うにはどのライセンスが必要ですか?
Copilot Studioは独立したSaaSとして提供されており、Microsoft 365とは別にサブスクリプション契約が必要です。2026年6月時点では、会話数に応じた従量課金モデルと月額固定モデルがあります。最新の料金と含まれるメッセージ数は公式サイトで確認してほしいです。
コードを書けない担当者でもCopilot Studioで本格的なボットが作れますか?
基本的な社内FAQボットや問い合わせ対応ボットはノーコードで作れます。ただし外部システムとのAPI連携・複雑な条件分岐・カスタムコネクタの設定は、Power Automate操作の知識またはローコードの知識が必要な場面もあります。まずシンプルな用途から始めることをお勧めします。