職種別AI仕事術

ユーザーインタビューをAIで分析する方法

ユーザーインタビューをAIで分析する方法

この記事の要点

複数のユーザーインタビューをAIで分析し、課題パターンの抽出・アフィニティ整理・企画書用インサイトへの変換を行う手順をプロンプト付きで解説します。

結論

複数のユーザーインタビューをAIで分析すると、5〜10件分の発言から「課題パターンの抽出」「アフィニティグルーピングの叩き台」「企画書に使えるインサイトの言語化」までを数時間で終わらせられます。付箋を並べて手でグルーピングする作業が不要になり、分析者の判断をどこに集中させるべきかが明確になります。


使うAIツール

複数インタビューの文字起こしを一括処理するにはコンテキスト上限の大きいClaudeが安定しやすいです。5件分を合算すると2〜3万字になることも多く、その場合は分割処理か、1回の入力上限が大きいモデルを選んでください。

分析の途中経過をチームで共有する場合は、NotionのAI機能と組み合わせると入力から共有までのステップを減らせます。どちらを使う場合も、個人を特定できる情報はAIに入力する前に匿名化してください。


手順

ステップ1:複数インタビューから発言を一覧化する

分析の出発点は、インタビューごとに整理された発言リストです。各インタビューについて商品企画の文字起こしをAIで整形する方法のステップ3を実行し、「課題・ニーズ・ワークアラウンド」の形式でまとめておいてください。

複数件の発言を一覧化するプロンプトは次の通りです。

以下は5名のユーザーへのインタビューから抽出した発言一覧です。
各発言に「インタビューID」「発言者属性(ある場合)」「カテゴリ(課題/ニーズ/ワークアラウンド)」「発言の要点」「原文引用(1〜2文)」を付けた表形式で整理してください。

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【インタビューA: 30代・中小企業経営者】
[課題・ニーズ・ワークアラウンドの抽出結果を貼る]

【インタビューB: 20代・フリーランス】
[課題・ニーズ・ワークアラウンドの抽出結果を貼る]

(以降同形式で続ける)
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ステップ2:課題パターンを抽出する

複数インタビューに共通して出てくる課題は、製品の優先度が高い課題である可能性が高いです。発言の頻度と分布からパターンを抽出します。

以下は複数のユーザーインタビューから抽出した発言一覧です。
発言を横断して「複数のインタビューに共通する課題パターン」を抽出してください。

出力形式:
## [課題パターン名]
- 出現回数: [何件中何件に該当するか]
- 代表的な発言: [各インタビューからの引用を1〜2件]
- 課題の本質(仮説として): [1〜2文]

条件:
- 1件のみに出現する課題はパターンとして扱わない
- 複数の発言が同じパターンに対応するときは、表現が異なっていても同一パターンとしてまとめてよい
- ただし、まとめた理由を「共通点:」として1文で添付すること

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[ステップ1の発言一覧を貼る]
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ステップ3:アフィニティグルーピングの叩き台を作る

パターン抽出と並行して、発言をテーマ別にグルーピングするアフィニティ分析の叩き台も作れます。

以下の発言一覧を、テーマ別にグルーピングしてください。
これはアフィニティ分析の叩き台として使います。

出力形式:
## [グループ名]
- [発言の要点] (インタビューID: A)
- [発言の要点] (インタビューID: B)

条件:
- グループ名は発言者の言葉を使って名付ける(分析者の解釈でなく)
- 1つの発言が複数グループに属する場合は、主要グループに入れ「関連: [グループ名]」と添付する
- グループ数は 5〜8 を目安にする(多すぎる場合は統合案を末尾に提示する)

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[発言一覧を貼る]
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このステップの出力は叩き台であり、グループ名の妥当性とグルーピングの判断は担当者が最終確認します。AIが発言の表層的な類似性(使った単語が似ている)でまとめた場合、文脈上は異なる課題が同じグループに入っていることがあります。


ステップ4:企画書用インサイトを言語化する

分析結果を企画書やPRDに貼れる「インサイト」の形に変換します。インサイトは「課題」ではなく、「課題の背後にある本質的なニーズや構造」を言語化したものです。

以下は複数のユーザーインタビューから抽出した課題パターンとアフィニティグルーピングです。
これをもとに、企画書に使えるインサイトを3〜5件作成してください。

インサイトの形式:
「[ユーザー属性] は、[状況・文脈] において、[行動や判断] をしているが、
実際には [本質的なニーズや期待] を持っている。」

各インサイトに以下を追加してください:
- 根拠となるインタビューIDと発言引用
- このインサイトが示唆する製品機会(1〜2文)

条件:
- インタビューデータにない推測は「仮説:」として明記する
- インサイトは断定ではなく「〜と考えられる」の表現にする

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[課題パターン・グルーピングを貼る]
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具体例1:家計管理アプリのリニューアル調査

家計管理アプリの既存ユーザー8名にインタビューを行い、退会理由と継続利用の条件を調査したケースです。

課題パターンの抽出では、8件中6件に「入力のハードルの高さ」が共通して出現しました。ただし発言の内容を見ると、「入力が面倒」という表層的な課題は同じでも、「毎日入力が前提のUIが合わない」「レシート撮影の精度が低くて結局手入力になる」「共有家計簿なのにパートナーが入力しない」という3つの異なる文脈に分かれていました。AIのグルーピングでは最初の一括りになっていたため、担当者が原文を確認して3グループに分割し直しました。

この分割が後の機能改善の方向性を変えた重要な判断でした。AIが出した叩き台を確認する作業の必要性を示す典型例です。


具体例2:法人向けワークフローツールのPMF調査

法人向けSaaSのプロダクトマーケットフィットを探るため、潜在顧客10社の担当者にインタビューしたケースです。

担当者の役職・企業規模・業界が10件すべて異なるため、共通パターンが出にくい状況でした。ステップ2で課題パターン抽出を試みたところ、出現頻度でなく「発言の強度(感情的な度合い)」で分類するようプロンプトを修正しました。

以下の発言一覧について、課題パターンを抽出してください。
頻度だけでなく、発言者が強い不満・強いニーズを示している度合い(発言の強度)も考慮してください。

強度の判断基準:
- 高: 「絶対に解決したい」「毎日困っている」「競合より劣っている点として挙げた」
- 中: 「あれば助かる」「不便ではある」
- 低: 「できればいい」「気にしたことがなかった」

出力に強度ラベルを付けてください。

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[発言一覧を貼る]
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この修正で、5件以下の出現でも強度「高」の課題を製品優先度として上位に位置づける判断ができ、機能スコープの絞り込みに役立てられました。


うまくいかない場合

インサイトが課題の言い換えにとどまっている

「ユーザーは操作が複雑だと感じている」のような課題の焼き直しになる場合は、プロンプトに「インサイトは課題の記述ではなく、課題の背後にある動機・期待・信念を言語化してください」と追記します。それでも改善しない場合は、手動で「なぜその課題が発生するのか」を3回問い直す形で補足情報を与えてから再実行してください。

グルーピングが細かすぎる・粗すぎる

グループ数の指定が効果的です。「グループ数は5〜8」と指定しても外れる場合は「現在の出力は[X]グループある。5つに統合する場合はどのグループとグループを合わせるのが自然か、理由を添えて提案してください」と追加プロンプトを入れると調整できます。

発言の出現頻度が出力されない

「何件中何件に出現するか数えてください」と明記しても集計が不正確な場合があります。件数の集計は表計算ソフトで手動で行い、AIには「出現した発言を抜き出して列挙する」役割に限定するほうが信頼性が上がります。


整形後の使い方

インタビュー分析から出たインサイトは、要件定義に直接接続できます。具体的な進め方は要件定義をAIで整理する方法で説明しています。

競合製品と比較してインサイトの妥当性を確認する場合は競合機能比較をAIで作る方法も参照してください。「ユーザーが求めているが競合にも実装されていない機能」を探す作業に役立ちます。


FAQ

Q. インタビューが1件しかない場合でもAI分析は有効ですか?

1件でもパターン抽出以外の分析(課題の構造化・ニーズの言語化)は有効です。ただし、1件のインタビューから「ユーザー全体の傾向」を結論づけるのは過剰です。出力には必ず「N=1のデータ」と明記してください。

Q. AIが出したインサイトは信頼できますか?

AIの分析は出発点です。パターンの見落としや発言の文脈ずれが起こりえます。出力されたインサイトは原文と照合し、企画チームで議論してから使うことを前提にしてください。

Q. アフィニティ分析はAIで完全に自動化できますか?

グルーピングの叩き台はAIが出せますが、グループ名のラベルづけや最終的なカテゴリの決定は人間が行う必要があります。AIは発言の表層的な類似性でまとめることがあり、文脈を踏まえた判断が必要な箇所では精度が落ちます。

Q. インタビュー分析の結果はどこに保存・管理すればよいですか?

NotionやConfluenceにリサーチリポジトリを作り、生データ・分析結果・インサイトを紐づけて保存する方法が一般的です。後から参照・比較できる構造で管理しておくと、次の企画フェーズで再利用しやすくなります。

よくある質問

インタビューが1件しかない場合でもAI分析は有効ですか?

1件でもパターン抽出以外の分析(課題の構造化・ニーズの言語化)は有効です。ただし、1件のインタビューから「ユーザー全体の傾向」を結論づけるのは過剰です。出力には必ず「N=1のデータ」と明記してください。

AIが出したインサイトは信頼できますか?

AIの分析は出発点です。パターンの見落としや発言の文脈ずれが起こりえます。出力されたインサイトは原文と照合し、企画チームで議論してから使うことを前提にしてください。

アフィニティ分析はAIで完全に自動化できますか?

グルーピングの叩き台はAIが出せますが、グループ名のラベルづけや最終的なカテゴリの決定は人間が行う必要があります。AIは発言の表層的な類似性でまとめることがあり、文脈を踏まえた判断が必要な箇所では精度が落ちます。

インタビュー分析の結果はどこに保存・管理すればよいですか?

NotionやConfluenceにリサーチリポジトリを作り、生データ・分析結果・インサイトを紐づけて保存する方法が一般的です。後から参照・比較できる構造で管理しておくと、次の企画フェーズで再利用しやすくなります。