取引先評価をAIでまとめる方法
この記事の要点
サプライヤー評価の点数・コメントをAIに整理させ、総合評価レポートと改善要望を短時間で作成する手順を解説。評価の偏りを防ぎ判断の質が上がる。
結論
社内で収集したサプライヤー評価データ(点数・コメント・実績数値)をAIに貼り付けると、総合評価レポートの初稿が数分で生成される。複数部門のコメントを統合したサマリーや、改善要望書のドラフトも同様に作成できる。AIは整理・文章化の補助ツールとして使い、最終的な評価判断は担当者が行う。
調達部門での取引先評価は、年1〜2回の定期評価と随時評価が混在するため、記録が散在しやすい。AIを使うと、バラバラなデータを一貫したフォーマットに整理できる。
使うAIツール
| ツール | 向いている場面 |
|---|---|
| ChatGPT-4o | 表・レポート形式への変換 |
| Claude 3.5 Sonnet | 長いコメントの要約・構造化 |
| Notion AI | 評価データをNotion上で直接管理 |
| Microsoft Copilot | ExcelやWordの社内フォーマットに直接出力 |
評価データが多い場合は、表形式(CSV・Excel)でAIに入力すると整理の精度が上がる。
手順
ステップ1:評価データを収集・整理する
AIに入力する前に、以下のデータを手元に揃える。
定量データ
- 納期遵守率(月次・年次)
- 不良品率・返品率
- 見積回答スピード(依頼から回答までの日数)
- 価格競争力(他社比較)
定性データ
- 担当者・品質部門・物流部門からの評価コメント
- トラブル発生件数と対応の内容
- 改善提案・提案営業の有無
これらをテキストとして一か所にまとめてからAIに入力する。
ステップ2:評価整理プロンプトを使う
以下は取引先サプライヤーの評価データです。このデータをもとに、総合評価レポートを作成してください。
【評価軸と重み】
1. 品質(30%):不良品率・返品率・品質トラブルへの対応
2. 納期(25%):納期遵守率・緊急対応力
3. 価格(25%):価格競争力・値下げ交渉への対応
4. コミュニケーション(10%):レスポンス速度・報連相の質
5. 改善提案(10%):自発的な改善・提案の有無
【出力形式】
- 各評価軸ごとのスコア(5点満点)と評価コメント(2〜3文)
- 総合スコア(加重平均)
- 強み:2〜3点
- 改善が必要な点:2〜3点
- 総合所見(5〜7文)
- 次年度継続・縮小・拡大の推奨とその理由
---評価データ---
会社名:[サプライヤー名]
評価期間:[期間]
【品質データ】
[不良品率・返品件数・トラブル内容など]
【納期データ】
[納期遵守率・遅延件数・対応内容など]
【価格データ】
[価格推移・交渉結果など]
【担当者コメント】
[調達担当者のコメント]
【品質部門コメント】
[品質担当のコメント]
【物流部門コメント】
[物流担当のコメント]
ステップ3:複数サプライヤーを横断比較する
複数のサプライヤー評価レポートを作成した後、横断比較も依頼できる。
以下は3社のサプライヤー評価サマリーです。総合スコア・強み・課題を表形式で比較し、取引継続・縮小・拡大の推奨を各社について示してください。
---A社サマリー---
[A社の評価サマリー]
---B社サマリー---
[B社の評価サマリー]
---C社サマリー---
[C社の評価サマリー]
ステップ4:改善要望書のドラフトを作る
評価結果をもとにサプライヤーへの改善要望書を作成する。
以下の評価結果をもとに、サプライヤーへの改善要望書のドラフトを作成してください。
【要件】
- 書き出しは感謝から始め、関係継続の意向を示す
- 改善が必要な点を具体的な数値・事例を交えて2〜3点記述する
- 各改善項目に対して、期待する改善目標と期限を設定する
- 次回評価のタイミングと評価基準を明記する
- トーンは丁重かつ明確に(過度にやわらかくしない)
---評価結果---
[前ステップで生成した評価レポートの該当箇所]
具体例1:年間定期評価での複数部門コメントの統合
製造業の調達部門で、5つの主要サプライヤーを年次評価するケース。品質・生産・物流の各部門が個別に評価シートを提出するが、部門ごとにフォーマットが異なり、取りまとめに毎年2〜3日かかっていた。
各部門のコメントをAIに一括入力して「部門ごとの評価の一致点と相違点を整理した上で総合評価を出してください」と指示すると、部門間のギャップも可視化された統合評価レポートが生成される。特に「品質部門は高評価だが物流部門は低評価」のような矛盾が浮かび上がり、詳細確認のきっかけになるケースがある。
具体例2:トラブル頻発サプライヤーへの改善要望書作成
半年間で納期遅延3件・不良品返品2件が発生したサプライヤーへの改善要望書を作成するケース。トラブルの詳細・発生日・影響をAIに入力し、「具体的な改善要求と期限を含む改善要望書を作成してください」と指示すると、事実を整理した上で要求事項が明確なドラフトが生成される。
感情的にならず事実ベースで記述された文書が短時間で完成するため、担当者が修正・承認するだけの状態になる。完成までの時間が手動の3分の1程度に短縮されるケースが多い。
うまくいかない場合
データが少なすぎてAIが評価を生成できない
定量データがほとんどない場合、AIは「データ不足のため評価困難」と返すことがある。少なくとも納期遵守率・不良品率の2項目と担当者コメントがあれば評価の初稿は生成できる。データを増やすことが優先だ。
評価が甘くなりすぎる
AIはネガティブな評価を書くことを避ける傾向がある。「客観的に課題を明記してください」「改善が必要な点は明確に指摘してください」と明示すると、問題点が具体的に記述されやすくなる。
社内基準と合わない評価軸が出力される
プロンプトに社内の評価基準を明示的に記述することで解決する。過去に使った評価シートの項目をそのまま貼り付けて「この評価軸に合わせてスコアリングしてください」と指示する方法が効果的だ。
改善要望書のトーンが適切でない
「丁重かつ明確に」「感情的にならず事実ベースで」などのトーン指定をプロンプトに加える。サンプル文を1〜2文提示して「このトーンで書いてください」と指示するとさらに調整しやすい。
関連記事
取引先との商談内容は購買・調達の文字起こしをAIで整形する方法で記録しておくと、評価データとして活用できる。評価結果をもとにした交渉は価格交渉メールをAIで作る方法も参照してほしい。
まとめ
- 定量データ・定性コメントをAIに入力すると総合評価レポートの初稿が数分で完成する
- 複数部門のコメントを統合する作業がAIで大幅に効率化できる
- 改善要望書のドラフト作成にも活用でき、完成までの時間を大幅に短縮できる
- AIの出力は参考情報として扱い、最終的な評価判断は担当者が行う
よくある質問
取引先評価にAIを使う場合、評価の客観性は保たれますか?
AIは入力したデータをもとに整理・要約しますが、評価そのものの判断は人が行う必要があります。定量データ(納期遵守率・不良品率など)をAIに整理させ、定性評価と組み合わせる運用が適切です。
評価テンプレートがない場合でもAIで評価できますか?
評価軸をプロンプトで指定すれば、テンプレートがなくてもAIが構造化して整理します。ただし、社内基準に合わせた評価軸を最初に決めておくと、継続的な比較がしやすくなります。
複数部門の評価コメントをまとめるのにも使えますか?
使えます。営業・品質・物流など複数部門のコメントをAIに貼り付けて「部門横断で統合した総合評価を作ってください」と指示すると、共通点と相違点を整理した上でサマリーが生成されます。
取引先に送る改善要望書もAIで作れますか?
評価内容をもとに改善要望書のドラフトを生成させることができます。送付前に担当者が内容を確認・修正することが前提ですが、雛形作成の時間は大幅に短縮されます。