ツール比較・レビュー

AIチャットボット作成ツール比較 ノーコードで作る方法

AIチャットボット作成ツール比較 ノーコードで作る方法

この記事の要点

Dify・Botpress・ChatPlusなどAIチャットボット作成ツールを比較。RAGを使った社内FAQ化の手順、構築コスト、選び方の基準を解説する。プログラミング不要で始められる方法も紹介。

自社用AIチャットボットを作る3つの方法

社内FAQに答えるチャットボット、問い合わせ対応の自動化、顧客向けサポートボットなど、AIを使ったチャットボットの需要が増えている。構築方法は大きく3つに分かれる。

方法1: ノーコードSaaS型(Dify・ChatPlus・Botpressなど) GUIで設定するだけで構築できる。開発知識不要。コストは月額課金が中心。

方法2: APIを直接使う自社開発(OpenAI API・Anthropic API等) 最も自由度が高いが、開発スキルが必要。費用は従量課金。

方法3: クラウドの AI プラットフォーム(AWS Bedrock・Azure AI Foundryなど) セキュリティと拡張性が高い。エンタープライズ向け。

本記事では主にノーコード・ローコードの方法に絞って解説する。


主要ツールの比較

ツール開発不要度RAG対応日本語価格帯特徴
Dify高(GUI操作)あり対応無料〜(API費別)オープンソース。機能が豊富
ChatPlusあり対応月額数千円〜国産。FAQ管理が使いやすい
Botpress中(設定が複雑)あり対応無料〜フロー設計の自由度が高い
flowise高(GUI)あり対応無料(自己ホスト)LangChainのGUI版。直感的
Microsoft Copilot Studioあり対応Microsoft 365に連動Teams・SharePoint連携が強い

各ツールの料金・プランは変更されることがある。最新の情報は公式サイトで確認してほしい。


Difyで社内FAQチャットボットを作る手順

Difyはオープンソースのチャットボット構築プラットフォームで、クラウド版(dify.ai)とセルフホスト版の両方が使える。ここではクラウド版を使った社内FAQ化の手順を示す。

ステップ1: アカウント作成とAPIキーの設定

  1. dify.aiにアクセスしてアカウントを作成する
  2. 「設定」→「モデルプロバイダー」からOpenAIのAPIキーを登録する(OpenAIのAPIキーは別途取得が必要)
  3. または AnthropicのAPIキーを使ってClaudeモデルを指定する

ステップ2: ナレッジベースの作成

RAG(Retrieval Augmented Generation)を使って、社内の文書を参照して回答するチャットボットを作る核心がこのステップだ。

  1. サイドバーの「ナレッジ」をクリック
  2. 「新しいナレッジ」を作成
  3. 社内のFAQ文書(PDF・Word・テキスト)をアップロードする
  4. チャンクサイズ(文書を分割する単位)を設定してインデックスを作成する

インデックス作成が完了すると、AIがその文書の内容を参照して質問に答えられるようになる。

ステップ3: チャットボットの作成

  1. 「アプリを作成」→「チャットボット」を選択
  2. 使用するAIモデルを選択する(GPT-4o・Claude等)
  3. システムプロンプトを入力する。例:
    あなたは〇〇株式会社の社内FAQ担当AIです。
    提供された社内文書のみを参照して質問に回答してください。
    分からない場合は「文書に記載がありません」と答えてください。
  4. 「コンテキスト」でステップ2で作成したナレッジを追加する
  5. 「公開」を押してWebサイト埋め込み用のURLまたはスクリプトを取得する

ステップ4: 動作確認と調整

テスト画面でいくつかの質問を投げて、正しく回答できるか確認する。回答の精度が低い場合は次の点を調整する。

  • システムプロンプトをより具体的に書く
  • ナレッジのチャンクサイズを変更する
  • TopKパラメータ(参照する文書の断片数)を増やす

RAGとは何か:仕組みを理解する

RAG(Retrieval Augmented Generation)は「検索して情報を引っ張ってきてから生成する」仕組みだ。通常のAIは学習データの範囲でしか答えられないが、RAGを使うと「特定の文書の内容に基づいた回答」が可能になる。

流れは次のとおりだ。

  1. ユーザーが質問する
  2. システムが社内文書から関連する部分を検索する
  3. AIが検索結果と質問を組み合わせて回答を生成する
  4. 回答を返す

この仕組みにより「社内規程に従って答える」「製品マニュアルに書いてある内容だけを答える」といった制御が可能になる。

生成AIの基本的な仕組みについても参照してほしい。


ChatPlusとBotpressの特徴

ChatPlus

ChatPlusは日本の企業が開発した国産チャットボットツールで、日本語UIと日本語サポートが充実している。FAQの管理画面が使いやすく、非エンジニアのスタッフがコンテンツを更新・管理しやすい設計になっている。

WebサイトへのボットUI埋め込みが簡単で、社外向けの問い合わせ対応や製品サポートに多く使われている。最新のプランは公式で確認してほしい。

Botpress

Botpressはフロー設計の自由度が高く、複雑な会話シナリオ(条件分岐・APIへの問い合わせ・複数ステップの処理)を実装できる。Difyよりも設定が複雑な部分があるが、エンジニアが関わる場合はカスタマイズ性が高い。


Microsoft Copilot Studio(Teams連携)

すでにMicrosoft 365を使っている組織では、Copilot Studioが有力な選択肢だ。Teamsのチャンネルにボットとしてデプロイでき、SharePointの文書やSharePointリストを参照する形でRAGを構成できる。

既存の業務環境と一体化できるため、新しいツールの学習コストが低い。ただしMicrosoft 365の特定プランが必要で、料金はMicrosoftのライセンスに依存する。最新情報は公式で確認してほしい。


選び方の基準

開発リソースがない場合

DifyのクラウドSaaS版またはChatPlusが現実的だ。GUIで設定できるため、エンジニアなしで構築・運用が可能だ。

Microsoft 365環境を使っている場合

Copilot Studioを最初に検討する。既存環境との統合コストが最も低い。

セキュリティ要件が厳しい場合(社内情報を扱う)

Difyのセルフホスト版、Flowise、またはAWS Bedrock/Azure AI Foundryのようなクラウドプラットフォームが選択肢になる。自社サーバーまたは契約済みのクラウド環境で動かせるため、データが外部に出ない。

ただしセルフホストには技術的な設定・運用の知識が必要だ。会社での生成AI活用の注意点で情報セキュリティのポイントを解説しているので参照してほしい。

社外向けカスタマーサポートに使う場合

ChatPlusやBotpressが実績が多い。WebサイトへのUI埋め込みが簡単で、有人オペレーターへの引き継ぎ機能も備えている。


コスト感の整理

チャットボット構築にかかるコストは主に次の3つだ。

コスト内容目安
ツール費用ノーコードSaaSの月額料金無料〜数万円/月
AI APIの利用料ChatGPT/ClaudeのAPIコール費用利用量に応じた従量課金
構築・運用工数セットアップと継続的なメンテナンス初期:数日〜数週間

ノーコードツールでもAIモデルのAPIを使う場合は別途費用が発生する。使用量が多い場合はAPIの従量課金が積み上がるため、事前に利用量の試算が必要だ。

具体的な料金は全て変更される可能性がある。最新の見積もりは各ツールの公式サイトで確認してほしい。


よくある失敗と対策

失敗1: 文書の品質が低くて回答精度が上がらない RAGに取り込む文書が「聞かれたことに答えられる形」になっていることが重要だ。FAQ形式でQ&Aを整理した文書はチャットボットとの相性が良い。箇条書きの羅列や、文脈が必要な複雑な文章は精度が下がりやすい。

失敗2: 質問の表現が想定と違うと答えられない 「有給休暇の申請方法は?」と「休みの取り方を教えて」は意味が同じでも表現が異なる。テストを重ね、想定される質問パターンを文書に反映させることで改善できる。

失敗3: 更新が追いつかない 法改正・社内規程の変更・製品のアップデートに合わせて文書を更新しないと、古い情報で回答し続ける。更新フローを運用設計に組み込むことが重要だ。


まとめ

社内FAQを手軽にAI化するにはDifyが機能と使いやすさのバランスがよい。Microsoft 365環境であればCopilot Studioが統合コストが低い。国産ツールと日本語サポートを重視するならChatPlusが選択肢になる。

セルフホストで外部へのデータ送信を避けたい場合はDify・Flowiseのオープンソース版を自社環境に構築する方法がある。

いずれのツールも料金・機能は変更されることがある。最新情報は必ず公式サイトで確認してほしい。

よくある質問

ノーコードでAIチャットボットを作れますか?

Dify・ChatPlus・Notionベースのツール等、プログラミング不要でチャットボットを構築できるツールがある。ただし複雑なシステム連携には開発知識が必要になる場合もある。

社内のPDFや文書をもとに答えるチャットボットを作るには?

RAG(検索拡張生成)という仕組みを使う。DifyやBedrockのKnowledge Base等で社内文書をアップロードし、AIがその内容を参照して回答する仕組みを作れる。

AIチャットボットの構築にいくらかかりますか?

ツールによって月額数千円〜数十万円と幅がある。Difyはオープンソースで自己ホストすれば無料だが、AIモデルのAPI費用が別途かかる。最新の料金は各公式サイトで確認してほしい。

ChatGPTのAPIを使えばいいのか、専用ツールを使えばいいのか分かりません。

ChatGPTのAPIを直接使うには開発知識が必要だ。Dify等のノーコードツールはChatGPTのAPIをGUIで簡単に使えるようにしたものと理解するとよい。開発リソースがない場合はノーコードツールが現実的だ。