職種別AI仕事術

広報の提案書をAIでつくる進め方

広報の提案書をAIでつくる進め方

この記事の要点

広報担当者がAIを使って提案書を作ると、媒体企画案や社内広報施策の骨格を1時間以内に仕上げられる。構成設計から本文生成まで、広報固有の場面に即したプロンプトと手順を解説する。

結論

広報の提案書作成でAIを使うと、「構成が決まらない」「説得力のある書き方がわからない」という最初の壁を乗り越える時間が大幅に短縮されます。AIに提案の背景・目的・結論を渡すと、30分以内に提案書の骨格が出ます。数字や根拠は人間が入れる前提で、構成と文体の生成をAIに任せるのが実務での使い方です。

広報の提案書でAIが効く場面

広報担当者が提案書を書く場面は大きく3種類あります。

  1. 媒体社への企画提案書:特集記事・タイアップ企画・取材企画を提案する文書。相手は媒体社の編集者や営業担当者。
  2. 社内広報施策の提案書:SNS運用方針・社内報リニューアル・危機対応マニュアルなどを経営層や上長に提案する文書。
  3. 外部パートナーへの依頼提案書:PR会社・デザイン会社・動画制作会社に業務を依頼する際の仕様・期待値を示す文書。

これらに共通する悩みは「最初の一枚が書けない」ことです。何を盛り込むべきか、どの順番で説明するかが決まらないまま時間が過ぎます。AIにこの「構成の初期設計」を任せると、白紙からの立ち上がりが速くなります。

使うAIツール

**ChatGPT(GPT-4o)またはClaude(claude-sonnet系)**で文章生成を行います。スライド形式の提案書を作る場合は、骨格となるテキストをAIで作ってから、PowerPointやGoogleスライドに貼り替える手順が現実的です。

MicrosoftのCopilotはWordやPowerPointに直接統合されているため、社内でMicrosoft 365を使っている場合はより連携がスムーズです。ただし社内システムのAI活用については情報システム部門や情報セキュリティ担当者に確認した上で使ってください。

手順:AIで提案書を作る

ステップ1 提案の核を自分で決める

AIに任せる前に、次の3点を人間が決めます。

  • 何を提案するか(具体的な施策・企画)
  • なぜ今この提案をするか(背景・課題・機会)
  • 相手にとってのメリット(媒体社であれば読者への価値、社内であればKPIへの貢献)

この3点が曖昧なままAIに構成を作らせると、汎用的すぎて説得力のない提案書になります。特に「なぜ今か」という根拠は人間にしか書けません。

ステップ2 構成案をAIに作らせる

上記3点を整理したら、提案書の構成をAIに出させます。

【役割】
あなたは広報担当者の提案書作成アシスタントです。

【依頼】
以下の条件をもとに、提案書の構成案を作成してください。

【提案の概要】
- 提案の内容:食品専門誌「〇〇フード」への健康食品特集のタイアップ企画提案
- 提案先:〇〇フード編集部・山田編集長
- 目的:新製品「XXプロテイン飲料」の読者層(30〜50代の健康意識の高い女性)へのリーチ
- 背景:競合他社が同誌への出稿を増やしており、早期に露出機会を確保したい
- 提案する企画内容:8月号での4ページタイアップ特集(製品紹介+管理栄養士監修のレシピ掲載)
- 自社側のメリット:発売前の認知獲得
- 相手(媒体社)側のメリット:健康食品分野の広告主獲得、読者への栄養情報提供

【構成要件】
- A4 2〜3枚程度(スライドなら4〜6枚)で収まる構成
- 結論(提案の要点)を最初に示す
- 数値の欄は「●●(要確認)」のように空欄として出力する
- 最後にアクション(次のステップ)を記載する

【出力形式】
各セクションの見出しと、そのセクションで書く内容のポイントを箇条書きで出力する

このプロンプトを送ると、提案書の目次と各セクションの要点が出ます。

ステップ3 構成に沿って本文をAIに出させる

構成が決まったら、各セクションの本文を順番に作ります。全部を一度に出すより、セクションごとに出す方が精度が上がります。

【依頼】
先ほどの提案書構成の「背景と課題」セクションの本文を書いてください。

【このセクションに含める情報】
- 現在の広報露出状況:健康食品カテゴリでの雑誌露出が過去6ヶ月でゼロ
- 競合の動向:競合A社が同誌に今年3回出稿している(社内調査)
- 新製品の発売スケジュール:2026年9月1日に全国展開
- ターゲット読者との接点:同誌読者の65%が同製品の想定ターゲット層(〇〇フード媒体資料より)

【文体】
- 数字を使って具体的に
- 大げさな形容詞を使わない
- 200字程度

このやり取りをセクションごとに繰り返します。

ステップ4 全体を通して読んで調整する

全セクションの本文が揃ったら、通して読んで次を確認します。

  • 各セクションのつながりが自然か
  • 数字や固有名詞が正確か(AIが補った数字が入っていないか)
  • 提案の結論が最初と最後で一致しているか
  • 相手にとってのメリットが明示されているか

「前のセクションの結論と、このセクションの出だしがつながっていない」という場合は、つなぎの1〜2文を人間が加筆すると読みやすくなります。

広報固有の2つの場面

場面1:メディアへの特集タイアップ企画提案

媒体社に対して特集企画や広告タイアップを提案する場合、相手は「読者にとっての価値」を最重視します。自社の商品説明だけを並べた提案は通りにくく、「この企画が読者の役に立つ理由」を前面に出す必要があります。

【役割】
あなたは消費財メーカーの広報担当者です。

【依頼】
以下の条件で、ビジネス誌への企画提案書の本文(全体)を作成してください。

【提案条件】
- 提案先:ビジネス誌「〇〇経済」の広告営業部・田中様
- 企画内容:「AIを活用した現場業務改善」特集への協賛広告
- 自社:業務効率化SaaSを提供するIT企業
- 掲載号:10月号(発売:9月25日)
- 提案するページ数:広告2ページ+事例インタビュー1ページ
- 読者層に対する価値:中小企業の業務担当者に具体的な改善事例を届ける
- 自社にとっての意義:同ターゲット層(中小企業の部門責任者)への認知獲得

【形式】
- A4 2枚以内
- 見出し・本文・表(提案内容の概要一覧)で構成
- 数字は「●ページ(媒体資料参照)」「●円(要見積)」のように未確定部分は明示
- 最後に「次のステップ」として打ち合わせ打診の一文を入れる

場面2:社内広報施策の承認を取る提案書

経営層や上長に社内広報の新施策を提案する場合、「なぜ今この施策が必要か」と「どうコストを正当化するか」が最大のポイントです。数字とKPIで説明できる構成にする必要があります。

【役割】
あなたは製造業の社内広報担当者です。

【依頼】
以下の条件で、経営層向けの社内報リニューアル提案書を作成してください。

【提案の背景】
- 現在の社内報:月1回の紙の社内報(A4 4ページ)
- 課題:閲読率が調査で32%と低く(昨年社内アンケート)、若手社員からの認知が低い
- 提案:紙の社内報を廃止し、社内SNS(〇〇Tool)での週次デジタル社内報に切り替える
- 期待効果:閲読率を60%以上に改善(他社事例として同様の取り組みで65%達成した事例あり)
- コスト変化:印刷・送付コストを年間●万円削減、ツール費用が月●万円増

【形式】
- A4 3枚以内
- 現状課題→提案内容→期待効果→コスト比較→スケジュール→承認依頼の順で構成
- コスト・数字の欄は「●(要確認)」として空欄にする
- 最後は「○月○日までにご承認をいただけますと幸いです」の一文で締める

うまくいかない場合のポイント

構成は良いが内容が薄い

AIが出す本文は「一般的に言えること」が中心になりがちです。自社固有のデータ・事例・背景をプロンプトに追記して渡すと、内容が厚くなります。特に「なぜ自社がこれをやるべきか」の部分は、外部情報ではなく社内の状況を人間が書き込む必要があります。

数字の根拠がない

提案書では数字の根拠が問われます。AIは数字を生成しますが、その数字に根拠はありません。プロンプトに数字を入力するときは「社内調査では〇〇%」「媒体資料によると〇〇万部」のように出所を明示し、AIはその数字をそのまま使うように指示します。「AIが作った数字を根拠に使う」ことは避けてください。

相手目線の内容になっていない

自社のメリットばかりが並ぶ提案書になることがあります。プロンプトに「相手にとってのメリットを最初のセクションに書く」と明記するか、出力後に「この提案書を相手の立場で読んだとき、メリットが伝わるか確認してください」と追加で依頼すると改善します。

提案書の素材として議事録を活用する

提案書の背景や課題を書くとき、過去の会議での議論が素材になることがあります。広報の議事録をAIで自動作成する手順で整理した会議記録が手元にあると、「なぜ今この提案をするか」の根拠として直接引用できます。

作成した提案書を説明するためのスライド資料については広報の資料・スライドをAIで仕上げる方法で解説しています。提案書とスライドを連動させると、プレゼン準備が一貫した流れになります。

提案した施策の結果をまとめる報告書の書き方については広報の報告書をAIで書く手順を参照してください。提案→実施→報告の流れをAIでサポートする仕組みを整えると、広報業務の効率が全体として上がります。

よくある質問

広報の提案書にAIを使うと、提案の独自性がなくなりませんか?

AIは構成や文章の枠組みを作るツールです。提案の核になる戦略・データ・自社固有の課題感は人間が考えます。AIに構成と文体を任せ、人間が内容を入れる分担が現実的です。

媒体企画提案書と社内広報施策提案書では使い方が違いますか?

宛先と目的が異なるため、プロンプトの条件部分を変える必要があります。媒体社向けは読者層・露出効果・スケジュールを重視し、社内向けは目的・KPI・コストを中心に構成します。

提案書の数字や根拠をAIが作ることはありますか?

AIは数字の根拠を自分で調べることはできません。提案書内の数字・市場データ・競合情報は、人間が調査して入力した情報のみ使ってください。AIが生成した数字を根拠として使うのは危険です。