職種別AI仕事術

月次レポートをAIで作る手順

月次レポートをAIで作る手順

この記事の要点

経理担当者が毎月作成する月次経営レポートをAIで効率化する手順。数値の解説文・前月比コメント・経営者向けサマリーをプロンプト例つきで解説する。

結論

月次レポートの作成で最も時間がかかるのは、数値の集計ではなく「前月比でこう変化した」「この数値の背景はこれだ」という解説文の執筆だ。AIに数値データとその背景情報を渡せば、前月比コメント・要因分析・経営者向けサマリーを数分で出力できる。担当者は数値の正確性確認と事実の補足に集中できるようになる。


使うAIツール

ツール向いている用途
Claude(claude.ai)長い数値データを整理してサマリーを作る
ChatGPT(GPT-4o)複数のレポートセクションを一度に作成
GeminiGoogleスプレッドシートのデータと連携しやすい

月次レポートは出力文字数が多くなるため、無料枠よりも有料プランの方が安定して使える。


手順

ステップ1 数値データを整理する

AIに渡す前に、レポートに使う数値を表形式で整理する。Excelやスプレッドシートのデータをテキストに変換して貼り付ける。

整理する主な項目:

  • 売上高(当月・前月・前年同月・予算)
  • 売上総利益・粗利率
  • 販管費(主要科目別)
  • 営業利益・営業利益率
  • 経費の前月比増減(主要科目)
  • キャッシュフロー(残高・入金・出金)
2026年5月度 損益実績(単位:千円)

項目 / 当月実績 / 前月実績 / 前年同月 / 予算
売上高    / 48,200 / 44,800 / 42,300 / 50,000
売上原価   / 28,900 / 26,500 / 25,800 / 30,000
売上総利益  / 19,300 / 18,300 / 16,500 / 20,000
販管費(合計)/ 14,200 / 13,600 / 13,100 / 14,500
うち人件費  /  9,200 /  9,200 /  8,800 /  9,200
うち広告費  /  2,100 /  1,500 /  1,800 /  2,500
うち地代家賃 /  1,200 /  1,200 /  1,200 /  1,200
営業利益   /  5,100 /  4,700 /  3,400 /  5,500

ステップ2 背景情報をまとめる

数値の変動理由をAIが正確に文章化するには、担当者が把握している背景情報が必要。以下のような情報を箇条書きでまとめておく。

  • 売上が前月比増加した主な要因(例:新規顧客2社の初回受注が計上された)
  • 販管費の変動要因(例:広告費が減ったのはリスティング広告の停止期間があったため)
  • 予算対比の乖離理由(例:売上が予算未達なのは大口案件の納品が翌月にずれたため)
  • 翌月に影響する事項(例:6月に大口案件の検収があり売上増が見込まれる)

ステップ3 前月比コメントを作成するプロンプト

以下の月次損益データと背景情報をもとに、月次レポート用の前月比コメントを作成してください。

対象月:2026年5月度

【数値データ】
(ステップ1の表を貼り付ける)

【背景情報】
(ステップ2の箇条書きを貼り付ける)

出力内容:
1. 月次サマリー(3〜4文。売上・利益の概況と主要な変動要因を経営者向けに簡潔にまとめる)
2. 売上高コメント(前月比・前年比・予算比の変動とその要因。2〜3文)
3. 費用コメント(主要費目の変動とその要因。2〜3文)
4. 翌月の見通し(既知の受注・案件情報をもとにした1〜2文)

文体:数字を含めた事実中心で、推測は「〜の見込み」「〜が想定される」と明示する。

ステップ4 部門別・製品別のセクションを作成する

損益の全体集計に加え、部門別や製品ライン別のコメントが必要な場合も同じ手順で作成する。

以下のデータをもとに、部門別月次コメントを作成してください。

【部門別売上(2026年5月度)】
A事業部:21,500千円(前月比 +12%、予算比 -5%)
B事業部:15,300千円(前月比 +3%、予算比 +2%)
C事業部:11,400千円(前月比 -8%、予算比 -15%)

【各部門の背景情報】
A事業部:新規顧客2社の初回受注が計上。リピート受注も堅調。
B事業部:既存顧客の追加発注が継続。予算通りの推移。
C事業部:主要顧客の購買タイミングのずれで今月の受注が少ない。翌月に回収予定。

各部門について2〜3文のコメントを作成してください。
推測には「〜と考えられる」「〜の可能性がある」の表現を使い、確認できていない事実は断定しないこと。

ステップ5 仕上げと確認

AIが出力した文章を担当者が確認し、以下の点を修正する。

  • 数値の読み違いがないか(AIが「前月比増」を「前年比増」と混同していないか)
  • 事実と異なるコメントがないか
  • 社内の表現ルール(「円」か「千円」か、略語の使い方など)に合っているか
  • 前回レポートとの文体の統一

具体的な活用例

例1 決算期の月次レポート作成を1人で回す

決算期の経理担当者が、通常業務と並行して月次レポートを1人で作成しなければならない場面。数値集計後に解説文を書く時間が取れず、内容が薄いまま提出していた。

AIを使って前月比コメントを出力させ、担当者が確認・修正する手順に変えたところ、解説文の作成時間が従来の2時間から30分程度になった。経営者からの「数値の背景説明が増えてわかりやすくなった」という評価も得られた。

例2 英語版月次レポートの作成

海外に拠点を持つ企業で、本社向けに日本語と英語の2バージョンを毎月提出する必要がある場合。日本語で作成したレポートをAIで英訳することで、翻訳にかかっていた1〜2時間を削減できた。

以下の日本語月次レポートを英語に翻訳してください。

前提:
- 読み手は海外本社の財務担当者
- 専門的な財務用語は英語の標準的な会計用語を使う
- 数値の単位は「JPY thousands」で統一
- 文体は事務的で簡潔に

【日本語レポート】
(レポートのテキストを貼り付ける)

うまくいかない場合

数値が多すぎてAIが処理しきれない

一度に渡す数値が多すぎると出力が不正確になる場合がある。損益のセクション・費用のセクション・部門別のセクションに分割して順番に処理する。

AIのコメントが抽象的で使えない

「堅調に推移しました」「増加傾向が見られます」といった抽象的なコメントが出る場合、背景情報が不足している。ステップ2の背景情報に「なぜ増えたか・なぜ減ったか」の具体的な要因を追加する。

前回レポートと文体が大きく違う

過去のレポートの一部(3〜5文程度)を例文としてプロンプトに追加し「この文体を参考にしてください」と指示する。


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よくある質問

月次レポートの数値解説をAIに任せて問題ない?

数値の入力と確認は担当者が行う必要がある。AIは数値を受け取って文章化する役割に使う。AIが数値を生成したり解釈を断定したりする用途には使わない。

月次レポートに使うAIはどれがよい?

長文の出力が得意なClaude(claude.ai)やChatGPT(GPT-4o)が向いている。Googleスプレッドシートを使っている場合はGemini連携も選択肢になる。

経営者に届けるレポートの文体をAIで統一できる?

可能。最初に過去のレポートの文章を例として渡し「この文体・文章量を参考に作成してください」と指示すると、文体の一貫性を保ちやすい。

AIを使った月次レポートはどのくらい時間を削減できる?

数値の集計はシステム側の問題のため変わらないが、コメント作成・サマリー文の執筆部分は担当者によって1〜3時間削減できた事例がある。