職種別AI仕事術

人事の業務チェックリストをAIで作る方法

人事の業務チェックリストをAIで作る方法

この記事の要点

採用・研修・労務管理のチェックリストをAIで作ると、抜け漏れが多い入社手続きや退職手続きの確認リストが30分以内に完成する。人事向けの手順とプロンプト例を解説する。

結論

入社手続きの書類確認、面接実施後の対応、退職手続きの抜け漏れ防止——人事業務は工程が多く、1つのミスが法的なトラブルや候補者体験の悪化に直結する。AIを使うとチェックリストの初稿が30分以内に完成し、抜け漏れを減らした上で更新もしやすくなる。

重要なのは、AIが作ったリストを「出発点」として扱い、自社の実態と最新の法令に合わせて人間が調整することだ。


人事業務でチェックリストが必要な場面

人事の業務は工程の多さと周期のばらつきが特徴だ。年1回しか発生しない退職手続きや、短期間に集中する採用シーズンの業務は、チェックリストなしで確実にこなすのが難しい。

業務チェックリストが特に重要な理由
入社手続き書類の種類が多く、提出期限が複数ある
退職手続き社会保険・雇用保険・税務と関係機関が多い
面接運営面接官が毎回変わる場合の品質統一
研修実施準備・当日運営・事後アンケートの工程が長い
評価サイクル管理評価入力・調整・フィードバックの期限が複数ある

使うAIツール

  • ChatGPT(GPT-4o): 構造化されたリストの生成が得意
  • Claude: 複雑な手順を整理して階層付きリストを作るのが得意
  • NotionやGoogleドキュメントのAI機能: 直接チェックリストのフォーマットに出力できる

社内で承認されたツールを選び、個人情報・評価情報はプロンプトに含めない。


ステップ別:チェックリストを作る手順

ステップ1 チェックリストの目的と使い手を確認する

プロンプトを渡す前に次の3点を決める。

  • 誰が使うか: 人事専任担当者か、採用に慣れていないマネージャーか
  • いつ使うか: 事前準備か・当日チェックか・事後確認か
  • どこで使うか: 紙・スプレッドシート・Notionなど

使い手が決まると、項目の詳細度が変わる。人事専任なら「社会保険加入手続き」の1行でよいが、初めて退職手続きを担当するマネージャーには「どの書類をいつ誰に提出するか」まで書く必要がある。

ステップ2 AIにチェックリストの骨格を作らせる

以下の条件で入社手続きチェックリストを作成してください。

【対象】中途入社社員の入社手続き
【使い手】人事担当者(採用経験2年以上)
【タイミング別に分けて作成】
  1. 入社1か月前にやること
  2. 入社1週間前にやること
  3. 入社日当日にやること
  4. 入社後1か月以内にやること

【含める項目の範囲】
  ・提出書類の収集と確認
  ・社会保険・雇用保険の加入手続き
  ・給与振込先の登録
  ・PCや社内システムのアカウント発行(IT部門への依頼)
  ・入社オリエンテーションの準備
  ・配属部門への事前連絡

【注意】法令に関する項目(社会保険・雇用保険)は「最新の手続き内容を確認してください」の注記を入れてください。

チェックボックス形式で、担当部署も記載してください(人事・IT・総務など)。

ステップ3 不足している項目を追加させる

初稿が出たら、自社固有の項目を追加依頼する。

先ほどのチェックリストに以下の項目を追加してください。

【追加する自社固有の手続き】
  ・セキュリティカード発行(総務に申請、所要日数:3営業日)
  ・社員証の写真撮影(入社日当日に実施)
  ・社内Slackへの招待(IT部門が担当)
  ・健康保険組合への加入案内の送付(入社後5日以内)
  ・試用期間中の評価面談スケジュールの設定(入社後2週間以内)

それぞれ「誰が担当するか」と「期限」も合わせて記載してください。

ステップ4 既存のチェックリストを改善する

すでに使っているチェックリストがある場合は、そのまま貼り付けて改善を依頼する。

以下は現在使っている退職手続きチェックリストです。
次の観点で改善してください。

1. 抜けている項目があれば追加する
2. 分かりにくい項目を具体的な表現に書き直す
3. 担当部署が書かれていない項目に「人事・総務・IT・本人」のいずれかを追記する
4. 法令に関わる手続き(社会保険・雇用保険・所得税)には「最新の手続き内容を確認」の注記を入れる

【現在のチェックリスト】
(ここに既存のリストを貼り付ける)

人事固有の場面:2つの具体例

例1 退職手続きの担当者向けチェックリスト

退職手続きは社会保険・雇用保険・所得税・貸与物返却と複数の関係機関への手続きが重なる。担当者が年に数回しか経験しない場合、抜け漏れが起きやすい。

退職手続きの人事担当者向けチェックリストを作成してください。

【退職者の状況】一般社員(正社員・自己都合退職)
【使い手】人事担当者(退職手続きの経験が少ない担当者でも使えるレベルで)
【含める手続きの範囲】
  ・退職日から逆算した手続きスケジュール
  ・社会保険の喪失手続き
  ・雇用保険の喪失手続きと離職票の発行
  ・源泉徴収票の発行
  ・貸与物の返却確認(PC・社員証・社章・健康保険証)
  ・社内システムアカウントの削除依頼
  ・退職金の計算・支払い確認(該当する場合)
  ・退職者本人への書類の郵送

【形式】退職日を起点とした日数での時系列形式(退職日30日前・14日前・退職日当日・退職日後など)

法令に関する手続きには「詳細は最新の公的機関の情報で確認してください」と注記してください。

例2 面接官向け面接実施チェックリスト

面接官が部門マネージャーの場合、採用面接の実施経験にばらつきがある。人事が事前に配布するチェックリストとして、面接前・面接中・面接後の行動を標準化する。

部門マネージャーが面接官として使う「面接実施チェックリスト」を作成してください。

【対象】中途採用の1次面接を担当する部門マネージャー
【使い手レベル】採用面接の経験が少ないマネージャーでも使える

【含める内容】
  面接前:
    ・応募者の書類(職務経歴書・履歴書)の確認
    ・評価シートの確認
    ・聞いてはいけない質問の再確認(プライバシー・家族構成・宗教など)
    ・面接場所またはオンライン会議URLの確認
  面接中:
    ・時間配分の確認(自社説明・質疑応答・逆質問のバランス)
    ・評価観点ごとのメモ記録
    ・終了時間を守ること
  面接後:
    ・評価シートの記入(当日中に提出)
    ・人事担当者への口頭フィードバック(合否の根拠を具体的に)

【注意】「聞いてはいけない質問」の例を3〜5個リストアップしてください。ただし法的根拠の詳細は「最新は厚生労働省の指針で確認」と注記してください。

うまくいかない場合のポイント

出力が汎用的すぎて自社の業務フローに合わない

プロンプトに自社固有の情報(使用しているシステム名・手続きの流れ・担当部署名)を追加する。「わが社では社会保険の加入手続きは直接担当者が年金事務所へ行く形で行っている」のように具体的に説明すると、それに合わせた内容になる。

法令関連の項目が古い

労働基準法・社会保険・雇用保険の手続きは毎年変更がある。AIが生成した項目は「概要を理解するための参考」として扱い、実際の手続き内容は厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構の最新情報で必ず確認する。

チェックリストが長すぎて使われない

「使い手が1分以内に全体を把握できるリストに絞ってほしい」とプロンプトで指定する。「最重要の10項目のみを抽出してほしい」という依頼も有効だ。重要度で絞った短いリストと、詳細版の長いリストを分けて作るのも一つの方法だ。

Notionやスプレッドシートの形式に変換したい

「このリストをMarkdownのチェックボックス形式に変換してほしい」または「スプレッドシートで使えるよう、項目・担当部署・期限・ステータスの4列構成にしてほしい」と依頼すると、そのまま貼り付けられる形式で出力される。


チェックリストの管理方法

作ったチェックリストを使い捨てにすると意味がない。以下の運用ルールを決めておくと、更新が継続する。

運用項目推奨方法
保存場所Notionやスプレッドシートの共有フォルダ
更新タイミング年1回の定期見直しと、手続きを実施するたびに気づいた点を追記
バージョン管理ファイル名に「入社手続きチェックリスト_v3_20260401」と日付とバージョンを入れる
更新担当チェックリストを実際に使った担当者が更新する(誰が担当するかを決める)

チェックリスト自体の更新も、変更点だけをAIに渡して「この変更を反映した形で書き直してほしい」と依頼する方法が速い。


人事業務別チェックリストの項目数目安

業務主要項目数の目安
入社手続き(中途)20〜30項目
退職手続き25〜35項目
面接実施(面接官向け)10〜15項目
研修実施(事前〜事後)15〜25項目
評価サイクル管理15〜20項目

これより多い場合は、使い手が読み飛ばすリスクがある。優先度を付けて「必須」と「推奨」に分けると使いやすくなる。


チェックリストは一度作って終わりではなく、使うたびに改善するものだ。AIを使えば、実際に手続きを行った後に「この項目が分かりにくかった」「この手順が抜けていた」という気づきを次のバージョンに反映する作業も速くなる。

業務マニュアル全体の作り方は人事の業務マニュアルをAIで作る手順にまとめている。研修の実施チェックリストと連動する研修プログラムの設計については人事の研修資料・プログラム設計をAIでやる方法を参照してほしい。

よくある質問

AIが作ったチェックリストをそのまま使えますか?

骨格として使えますが、そのままでは使えません。自社の規程・使用しているシステム・社内フローに合わせた修正が必要です。特に法令関連の項目は、最新の情報を確認して加筆・修正してください。

既存のチェックリストをAIで改善してもらえますか?

できます。既存のチェックリストをプロンプトに貼り付けて「抜けている項目を追加してほしい」「分かりにくい項目を書き直してほしい」と依頼する方法が有効です。

法令に関する項目はAIに任せて問題ありませんか?

問題があります。労働基準法・社会保険・育児介護休業法など法令に関わる項目は、AIが古い情報をもとに書くことがあります。必ず最新の公式情報と照合して修正してください。

入社手続きと退職手続き、どちらのチェックリストが作りやすいですか?

どちらも作れます。入社手続きは提出書類が中心で比較的シンプル、退職手続きは社会保険・雇用保険・貸与物返却など複数の関係機関への手続きを含むため項目が多くなります。