マーケティングのアイデア出し・壁打ちにAIを使う方法
この記事の要点
施策立案・キャンペーン企画・ターゲット設定などのアイデア出しをAIで加速する手順を解説。壁打ちプロンプトの書き方と、質を上げるコツを具体例付きで紹介します。
結論
キャンペーン施策の立案・ターゲット設定のブレスト・訴求軸の絞り込みなど、マーケティングのアイデア出し業務はAIを壁打ち相手として使うことで、思考の停滞を防ぎながら視点を増やせます。コツは「状況・制約・目的」を最初に渡すことです。これだけで、使えない一般論ではなく、実際の業務に近いアイデアが返ってきます。
AIをアイデア出しに使うメリットと限界
AIをブレスト相手にすると、次のメリットがあります。
- 人間同士の会議では出てこない視点・業種・事例が出てくることがある
- 深夜・移動中・一人でいるときでも壁打ちできる
- 「この方向は違う」と却下しても気を使わなくていいため、発散しやすい
- 1分以内に10〜20案が出るため、アイデアの絶対量を増やせる
一方で限界もあります。AIは自社の競合状況・過去の失敗・予算や人員などの内部事情を知りません。出てきたアイデアは「外からは自然に見える案」にとどまります。自社の文脈に引き寄せる作業は人間が行う必要があります。
使うAIツール
壁打ちには会話の文脈が蓄積するツールが向いています。
| ツール | 特徴 |
|---|---|
| Claude(Anthropic) | 長い会話の文脈を保ちながら深掘りできる。批判的フィードバックも得意 |
| ChatGPT(GPT-4o) | 汎用性が高い。プラグインやファイルを組み合わせての壁打ちも可能 |
| Gemini Advanced | Google検索と連携し、最新の市場事例や事例記事をもとに提案できる |
アイデア出しは「量を出す発散フェーズ」と「絞り込む収束フェーズ」に分かれます。発散は制約を少なくし、収束では条件を与えて絞ります。
手順:AIを壁打ち相手にしてアイデアを出す
ステップ1:状況・制約・目的を整理する
AIへの最初のメッセージに次の情報を含めてください。
- 今何を解決しようとしているか(課題)
- 対象ターゲット(業種・役職・年齢層など)
- 制約(予算・期間・チームの規模)
- 達成したいこと(KPI・成果の定義)
この情報を渡さないと、AIは汎用的な回答を返します。
ステップ2:発散フェーズのプロンプトを作る
あなたはBtoBのマーケティングコンサルタントです。
以下の状況でリード獲得を増やすための施策アイデアを20案出してください。
【状況】
- 製品:法人向けのプロジェクト管理SaaS(月額2万円〜)
- ターゲット:従業員100〜500名のIT・製造業の情報システム担当者
- 現状:検索広告とウェビナーのみ。月間リード数は80件
【制約】
- 月次予算:新規施策に使えるのは50万円以内
- チーム:マーケター2名と外部ライター1名
- 期間:3ヶ月以内に着手・効果が出始めるもの
【求める内容】
- 既存のコンテンツマーケティングとの組み合わせを意識した施策
- 短期でリードが獲得できるものと、3ヶ月以上かけて効果が出るものを混在させる
- 各案は施策名・概要・リード獲得の仕組みを3行で説明
ステップ3:収束フェーズの深掘りをする
発散で出た案から2〜3案に絞り、実行可能性を詰めます。
先ほどの案の中から「業界特化型の事例コンテンツ」を深掘りしてください。
【聞きたいこと】
1. 製造業の情報システム担当者に刺さる事例コンテンツのタイトル案を10本
2. 1本作るのに必要な工数の目安(社内制作・外部委託それぞれ)
3. この施策を実行した場合の想定リスクと対策
ステップ4:批判的フィードバックを求める
出てきた案に愛着がわくと弱点を見逃しがちです。AIに逆の立場から意見を出させるのが有効です。
以下の施策案に対して、経営陣から「やるべきではない」と反論されたときの論点を3〜5つ出してください。
また、それぞれへの反論も書いてください。
【施策案】
(ここに案の内容を貼り付け)
具体例1:季節キャンペーンの訴求軸をブレストする
年末・年度末・GWなどのタイミングに合わせたキャンペーン施策を考えるとき、AIに状況を渡すと訴求軸の候補が一気に広がります。
以下の状況で、3月の年度末に向けたキャンペーンの訴求軸を考えてください。
【状況】
- BtoCのECサイト。主力商品は30〜50代向けのウェルネス系サプリメント
- 年度末は新生活需要が高まるタイミング
- 昨年同期の売上は前月比+40%
【求める内容】
- 「新生活」以外の訴求軸を5つ
- 各訴求軸に合うキャッチコピー候補を2本ずつ
- どの層に最も刺さるかを理由付きで説明
【制約】
- 既に「新生活応援」は他社が使っているので差別化したい
- 健康・安心・継続性のいずれかに軸を置きたい
「新生活」以外の切り口として、習慣化・年度の区切りによる自己投資・家族への贈り物といった軸が出てきます。そこからチームで絞り込むと、差別化した訴求が見つかりやすくなります。
具体例2:新規ターゲット層の開拓アイデアを出す
既存のターゲット以外の顧客層を開拓したいとき、AIに現状と目標を渡すと新しいチャネル・訴求の組み合わせが出てきます。
以下の状況で、新規ターゲット層を開拓するためのアイデアを出してください。
【現状】
- 主力ターゲット:都市部・30代・女性・子育て中
- 新規開拓したい層:地方・40〜50代・男性・健康意識が高まった層
- 現在使っているチャネル:Instagram広告・SEOコンテンツ
【求める内容】
- 新ターゲット層に届くチャネルの候補(3〜5個)
- 各チャネルで有効な訴求軸
- 現行のコンテンツ資産をどう転用できるか
地方の40〜50代男性が情報収集する場所・メディア・コミュニティに関する仮説も含めてください。
出てきた仮説をもとに「本当にこの層がこのチャネルを使っているか」を調査する次のステップが明確になります。
うまくいかない場合のポイント
出てくるアイデアが全部似ている
「すでに思いついた案を除外して」と言いながら、除外したい案のリストを貼り付けてください。また「まったく違う業種で使われている手法を、この業種に転用するとしたら」という問い方に変えると視点が広がります。
アイデアが抽象的すぎる
「より具体的に。実際のコンテンツタイトル、LP構成、SNS投稿文のレベルで書いて」と追加指示します。抽象度を下げる指示を一段階ずつ入れるのが有効です。
会話が長くなって文脈がずれてくる
会話が30往復を超えるとAIが初期の条件を忘れることがあります。新しいスレッドで改めて状況を渡し直すか、「最初に提示した制約を再確認して、それを守った上で回答してください」とリマインドします。
内部リンク
アイデアをもとに広告コピーを作る場合はマーケティングの広告コピー・キャッチコピーをAIで作る方法が参考になります。LPの構成に落とし込む手順はマーケティングのLPをAIで設計・コピーライティングする手順をご覧ください。
AIの壁打ちは「状況・制約・目的を最初に渡す」かどうかで質が変わります。何でもいいからアイデアを20個出させて、その中から2〜3個を深掘りし、最後に批判的フィードバックを求める、このサイクルを1つの業務で試してみてください。
よくある質問
AIが出したアイデアはそのまま使えますか?
AIのアイデアは起点として使うものです。出てきたものをそのまま採用するより、「この方向で具体化するとどうか」「この案の弱点は何か」と追加質問して自分の判断で絞り込む使い方が実用的です。
AIの壁打ちは一人でやるより効果がありますか?
同じ人間が繰り返し考えると視点が偏りますが、AIは異なる角度から大量の案を出せます。多角的な視点を短時間で得る手段として有効です。ただし実行可能性の判断は人間が行う必要があります。
アイデア出しにどのAIツールが向いていますか?
ChatGPT・Claude・Geminiどれでも使えます。長い会話の文脈を保ちながら深掘りするならClaudeが向いています。コンテキストが蓄積されないとアイデアが毎回リセットされるため、会話は1つのスレッドで続けてください。
アイデアが出ても実行が難しいものばかりです。どうすればいいですか?
プロンプトに「予算50万円以内」「チーム2名で実施可能」「2週間以内に着手できる」などの制約を最初から書いてください。制約を与えるほど、実行しやすいアイデアが返ってきます。