AnthropicとOpenAI、IPO前に売上計上で対立
この記事の要点
両社が非公開でIPO準備を進めるなか、売上の数え方の違いが投資家の論点に。Anthropicは総額、OpenAIは純額で計上する。クラウド支払いは最大64億ドルとされ、SECが統一を求めれば計上額が大きく動く。
結論
AnthropicとOpenAIが売上の数え方で食い違っている。Anthropicはクラウド経由の取引を総額で、OpenAIはMicrosoftへの支払いを引いた純額で売上に計上する。両社がIPOへ向け書類を非公開で準備するなか、この違いが投資家の論点になったとReutersが報じた。SECが計上方法の統一を求めれば、表向きの売上が数十億ドル動きうる。AIベンダーの「売上◯◯億ドル」という数字を額面どおり比べてはいけない、という実務上の教訓につながる。
何が起きたか
TechWire Asiaが引いたReutersの報道によると、Anthropicは自社がクラウド取引の主体だとみなし、取引の全額を総額で売上に計上する。一方のOpenAIはMicrosoftへの支払いを差し引いた純額で報告する。両社とも非公開でIPOの書類を準備しており、この違いが投資家の議論の一部になったという。
差は小さくない。Bank of Americaは、Anthropicがクラウドの提携先へ2026年に支払う額を最大64億ドルと見積もる。これはOpenAIの純額方式なら売上から除かれるが、Anthropicの総額方式では売上に数えられる金額だ。Anthropicの年換算売上は、Sacraが2026年5月時点で470億ドル、Reutersが4月時点で300億ドル超とするが、この数字はクラウド経由の支払いを総額で数えるか純額で数えるかで大きく変わる。
二つの方式の違いを単純化すると、こう整理できる。クラウド経由で100の取引があり、そのうち40をクラウドの提携先へ支払う場合、総額方式では100を売上に数え、純額方式では差し引いた60を売上に数える。同じ取引でも、表に出る数字が4割変わる。AnthropicとOpenAIが同じ種類の収益で異なる方式を採るなら、両社の売上を横並びで比べること自体に無理がある。
会計処理の統一が求められれば、影響は表向きの売上に直接出る。Khosla Venturesのパートナーは、同じ種類の収益に異なる会計処理をSECが認めるかは不透明だと3月の報道で指摘していた。AnthropicはQ4 2026にも600億ドル超の調達を伴うIPOを狙うとされ、上場の順番はSpaceX、Anthropic、OpenAIと見込まれる。市場の反応を測る最初の事例となったのが、先に報じたSpaceXの上場初日だった。
現場の実務にどう効くか
この一件は上場企業の話に見えるが、AIベンダーを選ぶ現場にも示唆がある。売上や成長率という数字は、計上方法しだいで見え方が変わる。ベンダーの規模を「年換算売上◯◯億ドル」だけで判断せず、契約者数や継続率、自社と近い業種での導入実績を合わせて見るほうが堅い。
ベンダーの将来性は、AIを長く使う前提では無視できない。料金体系の安定性、サポート体制、撤退リスクを契約前に確かめておきたい。法人契約で確認すべき点は法人向けAIのデータ取り扱い確認ポイントに、ツールの選定プロセスはAIツールの社内選定プロセスにまとめている。投資対効果を経営層へ示す際は生成AI導入の費用対効果の考え方が役立つ。なお売上の数字や上場時期は変動するため、最新は公式情報で確認してほしい。
出典
よくある質問
AnthropicとOpenAIで売上の数え方はどう違うのか
Anthropicはクラウド経由の取引を総額で売上に計上し、OpenAIはMicrosoftへの支払いを差し引いた純額で計上します。同じ種類の収益でも見え方が変わります。
なぜ今これが問題になるのか
両社がIPOへ向け非公開で書類を準備しており、SECが計上方法の統一を求めれば、表向きの売上が数十億ドル単位で変わりうるためです。最新の動向は公式情報で確認してください。