企業の72%「AIエージェントの統制が不十分」。調査公表
この記事の要点
Kore.aiが6月17日、AIエージェントの実態調査を公表した。72%が統制不十分な財務・法令リスクを抱え、79%がエージェントの行動を取り消した経験を持つ。42%は失敗で売上を失ったと回答。導入を急ぐ前に統制を組み込む重要性が浮かぶ。
結論
AIエージェントの開発・運用基盤を手がけるKore.aiは6月17日、企業の利用実態を調べた調査を公表した。72%が、統制が不十分な財務や法令のリスクを抱えていると回答した。79%はエージェントが取った行動を取り消した経験があり、42%は失敗で売上を失ったと答えた。導入が広がる一方で、行動を管理しきれていない実態が浮かぶ。エージェントを増やす前に、統制を作りの段階から組み込む重要性を示す内容だ。
何が分かったか
調査は、従業員2000人以上の米国企業のIT部門の責任者400人以上が回答し、2026年5月に実施された。主な数字は次のとおりだ。
| 回答内容 | 割合 |
|---|---|
| エージェントの行動を取り消した経験がある | 79% |
| 統制が不十分な財務・法令リスクを抱える | 72% |
| 原因を追えない失敗に直面した | 70% |
| 統制の懸念で導入を遅らせた | 62% |
| 完全には信頼・把握できないまま稼働 | 53% |
| エージェントの失敗で売上を失った | 42% |
さらに、1つのエージェントの失敗が複数のシステムに波及したと答えた企業が40%あった。背景には、企業がエージェントに重い権限を渡している実態がある。41%がデータ移行やシステム更新を、26%が承認や却下の判断を、15%が金融取引の実行をエージェントに任せていた。権限を渡したのに、その使われ方を十分に把握できていない企業が多い。AIエージェントの基礎はAIエージェントとは?生成AIとの違いと業務への影響に整理がある。
現場の実務にどう効くか
この調査が突きつけるのは、監視できることと統制できることは別だという点だ。動きを見られても止められなければ、リスクは残る。Kore.aiは、作った後に監視や規則を足すのではなく、作る段階から統制を組み込み、本番まで一貫して管理する設計が要ると主張する。
自社で今日からできるのは、エージェントに渡す権限を棚卸しすることだ。金融取引や承認の判断など、影響の大きい操作を任せているなら、人の確認を挟む段階を決めておく。失敗したときに原因を追えるよう、誰が何を承認したかの記録を残す設定も先に入れる。AIが人へ引き継ぐ線引きはエスカレーション設計:AIが人間に引き継ぐタイミングに、社内ルールの作り方は生成AIとセキュリティ 情報漏洩を防ぐ基本と社内ルール策定にまとめた。統制が投資に追いつかない傾向はCIOの51%が「AI導入は速すぎる」も参考になる。
調査は米国の大企業が対象で、日本の実態とは異なる可能性がある。数字は1つの目安として読み、自社の状況に当てはめて判断してほしい。
まとめ
Kore.aiの調査で、72%の企業が統制不十分なリスクを抱え、42%が売上を失った経験を持つことが分かった。エージェントに重い権限を渡す一方、使われ方を把握しきれていない。権限の棚卸しと、人の確認を挟む段階の設計、記録を残す設定を先に入れるのが現実的だ。数字は米国大企業の調査である点をふまえ、自社に当てはめて読んでほしい。
出典
よくある質問
この調査の対象は誰ですか
Kore.aiが委託した調査で、従業員2000人以上の米国企業のIT部門の責任者400人以上が回答しました。2026年5月に実施され、誤差は95%の信頼度で上下3.0ポイントとされます。日本企業の実態とは異なる可能性があります。
統制は後から足せばよいのではないですか
調査は、後付けの監視や規則だけでは問題が抑えきれないと指摘しています。エージェントを作る段階から統制を組み込み、本番まで一貫して管理する設計が要るという見立てです。