職種別AI仕事術

コンサル成果物をAIで作る方法

コンサル成果物をAIで作る方法

この記事の要点

提案書・調査レポート・エグゼクティブサマリーなどコンサル成果物の作成をAIで効率化する手順を解説。プロンプト例つきで文書品質と作業速度を両立できる。

結論

コンサル成果物作成でAIを使う効果が最大化されるのは「構造設計」「初稿作成」「言い回しの統一」の3つだ。AIに任せるのは骨格と文章の流れで、数値の正確性・論拠の妥当性・クライアントへの配慮は人間が担う。この役割分担を崩さなければ、成果物の質を下げずに作業時間を50〜70%削減できる。


使うAIツール

ツール役割
Claude 3.5 Sonnet文書構造設計・ドラフト作成・サマリー生成
ChatGPT(GPT-4o)セカンドオピニオン・表現の代替案
Gamma / Beautiful.aiAIドラフトをスライドに自動変換
Grammarly / 文賢日本語表現・論理構造のチェック

長い文書のドラフトはClaudeが文脈保持に優れている。スライドへの変換を自動化したい場合はGammaが対応しており、Claudeの出力をそのまま貼り付けてプレゼン資料を生成できる。


手順

ステップ1:成果物の構造を設計する

提案書や調査レポートの目次・構成をAIと設計する。構成が決まってから各章を書くほうが、全体の論理的整合性を保ちやすい。

以下のプロジェクト概要をもとに、クライアント向け提案書の目次を作成してください。

【プロジェクト概要】
- クライアント:中堅物流会社
- 課題:配送コストが過去3年で20%上昇しており、収益を圧迫している
- 今回の提案範囲:コスト削減の優先施策3つと実装ロードマップ
- 提案先:経営会議(役員3名、部長2名)
- ページ数目安:20〜25ページ

【目次の条件】
- 結論ファースト(1枚目に提言を明示)
- 現状→課題→原因→施策→効果試算→ロードマップの流れ
- 各章のタイトルは「〜の実態」「〜の背景」など体言止め禁止、「〜を示す」「〜を整理する」など動詞で終わる
- 各章に「このページで伝えること(1文)」を付記する

出力形式:
## 第1章:タイトル
このページで伝えること:〜
(スライド1〜3)

ステップ2:各章の本文ドラフトを作る

構成が決まったら、章ごとにドラフトを生成する。一度に全体を書かせると品質が下がるため、章ごとに分割して依頼する。

以下の情報をもとに、提案書「第3章:配送コスト上昇の主因分析」のドラフトを作成してください。

【この章で伝えること】
配送コスト上昇の主因が「燃料費の変動」ではなく「非効率なルート設計と再配達率の高さ」にあることを示す

【使用する情報】
- 燃料費の変動率:+12%(業界平均並み)
- ルート最適化されていない配送便の割合:全体の43%
- 再配達率:18%(業界平均は9%)
- 再配達1件あたりの追加コスト:約850円

【文体・形式の条件】
- 語調:客観的・数値根拠をベースにする
- 文章量:A4半ページ程度(200〜300字)
- 図表への言及:「図表3-1に示すように〜」のように参照先を想定した書き方にする
- 断定表現を使う:「〜と考えられる」ではなく「〜である」

数値は渡したもののみ使い、不明な数値は【要確認】と記入してください。

ステップ3:エグゼクティブサマリーを生成する

提案書の本文が完成したら、経営層向けのサマリーを生成する。

以下の提案書本文をもとに、経営層向けエグゼクティブサマリーを作成してください。

【サマリーの条件】
- 分量:500字以内
- 構成:①現状認識(1〜2文)、②主要課題(2〜3文)、③提言(優先施策3つ、各1文)、④期待効果(数値あり)
- 読者:経営層(現場の詳細には不慣れ)
- 先頭に結論(提言の要約)を1文置く

【提案書本文】
(ここに本文を貼る)

最後に「このサマリーで補足が必要な情報」があれば指摘してください。

ステップ4:文書のトーン・表現を統一する

複数人で作成した文書や、複数回に分けて書いた文書の表現を統一する。

以下の文書の表現を統一してください。

【統一ルール】
- 語尾:「〜である」「〜する」(体言止め・「〜です/ます」は使わない)
- 数値表記:「20%」ではなく「20%」(全角パーセント)
- 固有名詞:「クライアント企業」を「A社」に統一
- 長文は2文に分割する(1文70字を超えないようにする)
- 「〜と思われる」「〜ではないか」などの推量表現を削除または断定に変換する

【文書】
(ここに文書を貼る)

変更箇所は【変更前】→【変更後】の形式で列挙してから、修正済み全文を出力してください。

具体例1:物流コスト削減提案書の作成

物流クライアント向けの25ページ提案書を、チーム2名で3日間かけて作成した際にAIを活用した。ステップ1の構成設計でAIが提示した目次骨格を30分で確認・修正し、ステップ2で章ごとのドラフトを生成した。

各章のドラフト生成に15〜20分、その後の事実確認と修正に30〜40分という流れで、1章あたりの作業時間が従来の2〜3時間から1時間以内になった。最後にステップ3でサマリーを生成し、役員プレゼンの前夜に差し替える場面でも5分以内に対応できた。

クライアントからは「論理展開が明快で読みやすい」と評価された。AIが構造設計を担当したことで、執筆者が内容の詰めに集中できたことが品質向上に繋がったと考えている。


具体例2:市場調査レポートのエグゼクティブサマリー差し替え

複数の調査レポートを統合した成果物では、各章の文体がバラバラになっていた。ステップ4のトーン統一プロンプトを使って文書全体を処理したところ、語尾の統一・長文の分割・推量表現の削除が一括で行われ、読み直しによる修正サイクルが1回で完了した。

従来は編集者が半日かけて行っていた表現統一作業が、AIへの投入から30分で完了した。ただし固有名詞の置き換えに漏れがあったため、最終確認は人間が行った。


うまくいかない場合

ドラフトが抽象的すぎる

プロンプトに「不明な数値は【要確認】と記入してください」と明示する。AIが「〜程度」「多くの場合」と曖昧に埋めてしまうのを防げる。また「この章で使う数値・事実をすべて列挙してから本文を書いてください」と指示すると、根拠なく書き進めるのを抑制できる。

結論が埋もれる

「結論ファーストで書いてください」と指示しても段落構造が変わらない場合は、「第1文は結論の断言で始めてください」と具体的に指定する。「〜することで、コストを20%削減できる」のような形式を例示するとさらに改善しやすい。

文書が長くなりすぎる

「この章は200〜300字で書いてください」と文字数の上限を設ける。制約がないと冗長になる。また「削除できる表現をリストアップしてください」と聞くと、AIが自分で圧縮候補を示す。

クライアント固有の事情が反映されない

AIへの情報インプットを充実させることが前提だが、限界がある場合は「この文章でクライアント固有の事情として追記が必要な箇所に【追記候補】タグを入れてください」と指示すると、後から人間が加筆する箇所が明確になる。

複数人で書いた文書の統合が難しい

章ごとではなく「まず章の接続部分だけ統一してください」と範囲を絞る。全文一括処理より、つなぎ目の表現統一から始めるほうがAIの処理精度が上がることがある。


成果物作成の全体フロー

成果物の目的・読者・構成を定義
  ↓ ステップ1
目次・構成をAIと設計
  ↓ ステップ2
章ごとにドラフトを生成

人間が事実確認・数値の正確化・論拠の補強を実施
  ↓ ステップ3
エグゼクティブサマリーを生成
  ↓ ステップ4
表現・トーンの統一

最終レビュー・提出

他の記事との連携

成果物の論点設計の前提となる課題整理は課題整理をAIで行う方法を参照してほしい。提案の根拠となる仮説を磨く手順は仮説出しをAIで壁打ちする方法で解説している。分析に使うフレームワーク適用についてはフレームワーク適用をAIで補助する方法も合わせて読んでほしい。

よくある質問

提案書全体をAIに書いてもらえますか?

骨格・各章のドラフト・エグゼクティブサマリーはAIに出させることができます。ただし提言の論拠・業界固有の数値・クライアント固有の制約の反映は人間が行う必要があります。

AIが書く文章はコンサル文書として使えるレベルですか?

構造・論理展開の骨格としては使えます。ただし表現が一般的すぎること・曖昧な数値が入ることがあるため、必ず事実確認と具体化の編集を加えてください。

エグゼクティブサマリーだけAIに書かせることはできますか?

できます。本文を渡して「経営層向けのエグゼクティブサマリーを400字以内で作成してください」と指示するだけで、結論ファーストのサマリーが得られます。

AIを使うとドキュメントの品質が下がりませんか?

正しく使えば品質は維持できます。AIを「ドラフター」として使い、人間が「編集者」として事実確認・論理チェック・表現磨きを加える役割分担が基本です。