職種別AI仕事術

経営企画の文章校正をAIで行う方法

経営企画の文章校正をAIで行う方法

この記事の要点

経営企画の役員資料・事業計画書の文章校正をAIで行う方法を解説。プロンプト例付きで、誤字脱字・表記ゆれ・論理矛盾を素早く修正できる手順を紹介する。

結論:校正時間を半分以下にできる

役員向けの月次報告や事業計画書を仕上げる際、文章の最終確認に30分以上かけている担当者は少なくない。AIを使えば、誤字・脱字・表記ゆれ・論理的な飛躍の洗い出しを数分で終わらせられる。残った時間を内容の精度向上に使える点が、経営企画の業務では特に大きい。

校正に使うのは汎用的な大規模言語モデルで構わない。専用ツールを導入しなくても、すでに契約しているChatGPT EnterpriseやClaude for Workがあれば今日から使える。


使うAIツール

経営企画の文章校正に適しているのは、長文処理と論理判断が得意なモデルだ。

  • Claude 3.5 Sonnet / Claude 3 Opus:文脈を踏まえた指摘が強く、論理の飛躍も拾いやすい
  • GPT-4o(ChatGPT Enterprise):日本語の表記ゆれ検出と言い回しの提案が安定している
  • Gemini 1.5 Pro:Googleドキュメントとの連携が容易で、スプレッドシートとセットで使う場合に便利

いずれも無料プランより有料プランの方が長い文章を一度に処理できる。事業計画書1本(5,000〜10,000字程度)を丸ごと貼り付けるなら有料プランを使う方が現実的だ。


手順:ステップ別に解説

ステップ1:校正の目的とルールを明確にしてからAIに渡す

「とりあえず校正して」という指示だと、AIは一般的な文体改善を返してくることがある。経営企画の文章には固有のルールがある。たとえば「数値の単位は百万円で統一」「フォーカス領域ではなく重点領域と書く」「本文中の役職は代表取締役と略さず書く」といった社内ルールが存在する場合、それをプロンプトに盛り込む。

以下の文章を校正してください。確認ポイントは次の3点です。
1. 誤字・脱字
2. 表記ゆれ(例:「経営企画部」と「経企部」が混在していないか)
3. 数値の単位(億円・百万円を混在させない)

修正が必要な箇所は「行番号/修正前/修正後/修正理由」の形式で一覧化してください。

---対象テキスト---
(ここに本文を貼り付け)

ステップ2:出力形式を指定して作業しやすくする

箇条書きでも段落でも返せるのがAIの特徴だが、経営企画のレビューには「修正前・修正後・理由」が並んだ一覧形式が便利だ。修正を承認するか却下するかを素早く判断できる。

ステップ1のプロンプトにある出力形式の指定がその役割を担う。試しに使ってみて、扱いにくければ「Markdown表で出力してください」と追加すると表形式に変わる。

ステップ3:論理的なつながりも確認させる

誤字脱字だけでなく、「根拠なしに結論が飛んでいる」「前のページの数値と本文が矛盾している」といった問題も見つけたい場合は、以下のプロンプトを続けて使う。

上記の文章を論理校正してください。以下の観点で問題があれば指摘してください。
- 主張と根拠のつながりが薄い箇所
- 前後の段落で矛盾している箇所
- 読者(役員)が理解できない専門用語や略語

指摘は「場所/問題点/改善の方向性」の形式でお願いします。

ステップ4:修正候補をすべて採用せず選別する

AIが出した修正候補はあくまでも提案だ。社内用語の統一ルールや業界慣習に沿わない修正案は、そのまま採用するとかえって品質が下がる。出力を見ながら、受け入れる・却下する・保留するの3分類で仕分けると作業が早い。


具体的な使用場面

場面1:中期経営計画の最終稿を役員会前日に校正する

中計の最終稿は複数の担当者が書いたパートを結合するため、文体や表記が統一されていないことが多い。「重点施策」と「注力施策」、「売上高」と「売上」が混在するのはよく見られるパターンだ。

この状況でAIを使うと、文書全体を通して表記ゆれのリストを一気に出してくれる。Wordの「検索と置換」で対応するより早く、見落としも少ない。前日の夜に1時間かけていた作業が15分程度で済むようになったという声は複数の経営企画担当者から聞く。

場面2:取締役会議事録の文章を整える

議事録は速記的なメモをまとめた段階の文章が荒い。主語が省略されていたり、箇条書きの文末が「〜です」「〜する」「〜について」と統一されていなかったりする。

以下は取締役会議事録の草稿です。次の基準で校正してください。
- 文末は体言止めではなく「〜した」「〜を承認した」など過去形で統一
- 主語が省略されている文は補完(ただし原文の意味を変えない)
- 誤字・脱字の修正

---議事録草稿---
(ここに本文を貼り付け)

議事録は法的効力を持つ文書でもあるため、AIの修正案は必ず原文と照合し、意味が変わっていないことを確認してから採用する。


うまくいかない場合のポイント

指摘が多すぎて使えない

AIがあまりにも多くの修正候補を出す場合、スコープを絞ると使いやすくなる。「今回は誤字脱字だけ」「今回は表記ゆれだけ」と1回の依頼で見るポイントを1つに限定する方法が有効だ。

業界用語を誤りだと判断される

「EBITDA」「バリューチェーン」「PMI」など経営用語をAIが誤字と判断することがある。プロンプトの冒頭に「以下は経営企画部門の文書です。経営・ファイナンス分野の専門用語はそのまま残してください」と一文加えると誤検出が減る。

長すぎて処理できない

モデルによって1回で処理できる文字数の上限が異なる。事業計画書が長い場合は章ごとに分割して複数回に分けて依頼する。分割する際は「この文章はXX章の一部です」と文脈を伝えると判断精度が上がる。

同じ箇所を何度も指摘される

AIは文書全体を見た上で「この表記は揺れている」と判断するため、意図的に異なる表記を使っている箇所(引用・固有名詞など)を誤りと判断することがある。「以下の単語は表記ゆれではありません」と例外リストをプロンプトに含めると改善する。


社内展開する際の注意点

経営企画の文章は機密性が高い。AIツールを校正に使う場合、情報の取り扱いについて以下の点を社内の担当部門と事前に確認しておくことを勧める。

  • 使用するAIツールが学習データとして入力内容を利用しないか
  • 社内AIポリシーで許可されているツールはどれか
  • 機密ランクの高い文書はどのツールまで使えるか

多くの企業では「機密性が高い数値や案件名はダミーに置き換えてから入力する」「エンタープライズプランを使う(学習に使われない契約のもの)」という運用ルールを設けている。校正のような補助作業でも、ルールの確認が先だ。


まとめ:校正をAIに任せることで本質的な仕事に時間を使う

経営企画の業務では、資料の品質が意思決定の速度に直結する。誤字や表記ゆれが残ったまま役員会に出す資料は信頼性を損ない、修正依頼が入れば余計な工数が発生する。

AIによる文章校正は、こうしたミスを出す前に止めるための一手だ。プロンプトの書き方を一度覚えてしまえば、あとはコピペして数分待つだけで一通りの指摘が返ってくる。浮いた時間を内容の質の向上に使うことが、経営企画担当者にとって最大の恩恵になる。

関連する業務でAIを活用する方法は以下の記事も参照してほしい。

よくある質問

AIは役員向けスライドの文章も校正できますか?

できます。スライドのテキストをそのままコピーしてAIに貼り付け、「役員向けの資料として誤字・表記ゆれ・論理的な矛盾を指摘してください」と依頼すると、箇条書きで問題点を返してくれます。

校正に使うAIツールはどれがおすすめですか?

長文の処理能力と指示理解の精度からClaude 3.5 SonnetまたはGPT-4oが実務向きです。社内規定でクラウドサービスが制限されている場合は、オンプレ対応の選択肢を情報システム部門に確認してください。

AIの校正結果はそのまま使えますか?

最終確認は人が行う必要があります。AIは文脈を理解して修正案を出しますが、業界固有の用語や社内の表記ルールを知らないため、提案内容を必ず照合してから採用してください。

社外秘の資料をAIに貼り付けてもよいですか?

ツールの利用規約と社内のAIポリシーを事前に確認してください。機密性が高い数値や固有名詞はダミーデータに置き換えてから校正を依頼し、修正パターンだけを参照する方法が安全です。