業務活用事例

Excel作業をAIで効率化する方法 実践ガイド

Excel作業をAIで効率化する方法 実践ガイド

この記事の要点

ExcelはAIに数式の生成・VBAマクロ作成・データ整形を任せると大幅に速くなる。ChatGPTとMicrosoft Copilotの使い分けを含め、すぐ実践できる手順を具体例つきで解説する。

結論:AIはExcelの「数式作成・VBA・データ整形」で即戦力になる

Excelでのデータ処理でAIを使う効果が最も大きいのは、数式の作成・VBAマクロの生成・データ整形の3つだ。「〇〇のような集計をしたいが数式が分からない」という状況にAIは強く、日本語で目的を説明するだけで動く数式を返してくれる。

本記事では、ChatGPTとMicrosoft Copilotを使ったExcel効率化の具体的な手順を、コピーして使えるプロンプト例とともに解説する。

数式の生成

Excelで最も多い困りごとは「やりたいことは分かるが、どの関数をどう使うか分からない」というパターンだ。これはAIが最も得意な場面で、目的を日本語で説明するだけで数式を返してくれる。

基本のプロンプト

ExcelでA列に商品名、B列に売上金額、C列に地域が入っています。
地域が「東京」の売上金額の合計を出す数式を教えてください。

このように「列の構造」と「やりたいこと」を伝えると、=SUMIF(C:C,"東京",B:B) のような数式が返ってくる。

複雑な条件でも同じ要領で対応できる。

ExcelでA列に日付、B列に担当者名、C列に売上金額があります。
2024年1月中の田中さんの売上合計を出したいです。
SUMIFS関数を使う場合の数式を教えてください。

返ってきた数式は必ずExcelに貼り付けて動作確認してから使う。AIは概ね正確だが、列の指定方法や条件の記述でミスが起きることがある。

よく使える使い方のパターン

VLOOKUP・XLOOKUPの作成:「A列のコードをもとに、別シートの商品マスターから商品名を持ってくる数式」のように、参照関係を説明する。

条件付き書式の設定手順:「点数が60点以下のセルを赤く塗る条件付き書式の設定方法を手順で教えて」のように、数式だけでなく操作手順を聞くこともできる。

ネストが深い数式の解読:既存ファイルに入っている複雑な数式を貼り付けて「この数式が何をしているか日本語で説明して」と使うと、引き継ぎや修正が速くなる。

VBAマクロの作成

VBAは文法が独特で、書いたことがない人には高い壁がある。AIはVBAの生成に特に強く、日本語で手順を説明するだけで動くコードを返してくれる。

プロンプト例

以下の作業を自動化するVBAマクロを書いてください。

1. 「売上データ」シートのA列が空白になるまで行を処理する
2. C列の値が1000以上の行を「高額取引」シートにコピーする
3. 処理が終わったら「完了しました」とメッセージを出す

初心者でも理解できるようにコメントを付けてください。

返ってきたコードは、ExcelのAltキー+F11でVBAエディタを開き、「挿入」→「標準モジュール」にコピーして実行する。

VBAを使う際の注意点が2つある。一つは、本番ファイルで実行する前にテスト用ファイルで動作確認すること。マクロは操作を自動で行うため、意図しないデータ変更が起きる可能性がある。もう一つは、コードに「何をしているか」のコメントを付けてもらうこと。後から修正や確認をするときに理解しやすくなる。

定型作業の自動化例

  • 月次の売上ファイルを開いて集計シートにデータを転記する
  • 一定のルールでセルの色分けを行う
  • 複数のシートから特定の行を抽出して新しいシートに貼り付ける
  • 印刷設定を固定してPDFで保存する

これらはVBAで10〜30行程度のコードで実現できるものが多く、AIに説明すれば数分で動くコードが手に入る。

データ整形

CSVやExcelで受け取ったデータが使いにくい形になっているケースは多い。AIはデータ整形の方法を教えるだけでなく、Pythonのコードやパワークエリの設定方法でも応答できる。

よくある整形作業の相談例

姓と名が一つのセルに入っている:「A列に”山田 太郎”のように姓名が入っています。姓と名を別のセルに分ける方法を教えてください」と聞く。区切りの規則によって最適な方法が変わる。

日付のフォーマットが混在している:「A列に”2024/01/15”と”2024年1月15日”と”20240115”が混在しています。すべて”2024/01/15”の形式に統一する方法を教えてください」のように、現在の状態と目標の状態を説明する。

不要な文字を一括で削除したい:「B列の文字列に”(確認済)“という文字が含まれている行があります。この文字だけを一括で消す方法を教えてください」という使い方もできる。

グラフの説明と改善提案

グラフを作ったあとの見せ方の改善にもAIは使える。グラフの現状をスクリーンショットで渡すか、どのようなグラフを作ったかをテキストで説明して、改善案を聞く方法だ。

棒グラフを作りました。X軸が月、Y軸が売上金額です。
このグラフを経営層への報告で使いたいのですが、
見やすくするためのポイントを教えてください。

「データラベルを付けて数値を直接表示する」「目盛り線を減らしてすっきりさせる」「比較軸として前年同月のデータを折れ線で重ねる」といった具体的な改善案が返ってくる。

ピボットテーブルの設計

ピボットテーブルは強力な集計機能だが、初めて使う人には「どの項目を行・列・値に置くか」の設計で詰まることが多い。

以下のExcelデータがあります。
列:日付、担当者名、商品カテゴリ、売上金額

「担当者ごとに、商品カテゴリ別の売上合計を確認したい」
この場合、ピボットテーブルの行・列・値に何を設定すればいいですか。
手順も教えてください。

目的を明確に伝えると、ピボットテーブルの設定方法を手順で返してくれる。

ChatGPTとMicrosoft Copilotの使い分け

場面ChatGPTMicrosoft Copilot for M365
数式の作成・解説向いている向いている
VBAコードの生成向いている向いている
ファイルのデータを直接操作不向き(テキスト貼り付けが必要)向いている
大量行のデータ処理データを貼り付けにくい向いている
社外PCで使う使いやすいM365ライセンスが必要

ChatGPTは数式のやり取りやVBAのコード生成に適していて、ライセンスなしでも使える。Copilot for Microsoft 365はExcelファイルに直接アクセスできるため、ファイルを開いたまま「このデータから月別集計を作って」といった操作が可能だが、有料のM365ライセンスが必要だ。料金・機能の最新情報はMicrosoftの公式サイトで確認してほしい。

注意:個人情報・機密データの取り扱い

ExcelのデータをAIに渡す際には情報セキュリティの確認が必要だ。顧客名・住所・電話番号・売上の詳細などの機密データは、個人向けAIサービスに貼り付けるべきでない。

相談の際は、列の構造だけを説明してサンプルデータに置き換えるか、数行だけ匿名化した形で貼り付けるのが安全だ。会社でAI利用のガイドラインが定められている場合は、それに従う。

会社での生成AI利用全般の注意点は会社で生成AIを使うときの注意点でまとめている。

まとめ

ExcelでAIを使う効果が大きい作業は「数式の作成・VBAマクロの生成・データ整形」の3つだ。やりたいことを日本語で説明するだけで動くコードや数式が返ってくるため、Excelの関数を暗記する必要がなくなる。

ただし返ってきた内容は必ずExcelで動作確認すること、そして個人情報や機密データはAIに渡さないことが前提条件だ。

プロンプトの書き方の基本を学びたい場合はプロンプトの書き方が参考になる。業務別のツール比較は業務別おすすめAIツール集も参照してほしい。

よくある質問

AIが作った数式やVBAコードは正確ですか

概ね正確ですが、必ずExcelで動作確認してから使ってください。特にVBAは一度テスト用のファイルで実行し、意図した動きをするか確認する手順が必要です。

ExcelデータをAIに貼り付けてよいですか

個人情報・顧客情報・機密情報を含むデータは外部のAIサービスに貼り付けないでください。匿名化・サンプルデータに置き換えた形で相談する方法が安全です。

Microsoft Copilot for Microsoft 365とChatGPTの違いは何ですか

Copilot for Microsoft 365はExcelファイル内のデータに直接アクセスして操作できます。ChatGPTはデータをテキストで貼り付けて使うため、大量データの処理はCopilotが向いています。ただしCopilotは有料のMicrosoft 365ライセンスが必要です。

AIで関数を覚えなくてもよくなりますか

数式の暗記は必要なくなりますが、返ってきた数式が何をしているか読む力は必要です。AIが間違った数式を返したとき、それに気づけないと誤ったデータを使い続けるリスクがあります。