長文をうまく要約させるプロンプトの書き方
この記事の要点
一言要約・箇条書き・構造化要約・対象読者向け要約の4種類ごとのプロンプト設計と、長文をコンテキストウィンドウに収める分割処理の方法を具体的なプロンプト例とともに解説する。
要約には4つの種類があり、用途で使い分ける
AIに「要約してください」とだけ伝えると、どんな要約が返ってくるかは毎回違う。どの種類の要約が必要かを明示することが、使える出力を得る最初のステップだ。
| 種類 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 一言要約 | 1〜3文で本質だけを抽出 | 上司への報告・タイトル・メモ |
| 箇条書き要約 | 重要ポイントを列挙 | 会議メモ・チェックリスト |
| 構造化要約 | 背景・結論・根拠を整理 | 報告書・提案書サマリー |
| 対象読者向け要約 | 特定の読者に合わせた説明量・用語 | 社内共有・顧客向け資料 |
以下では各種類のプロンプト設計と使い所を説明する。
一言要約(1〜3文)
使い所
上司への口頭報告前のメモ、長い報告書のタイトル行、記事のリード文を作るとき。「この文書を3文で伝えるとしたら」という状況で使う。
プロンプト例
以下のレポートを3文以内で要約してください。
条件:
- 1文目:このレポートが伝えたい最も重要な結論
- 2文目:その根拠となる最大の数値か事実
- 3文目:読者がとるべきアクション(あれば)
【レポート本文】
[テキストを貼り付ける]
一言要約でよく起きる問題と対処
「要約してください」だけだと、AIは導入・背景・結論をすべて詰め込んだ長い文章を出すことが多い。「3文以内」「最も重要な1点だけ」のように上限を明示することが必須だ。
箇条書き要約
使い所
会議の議事録要約、調査レポートのキーポイント、長文メールの要点整理。情報を素早くスキャンしたいとき。
基本プロンプト
以下の文書を箇条書きで要約してください。
条件:
- 5〜7点
- 各項目は1文(40〜60字)
- 重要度の高い順に並べる
- 数値・固有名詞は正確に引用する
【文書】
[テキストを貼り付ける]
会議議事録の要約プロンプト
議事録の要約では「決定事項」と「アクションアイテム」の区別が重要だ。
以下の会議議事録を要約してください。
【出力形式】
■ 決定事項(番号付きリスト)
■ 未決事項・継続検討事項(番号付きリスト)
■ アクションアイテム(担当者名|内容|期日 の形式)
■ 次回会議の日時
条件:
- 各項目は簡潔に1〜2文
- 担当者名・期日・金額は原文から正確に引用する
- 原文にない情報を補完しない
【議事録】
[テキストを貼り付ける]
構造化要約
使い所
経営資料・調査レポート・提案書のエグゼクティブサマリー。情報の量と文書の論理構造を保ちながら圧縮したいとき。
プロンプト例
以下の調査レポートを構造化して要約してください。
【出力構成】
## 背景と目的(100字以内)
## 主要な発見(3点、各50〜80字)
## 結論と推奨アクション(150字以内)
## 留意点・制約(あれば、100字以内)
数値は原文から正確に引用。不確かな情報は「〜と報告されている」のように明記。
【レポート本文】
[テキストを貼り付ける]
論文・技術文書の構造化要約
以下の技術文書を構造化して要約してください。
【出力構成】
| セクション | 内容要約 |
|---|---|
| 問題設定 | [50字以内] |
| 提案手法 | [80字以内] |
| 実験・検証 | [80字以内] |
| 主要結果 | [数値を含む80字以内] |
| 限界・今後の課題 | [50字以内] |
専門用語は残す。意味が変わらない範囲で言い換えは行わない。
【文書】
[テキストを貼り付ける]
対象読者向け要約
使い所
同じ情報を異なる読者に共有するとき。技術チームの報告書を経営陣向けに、詳細な研究論文を一般社員向けに変換するケース。
経営陣向けの要約
以下のシステム移行プロジェクトの技術報告書を、ITに詳しくない経営陣向けに要約してください。
条件:
- 技術用語はすべて平易な言葉に言い換える(括弧書きは使わない、文として補足する)
- 経営判断に必要な情報を優先する(費用・期間・ビジネスリスク)
- 技術的な詳細は省略してよい
- 300〜400字
【報告書】
[テキストを貼り付ける]
顧客向けの要約
以下の社内調査結果を、顧客(一般消費者)に説明するための要約を作成してください。
条件:
- 社内用語・業界用語は使わない
- 「調査の目的」ではなく「あなた(顧客)にとって何が変わるか」を中心に書く
- 200字以内
- ですます調・親しみやすいトーン
【調査結果】
[テキストを貼り付ける]
長文の分割処理:コンテキストウィンドウを超える文書への対応
問題の構造
AIが一度に処理できる文字量(コンテキストウィンドウ)には上限がある。数万字に及ぶ長い報告書・書籍・議事録の束などは、一度に貼り付けると処理できないか、後半の情報が省略されやすくなる。
分割して処理することで、コンテキストウィンドウの問題を回避できる。
分割処理の手順
手順1:文書を意味の切れ目で分割する
章・節・テーマの切れ目で分割する。ページ数や文字数で機械的に切ると、文脈が途切れた不完全な要約になる。
手順2:各パートを個別に要約する
これは[文書名]の第[番号]部です。全[合計数]部に分けて処理します。
この部分のみを要約してください。
条件:
- この部分で扱われているテーマと主要ポイントを3〜5点で箇条書き
- 「前後の文脈を知らないと意味が取れない箇所」があれば「要確認:[箇所の引用]」と付記する
【第[番号]部】
[テキストを貼り付ける]
手順3:各パートの要約を統合する
以下は[文書名]を[合計数]つに分けて要約したものです。
これらを統合して、文書全体の構造化要約を作成してください。
【出力形式】
## 文書全体の結論(3文以内)
## 主要ポイント(5〜7点、箇条書き)
## 各セクションの要点(セクション名と2文以内の要点)
【各パートの要約】
[パート1の要約]
[パート2の要約]
...
議事録の束を分割処理する例
月次で積み重なった議事録から四半期の傾向を把握したい場合に使える方法だ。
以下の4月の週次会議議事録4本を読んで、月間サマリーを作成してください。
【出力形式】
■ 4月の主要決定事項(全期間、箇条書き)
■ 継続課題(月末時点で未解決のもの)
■ 月間の傾向・パターン(議論が繰り返し起きたテーマ等)
【議事録 4/3】
[テキスト]
【議事録 4/10】
[テキスト]
【議事録 4/17】
[テキスト]
【議事録 4/24】
[テキスト]
要約の品質を確認するチェックポイント
AIの要約には、重要な情報が抜ける・数値が変わる・原文にない解釈が入るという3つのリスクがある。
確認すべき3点
1. 固有名詞・数値の正確性
人名・会社名・日付・金額・割合などは、AIが近い値に書き換えることがある。要約の数値は必ず原文と照合する。
2. 重要情報の抜け漏れ確認
以下の要約について確認します。
「[確認したい情報]」は元の文書に含まれていましたか。
含まれていた場合、要約のどの部分に対応しますか。
【要約】
[要約テキスト]
3. 原文にない情報が入っていないか
「〜と考えられる」「〜のためと思われる」など、原文に書かれていない解釈がAIによって追加されることがある。要約に出典がない判断・解釈が入っている場合は、その部分を削除するか人間が確認する。
用途別プロンプトのストック例
要約は業務で頻繁に使う。よく使うパターンをひな形として保存しておくと効率的だ。
【ひな形:会議議事録の要約】
以下の議事録を要約。決定事項・未決事項・アクションアイテム(担当者・期日)・次回日程の形式で。原文にない情報は追加しない。
【ひな形:報告書の構造化要約】
以下の報告書を構造化要約。背景(100字)・主要発見3点・結論と推奨(150字)の形式で。数値は原文から正確に引用。
【ひな形:技術文書→経営層向け変換】
以下を経営層向けに要約。技術用語不使用・費用・期間・ビジネスリスクを優先・300〜400字。
プロンプトの基本的な書き方はプロンプトの書き方で体系的に解説している。また要約の出力形式の指定については出力形式を指定するプロンプト術も参照してほしい。
まとめ
長文要約のプロンプト設計における要点を整理する。
- 要約の種類(一言要約・箇条書き・構造化・読者向け)を明示することが最初のステップ
- 文字数・点数の上限を指定しないと毎回長さが変わる
- 固有名詞・数値・決定事項は原文と照合してから使う
- コンテキストウィンドウを超える文書は、意味の切れ目で分割して個別処理→統合の手順で対応する
- よく使う要約ひな形をストックして再利用することで作業効率が上がる
要約の指示一つで出力の有用性が大きく変わる。「要約してください」に一行の条件を加えるだけで、そのまま使える出力が得られる場合が多い。
よくある質問
AIに要約させると重要な情報が抜けることがあります。どう防ぎますか
「必ず含めること」として残すべき情報(数値・固有名詞・結論等)を明示します。また要約後に「元の文書にあった[〇〇]の情報はどこにありましたか」と確認する方法も有効です。
長すぎてAIのコンテキストウィンドウに入らない文書はどうすればよいですか
文書を章・セクション単位で分割し、各部分を個別に要約させてから、最後にその要約を統合させます。分割位置は意味の切れ目(章末・節末)に合わせます。
要約の長さはどう指定すればよいですか
「3文以内」「200字以内」「5点の箇条書き」のように上限を明示します。「適切な長さで」という指示では毎回長さが変わります。
会議議事録の要約にAIを使う際の注意点は何ですか
発言者名・決定事項・数値・期日はAIが誤る可能性があります。要約後に必ず元の議事録と照合します。特に「誰が何を決めたか」の部分は人間が確認します。