経営者・管理職の提案書をAIでつくる進め方
この記事の要点
経営者・管理職がAIを使って事業提案・投資判断・社内稟議の提案書を効率的に作成する手順を解説。構成設計からプロンプト例、チェックポイントまで紹介します。
結論
経営者・管理職が作成する提案書は、事業投資・組織変更・新規取引先への提案など、判断を動かすことが目的の文書です。AIを使うと、構成の設計・各セクションの草稿・比較表の作成を数分で行えるため、実質的に内容の精査と意思決定に集中できます。
ただし数値・競合情報・根拠となるデータはAIが生成したものをそのまま使わず、必ず一次情報で検証してください。AIは存在しない数値を確信を持って書くことがあります。
使うAIツール
提案書作成に向いているツールは以下のとおりです。
| ツール | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Claude(claude.ai) | 論理構成と長文の一貫性が安定。条件の遵守精度が高い | 複雑な条件を整理した提案書の構成設計 |
| ChatGPT(GPT-4o) | 表・箇条書き・比較表の生成が速い | 競合比較表・ROI試算枠組みの生成 |
| Microsoft Copilot for Word | Word上で直接セクションを生成・修正できる | WordベースのA4稟議書の作成 |
| Notion AI | Notionページ上で提案書の構成を展開できる | チーム共有しながら提案書を構築する場合 |
社内のセキュリティポリシーを確認のうえ、機密情報の扱いに注意して使ってください。
手順:提案書をAIで作成する
ステップ1 目的・読み手・求める意思決定を明確にする
提案書の品質はこのステップで8割が決まります。プロンプトを書く前に次の3点を確認します。
- この提案書は誰に何を決めてもらうために書くか(例:取締役会に新規事業への5,000万円投資を承認させる)
- 読み手が承認する・しないを判断する最大の基準は何か(コスト・リスク・戦略整合性など)
- 提案が通らない最大の懸念は何か(予算規模・前例がない・担当人員の確保など)
この3点をプロンプトに書き込むと、AIが「読み手の懸念をつぶす構成」を選んでくれます。
ステップ2 構成を生成させる
本文を書く前に、アウトラインだけを先に作らせます。
以下の条件で、事業提案書のアウトラインを作成してください。
【提案の概要】
社内の業務効率化のため、全社的なAIツール導入を提案したい。
具体的にはChatGPT Enterpriseを1年間導入し、業務時間の15%削減を目標とする。
【読み手】
取締役会(技術には詳しくないが、投資対効果には厳しい)
【承認に必要な要素】
- 導入コストとROIの試算
- セキュリティリスクと対策
- 他社の導入事例
- 導入スケジュールと担当体制
【制約】
- A4で4〜6ページ程度に収める
- 結論を冒頭に置くエグゼクティブサマリーを含める
各セクションのタイトルと、そこで伝えるべきポイントを2〜3行で説明してください。
ステップ3 各セクションの本文を生成させる
構成が確定したら、セクションごとに本文を生成します。一括生成より分割生成の方が精度が高くなります。
以下のセクションの本文を書いてください。
【セクション名】
2. 導入コストと投資対効果
【含める情報】
- ChatGPT Enterprise の費用:1ユーザーあたり月額〇〇円(公式情報を確認して入力)
- 対象人数:全社100名
- 業務時間削減の試算:1人あたり週2時間削減 × 100名 × 年間50週 = 10,000時間
- 時間単価の想定:2,000円/時間(社内基準)
- 年間効果:2,000万円相当
- コストと効果の比較を表形式で示す
【文体・条件】
- 数値は上記のものをそのまま使う
- 「〜と見込まれます」「〜と想定します」のように推測であることを明示する
- 表を1つ含める
- 400字程度
セクションごとに生成して、人がレビューしてから次のセクションに進む流れが最も品質管理しやすいです。
ステップ4 全体を通して確認・修正する
各セクションを結合したあと、以下の視点で確認します。
- エグゼクティブサマリーと各セクションの主張が一致しているか
- 数値・データ・事例を一次情報で検証したか
- 読み手の最大の懸念をつぶしているか
- 次のアクション(何を・誰に・いつまでに決めてほしいか)が明確か
経営者・管理職固有の活用例
活用例1:新規事業投資の稟議書
投資判断を求める稟議書は、リスクを隠さず示しながらも「やる価値がある」という結論に向かう構成が必要です。
以下の条件で、新規事業投資の社内稟議書の本文を作成してください。
【投資概要】
〇〇市場向けの新サービスを開発する。初期投資は5,000万円、
開発期間は12ヶ月、2027年10月にサービスリリースを目指す。
【期待収益】
リリース後3年で累積売上5億円、
黒字化は2年目Q2を見込む(社内試算。確約ではない)。
【主なリスクと対策】
- 開発遅延リスク:外部パートナーとの併走体制で軽減
- 市場浸透リスク:既存顧客への先行展開で初期受注を確保
- 競合リスク:類似サービスとの差別化ポイント(〇〇機能)を前面に出す
【稟議書の構成】
1. 事業概要と目的
2. 投資計画と回収見通し(表形式)
3. リスクと対応策
4. 推進体制
5. 承認依頼事項
【文体】
- 取締役会提出向けの正式文体
- 推測・試算であることを適宜明示
活用例2:取引先への新サービス提案書
社外向けの提案書は、相手の課題から始めてソリューションを提示する構成が基本です。
以下の条件で、取引先への新サービス提案書のアウトラインと、
エグゼクティブサマリーのセクションを作成してください。
【提案先】
製造業の中堅企業。現在の課題は在庫管理の非効率と欠品による機会損失。
【提案内容】
当社のAI在庫最適化サービス「〇〇」を導入することで、
在庫コストを20%削減し欠品率を50%改善できる。
【提案書のゴール】
来月中に導入の意思決定をしてもらう。
【読み手の立場】
製造部門長(現場のコストと工数に敏感)と経営企画(ROIと導入リスクに敏感)の2名が読む。
【文体】
- 課題→原因→解決策→効果→実績の流れで説得力を持たせる
- 読み手2名それぞれの関心に応えるポイントを盛り込む
うまくいかない場合の対処
問題1:構成が一般的すぎて自社の事情を反映していない
AIは汎用的な提案書の型を出してくることが多いです。
対処:プロンプトに「読み手の最大の懸念は〇〇であることを前提に構成を設計してください」と追記します。承認者が過去に何を懸念していたかを知っている場合は、その具体的な懸念点をプロンプトに書き込むと、対処法を最前面に出した構成になります。
問題2:数値の根拠が曖昧なまま書かれている
AIは「一般的には〜といわれています」のような曖昧な根拠で数値を記述することがあります。
対処:プロンプトに「社内データまたは私が提供した数値以外は、数値を自分で作らないでください。推測が必要な箇所は(要確認)と記入してください」と明示します。
問題3:提案書が長すぎて読まれない
すべてのセクションを詳細に書かせると、A4で10ページを超えることがあります。
対処:「エグゼクティブサマリーを1ページに収め、詳細は付録に入れる構成にしてください」とプロンプトに入れます。承認者向けの要約版と、実務担当者向けの詳細版を別々に生成させる方法も効果的です。
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よくある質問
経営者・管理職がAIで提案書を作るとどの程度時間が短縮できますか?
構成設計から初稿完成まで、通常2〜3日かかる作業が半日から1日程度になるケースが多いです。特にアウトライン作成・競合比較表・投資対効果の試算枠組みの生成は、AIが数分で草稿を出せるため、人間が考えるべき意思決定の部分に集中できます。
AIが生成した提案書の数値や根拠はそのまま使えますか?
使えません。AIは実在しない数値や一般論を根拠のように書くことがあります。数値・競合情報・市場規模などは必ず一次情報または社内データで検証・上書きしてください。AIの役割は文書の構造と文章の草稿生成に限定するのが安全です。
社外向けの提案書と社内稟議書では、AIへの指示を変えますか?
変えることをおすすめします。社外向けは「読み手に行動を促す」説得力とビジュアルの整合性が重要なため、AIに「誰を説得する文書か」を明示します。社内稟議は「承認される根拠の整理」が目的なため、「承認者が懸念しそな点をつぶす構成にしてください」と指示すると有効です。