職種別AI仕事術

コンサルタントの比較表をAIで作る方法

コンサルタントの比較表をAIで作る方法

この記事の要点

コンサルタントが提案書・報告書に使う比較表をAIで作成する手順を解説。評価軸の設計から表形式出力まで、実務で使えるプロンプト例と注意点を紹介する。

結論

コンサルタントがAIで比較表を作ると、評価軸の検討漏れを防ぎながら初稿を数分で作成できる。AIは構造化と整形に強く、「○○と××を△△の観点で比較してください」という指示だけで使える形の表を出力する。ただし、数値・評価スコアはAIの出力をそのまま採用せず、一次情報との照合が必須だ。


コンサルタントが比較表作成でAIを使う理由

比較表は提案書の中で「意思決定の根拠」として最も読まれるパーツの一つだ。ベンダー選定、戦略オプションの評価、業界プレイヤーの整理、施策の費用対効果比較——様々な場面で比較表が求められる。

問題は、評価軸の設計に時間がかかることだ。抜け漏れがあると「なぜこの観点が入っていないのか」とクライアントから指摘を受ける。AIに評価軸の候補を出させることで、設計段階の見落としを減らせる。

また、複数のオプションを整理する作業は単純だが時間がかかる。AIに整形を任せることで、コンサルタントは評価の判断とナラティブ(比較表が示す示唆)に集中できる。


使うAIツール

表作成・構造化向け

Claude(claude.ai) Markdown形式の表を正確に出力する。複雑な評価軸の設計や、表の後に「この比較表が示す示唆」を添えることも得意だ。

ChatGPT(GPT-4o) 表の出力精度が高く、「採点方式にする」「重み付けを付ける」などの指示にも対応しやすい。

補助ツール

Notion AI Notionで作業している場合はテーブルをその場で作成・修正できる。ただし細かい書式指定は難しい。

Excel(Copilot統合) Excel上でCopilotを使うと、貼り付けたデータをもとに比較表を自動生成できる。データが多い場合に向いている。


手順:AIで比較表を作る5ステップ

ステップ1:比較の目的と読み手を決める

比較表を作る前に「誰が何を決めるための表か」を明確にする。経営層が最終承認するための表なら評価観点を絞り込む。実務担当者が詳細確認するための表なら項目を網羅する。目的が変われば評価軸も変わる。

ステップ2:評価軸の候補をAIに出させる

自分で評価軸を考える前にAIに候補を出させる。見落としを防ぐためだ。以下のプロンプトで候補を生成する。

コンサルティングファームのアナリストとして、以下のシナリオで比較表を作る際の評価軸の候補を出してください。

【シナリオ】
中堅製造業(従業員3,000名)が生産管理システムを刷新するにあたり、3つのERPベンダー候補を比較検討する。
意思決定者は製造部門長(現場の使いやすさを重視)とCFO(コストとROIを重視)。

【出力形式】
評価軸を「必須観点」と「推奨観点」に分けてリスト化すること。
各軸に「なぜこの観点が重要か」を一文で添えること。

ステップ3:評価軸を選定し、比較表の構造を設計する

AIが出した候補から、クライアントの意思決定に直結するものを選ぶ。評価軸は多すぎると読みにくくなるため、5〜8項目が実務的な上限だ。選んだ軸を優先順位の高い順に並べる。

ステップ4:比較表をAIで作成する

評価軸と比較対象が決まったら、以下のプロンプトで表を生成する。

ベンダー比較表の生成

以下の情報をもとに、コンサルティング提案書に使える比較表をMarkdown形式で作成してください。

【比較対象】
・SAP S/4HANA
・Oracle Cloud ERP
・Microsoft Dynamics 365

【評価軸(優先順位順)】
1. 製造業向け機能の充実度
2. 導入コスト(初期費用・ランニングコスト)
3. 導入期間
4. 国内サポート体制
5. カスタマイズ性
6. 既存システムとの連携性

【表の形式】
・各セルに「評価:◎/○/△/×」と「根拠となる特徴を一文」を含める
・数値(コスト・期間)は「要見積」「一般的に〇〇〇万円〜」など概算範囲を記載し、実際の数値は別途調査が必要と注記すること

【注意事項】
・数値は公開情報の範囲内で記載し、不確かな数値には「※要確認」を付けること
・最下行に「総合評価」を追加すること

戦略オプションの比較表

以下の戦略オプションを比較する表をMarkdown形式で作成してください。

【比較対象】
・オプションA:自社開発
・オプションB:既存パッケージ導入
・オプションC:業務プロセスアウトソーシング

【評価軸】
1. 初期投資額
2. 運用コスト(年間)
3. 柔軟性(将来的な変更容易性)
4. リスク(導入失敗リスク)
5. 効果発現までの期間
6. 内製ナレッジの蓄積

【出力形式】
・各軸を5段階評価(5が最良)で表し、スコアとコメントを記載する
・最下行に合計スコアと推奨度を記載する
・「推奨する理由」を表の下に2〜3文で添える

ステップ5:出力を確認し、数値・評価を一次情報で検証する

AIが出力した比較表は構造の叩き台として使う。各セルの数値・評価スコアは一次情報(ベンダー資料、公開IR、業界調査レポート、ヒアリング結果)で検証する。検証できなかった項目には「※要確認」を付けたまま次のステップに進み、調査後に更新する。


コンサルタント固有の活用例

活用例1:物流改革のオプション評価表

物流子会社の再編を検討する大手食品メーカーへの提案で、「自社物流の継続」「3PL委託」「物流子会社の売却」という三つのオプションを比較する必要があった。

評価軸の候補をAIに出させたところ、当初チームが見落としていた「従業員への影響(雇用・配置転換)」「ブランド毀損リスク(物流品質低下時の評判への影響)」という観点が候補に挙がった。クライアント確認の結果、これらはどちらも重要観点と判断され、最終提案の比較表に加えられた。

表の初稿はAIで10分以内に作成し、数値・評価は各オプションの詳細調査で埋めていった。初稿生成にかかる時間がゼロに近づいたことで、調査・検証の工程に時間を集中できた。

活用例2:SaaS導入のベンダー選定表

IT部門が導入を検討するHRISのベンダー5社を比較する資料を1日で仕上げなければならなかった。通常なら各社の資料を読み込んで軸を整理するだけで半日かかる。

AIに「HRISベンダー選定における評価軸の候補」を出させ、人事部長・CFO・IT部長の三者の視点を反映した軸を10項目に絞った。表の構造はAIで作成し、各セルの評価はベンダーのデモ資料と公開仕様書を参照して人間が埋めた。

1日の作業で5社×10軸の比較表を完成させ、翌日の承認会議で意思決定に使用された。


うまくいかない場合の対処法

AIが出力する評価が画一的になる場合

「評価に差が出るよう、各オプションの強みと弱みを明確に書いてください」と指示する。または「クライアントが最も重視する〇〇の観点でオプションAとBを差別化してください」と比較の焦点を絞る。

表が崩れて出力される場合

「Markdown形式で出力してください。パイプ(|)で区切った表にしてください」と明示する。または「各行のセル数が同じになるよう注意してください」と付け加える。

評価軸が多すぎて表が見づらい場合

「評価軸を最重要・重要・参考の3グループに分けてください」と依頼し、最重要軸だけを一枚目の比較表に載せ、残りはアペンディクスに回す構成にする。

数値の根拠が不明な場合

「数値の出典と確度(公開情報/推計/要調査)を各セルに明記してください」とプロンプトに加える。AIが根拠を持てない数値には自動的に「要確認」タグが付くようになる。


比較表を使った示唆の作り方

比較表は「作って終わり」ではなく、表が示す示唆をナラティブとして添えることで初めて提案として機能する。表を作ったあとに以下のプロンプトで示唆を生成できる。

上記の比較表を踏まえて、以下の観点で示唆を2〜3文でまとめてください。

1. この比較が示す最も重要な発見は何か
2. クライアントにとって最も有利な選択肢はどれか、その理由は何か
3. 意思決定にあたって追加調査が必要な項目はあるか

【前提条件】
クライアントは初期投資の最小化とスピードを優先している。

示唆の質はAIの出力をそのまま使うより、たたき台として人間が加筆・修正した方が高まる。特に「クライアントの文脈に固有の示唆」はAIには書けないため、担当コンサルタントが加える。


まとめ

AIで比較表を作る効果は二つある。一つは評価軸の見落としを減らせること、もう一つは初稿の作成時間をほぼゼロにできることだ。構造化と整形はAIに任せ、評価の根拠となる数値と示唆の質は人間が担当するという役割分担が実務に合う。比較表を作ったあとに「この表が示す示唆は何か」をAIに問いかける習慣を加えると、提案書の説得力がさらに上がる。

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よくある質問

AIが作った比較表の数値はそのまま使えますか?

使えません。AIが出力する数値はハルシネーション(事実と異なる情報の生成)のリスクが高い。比較表の数値や評価スコアは必ず一次情報を参照して確認してください。

評価軸はどのように決めればいいですか?

クライアントの意思決定基準を軸にします。「何が決め手になるか」をクライアントヒアリングで確認し、その優先順位順に並べるのが基本です。AIに「評価軸の候補を出してください」と聞くことで見落とし防止にもなります。

比較対象が多い場合はどうすればいいですか?

最初に「足切り条件」でスクリーニングし、比較表に載せる対象を3〜5件に絞るのが実務的です。AIに「以下の条件を満たさないものを除外してください」とスクリーニングを依頼することもできます。

PowerPoint用の表にそのまま変換できますか?

Markdownの表はコピーしてPowerPointに貼り付けると表として認識される場合があります。ただし書式は崩れることが多いため、PowerPoint側で再整形が必要です。