カスタマーサポートのアンケート設問をAIで作る方法
この記事の要点
AIを使えば、顧客満足度調査や対応後アンケートの設問を短時間で網羅的に作れる。目的に合った設問の種類と数を自動生成する手順とプロンプト例を解説する。
結論
カスタマーサポートのアンケート設問をAIで作ると、設問の設計に悩む時間を大幅に短縮できる。目的(満足度測定・改善点の把握・NPS計測など)と調査対象をAIに伝えるだけで、適切な設問タイプと選択肢の案が出てくる。AIの出力はあくまでドラフトであり、自社サービスの特性に合わせた修正と、設問数の絞り込みは担当者が行う。
使うAIツール
アンケート設問の作成に使いやすいツールは以下のとおり。
| ツール | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 設問タイプの使い分けと選択肢生成が得意 | 汎用的なアンケート設問作成 |
| Claude | 目的に応じた設問設計のアドバイスが得意 | 調査設計の相談から設問作成まで |
| Gemini | Googleフォームとの連携が便利 | Googleフォームで配信するとき |
| SurveyMonkey AI | アンケートツール組み込みのAI機能 | ツール上で完結させたいとき |
アンケートの配信ツール(Googleフォーム・SurveyMonkey・Typeformなど)が決まっている場合は、そのツールと連携しやすいAIを選ぶと作業がスムーズになる。
手順:AIでアンケート設問を作る
ステップ1:アンケートの目的を整理する
設問を作る前に、何を測りたいのかを明確にする。以下の観点を整理しておくと、AIへの指示が具体的になる。
- 調査の目的:満足度測定・改善点の把握・解約防止・新機能評価など
- 調査対象:サポート対応後の全顧客・クレームを出した顧客のみ・初めて問い合わせた顧客など
- 配信タイミング:対応完了の直後・1週間後・定期(月次など)
- 回答にかけてほしい時間:1分以内・5分程度・10分程度
- 回答を使う用途:サービス改善の参考・KPI計測・レポート報告など
ステップ2:設問の下書きを生成する
以下はコピーして使えるプロンプト例。
あなたはカスタマーサポートの顧客満足度調査の設計専門家です。
以下の条件でアンケート設問を作成してください。
【アンケートの目的】
[例:ECサイトの注文トラブルに対するサポート対応後の満足度を測定する]
【調査対象】
[例:問い合わせ対応が完了した翌日にメールで送る顧客]
【回答にかけてほしい時間】
[例:2〜3分以内]
【重点的に把握したいこと】
[例:対応速度の満足度・担当者の説明のわかりやすさ・問題が解決されたかどうか]
【出力形式】
各設問について以下を含めてください:
- 設問番号と設問文
- 設問タイプ(5段階評価・選択式・自由記述など)
- 選択肢(選択式の場合)
- この設問で何を測定しているかの説明
合計設問数:5〜8問
ステップ3:設問タイプを最適化する
アンケートの設問タイプは目的によって使い分ける必要がある。AIに「この設問はどのタイプが適切か教えてください」と相談することで、設問タイプの選択の精度が上がる。
主な設問タイプと用途は以下のとおり。
| 設問タイプ | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 5段階評価 | 数値化しやすい | 満足度・重要度の定量測定 |
| NPS(0〜10) | 推奨意向の測定に特化 | ロイヤルティ計測 |
| 選択式 | 回答しやすい | 問い合わせ種別・利用状況の把握 |
| 複数選択 | 複数の要因を把握できる | 不満の原因・改善要望の洗い出し |
| 自由記述 | 深い洞察が得られる | 理由・要望・想定外の問題の把握 |
ステップ4:設問を絞り込む
AIが生成した設問は、最終的に必要最小限に絞り込む。設問数と回答率の関係は、設問が多いほど回答率が下がる傾向があるため注意が必要。
AIに「以下の設問セットから、最も重要な5問を選んで優先順位をつけてください」と依頼することで、絞り込みの判断材料を得られる。
ステップ5:表現・言葉遣いを調整する
設問の言葉遣いが回答に影響することがある。AIに「以下の設問を、顧客が答えやすい自然な言葉遣いに修正してください」と依頼して、表現を磨く。
特に注意すべき点は以下のとおり。
- 誘導的な表現(「問題なく解決できましたか?」など)を避ける
- 二重否定の表現を使わない
- 専門用語は顧客が使う言葉に置き換える
具体的な活用例
例1:対応後アンケートのABテスト用設問セット作成
家電メーカーのサポート部門で、対応完了後に送るアンケートの回答率が8%と低かった。「回答率を上げるための短いアンケートを2パターン(3問版と5問版)で作ってください」とAIに依頼し、それぞれのパターンを実際に配信してABテストを行った。3問版が12%と回答率が高かったため、短い設問セットを採用した。
3問の設問は「対応は満足のいくものでしたか(5段階)」「問題は解決しましたか(はい/いいえ)」「改善してほしい点があれば教えてください(自由記述)」のシンプルな構成で、AIのドラフトをベースに担当者が調整した。
例2:クレーム顧客向けの別設問セット
通常のサポート対応後と、クレームを出した顧客への対応後では、聞くべき内容が異なる。クレーム対応後の顧客には「問題が再発しないか不安を感じますか」「今後も当社のサービスを使い続けたいと思いますか」といった継続意向に関する設問が重要になる。
「クレームを出した顧客向けに、関係修復の度合いを測るアンケートを作ってください」とAIに依頼することで、通常の満足度調査とは別の設問セットを作れた。この設問セットから「解決したが不安が残っている」顧客を特定し、フォローアップの優先順位付けに活用した。クレーム対応後のフォロー方法についてはクレーム対応の流れも参照してほしい。
うまくいかない場合
設問が一般的すぎて自社に合わない
プロンプトに自社サービスの具体的な特徴を入れると改善する。「当社は月額制のSaaSで、主な問い合わせは機能の使い方と請求に関するものです」という情報をプロンプトに加えるだけで、設問の具体性が上がる。
設問数が多すぎる
「最も重要な設問を5問に絞ってください。絞り込む理由も教えてください」と追加で依頼する。AIに絞り込みの判断をさせることで、なぜその設問が重要かの説明も得られる。
回答選択肢のバランスが偏っている
「この選択肢セットはポジティブな選択肢が多すぎます。ネガティブな選択肢も同じ数含めて作り直してください」という指示で調整できる。また「中立的な選択肢を真ん中に置く形で並べ直してください」という指示もよく使われる。
自由記述設問の誘導が気になる
「以下の自由記述設問の誘導的な要素を取り除いて、中立的な表現に直してください」と依頼する。AIは元の設問と修正後の設問の両方を出力することが多いため、違いを比較して判断しやすい。
アンケート結果の活用をAIで効率化する
アンケートを作るだけでなく、回答結果の分析にもAIが使える。
- 自由記述の回答をAIに渡して「カテゴリ別に分類してください」と依頼する
- 複数回のアンケート結果を比較して「改善が見られた点と課題が残っている点を整理してください」と分析させる
- 1枚サマリー資料にアンケート結果のサマリーを組み込む際に、AIで要約を作る
- FAQ整備の優先順位をアンケートのフリーテキストから拾い出す
アンケートで得た顧客の声を、サービス改善のインプットとして活用するサイクルを作ると、サポート品質の改善速度が上がる。
FAQ
Q. アンケートはどのくらいの頻度で実施すればよいですか?
対応後アンケートは毎回実施するのが基本。定期的な顧客満足度調査(月次・四半期)は別途設定するのが一般的。ただし同じ顧客に頻繁にアンケートを送ると回答率が下がるため、一定期間内に同じ顧客への送信回数を制限するルールを設けることが推奨される。
Q. 多言語対応のアンケートも作れますか?
作れる。日本語で作成した設問をAIに渡して「英語に翻訳してください」と依頼するだけでよい。ただし翻訳後の表現が自然かどうか、ネイティブレベルの確認が必要な場合は、翻訳者やネイティブスピーカーによるレビューを挟むことを推奨する。
Q. 設問の作成以外でアンケートにAIを活用できますか?
いくつかある。配信前のチェック(誘導的な表現がないかの確認)、回答率を上げるための設問順序の提案、回答データの初期分析(カテゴリ分類・傾向の要約)などに使える。アンケートの設計から分析まで一連のフローでAIを補助ツールとして使うと効率化できる。
Q. 競合他社との比較設問を含めることはリスクがありますか?
競合他社名を直接出す設問は、回答者に意識させたくない場合や法的リスクの観点から避けるケースが多い。「他社サービスと比較してどうですか?」という形で特定の競合名を出さずに聞く方法のほうが一般的。具体的な設問の表現は法務・コンプライアンス担当に確認することを推奨する。
よくある質問
AIで作ったアンケートはそのまま使えますか?
そのまま使うのは推奨しない。AIが生成した設問は表現が一般的になりがちで、自社サービス固有の確認事項が抜けることがある。担当者が確認・修正してから配信する。また設問数が多すぎると回答率が下がるため、必要な設問に絞り込む工程が重要。
NPS(ネット・プロモーター・スコア)のアンケートもAIで作れますか?
NPSの主設問(0〜10のスケール質問)はフォーマットが決まっているため、AIを使う主な場面は追加の理由設問や自由記述設問を作るとき。プロンプトに「NPS計測後のフォローアップ設問を作ってください」と指定すれば、スコアの背景を掘り下げる設問セットを生成できる。
回答率を上げるためにAIが役立つことはありますか?
設問数の最適化、回答しやすい選択肢の言葉遣い、設問の順序設計などについてアドバイスを求めることができる。「この設問セットの回答率を上げるための改善点を教えてください」と依頼すれば、具体的な改善案を出してくれる。
サポート対応後の短いアンケート(3問以内)もAIで作れますか?
作れる。「対応後の満足度を測る設問を3問以内で作ってください」と指定すると、短く回答しやすい設問セットを生成できる。設問が少ない分、1問ごとの質を高めることが大切で、AIに「最も重要な情報を3問で得るとしたら何を聞くか」と問うのも効果的。