研修資料をAIで作る手順
この記事の要点
研修のゴールと対象者をAIに渡すと、構成案・スライド原稿・ワークシート・テストの下書きが1〜2時間で揃う。人事担当者向けに手順とプロンプト例を解説。
結論
研修の対象者・ゴール・時間を整理してAIに渡すと、構成案・スライドの原稿テキスト・グループワーク設計・確認テストの4点が1〜2時間で揃います。ゼロから資料を作る2〜3日の作業を、確認と仕上げ中心の半日に短縮できます。
研修資料作成でAIを使う効果
人事担当者が研修資料を作る作業は、内容の検討・構成決め・スライド作成・ワーク設計・テスト作成と複数のフェーズがあります。特に新入社員研修・管理職研修・コンプライアンス研修のような毎年実施する研修は、毎回ゼロから作り直すのは非効率です。
AIを使うと、構成案と原稿テキストの初稿を短時間で出力できます。担当者は内容の正確さを確認し、自社事例を追加し、デザインを整える作業に集中できます。
使うAIツール
ChatGPT(GPT-4o)またはClaudeを使います。スライドのデザインそのものはAIには難しいため、テキスト原稿を生成してからPowerPointやGoogleスライドで資料を作成する流れが現実的です。
スライドの自動生成ツール(GammaやBeautiful.aiなど)と組み合わせる方法もあります。ただし最新の機能や料金は変わることがあるため、使用前に公式情報を確認してください。
手順
ステップ1:研修の設計情報を整理する
AIへのインプット前に、以下の情報を確定させます。ここが曖昧だと出力の方向性がぶれます。
- 研修名
- 対象者(職位・入社年数・人数)
- 研修後にできるようになってほしいこと(行動目標)
- 研修の時間(例:半日・90分)
- 講義とワークの比率
- 関連する自社方針・規定(ある場合)
行動目標は「理解する」「知る」ではなく「〇〇の場面でAを選べる」「〇〇を自分で実行できる」のように行動で書きます。ここを具体化するだけで、AIの出力の精度が大きく変わります。
ステップ2:構成案を生成する
まず全体構成の下書きを作ります。
以下の条件で、研修の構成案を作成してください。
【研修名】(例:ハラスメント防止研修)
【対象者】(例:全管理職、約40名)
【研修時間】(例:90分)
【行動目標】
- 部下への指導が「指導」か「ハラスメント」かの境界を自分で判断できる
- 問題事案が起きた場合に、最初に取るべき行動を説明できる
【社内方針との関連】(例:就業規則第〇条に基づく)
【講義とワークの比率】(例:講義40分・ケーススタディ30分・グループ討議20分)
構成案は時系列順で、各セクションの目的と時間配分を含めてください。
出力例のイメージ:
1. オープニング(10分)
目的:参加者の問題意識を引き出す
内容:ハラスメントによる組織への影響事例の提示
2. 基礎知識(20分)
目的:ハラスメントの定義と種類を整理する
内容:パワハラ・セクハラ・マタハラの定義、法的根拠
3. ケーススタディ(30分)
目的:グレーゾーンの判断力をつける
内容:3つのシナリオに対して「OK/NG/グレー」を判断するワーク
...
この構成案を現場の担当者や外部講師と確認し、修正してから次のステップへ進みます。
ステップ3:スライド原稿テキストを生成する
構成が決まったら、各セクションのスライドテキストを作ります。
以下の研修構成の「基礎知識セクション(20分)」について、スライドのテキスト原稿を作成してください。
【セクションの目的】ハラスメントの定義と種類を整理する
【対象者】管理職
【スライド枚数目安】8〜10枚
各スライドについて次の形式で出力してください。
- スライドタイトル
- 本文テキスト(箇条書き3〜5点、一点あたり30字以内)
- 講師が口頭で補足する説明(2〜3文)
- 注意点(法的根拠など確認が必要な箇所があれば指摘)
法令の具体的な内容は「最新は厚生労働省のガイドラインで確認が必要」と明示してください。
法令・規定に関わる内容は必ず担当者が最新情報と照合します。AIの出力には法改正が反映されていない可能性があるため、厚生労働省や人事院の最新ガイドラインと突き合わせてください。
ステップ4:ケーススタディとワーク設計を生成する
講義だけで終わる研修より、ワークがある研修の方が定着率が高くなります。ケーススタディの設計もAIに依頼できます。
管理職向けハラスメント防止研修のケーススタディを3つ作成してください。
【条件】
- 参加者が「これはOKかNGかグレーか」を判断して議論できるシナリオ
- 管理職が実際に遭遇しうる職場の場面設定にする
- シナリオ1:明らかにNGな事例
- シナリオ2:判断が難しいグレーゾーンの事例
- シナリオ3:被害者・加害者・目撃者の3者それぞれの立場を考えさせる事例
各シナリオは200〜300字の状況説明と、グループで議論するための問いを2〜3問含めてください。
ステップ5:確認テストを作成する
研修後の理解度確認テストもAIで生成できます。
以下の研修内容をもとに、確認テストを作成してください。
【研修テーマ】ハラスメント防止
【行動目標】(ステップ1で設定したものを転記)
【問題数】10問
【形式】選択式(4択)5問、正誤問題3問、記述式2問
【難易度】研修直後に全員が7割以上正解できる難易度
各問題に正解と解説を付けてください。解説は2〜3文で、なぜその答えが正しいかを説明する形にしてください。
具体的な活用場面
新入社員研修を企画する場面を想定します。4月の入社直前に、ビジネスマナー・コンプライアンス・情報セキュリティの3テーマで合計3日間の研修を設計する依頼が人事担当者に来ます。従来は各テーマの担当者が資料を個別に作成し、3週間かかっていました。
AIを使う場合は、各テーマの行動目標と時間配分を整理し、3テーマ分の構成案を半日で作成します。構成案を確認してもらった後、スライド原稿とワーク設計を2〜3日で生成します。担当者が事実確認と自社事例の追加を行い、最終仕上げまで1週間以内で完了できます。
もうひとつの場面は、管理職向けの目標設定研修の更新です。昨年の資料をもとに「今年は部下の自律性を高める観点を追加したい」という要望がありました。既存の資料テキストをAIに渡し「部下の自律性を引き出すコーチング的な観点を盛り込んで構成を更新してください」と依頼すると、改訂版の構成案が30分で出てきます。
研修と並行して評価コメントの業務が重なる時期は評価コメントをAIで下書きする方法と組み合わせることで、評価期間の業務負荷を分散できます。
うまくいかない場合のポイント
出力が教科書的すぎて自社に合わない場合: プロンプトに自社の業種・規模・文化に関する情報を追加します。「製造業、従業員200名、管理職の平均年齢45歳」のような情報を入れると出力が変わります。また「一般的な説明は最小限にし、自社の管理職が日常的に遭遇する場面に近い事例を使ってください」と指示する方法も有効です。
法令・規定の内容が古い場合: ハラスメント・個人情報保護・労働基準法など法令に関わる研修は、AIの出力に法改正が反映されていないことがあります。厚生労働省・個人情報保護委員会などの公式サイトで最新情報を確認してから資料に反映してください。
スライド枚数が多くなりすぎる場合: 「90分の研修で使うスライド枚数は最大20枚に絞ってください」のように上限を指定します。内容が多い場合は補足資料として別ファイルにする方法も提示してもらえます。
研修の実施後に録音した内容を資料化する場合は人事の文字起こしをAIで整形する方法が活用できます。
まとめ
研修資料のAI作成は、人事担当者が構成案・テキスト・ワーク設計・テストを素早く揃えるための手段です。行動目標を明確に設定してからAIに渡す準備さえできれば、ゼロから作る2〜3日の作業を大幅に短縮できます。まず次回の研修テーマひとつで構成案の生成だけ試してみてください。
よくある質問
AIで研修資料を作るとき、何を最初に決めればいいですか?
研修後に参加者が「何ができるようになるか」という行動目標を最初に決めます。ゴールが明確でないと、AIが生成する内容も漠然としたものになります。「コンプライアンス研修を知る」ではなく「情報漏洩リスクを含む3つのシナリオに対して適切な行動を選べる」のように具体化します。
講師が外部の場合、AIで作った資料を渡していいですか?
外部講師に渡す前に、必ず内容の事実確認と自社方針との整合確認を行ってください。法令・社内規定に関わる内容は特に注意が必要です。AIの出力はあくまで下書きであり、最終確認は担当者が行う必要があります。
毎年同じテーマの研修で、前回の資料を更新する場合にもAIは使えますか?
使えます。前回の資料をテキスト化してAIに渡し、「法改正箇所を反映してください」「ワークの事例を最新の状況に更新してください」と指示することで効率よく更新できます。