コンサルタントの提案書をAIでつくる進め方
この記事の要点
コンサルタントがAIを使って提案書を効率よく作る進め方を解説。課題定義から構成設計・各セクションの文章化まで、プロンプト例付きで具体的に説明します。作業時間を半分以下に短縮できます。
結論
提案書作成にAIを使うと、構成設計から各セクションの文章化までの作業時間が半分以下になります。コンサルタントが担うのは「クライアントの課題定義」と「提案のロジック設計」であり、AIにはその思考を文章として整える役割を担わせます。
AIで提案書を作る際に失敗するパターンの多くは、「考える作業」まで委ねることです。AIは与えられた情報をもとに文章を組み立てることは得意ですが、クライアントの本質的な課題を見抜いたり、提案のオリジナリティを生み出したりすることはできません。
提案書作成でAIを使う範囲
提案書を「考える工程」と「書く工程」に分けると、AIの使い所が明確になります。
| 工程 | AIの使い方 |
|---|---|
| 課題の定義・仮説立案 | 自分で考える(AIは参考意見の壁打ち役に限定) |
| 提案の骨格・ロジック設計 | 自分で作り、AIに構成案として整理させる |
| 各セクションの文章化 | AIに下書きを生成させ、人間が修正する |
| エグゼクティブサマリー | AIに生成させ、人間が核心を確認・修正する |
| 表現の磨き上げ | AIに複数案を出させて選ぶ |
コンサルタントの価値は「どの課題をどう解くか」の判断にあります。文章化作業にかかる時間を削減し、思考に投資するためにAIを使います。
使うAIツール
| ツール | 向いている用途 |
|---|---|
| Claude(claude.ai) | 長い文章の生成・論理構造の整理・全体の一貫性確保 |
| ChatGPT(GPT-4o) | セクション単位の下書き・表現のバリエーション出し |
| Notion AI | Notionで提案書を管理している場合のインライン文章生成 |
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手順:提案書をAIで作る
ステップ1 :提案の骨格を自分で作る
AIに渡す前に、次の3点を箇条書きで整理します。
- クライアントの課題:何が問題で、その背景にある構造的な原因は何か
- 提案の方向性:何をどう変えれば課題が解決するか
- 期待効果:提案が実現した場合のビジネスインパクト(数値で表せるものを含む)
この骨格が曖昧なまま「提案書を作ってください」とAIに渡すと、一般論の羅列になります。「クライアントへの課題整理の進め方」は課題整理をAIで進める手順を参照してください。
ステップ2 :構成をAIに設計させる
以下の情報をもとに、経営コンサルタントとしての提案書の構成を設計してください。
【クライアント概要】
・製造業、従業員500名規模
・課題:製品ラインの採算悪化。高原価製品が収益を押し下げている
【提案の方向性】
・製品ポートフォリオの整理と原価構造の改革
・フェーズ1(3ヶ月):課題の深堀り分析と改善施策の優先順位付け
・フェーズ2(6ヶ月):施策実行のハンズオン支援
【提案書の読み手】
・経営会議(社長・副社長・財務部長)
・技術的な詳細より、経営判断に必要なエッセンスを重視
【出力形式】
・スライド15枚以内の構成案
・各スライドのタイトルと1行説明
・論理の流れが分かるように、スライド間の繋がりを説明すること
このプロンプトから、15枚前後の構成案が得られます。そのまま使うのではなく、「このスライドの順番は変える」「この論点は削除する」などを自分で判断して修正します。
ステップ3 :セクションごとに文章を生成する
構成が固まったら、セクション単位でAIに文章を生成させます。
提案書の「課題の現状認識」セクションの文章を作成してください。
【対象スライド】スライド3〜5(現状課題の整理)
【伝えたい内容】
・高原価製品が全体の35%の売上を占めるが、営業利益への貢献はマイナス
・原因は原材料費の高騰と設計段階でのコスト意識の欠如
・競合他社は既に製品整理を実施し、収益性が改善している
【文体・条件】
・経営幹部向け。断言口調で、数値を根拠として使う
・各スライド1スライドにつき本文100〜150字(キャプション的な文章)
・不確かな業界データは「業界標準では〜とされる」と表記し、出典が必要な部分は(要出典)とマークする
「(要出典)」とマークさせることで、後から人間が事実確認すべき箇所が一目でわかります。
ステップ4 :エグゼクティブサマリーを作る
全セクションの文章が固まったら、最後にエグゼクティブサマリーを生成します。
以下の提案書の各セクション要点をもとに、経営会議冒頭で使うエグゼクティブサマリーを作成してください。
【要点まとめ】
(各セクションで確定した要点を箇条書きで貼り付ける)
【出力形式】
・A4半ページ相当(400〜600字)
・「現状の課題→提案の方向性→期待効果→次のステップ」の順で構成
・数値を入れた断定表現を使う
・「〜と考えられます」は使わない
エグゼクティブサマリーは提案書の中で最も重要です。経営幹部はここだけ読んで判断することもあります。AIが生成した後、内容の核心が正確に伝わっているかを必ず自分で確認してください。
コンサル固有のパターン:追加提案の提案書
既存プロジェクトの延長線上での追加提案は、ゼロからの提案よりも文脈共有が複雑です。
以下の状況で、既存クライアントへの追加提案書のエグゼクティブサマリーを作成してください。
【状況】
・フェーズ1完了後、フェーズ2の追加提案
・フェーズ1で特定した課題のうち、実行優先度が高い施策がある
・クライアントの予算サイクル上、今月中の合意が必要
【フェーズ1の成果】(実績として記載する)
・原価削減余地のある製品ラインを3つ特定
・製品Aにおいて原価15%削減のシナリオが具体化
【フェーズ2の提案内容】
・製品A・B・Cの原価改革の実行支援(6ヶ月)
・目標:営業利益率を現在の3%から8%に改善
【条件】
・前提知識のある読み手向け(フェーズ1から継続している担当者)
・800字以内
既存クライアントへの追加提案は、これまでの実績と次の提案の橋渡しが重要です。AIはこの「つなぎ」の文章を自然に生成することが得意です。
うまくいかない場合
生成された提案書がありきたりに見える
原因は、プロンプトに渡した課題定義・仮説が薄いことです。「原価が高い」という情報だけを渡すと、一般的なコスト削減の話が返ってきます。「なぜ原価が高いか」の構造的な分析を自分で行い、それをプロンプトに落とし込むことが重要です。仮説立案をAIで加速する方法で課題の構造化から始めると、提案書の深みが変わります。
文章が長くなりすぎる
「1スライド100〜150字」のように文字数制限を具体的に入れてください。加えて「ビジネスレポートの文体で、体言止めを活用して簡潔に」という指示を足すと圧縮されます。
論理の流れが飛躍する
セクション間の繋がりが弱い場合は、「前のスライドで述べたXを受けて、次のスライドはYを議論する」という移行の説明をプロンプトに入れます。全体の論理構造を先に自分で確定させてから、セクション単位で生成する順番が重要です。
まとめ
提案書作成でのAI活用は、「考える部分は人間・書く部分はAI」という分業が機能した場合に最大の効果が出ます。AIを使って提案の質を下げないためには、インプットとなる課題定義・仮説の質を高めることが必要です。
成果物全体の作成をAIで効率化する手順も参照してください。提案書は成果物の一形態であり、他の成果物でも同じ考え方が応用できます。
よくある質問
提案書のどの部分にAIを使うのが最も効果的ですか?
構成の骨格作り・各セクションの文章化・エグゼクティブサマリーの作成が最も効果が出やすい部分です。課題定義や仮説は人間が考えるべき部分で、AIにそのまま任せると薄い提案書になります。
AIが生成した提案書の内容を信頼していいですか?
事実・数値・業界データはAIが推測で補うことがあるため、必ず人間が確認してください。特に競合データ・市場規模・法規制に関する記述は出典を確認してから使用してください。
クライアントの社名や業界情報をAIに入力しても問題ありませんか?
公開情報の範囲であれば一般的には問題ありませんが、非公開の財務情報・個人情報・機密事項は入力しないでください。社内のAI利用ガイドラインを確認した上で使用してください。
提案書の構成をAIに一から考えさせることはできますか?
できます。クライアントの状況・課題・提案の方向性を箇条書きで渡し、構成案を出力させるところから始めると効率的です。ただし、提案の核心となるロジックは自分で考え、AIには構造化と文章化を担わせる分業が基本です。