カスタマーサポートのExcel作業をAIで自動化する方法
この記事の要点
カスタマーサポート担当者がExcelで行う問い合わせ集計・データ整形・レポート作成をAIで効率化する手順とプロンプト例を解説する。
結論:「何をしたいか」を日本語で伝えれば、AIがExcel操作の手順・関数・マクロを出してくれる
毎月の問い合わせ件数をカテゴリ別に集計している。対応時間を担当者別に比較するピボットテーブルを作りたいが方法がわからない。毎週同じ作業をしているがマクロ化できていない——こうした状況は、AIに「日本語で目的を伝える」だけで大幅に改善できる。
Excelの知識がなくてもAIが手順・関数・マクロを出してくれる。知識があればより複雑な自動化も依頼できる。
使うAIツール
ChatGPT Advanced Data Analysis
ExcelやCSVをアップロードして「集計して」「グラフを作って」「列を追加して」と日本語で指示できる。コードが不要で最もハードルが低い。
ChatGPT / Claude(テキスト回答)
「○○をするExcel関数を教えて」「○○を行うVBAマクロを書いて」と指示すると、コードと使い方を出してくれる。ファイルを渡す必要がなく、手元のExcelで使う方法を教わるイメージ。
Microsoft Copilot in Excel
Microsoft 365の有料プランなら、Excelのサイドバーから「この表を集計して」「グラフを作って」と指示できる。ファイルを外部に出さずに使えるため、セキュリティ上安全。
手順:カスタマーサポートのExcel作業をAIで効率化する
パターンA:関数を教えてもらう
「こういう計算がしたいが関数がわからない」という場面で使う。
Excelで以下のことをしたいです。関数を教えてください。
【やりたいこと】
A列に問い合わせカテゴリ(返品・操作方法・料金など)、B列に対応日(日付形式)が入っています。カテゴリが「返品」で、対応日が2026年5月のものの件数をカウントしたい。
【条件】
- Excel 2019以降で使える関数
- 1つのセルに入力できる数式で
- 数式の意味も説明してください
パターンB:ファイルをアップロードして直接処理させる
個人情報を削除したCSVまたはExcelをChatGPT Advanced Data Analysisにアップロードして、以下のように指示する。
アップロードしたファイルを使って以下の処理をしてください。
1. 「問い合わせカテゴリ」列ごとに件数を集計して、件数の多い順に並べ替えてください
2. 「対応時間(分)」列の平均・最大・最小をカテゴリ別に計算してください
3. 結果を表形式で表示して、Excelファイルでダウンロードできるようにしてください
パターンC:VBAマクロを生成してもらう
毎週・毎月同じ作業をしているなら、マクロ化して自動化できる。
Excelで以下の作業を自動化するVBAマクロを書いてください。
【作業内容】
1. 「対応履歴」シートのA列〜E列のデータを読み込む
2. B列(対応日)でフィルタリングして、今月分(当月1日〜末日)のデータだけ「今月レポート」シートにコピーする
3. コピー後、「今月レポート」シートのD列(問い合わせカテゴリ)ごとに件数を集計して、同シートのH列以降に出力する
【補足】
- 「今月レポート」シートがなければ自動作成する
- コードの各ステップにコメントを付けてください
生成されたコードを、ExcelのAlt+F11(VBAエディタ)に貼り付けてF5で実行する。
具体例1:問い合わせ集計の自動化
あるサポートチームでは、毎週月曜日に前週の問い合わせデータをExcelで集計していた。カテゴリ別件数・担当者別件数・未解決件数の3つを手作業で集計するのに45分かかっていた。
以下の方法で10分に短縮した。
ChatGPTに以下を依頼して、VBAマクロを生成させた。
毎週使うExcel集計マクロを作成してください。
「対応履歴」シートには以下の列があります。
A: 受付番号
B: 受付日(YYYY/MM/DD形式)
C: 担当者名
D: 問い合わせカテゴリ
E: 対応ステータス(対応中/解決/未対応)
F: 対応時間(分)
マクロの処理内容:
1. 今週月曜〜日曜のデータを自動で抽出する
2. カテゴリ別件数・担当者別件数・未解決件数を新しいシートに出力する
3. シート名は「週次レポート_YYYYMMDD(その週の月曜日)」とする
コードのコメントも日本語でつけてください。
マクロが完成してからは、ボタン1つで集計が完了している。
具体例2:問い合わせデータの自動クリーニング
複数の担当者がExcelに入力しているため、表記揺れ(「返品」「返品対応」「へんぴん」など)が蓄積していた。これを手作業で修正するのに毎月2時間かかっていた。
以下の方法で解決した。
まず問題のある列をテキストとしてAIに貼り付け、「正しい分類に統一してください」と依頼した。
以下は問い合わせカテゴリ列の実際のデータです。
表記揺れを以下の正式カテゴリに統一したリストに変換してください。
【正式カテゴリ】
返品・交換 / 操作方法 / 料金・請求 / 配送 / その他
【データ】
返品
返品対応
へんぴん
交換希望
操作わからない
使い方
つかいかた
料金確認
費用について
請求
配送遅れ
届かない
クレーム
不満
(以下続く)
変換後のリストをCSV形式で出力してください。
出力されたリストをEXCELLOOKUPの参照表として使い、元データを一括変換できるようにした。以降は新しい表記揺れが出るたびに参照表に追記するだけで済む。
よく使うExcel関数の依頼パターン
| 作業内容 | プロンプトの書き方 |
|---|---|
| 条件付き件数カウント | 「○○かつ○○の条件を満たす行数をカウントする関数」 |
| 日付から月・週を抽出 | 「A列の日付から月だけ取り出す関数」 |
| テキスト部分一致での分類 | 「B列のテキストに○○が含まれていたら○○と表示する関数」 |
| 対応時間の平均計算 | 「カテゴリ別に対応時間の平均を出す関数」 |
| 重複チェック | 「A列に重複している値があれば赤くハイライトする方法」 |
うまくいかない場合
「関数が動かない」
エラーが出たらエラーメッセージをコピーしてAIに貼り付ける。「このエラーが出ました。修正してください」と伝えると修正版を出してくれる。
「VBAマクロがエラーで止まる」
エラーが出た行のコードをコピーし、「このコードでエラーが出ました。原因と修正方法を教えてください」と聞く。複数回やり取りすれば解決するケースがほとんどだ。
「Advanced Data Analysisで処理したら結果が違う」
AIはデータを全行処理しきれないことがある。「全行処理してください」と明示するか、ファイルを分割して渡す。
「Copilot in Excelが出てこない」
Microsoft 365のライセンスによっては含まれていない場合がある。管理者に確認するか、ChatGPTのAdvanced Data Analysisを代替として使う。
定期作業を自動化するロードマップ
1週目:毎週行っている手作業を書き出す 2週目:AIに各作業の自動化方法を聞く 3週目:マクロを作成してテスト運用 4週目:本格運用開始・問題点を修正
1〜2件の作業を自動化できれば月に数時間が空く。その時間を顧客対応の品質向上に使うことが最終的な目標だ。
データ分析の深掘りにはカスタマーサポートのデータ集計・分析をAIで行う手順も参考になる。
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Excel集計の結果をもとにFAQを更新する方法はカスタマーサポートのFAQ整備をAIで効率化する方法で解説している。問い合わせ対応の返信文をAIで効率化したい場合は問い合わせメール返信をAIで効率化する方法を読んでほしい。
よくある質問
ExcelのスキルがなくてもAIで使えますか?
はい。ChatGPTのAdvanced Data Analysis機能を使えば、Excelの関数やマクロを知らなくても、ファイルをアップロードして「○○してください」と日本語で指示するだけで集計・グラフ化ができます。
AIにExcelマクロを書いてもらうことはできますか?
ChatGPTやClaudeはVBAマクロのコードを生成できます。プロンプトに「Excelで○○を行うVBAマクロを書いてください」と指示するだけです。生成されたコードはExcelのVBAエディタに貼り付けて実行します。
AIが生成した関数やマクロが動かない場合はどうしますか?
エラーメッセージをコピーしてAIに貼り付け「このエラーが出ました。修正してください」と伝えると修正版を出してくれます。複数回のやり取りで解決するケースがほとんどです。
個人情報が含まれるExcelファイルを外部AIに渡せますか?
原則として渡すべきではありません。氏名・連絡先などの列を削除またはマスキングしてから使うか、社内AIやローカルで動くツールを使ってください。