職種別AI仕事術

経理の比較表をAIで作る方法

経理の比較表をAIで作る方法

この記事の要点

経理担当者が会計ソフト・経費精算サービス・月次実績比較などの比較表をAIで作成する手順を解説。項目設計からプロンプト例まで具体的に紹介する。

結論

経理業務における比較表の作成にAIを使うと、項目の設計から表の整形までを短時間で完了できる。比較したい対象と評価軸をAIに渡せば、Markdown形式やテキスト形式の表として出力される。AIに情報を生成させるのではなく「渡したデータを整理させる」使い方が正確な比較表を作るうえで重要だ。


経理で比較表が必要になる場面

経理部門では比較表を作る機会が思いのほか多い。代表的な場面を挙げる。

  • 会計ソフトや経費精算サービスの候補を経営層に提案するための比較資料
  • 月次・四半期・前年同期の実績を並べた業績比較表
  • 複数の取引先から届いた見積書の条件比較
  • 予算と実績の差異分析表
  • 複数の決済手段(クレジットカード・口座振替・振込)の手数料比較

これらの表を一から手作業で作ると、項目の選定・レイアウトの調整・文字入力に時間がかかる。特に比較する候補が3つ以上になると表の構造を考えるだけで30分以上かかることも珍しくない。AIを使えば比較軸の設計から表の生成まで数分で完了する。


使うAIツール

テキストベースの比較表ならチャット型AI

Claude、ChatGPT、GeminiはMarkdown形式の表を生成できる。出力したMarkdownはそのままNotionやConfluenceに貼り付けられ、ExcelやGoogleスプレッドシートにも手間なく移植できる。

Excelで使いたい場合

AIにMarkdown表を出力させ、テキストエディタにコピーした後、ExcelやGoogleスプレッドシートで「データ」→「テキストを列に分割」などの機能でインポートする方法が実用的だ。AIが直接Excelファイルを生成するにはPythonコードを生成させて実行するなど別の手順が必要になる。

スプレッドシートへの直接出力

ChatGPTのCode Interpreterや、Claude.aiのArtifactsなどを使えば、表をHTMLやCSV形式で出力させてスプレッドシートにそのまま貼り付けられる。


手順:AIで比較表を作る

ステップ1:比較対象と評価軸を決める

AIに任せる前に比較対象(何と何を比べるか)と評価軸(どの観点で比べるか)を自分で決める。この2つが曖昧なままAIに丸投げすると、実務で使えない表が出力される。

評価軸の例として、会計ソフト比較であれば「月額料金」「ユーザー数の上限」「自動仕訳機能の有無」「会計事務所との連携」「サポート体制」が代表的だ。月次実績比較であれば「売上高」「売上原価」「粗利」「営業費用」「営業利益」「前月比」「前年同月比」などが挙げられる。

ステップ2:比較するデータをAIに渡す

AIに情報を生成させるのではなく、手元にあるデータをAIに渡す。公式サイトから集めた仕様情報、実際の月次データ、見積書の数字をテキスト形式でコピーして渡す。AIが自ら調べた数字は古いか誤りを含む可能性があるため、数値の確認は必ず一次情報で行う。

ステップ3:プロンプトで表の形式を指定する

以下は月次実績比較表を作るプロンプト例だ。

以下のデータを使って月次実績の比較表を作成してください。

【条件】
- 形式:Markdown形式の表
- 行:売上高、売上原価、粗利益、営業費用、営業利益
- 列:4月実績、5月実績、前月比(%)、前年5月実績、前年同月比(%)
- 金額の単位:千円(小数点以下切り捨て)
- 前月比・前年同月比は小数点第一位まで表示

【データ】
4月実績:売上高 32,450千円、売上原価 18,200千円、営業費用 8,100千円
5月実績:売上高 35,200千円、売上原価 19,800千円、営業費用 8,350千円
前年5月実績:売上高 31,800千円、売上原価 17,500千円、営業費用 7,900千円

※粗利益=売上高−売上原価、営業利益=粗利益−営業費用として計算してください。

ステップ4:出力を確認し、数字を照合する

出力された表の数字をすべて元のデータと照合する。AIは計算を誤ることがある。特に「前月比」「前年同月比」などの計算値は必ず検算する。


具体的な使用例

例1:経費精算サービスの候補比較表

経費精算サービスの導入を検討している経理担当者が、3つのサービスの候補をまとめた比較表を作る場面がある。各サービスの公式サイトから「月額料金」「利用できるユーザー数」「ICカード読み取り機能」「会計ソフトとの連携先」「電子帳簿保存法への対応状況」の情報をコピーし、AIに渡す。

プロンプトに「意思決定者が一目で判断できるよう、各機能の有無を〇・△・✕で表してください」と付け加えると、数字と記号が混在した見やすい比較表が得られる。経営層への報告資料として流用できる形まで整えることができる。

例2:部門別経費予算と実績の差異一覧表

月次の経費精算データを部門別・費目別に集計した後、予算と実績の差異を一覧化する表を作る場面がある。集計済みのデータをCSVやテキストでAIに渡し、「差異額の大きい順に並べ替えた表にしてください」「差異率が10%以上の行に備考欄で注記を入れてください」と追加指示を出すと、そのまま会議資料に使える表が完成する。

人間が手作業でExcelを加工すると、並べ替え・条件付き書式・備考入力に30分かかる作業が、AIへの指示と確認合わせて5〜10分に短縮できる。


うまくいかない場合の対処法

表の列と行が意図と逆になっている

「行に〇〇、列に〇〇を配置してください」と明示的に指定する。AIは「縦に並べる」という指示が行と列のどちらを指すか判断に迷うことがある。

計算が間違っている

数値の計算はAIに完全には任せられない。複雑な計算は手順を分解して「まず粗利益を計算してください」「次に前月比を計算してください」と段階的に依頼するか、最終的な検算は人間が行う。

Markdownの表が崩れる

貼り付け先のツールがMarkdownに対応していない場合、表が崩れて見える。「CSV形式で出力してください」に変えると、スプレッドシートへの貼り付けがしやすくなる。

表が多すぎる情報を含んでいて読みにくい

「意思決定に最低限必要な列だけに絞ってください」「上位5件のみ表示してください」と絞り込みの指示を追加する。経理の比較表は「全情報の羅列」より「判断しやすい構造」のほうが価値が高い。


比較表の精度を上げるテクニック

AIに項目を提案させてから自分で選ぶ どの評価軸で比較すべきか迷う場合は「経費精算サービスを選定するとき、経理担当者が確認すべき比較軸を10個挙げてください」とAIに提案させ、その中から実務に必要なものを選ぶ方法が効率的だ。

出力形式を複数試す 同じ内容でも「Markdown表」「箇条書き」「CSV」で出力したものを見比べると、報告資料として最も適した形が分かる。

「なぜこの評価か」を欄に追加する 比較表に「補足」列を設け、各評価の根拠をAIに書かせると、経営層への説明資料として使いやすくなる。ただし補足コメントの内容も必ず事実確認を行う。


経理業務への応用

比較表の作成は、経理部門が経営層への説明資料を作る際の中心的な作業の一つだ。AIを使えば表の構造設計と整形の時間を大幅に削減できる。正確な数字と評価基準を自分で用意し、表の形に整えることをAIに任せる役割分担が実務では機能しやすい。

関連記事として、経理の月次報告書をAIで作る方法では月次資料全体のAI活用を、経理の経費精算業務をAIで効率化する方法では経費データの処理を取り上げている。経営報告向けの文章作成については経理の経営報告資料をAIで作る方法も参照してほしい。


まとめ

経理の比較表作成にAIを活用する基本は、「AIに情報を生成させるのではなく渡したデータを整理させる」ことだ。比較対象と評価軸を事前に決め、実際のデータをプロンプトと一緒に渡すと、正確で使いやすい比較表が短時間で得られる。数値の検算は必ず人間が行い、AIの出力はあくまで「整形された草案」として扱う。繰り返し作成する比較表はプロンプトをテンプレート化すると作業時間を継続的に節約できる。

よくある質問

AIが作った比較表の数字はそのまま信頼していいですか?

信頼しないでください。AIが生成する数字や機能情報は古かったり誤りが含まれる場合があります。比較表の数値・仕様は必ず公式資料や実際のデータで確認してから使用してください。

Excelで使える比較表をAIに作ってもらえますか?

Markdown形式で表を出力してもらい、ExcelやGoogleスプレッドシートに貼り付ける方法が実用的です。直接Excelファイルを生成するには対応ツールやコードが別途必要です。

比較する項目が多すぎて表が見にくくなります。どうすればいいですか?

比較軸を「意思決定に必要な観点だけ」に絞るか、複数の表に分けてもらうようプロンプトで指定してください。一覧性より意思決定のしやすさを優先するのが実務では効果的です。

社内システムの比較なので情報をAIが知らない場合はどうしますか?

比較したい情報をすべてAIに渡し、「この情報を整理して表にしてください」と依頼する形にしてください。AIに情報を生成させるのではなく、整理・整形の役割を担わせる使い方が正確です。