職種別AI仕事術

情報システムの文章校正をAIで行う方法

情報システムの文章校正をAIで行う方法

この記事の要点

社内通知・障害報告・マニュアルなど情報システム部門の文章校正をAIで効率化する手順を解説。誤字・表記ゆれ・技術用語の統一まで実践的なプロンプト例付き。

結論

情報システム部門の文章校正は、AIに原文とチェック観点を渡すだけで、誤字・敬語ミス・技術用語の表記ゆれを一括検出できます。従来は担当者が目で読み返すのに1文書あたり15〜30分かかっていた作業が、AIを使うと指摘リスト生成まで3分程度で終わります。本記事では、障害報告書・社内通知・マニュアルといった情報システム固有の文書に対応したプロンプトと手順を説明します。


どのAIツールを使うか

文章校正に使えるAIは複数ありますが、情報システム部門の業務文書に向いているツールは以下の3つです。

ツール特徴向いている用途
ChatGPT(GPT-4o)長文処理が得意、指示に忠実障害報告書・マニュアル
Claude(Anthropic)文章の自然さに強み、丁寧な説明社内通知・メール
Gemini(Google)Google Workspaceとの連携が良いドキュメント・スプレッドシート

社内のデータガバナンス方針によってツールが制限される場合もあるため、利用前に情報セキュリティ担当に確認してください。本記事のプロンプトはどのツールでも動作します。


AIで文章校正を行う手順

ステップ1:校正の観点を決める

「なんでもチェックして」という指示は曖昧で、AIの出力品質が下がります。校正依頼の前に、チェックしたい観点をリストアップします。情報システム部門の文書でよく問題になるのは次の4点です。

  • 誤字・脱字
  • 敬語・丁寧語の不統一(「します」と「いたします」の混在など)
  • 技術用語の表記ゆれ(「サーバー」と「サーバ」など)
  • 手順の抜け・論理的な矛盾

ステップ2:プロンプトに観点と原文を貼り付ける

以下のプロンプトをそのままコピーして、「原文」の箇所を実際の文章に置き換えて使ってください。

あなたは社内文書の校正担当です。以下の文章を校正し、修正が必要な箇所を列挙してください。

【チェック観点】
1. 誤字・脱字
2. 敬語・丁寧語の不統一
3. 技術用語の表記ゆれ(社内標準:「サーバー」「ログイン」「ネットワーク」)
4. 意味が通りにくい箇所
5. 手順の論理的な矛盾や抜け

【出力形式】
- 問題のある箇所を「元の文 → 修正案」の形式で列挙する
- 修正の理由を1行で添える
- 問題がない場合は「修正箇所なし」と出力する

【原文】
(ここに校正したい文章を貼り付ける)

ステップ3:表記ゆれ辞書を追加する

情報システム部門では、用語の統一が特に重要です。社内で決まっている表記ルールがある場合は、プロンプトの「技術用語の表記ゆれ」の観点に追記します。

【社内表記ルール】
- サーバー(「サーバ」は使わない)
- ログイン/ログアウト(「サインイン」は使わない)
- ネットワーク(略語「NW」は使わない)
- パスワード(「パスワード」統一、「PW」は使わない)
- 障害(「トラブル」「エラー」は状況に応じて使い分け)

このリストをプロンプトに追加すると、AIが社内基準に照らした指摘を返してくれます。

ステップ4:修正案を確認して取り込む

AIが返した修正リストは、必ず担当者が目視で確認します。特に以下の点は人間が判断してください。

  • バージョン番号や日付の正確性
  • 固有名詞(製品名・ベンダー名)の表記
  • 手順の正確性(実際の操作と合っているか)

AIは文体の観点から修正を提案しますが、技術的な正確性の保証はできません。事実確認は必ず人間が行います。


情報システム固有の校正例

例1:障害報告書の校正

障害報告書は、経緯・原因・対応・再発防止の4項目で構成されることが多く、時系列の整合性と技術用語の正確さが求められます。

以下は実際にAIを使った校正の流れです。

原文(一部):

14時32分、監視システムよりアラートが発報。担当者がサーバに接続し調査したところ、ディスク容量が97%に達していることを確認した。不要なログファイルを削除し、15時05分に復旧した。

AIへの依頼:

以下の障害報告書を校正してください。技術用語の表記ゆれ(社内標準:「サーバー」)と、時系列の整合性に特に注意してください。また、経緯・原因・対応の流れが読者に明確か確認してください。

(上記原文を貼り付ける)

AIの出力例(抜粋):

・「サーバに接続し」→「サーバーに接続し」(社内標準に統一)
・「不要なログファイルを削除し」:削除したファイルの種類・容量を追記すると報告書としての記録性が高まります
・原因の記述が抜けています。ディスク逼迫の原因(ログローテーション設定の不備など)を「原因」セクションに追加することを推奨します

この指摘をもとに担当者が内容を補完し、完成度の高い報告書を素早く仕上げられます。

例2:社内メンテナンス通知の校正

定期メンテナンスや緊急停止の通知は、ユーザーへの影響が直接出る文書です。校正では「誰が・何を・いつ・どうなるか」の四点が明確かを確認します。

原文(一部):

来週の火曜日に社内システムのメンテナンスを予定しています。作業中はシステムが利用できなくなりますので、ご注意ください。

AIへの依頼:

以下のメンテナンス通知を校正してください。
観点:
1. 「いつ」「何時から何時まで」が明確か
2. 影響範囲(どのシステムが停止するか)が明確か
3. 代替手段の案内があるか
4. 丁寧さと簡潔さのバランス

AIの出力例:

・「来週の火曜日」→具体的な日付(例:6月10日(火))に変更すべきです
・停止するシステム名が不明確です。全社システムか特定システムかを明記してください
・停止時間帯の記載がありません。開始・終了時刻を追加してください
・代替手段の案内がありません。緊急時の連絡方法を追記することを推奨します

うまくいかない場合の対処

指摘が多すぎて使いにくい

観点を絞るか、文書を段落単位に分割して送ります。一度に長文を送ると優先度のわかりにくい大量の指摘が返ることがあります。「誤字・脱字と表記ゆれのみ」など観点を1〜2項目に絞ると整理された出力になります。

技術用語の判断が間違っている

AIは一般的な用語の使い方で校正するため、社内独自の用語ルールは指示しないと反映されません。社内表記ルールをプロンプトの先頭に明記する習慣をつけると、精度が上がります。

同じ修正が繰り返し提案される

社内標準として既に正しい表記を使っているのにAIが「修正」として提案する場合、「以下は社内標準のため修正不要」と明示してください。

【修正不要の表記】
・「NW」はネットワークの社内略語として使用する
・「XX製品名」は正式名称のためそのまま使用する

機密情報の取り扱い

障害報告書やセキュリティインシデントの報告書には、外部に出せない情報が含まれることがあります。AIサービスに送る前に、固有名詞(顧客名・IPアドレス・システム名)をマスキングするか、社内承認済みの環境で使うことを徹底してください。情報セキュリティ担当との連携は必須です。


作業フローのまとめ

情報システム部門でAI文章校正を運用するときの流れを整理します。

  1. 校正対象の文書と観点を決める
  2. 社内表記ルールをテキストでまとめておく(一度作ればプロンプトに毎回貼り付けるだけ)
  3. プロンプトに観点・表記ルール・原文を貼り付けてAIに送る
  4. AIの出力を確認し、事実の正確性は人間が判断する
  5. 修正を取り込んで最終確認

この流れが定着すると、月に20〜30本の社内文書を出す部門でも、校正工数を従来比で半分以下に抑えられます。特に障害発生時の報告書は時間的プレッシャーが大きいため、事前にプロンプトのテンプレートを準備しておくと効果的です。

メール作成の自動化については情報システムのメール作成をAIで行う方法も参考にしてください。障害対応の記録については情報システムの障害報告書をAIで作る方法で詳しく解説しています。

よくある質問

AIによる文章校正は有料ツールでないと使えませんか?

ChatGPTの無料プランやClaudeの無料枠でも文章校正は十分に使えます。ただし長文や複数ファイルをまとめて処理する場合は有料プランが作業効率で有利です。

技術用語の表記ゆれもAIは検出できますか?

プロンプトに用語集や表記ルールを貼り付けることで検出精度が上がります。「サーバー/サーバ」「ログイン/ログオン」など社内基準を事前にリストとして渡すと効果的です。

校正結果をそのまま公開してよいですか?

AIが提案した修正は必ず担当者が目視で確認してから使います。固有名詞・バージョン番号・手順の正確性はAIが保証できないため、事実確認は人間が行ってください。

個人情報が含まれる文章はAIに送ってもよいですか?

社内規定と利用しているAIサービスの利用規約を確認してください。機密情報や個人情報が含まれる場合はマスキング処理を行ってから入力するか、オンプレミス環境のモデルを使うことを検討してください。