職種別AI仕事術

人事の提案書をAIでつくる進め方

人事の提案書をAIでつくる進め方

この記事の要点

人事担当者が採用計画・研修制度・評価制度改定などの社内提案書をAIで効率よく作成する手順を解説。構成設計からプロンプト例・修正の流れまで実践的に説明する。

結論:提案書の作成時間を半分以下にできる

採用計画の変更、研修制度の新設、評価制度の改定——人事担当者が経営層や他部門に向けて提案書を作る場面は多い。提案書は構成を考えるだけで時間がかかり、文章を書き始めてもうまく論旨がまとまらないことが多い。

AIを使うと、「何を提案したいか」「相手は誰か」「課題は何か」を入力するだけで、論理的な構成と文章の骨格が数分で手に入る。これを人が肉付けしていく流れに変えると、提案書の作成時間が半分以下になる。


使うAIツール

提案書作成では、長い文章の一貫性を保つ能力が重要になる。

  • Claude(Anthropic): 長い文章でも前後の論理の一貫性を保つのが得意。提案書全体を通して書かせる場合に向いている。
  • ChatGPT(GPT-4o): セクションごとに分けて書かせやすく、特定のセクションを再生成させる操作がしやすい。
  • Notion AI: Notionで提案書を管理している場合、ページ内でAIに追記・修正を依頼できる。ツールの切り替えが不要。

手順:人事提案書の作成プロセス

ステップ1:目的と構成を先に決める

提案書をAIにいきなり書かせるよりも、まず構成案をAIに出させて人が承認する順序にするほうが最終品質が上がる。

以下が構成案を生成するプロンプト例だ。

あなたは人事コンサルタントです。
以下の提案書の目次案を作成してください。

【提案の目的】新卒採用の強化に向けた採用チャネルの多様化
【提案先】経営会議(社長・役員)
【背景・課題】
- 直近2年で新卒採用充足率が70%に低下
- 主要求人媒体Aの効果が年々落ちている
- 競合他社がSNS採用・リファラル採用を強化している

【提案書の構成要件】
- 経営層が意思決定しやすい構成
- 投資対効果の見通しを含める
- 実施スケジュール案を入れる

目次は5〜7項目で、各項目に1行の説明を付けてください。

出力された目次案を確認し、不要な項目を削除・変更してから次のステップに進む。

ステップ2:各セクションを順番に生成する

目次が固まったら、セクションごとにAIに書かせる。全部を一気に書かせるより、セクション単位で確認しながら進めるほうが品質を保ちやすい。

課題・背景セクションのプロンプト例:

提案書の「現状と課題」セクションを書いてください。

【含める内容】
- 直近2年間の採用充足率の低下(70%)
- 主要媒体の効果測定(応募数の減少、採用単価の上昇)
- 採用市場の環境変化(求職者のSNS活用増加)

【文体】経営会議向け。事実ベース・簡潔・数値を含む
【注意】推測の断言はしない。「〜の傾向がある」「〜と考えられる」の表現を使う
【分量】400字程度

同様の流れで「提案内容」「費用対効果の想定」「実施スケジュール」「リスクと対策」のセクションを順番に作成する。

ステップ3:全体の流れを確認して一貫性を整える

各セクションを並べたとき、論旨が一貫しているかを確認する。課題と提案内容がかみ合っているか、スケジュールの日付が矛盾していないかをチェックする。

整合性が取れていない部分はAIに修正を依頼する。

この提案書全体を読んで、論旨の流れに矛盾がある部分を指摘してください。
また、経営層が疑問に思う可能性がある箇所を3点挙げてください。

ステップ4:エグゼクティブサマリーを最後に作る

本文が完成したら、最後に1ページ目のエグゼクティブサマリーを生成する。本文の内容を入力として使える。

以下の提案書本文を元に、エグゼクティブサマリー(400字以内)を作成してください。

【含める要素】
- 提案の結論(何をしてほしいか)
- 課題の重大性
- 期待される効果
- 承認が必要な事項

【本文】
(完成した本文を貼り付ける)

人事固有のシナリオ:具体例2つ

シナリオ1:評価制度改定の提案書

半年に一度の評価制度が機能不全に陥っており、従業員満足度調査でも「評価基準が不透明」という回答が増えてきた。この状況を改善する提案書を経営会議向けに作成するケースだ。

このケースでは、現状分析→課題定義→改定内容→導入コスト→スケジュールの構成が典型的だ。AIへの入力として使う情報は、満足度調査の数値、現行制度の問題点のリスト、参考にしたい制度の概要だ。

評価制度改定の提案書を作成してください。

【提案先】役員会
【課題】
- 従業員満足度調査で「評価の透明性」の満足度が42点(100点満点)
- 評価結果に納得感がないという意見が多数
- マネージャーの評価スキルにバラつきがある

【提案内容の骨子】
1. 評価基準の行動指標化(バリューベース評価の導入)
2. 評価者研修の義務化(年2回)
3. 評価面談の記録化と人事レビュー制度の導入

【スケジュール案】
- 4月:制度設計
- 6月:パイロット部署での試験運用
- 10月:全社展開

【文体】役員会向け、データ重視、簡潔

シナリオ2:研修予算増額の提案書

人材開発担当として、来期の研修予算を前年比30%増にするよう経営層に提案したい。このような予算関連の提案書はROIの根拠が最重要だ。

研修予算の増額を経営層に提案する提案書を作成してください。

【現状】
- 現在の研修予算:従業員1人当たり年間5万円
- 業界平均:8〜12万円(業界白書参照)
- 人材の定着率:入社3年以内の離職率が28%(前年比+5%)

【提案】
- 研修予算を1人当たり8万円に引き上げ
- 重点投資:管理職研修、オンボーディング強化

【期待効果の論拠】
- 定着率改善による採用コスト削減(新卒採用コスト1人あたり100万円)
- エンゲージメントスコアの向上(研修充実と相関する先行研究あり)

【注意】確定的な数値保証はせず、「推計」「試算」の表現を使う

【文体】数値・根拠重視、簡潔

うまくいかない場合のポイント

論旨が弱く説得力がない場合

AIは与えられた情報をまとめることは得意だが、根拠のない主張を作り出すことはしない。提案書が弱い場合の多くは、入力する「事実・数値・根拠」が不足している。先に自分でデータを集め、それをプロンプトに入力することが重要だ。

文章が硬すぎて読みにくい場合

「この文章を経営者が読みやすいようにリライトしてください。難しい言葉を使わず、結論を先に書くスタイルに変えてください」という指示で調整できる。文体の調整はAIが得意とする作業だ。

提案内容が社内の事情と合っていない場合

AIは社内の文化・力学・前提を知らない。「当社では〇〇を重視する文化がある」「この提案を通すために〇〇部門の合意が先に必要」のような社内固有の文脈をプロンプトに追記すると、内容がその文脈に合ったものになる。


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よくある質問

提案書の構成はAIに考えてもらえますか?

はい。目的・対象者・解決したい課題をプロンプトに渡すと、AIが提案書の構成案(目次)を提示します。その構成を承認してから各セクションを生成させる流れが効率的です。

社内データや数値をAIに渡す際の注意点は?

社外秘の財務データや従業員の個人情報は入力しないことを推奨します。架空の数値を使ってプロンプトを試し、フォーマットが決まったら実際の数値を人が追記する運用が安全です。

役員向けと現場向けで提案書の書き方は変わりますか?

変わります。役員向けは投資対効果・リスク・意思決定事項を前面に出し、現場向けは具体的な手順・影響範囲・スケジュールを詳しく書きます。プロンプトで受信者を明示すると適切な重点配分で出力されます。

AIが作った提案書は説得力が出ますか?

構造と表現はAIが整えますが、数値・事例・背景となる文脈は人が入力する必要があります。AIは与えられた情報をわかりやすく整形するツールなので、具体的なデータを入力するほど提案書の説得力が上がります。