情報システムのアンケート設問をAIで作る方法
この記事の要点
情報システム担当者がAIを使ってIT満足度調査・システム移行後アンケート・ヘルプデスク評価などの設問を効率的に作る具体的な手順を解説。プロンプト例つきで、設問設計の時間を大幅に短縮する方法をまとめた。
新システムを導入した後の満足度調査、ヘルプデスクの対応品質評価、セキュリティ研修後の理解度確認——情報システム担当者がアンケートを設計する場面は意外に多い。設問を1から考えると「何を聞けばいいか」の整理だけで1〜2時間かかる。AIに「目的」と「対象者」を渡せば、目的に合った設問の骨格が30分以内で出来上がる。
結論
AIに「アンケートの目的」「対象者」「得たい情報」を渡すと、設問の構造・回答形式(5段階評価・選択式・自由記述)のバランスが取れた設問リストが出る。情報システム担当者が陥りやすい「技術寄りすぎて現場が回答しにくい」「聞きたいことが多すぎて長くなる」という問題も、AIはバランスを取りながら解決できる。
どのAIツールを使うか
**ChatGPT(GPT-4o)**は設問の多様なバリエーションを出すのが得意だ。「同じ意味で別の聞き方を3パターン出して」という指示にも対応できる。
Claudeは設問の論理的な整合性確認が得意だ。「このアンケートの設問に矛盾や重複はあるか」「目的と設問の内容がずれていないか」という確認作業に向く。
どちらのツールも、設問の作成自体は十分に対応できる。最終的には作成した設問をGoogleフォームやMicrosoft Formsなどのアンケートツールに転記して使う形になる。
アンケート設問をAIで作成する手順
ステップ1:アンケートの目的と対象者を整理する
AIへのインプットとして最低限必要な情報はこれだ。
- アンケートの目的(何を把握したいか・どう活用するか)
- 対象者(全社員・特定部門・新システムの利用者など)
- 対象者のITリテラシー(高い・普通・低い)
- 回答にかけてもらえる時間の目安(3分・5分・10分)
- 得たい情報の種類(数値評価・課題の把握・改善要望の収集)
この整理なしに設問を作ると、目的と設問がずれた「回答しても活用できないアンケート」になる。
ステップ2:プロンプトを入力する
以下の条件でアンケートの設問を作成してください。
目的:グループウェア移行後3ヶ月の利用状況と満足度の把握
対象者:全従業員([人数]名。IT専門知識は不要な前提で回答できる設問にする)
回答時間の目安:5分以内
得たい情報:
- 移行前後での業務効率の変化
- 使いにくい機能や困っている点(具体的な課題)
- 追加で欲しいサポートや教育
条件:
- 設問数は10問以内
- 設問タイプをバランスよく使う(5段階評価/選択式/自由記述)
- ITの専門用語を避け、誰でも答えられる表現にする
- 選択式の選択肢も含めて出力する
- 最後に「その他、自由にご意見をお聞かせください」の自由記述を1つ入れる
このプロンプトで、設問・回答形式・選択肢がセットになったアンケート設計が出る。
ステップ3:設問を確認・修正する
AIの出力で確認が必要な点はこれだ。
- システム名・機能名が自社の実際の名称と合っているか
- 「使いにくい」「不便」などネガティブな表現が本音を引き出せる形になっているか
- 5段階評価の場合、どの数値が「良い」かが明確か(「1が最低・5が最高」を明示するなど)
- 設問の順番が自然な流れになっているか
- 自社の業務内容と関係のない設問が混在していないか
AIは汎用的な設問を出すため、自社固有のシステムや業務に合わせた修正は人間が行う。
ステップ4:プレテストを実施する
本番配布前に1〜2名の同僚に回答してもらい、「答えにくい設問」「意図が伝わりにくい表現」がないかを確認する。AIで作った設問は整いすぎていて現場の実態から浮くことがある。プレテストで自社の言葉に修正することが最終的な品質を高める。
情報システム固有の活用シーン
シーン1:ヘルプデスク対応後の満足度調査
ヘルプデスクの対応品質を継続的に把握するための短いアンケートは、1回の対応後に送れる形式が理想だ。以下のプロンプトで設計できる。
以下の条件でヘルプデスク対応後のアンケートを作成してください。
目的:ヘルプデスク1件ごとの対応満足度と改善点の把握
対象者:ヘルプデスクに問い合わせた社員(IT知識不要の前提)
回答時間の目安:2分以内
得たい情報:
- 対応の速さの満足度
- 問題が解決したかどうか
- 担当者の説明のわかりやすさ
- 改善してほしい点(自由記述)
条件:
- 設問数は5問以内(完了率を重視)
- 最後の設問でNPS(推奨度0〜10点)を入れる
- 選択肢はシンプルに(満足/普通/不満の3択など)
- 問い合わせの内容カテゴリを自動選択させる設問を冒頭に1問入れる
ヘルプデスクの満足度調査は回答率が命だ。5問以内にすることで完了率が上がり、継続的なデータ収集が可能になる。
シーン2:セキュリティ研修後の理解度確認
全社向けセキュリティ研修の後に理解度を確認するアンケートは、教育効果の測定と次回の研修改善に使える。
以下の条件でセキュリティ研修後の理解度確認アンケートを作成してください。
研修テーマ:フィッシングメール対策と標的型攻撃の見分け方
対象者:全従業員(非IT部門の社員が大多数)
目的:研修内容の理解度確認と、実際の業務での行動変容への期待を把握
条件:
- 設問数は8問
- 知識確認問題(3問):研修で伝えた具体的な対策を問う選択式
- 行動意向(2問):「研修後、自分の行動でどこを変えたいか」の選択式
- 研修評価(2問):研修の内容のわかりやすさと実用性を5段階評価
- 自由記述(1問):「わからなかった点や追加で知りたいこと」
- 知識確認問題は正誤を確認できるように正答を付記してください
- 研修で使った具体例(フィッシングメールの例など)に基づいた設問にする
研修後アンケートは「理解したか」だけでなく「行動を変えようとしているか」を確認することで、次回の研修改善の手がかりになる。AIはこの種の多目的なアンケート設計が得意だ。
うまくいかない場合の対処
設問が専門的すぎて現場が答えられない:「IT知識がない社員でも答えられる言葉に言い換えてほしい」という追加指示を出す。または「製造部の現場社員が答える想定で書き直してほしい」のように対象者を具体的に設定し直す。
設問が多すぎる:「最も重要な5問に絞って」と指示する。その後AIが削った設問を「削った理由」とともに出力させることで、優先度の整理に使える。
自由記述の設問が漠然としすぎる:「自由に教えてください」ではなく「困っていることを1点挙げてください」のように回答範囲を絞る表現に変えてもらう。漠然とした自由記述は記入率が低く、分析も難しい。
5段階評価の基準が不明瞭:「1=非常に不満〜5=非常に満足」のようなラベルを各段階に付けることをAIに依頼する。ラベルなしの数値だけでは回答者によって解釈が異なる。
アンケートの目的と設問がずれている:作成した設問一覧をAIに渡して「このアンケートで得られる情報と、当初の目的([目的を記載])の間にずれはあるか?」と確認させる。AIが自身の出力を批評する形でのレビューが有効だ。
作業量の目安
| アンケートの種別 | 従来所要時間 | AI活用後の所要時間 |
|---|---|---|
| システム移行後満足度調査(10問) | 1〜2時間 | 20〜30分 |
| ヘルプデスク対応後評価(5問) | 45〜60分 | 15〜20分 |
| セキュリティ研修後理解度確認(8問) | 1〜1.5時間 | 20〜30分 |
| IT機器利用状況調査(10問) | 1〜2時間 | 20〜30分 |
年に3〜4回アンケートを実施する担当者なら、設計作業だけで年間3〜5時間の削減になる。
他の業務への応用
アンケート設計に慣れたら、情報システムの想定問答をAIで作る方法にも同様の考え方が使える。「対象者が何を知りたいか・何を不安に思うか」を設問形式で考えることは、想定問答の質問洗い出しにも応用できる。
情報システムのヘルプデスク対応をAIで効率化する方法では、ヘルプデスクで収集した問い合わせデータとアンケートデータを組み合わせてサービス改善につなげる方法を解説している。
情報システムの社内メモをAIで素早く作る方法では、アンケート結果の集計後に経営層や部門長へ共有するメモを素早く作る方法を解説している。
導入の第一歩
次に予定しているシステム変更や研修の後に、このプロンプトを使ってアンケートを1本作ってみる。設計から配布できる形にするまでの時間を計測して、従来との比較ができる。最初の1本で設問のクセと修正ポイントを掴めば、2本目以降はさらに速くなる。
よくある質問
情報システム担当者がアンケートを実施する典型的な場面はどんなものですか?
システム移行後の満足度調査、ヘルプデスクの対応評価、IT機器の利用状況調査、セキュリティ研修後の理解度確認、社内ITニーズ把握調査などが代表的です。
AIで作ったアンケート設問はそのまま使えますか?
骨格としては使えますが、自社固有のシステム名・業務フロー・社内用語に合わせた修正が必要です。また回答者が答えやすいか、目的に合った設問になっているかを人間が確認してください。
回答率を上げるにはアンケートの設問数をどうすればいいですか?
一般的に10問以内が回答率を高めやすいとされています。目的が明確な場合は5〜7問に絞ることで完了率が上がります。AIに「簡潔に10問以内で作成」と指示すると、優先度の高い設問を選んで出力してくれます。
定性的な意見を引き出したい場合と数値で評価したい場合で設問の作り方は違いますか?
数値評価(5段階評価・NPS)は集計・比較に向き、自由記述は具体的な課題発見に向きます。AIに「定量評価と自由記述を組み合わせて設計して」と指示すると、両方のバランスが取れた設問構成が出てきます。