法務のアンケート設問をAIで作る方法
この記事の要点
法務担当者が社内コンプライアンス調査や契約管理実態調査で使うアンケート設問をAIで効率的に作る方法。プロンプト例と実践的なポイントを解説します。
結論
法務担当者がアンケートを使う場面は、コンプライアンス研修の効果測定、契約管理の実態調査、ハラスメント防止規程の周知確認など複数ある。アンケート設問の作成は「何を聞けば何がわかるか」という設計が肝で、設問の数・形式・順番を考えるのに時間がかかる業務だ。AIを使えば設問の叩き台を10〜15分で用意でき、設計の確認・修正に集中できる。
どの業務で使うか
法務が主導するアンケートの種類を整理する。
- コンプライアンス規程の周知確認:規程の内容を理解しているかを確認するテスト形式
- 契約管理の実態調査:事業部門で契約書がどう管理されているかを把握する
- ハラスメント防止の取組み評価:研修後の理解度や職場の状況を確認する
- 法改正対応の準備状況確認:各部門が改正内容を把握し、対応を開始しているかを確認する
- 顧問弁護士・外部専門家への満足度調査:サービス品質を評価する
いずれも、設問の設計ミスは回答データの価値を大きく下げる。AIで叩き台を作り、法務担当者が目的に合わせて磨く流れが効率的だ。
使うAIツール
Claude(Sonnet以上)またはChatGPT(GPT-4o)を使う。設問の設計は調査設計の知識が必要で、AIはその基本パターンを踏まえた設問を作れる。
アンケートツールはGoogleフォームやMicrosoftフォームが社内でよく使われる。AIが作った設問テキストをそのまま貼り付けて使える。
手順1:コンプライアンス研修の理解度確認アンケートを作る
必要な情報を整理する
- 研修のテーマと主要な学習項目
- 回答者の職種・階層
- 設問数の上限と所要時間の目安
- 選択形式か自由記述かの方針
プロンプト例
あなたは法務担当者です。以下の条件でコンプライアンス研修のアンケートを作成してください。
【研修の概要】
テーマ:情報管理規程の改訂内容
主な学習項目:
・社外秘情報の定義と取扱い手順
・クラウドストレージへの情報アップロードの禁止事項
・外部委託先への情報提供ルール
【回答者】
全社員(1,200名)。ITリテラシーにばらつきがある。
【設問の条件】
・設問数:10問以内
・形式:選択形式(4択)を8問、自由記述を2問
・回答時間の目安:5分以内
・目的:規程の内容理解度を測定し、理解が不十分な項目を特定する
以下を含めてください。
・規程の定義を問う知識確認問題
・具体的な状況を想定した判断問題(「あなたが〜した場合、どうすべきか」形式)
・自由記述:研修で不明だった点、現場での困りごと
選択肢は正解1つ、誤りの選択肢は「ありそうな間違い」にしてください。
出力の確認ポイント
- 学習項目の重要度に合わせて問題数が配分されているか
- 「ひっかけ問題」になっていないか(理解度を測るのが目的)
- 自由記述の問いが広すぎないか(広すぎると回答にばらつきが出て集計が難しい)
- 全体の回答時間が目安以内か
手順2:契約管理の実態調査アンケートを作る
事業部門の契約管理実態を把握するためのアンケートは、ルール違反を責めるのではなく「現状を知る」ことが目的だ。設問に回答しやすい雰囲気を作ることが回答率に直結する。
以下の条件で、事業部門向けの契約管理実態調査アンケートを作成してください。
【調査の目的】
事業部門が現在どのように契約書を管理しているかの実態を把握し、法務部門のサポートが必要な領域を特定する。問題を責めるのではなく、改善につなげるための調査。
【回答者】
各部門の契約締結担当者(営業・購買・総務など)。法律の知識は期待できない。
【知りたい情報】
・契約書の保管場所(紙・電子・どちらも)
・契約期間・更新日の管理方法
・法務部門への相談タイミング
・現在困っていること・改善してほしいこと
【設問の条件】
・設問数:8〜12問
・形式:選択形式を中心に、最後に自由記述1問
・回答時間の目安:3〜5分
・匿名で回答できる形式
質問は「現在どのように対応しているか」という事実確認の形式で書いてください。「〜すべきか」「〜しているか」ではなく「〜は現在どのように行っていますか」という言い方にしてください。
手順3:ハラスメント防止取組みの評価アンケートを作る
ハラスメント関連のアンケートは、回答者が回答しやすいよう設問の表現に特に注意が必要だ。具体的な状況を問う設問は、被害経験の想起を誘発することがあるため、適切な配慮が必要となる。
以下の条件で、ハラスメント防止研修の事後アンケートを作成してください。
【研修の内容】
ハラスメントの定義と種類、相談窓口の使い方、管理職としての対応方法
【回答者】
管理職(課長以上)50名
【設問の条件】
・研修内容の理解度ではなく、管理職として今後どう行動するかの意識を確認する
・設問数:8問以内
・選択形式(5段階評価)と自由記述を組み合わせる
・「部下からのハラスメント相談を受けたことがある」など、個人の経験を問う設問は含めない
含めてほしい観点:
・研修で新たに気づいた点
・自分の行動で見直したい点
・相談窓口の運用について感じたこと
・研修への改善意見
設問は管理職が「自分ごと」として考えられる言葉で書いてください。
うまくいかないときの対処法
設問が多すぎる場合
「最も重要な設問を6問に絞ってください。理由も添えてください」と削減を依頼する。AIは全項目を網羅しようとする傾向があるため、優先順位をつけさせる指示が必要だ。
選択肢が不自然な場合
「選択肢は実際に回答者が選びそうな答えにしてください。模範解答のような選択肢は入れないでください」と追記すると改善する。
質問の言い回しが硬い場合
「もう少し話しかけるような言葉遣いにしてください」「専門用語を減らしてください」と修正を依頼する。
自由記述の回答が集計しにくくなると予測される場合
「自由記述の問いは回答の方向性を誘導してください。たとえば『具体的なエピソードを1つ書いてください』などと制約を加えてください」と修正すると集計しやすい回答が集まる。
アンケート結果の集計にAIを使う
アンケートの設問作成だけでなく、回答の集計・分類にもAIは役立つ。自由記述の回答をまとめて渡し「共通するテーマで5つに分類してください」と依頼すると、手作業では1〜2時間かかるカテゴリ分けを数分で行える。
ただし、個人情報や機密情報が含まれる回答データを社外のAIサービスに入力することは、社内のセキュリティポリシーを確認してから行う。
法務リサーチをAIで効率化する方法と組み合わせると、アンケート調査の設計に必要な法的背景情報を効率よく収集できる。
法務が規程整備の一環でアンケートを使う場合は、法務の1枚サマリー資料をAIで作る方法でアンケート結果を経営陣に報告する資料を作る手順も参考にしてほしい。
まとめ
法務アンケートの設問作成でAIを使うとき、最も重要なのは「何を知りたいか」と「回答者は誰か」をプロンプトに明確に書くことだ。目的と回答者が明確なほど、実際に使える設問が得られる。AIが出した設問は、法務担当者が目的と照らし合わせて必ず精査する。設問の設計ミスはデータの価値を損なうため、確認に時間をかけることが最終的な効率化につながる。
よくある質問
法務のアンケート設問をAIで作るとき、何を準備しますか?
調査の目的・回答者の属性・知りたい情報・アンケート後のアクションを整理してからプロンプトを書いてください。目的が曖昧だと設問の精度が落ちます。
回答率を上げるための設問設計のコツはありますか?
設問数は10問以内に絞る、選択肢形式と自由記述を組み合わせる、回答に要する時間を明示するなどの方法が有効です。AIにもこれらの条件を指定してください。
匿名アンケートの設問設計で注意することはありますか?
回答者が特定されないよう、部署・役職・勤続年数などの属性を組み合わせると特定できる人数になる場合は属性設問を削除または統合してください。
アンケート結果の集計・分析にもAIは使えますか?
自由記述の回答を分類・整理するのにAIは有効です。回答データをAIに渡し「共通するテーマで分類してください」と依頼する方法が使いやすいです。