職種別AI仕事術

広報のメール作成をAIで時短する方法

広報のメール作成をAIで時短する方法

この記事の要点

広報担当者がメール作成にAIを使うと、30分かかっていた媒体社への取材依頼文が5分で完成する。ChatGPTやClaudeへの具体的なプロンプトと、広報固有の注意点を解説する。

結論

広報担当者がAIをメール作成に使うと、媒体社への取材依頼や記者への情報提供文の下書きが、従来の5分の1程度の時間で用意できます。重要なのは「何を書いてほしいか」を正確に指示することで、プロンプトに送付先・目的・含める情報を盛り込めば、文体ごと変えた複数パターンも同時に出力できます。

広報のメール作成でAIが効く場面

広報業務では、同じ週に十数本のメールを書くことがあります。新製品発表前後に集中する媒体社へのご案内、記者からの問い合わせへの回答準備、社内広報用の告知文など、宛先ごとに文体と内容を変えながら大量に書く作業が続きます。

こうした場面でAIが特に力を発揮するのは次の3つです。

  • 複数の宛先向けに文体を変えた同内容のメールを一括で出す
  • 長い情報提供文書をもとに、媒体社向けの簡潔なご案内メールに変換する
  • 過去の文例から構造を取り出し、新しい案件に当てはめる

反対に、AIだけでは完結しない部分もあります。誤った数字や固有名詞をそのまま送ると信頼を損ないます。出力後の事実確認は省けません。

使うAIツール

**ChatGPT(GPT-4o)またはClaude(claude-sonnet系)**が広報業務での文章生成に向いています。どちらもブラウザから使え、日本語のビジネスメール生成の精度に大きな差はありません。

有料プランのほうが長い文章を一度に処理できるため、プレスリリースを素材にしてメールを書き起こすような使い方では有料プランが便利です。最新の料金・プランは各公式サイトで確認してください。

企業のセキュリティポリシーによっては、社外のAIサービスに機密情報を入力することを禁じている場合があります。社内ルールを確認してから使用してください。

手順:AIでメール下書きを作る

ステップ1 目的と宛先を整理する

AIに指示する前に、次の4点を箇条書きにします。

  • 誰に送るか(媒体名・担当者の属性)
  • このメールの目的(取材依頼、情報提供、日程調整など)
  • 含めたい情報(日時・場所・製品名・URL・希望するアクション)
  • 文体(丁寧語のみ、やや親しい関係、初めての接触など)

この4点が揃ってからプロンプトを書きます。この事前整理を省くと、AIが汎用的な文章しか出せず、結局ほとんど書き直すことになります。

ステップ2 プロンプトを書いてAIに渡す

以下はIT系媒体の記者に新製品の取材を依頼するメールを作るプロンプト例です。

【役割】
あなたは食品メーカーの広報担当者です。

【依頼】
以下の条件に基づいて、媒体社の記者向けの取材依頼メールを書いてください。

【条件】
- 宛先:IT系ビジネス誌「〇〇ビジネス」の食品担当記者・田中様(面識あり、2回目のご連絡)
- 目的:新製品「XXプロテイン飲料」の発表取材依頼
- 発表日:2026年7月10日(木)10時、東京都内の本社ショールームにて
- 取材対応者:代表取締役・山田太郎、商品開発部長・鈴木花子
- 希望アクション:7月5日(土)までに参加可否を返信してほしい
- 文体:丁寧だが親しみがあるビジネスメール。件名も含めて出力すること

【注意】
- 挨拶は「平素よりお世話になっております」で始める
- 製品の詳細はまだ公開前のため、詳細説明は「詳細は当日ご説明します」と記載する

このプロンプトを貼り付けて送信すると、件名と本文が出力されます。

ステップ3 出力を確認・修正する

出力された文章をそのまま使うのではなく、次の点を確認します。

  • 数字(日時・場所・担当者名)が正確か
  • 事実として書かれていない情報が含まれていないか
  • 自社の文体・慣習と合っているか
  • 相手との関係に対して丁寧さのレベルが合っているか

修正が多い場合は、プロンプトに「以下の点を直してください:〇〇」と追記して再出力します。複数回のやり取りで精度を上げていく使い方が実際には多いです。

ステップ4 複数パターンを出し比較する

取材依頼メールを初めて送る媒体社と、既存の関係がある媒体社とでは文体を変えたいことがあります。同じプロンプトに「パターンAは初対面向け、パターンBは継続取引向けで2パターン出力」と追記するだけで比較できます。

広報固有の2つの注意点

注意点1:まだ公開前の情報の取り扱い

取材依頼メールや情報提供メールには、発表前の製品情報・数字・人事情報が含まれることがあります。これらをAIサービスに入力する際は、社内のセキュリティガイドラインを必ず確認してください。

機密情報を含む場合は、固有名詞を仮名に置き換えて入力し、出力後に本来の情報を手作業で書き戻す方法が実務では使われています。たとえば「新製品名」を「製品A」、担当役員名を「山田部長」のように変えて入力し、文体と構造だけをAIに作らせてから、実際の名称に差し替えます。

注意点2:媒体ごとの文体の違い

日刊紙の経済面担当記者と、ITスタートアップ系のウェブメディアのライターでは、適切な文体がかなり異なります。プロンプトに媒体の種類や記者との関係性を具体的に書くと、出力の文体も変わります。「ビジネス誌・初回接触」「業界紙・3年以上のお付き合い」のように書くと精度が上がります。

過去に送ったメールの文体をプロンプトに貼り付けて「この文体に近いトーンで書いてください」と指示する方法も効果的です。媒体担当者ごとに自分が使っている文体見本を1〜2本ストックしておくと、プロンプトに使い回せます。

よくある失敗と対処

出力が長すぎる

プロンプトに「本文は300字以内」「3段落以内」のように文字数や段落数の制約を入れると短くなります。広報メールは短く要点だけを伝えるほうが読まれやすいため、この制約は実務でも有効です。

敬語が過剰になる

「〜でございます」の連続や二重敬語が出ることがあります。プロンプトに「二重敬語は使わない」「〜していただきたく存じますは使わない」と禁止語を書くと改善します。

固有名詞が間違って出る

AIは入力していない固有名詞を推測で補うことがあります。プロンプトに書いた情報以外の固有名詞が出力に含まれていたら削除してください。プロンプトに「指示に書いていない固有名詞は出力しない」と明記するのも有効です。

同じ表現が繰り返される

「ご多忙のところ恐れ入りますが」が何度も出るパターンがあります。禁止表現として書き出しておくか、出力後に手作業で直します。

議事録やプレスリリースとの連携

広報のAI活用は、メール単体で完結するより、他の業務と組み合わせると効率が上がります。

たとえば、広報の議事録をAIで自動作成する手順で書いたように、会議の議事録をAIで作ってから、その内容をもとにメディア向けの案内メールを出力する流れをつくると、情報の転記ミスが減ります。また、広報の提案書をAIでつくる進め方で紹介している構成整理の考え方は、情報量の多いメールを書くときにも応用できます。

メール返信の効率化については広報のメール返信をAIで速くする方法で別途解説しています。定型的な問い合わせ対応をパターン化したい場合はそちらを参照してください。

プロンプト集:広報の典型的なメールパターン

以下は、広報業務でよく書くメールのプロンプト構造をまとめたものです。条件部分を自分の案件に書き換えて使ってください。

【役割】
あなたは〔業種〕の広報担当者です。

【依頼】
次の条件のメールを作成してください。

【目的】
〔取材依頼 / 情報提供 / 日程調整 / お礼 / 問い合わせ回答〕

【宛先の属性】
〔媒体名〕の〔担当分野〕担当・〔担当者名〕様
関係性:〔初回 / 2回目以降 / 長期継続〕

【含める情報】
- 〔情報1〕
- 〔情報2〕
- 〔情報3〕

【希望するアクション】
〔日付〕までに〔何をしてほしいか〕

【文体・その他条件】
- 〔丁寧 / やや親しい〕
- 件名も含めて出力する
- 本文は〔文字数〕以内
- 使わない表現:〔禁止表現〕

このテンプレートを自社のフォーマットに合わせて調整し、チームで共有すると、メンバー間の品質が均一になります。

日常業務への組み込み方

メール作成をAIで効率化するには、単発で使うより定型化するほうが長続きします。よく書くメールのパターン別にプロンプトのひな型を3〜5本ストックし、Notionやスプレッドシートで管理しておくと、毎回ゼロから書く必要がなくなります。

媒体担当者から好評だった文章を見本として保存しておき、プロンプトに貼り付ける習慣もつけると精度が上がります。AIが出した文章を一言も直さずに送るより、人間らしい一文を1〜2行足したほうが関係が維持されやすいことも覚えておくとよいです。

新しい取材案件が来たときや発表前の準備期間に集中的に使い、効果を確認しながら自分のプロンプト集を育てていくのが実践的な進め方です。

よくある質問

広報のメール作成にAIを使うと品質は落ちますか?

文体や情報を正しく与えれば、人間が書いたものと遜色ない文章が出ます。ただし固有名詞・数字・相手の役職名は必ず人間が確認してから送信してください。

どのAIツールが広報のメール作成に向いていますか?

ChatGPT(GPT-4o)とClaude(claude-sonnet系)がよく使われています。どちらも日本語のビジネスメールに対応しています。最新の料金・機能は各公式サイトで確認してください。

プロンプトに何を書けばよいですか?

送る相手の属性、メールの目的、含めたい情報(日時・場所・製品名など)、文体(丁寧さの度合い)の4点を書くと、精度が上がります。

AIが出した文章をそのまま使っていいですか?

そのまま送信するのは避けてください。事実確認・固有名詞のチェック・トーンの微調整を人間が行い、最終責任を持ってから送信します。