評価コメントをAIで下書きする方法
この記事の要点
評価期間末に人事担当者が抱える大量のコメント作成を、面談メモ・実績データをAIに渡して下書き生成する手順で解決する。1件あたり20分の作業が5分以内になる。
結論
面談メモや実績データをAIに渡すと、評価コメントの下書きが1件あたり3〜5分で出力されます。評価期間末に20〜30人分のコメントを1週間かけて書いていた作業が、1〜2日に短縮できます。評価者の役割は「事実の入力」と「生成コメントの確認・加筆」だけになります。
人事評価コメントの作成でAIを活用する背景
評価期間の終わりに、管理職や人事担当者が全員分の評価コメントを書く作業は時間がかかります。特に部下が10人以上いる管理職は、1人あたり30分かけると合計5時間以上になります。期末の忙しい時期に集中するため、コメントの品質にばらつきが出やすい状況です。
AIを使うと、面談メモと実績情報を渡すだけで文章の骨格が出てきます。そこに評価者の判断を加えて修正する流れにすると、書く速度と文章の安定感が両立します。
使うAIツール
ChatGPT(GPT-4o)またはClaudeを使います。どちらも評価コメントのような構造化された文章生成が得意です。社内情報を扱うため、会社が契約しているツール(API経由で使うエンタープライズプランや、社内向けAIツール)を使うことを推奨します。個人アカウントで業務上の個人情報を入力する前に、会社のAI利用ポリシーを確認してください。
手順
ステップ1:入力情報を整理する
AIへのインプットを準備します。次の情報を事前にまとめておきます。
- 評価対象者の評価期間中の主な業務と担当プロジェクト
- 達成した成果(数字があれば具体的に)
- 課題や改善が必要だった点
- 評価軸・コンピテンシー項目(自社の評価制度に沿ったもの)
- 評価点(S/A/B/Cなど自社の評価段階)
数字がない場合も「プロジェクトを予定より2週間前倒しで完了させた」「チーム内でのファシリテーション役を自発的に担った」のような行動事実をメモしておきます。
ステップ2:下書き生成のプロンプトを送る
以下のプロンプトを使います。個人情報の観点から氏名は「Aさん」などに置き換えて入力することを推奨します。
以下の情報をもとに、人事評価のコメントを下書きしてください。
【評価期間】(例:2026年上半期)
【評価軸】(例:業務成果 / 行動特性 / チームへの貢献)
【総合評価】(例:A評価)
【主な成果と行動事実】
- (箇条書きで)
【課題・改善点】
- (箇条書きで、ある場合のみ)
【コメントの長さ】(例:200〜300字)
コメントは以下の構成で書いてください。
1. 評価期間で最も印象的な成果を1〜2文で示す
2. その行動特性(なぜその成果が出たか)を説明する
3. 次期に向けた期待や課題に触れる
誇張せず、事実に基づいた内容にしてください。
ステップ3:複数バリエーションを生成して選ぶ
評価コメントは評価者の言葉として本人に伝わります。AIが生成した文章に「自分ならこう言う」という表現で手を加えるために、バリエーションを複数出してもらうと選びやすくなります。
先ほどのコメントについて、次の2パターンを追加で作成してください。
- パターンB:課題に比重を置き、次期の改善を促すトーン
- パターンC:本人の成長を強調し、モチベーションを高めるトーン
3パターンの中から近いものを選び、不足している事実を加筆するのが最も効率的です。
ステップ4:事実確認と加筆修正をする
生成されたコメントを以下の観点で確認します。
- 記載されている成果・行動事実が実際にあったことか
- 「顕著な活躍」「素晴らしい成果」などの根拠のない誇張表現がないか
- 評価点と文章の内容が一致しているか(A評価なのに課題の話がメインになっていないか)
- 本人にとって納得感のある説明になっているか
加筆はAIが生成した骨格に具体的なエピソードを1〜2文追加するだけで大幅に改善されます。
具体的な活用場面
期末の評価業務で、人事担当者が全社員30名分の評価コメントを管理職に依頼し、取りまとめる場面を想定します。毎期、提出期限直前になって「コメントが薄い」「A評価なのにポジティブな表現が少ない」という修正依頼が発生していました。
AIを使う場合は、評価ヒアリング後に面談メモとスコアをプロンプトに整理し、管理職自身がコメント下書きを生成します。5分で下書きができるため、期日の余裕が生まれ、修正依頼の件数が減ります。
もうひとつの場面として、年次評価で1〜3年目の若手社員を10名評価する管理職の例があります。経験が浅いメンバーは実績の数字が少なく「何を書けばいいか」で悩みがちです。AIに「経験の浅いメンバーの評価コメントにおいて、行動・姿勢・成長の視点で書いてください」と指定することで、成果の数字に頼らないコメントを生成できます。
評価コメントの内容は面接やスカウトの文章作成にもつながります。評価期間中の行動事実が蓄積されるとスカウト文をAIで作る方法で活用できるリソースになります。
評価コメントの種類別プロンプト
評価コメントには複数の種類があります。種類によってプロンプトのトーンを変えます。
目標達成度コメント(数字で評価できる場合):
以下の数値実績をもとに、目標達成度に関する評価コメントを書いてください。
【目標】(例:新規受注10件)
【実績】(例:14件達成、達成率140%)
【補足】(例:重点顧客へのアプローチ戦略を自発的に見直した)
コメントは150字以内で、達成の背景となる行動を含めてください。
行動特性コメント(定性的な評価):
以下の観察事実をもとに、行動特性に関する評価コメントを書いてください。
【評価軸】(例:協調性・周囲への影響力)
【観察事実】
- 部門横断プロジェクトで調整役を担い、関係部署3部門の合意形成を進めた
- 週次ミーティングで後輩メンバーの発言を引き出す働きかけをしていた
コメントは150字以内で具体的に書いてください。
うまくいかない場合のポイント
コメントが抽象的になる場合: 入力情報の「成果と行動事実」が抽象的だと出力も抽象的になります。「積極的に取り組んだ」ではなく「週3回の進捗共有を自発的に設定した」「顧客クレームの一次対応を4時間以内に完了させた」のように具体的な行動に直してから入力します。
コメントが長すぎる場合: 評価シートの欄に収まらないことがあります。「200字以内に短くしてください」と追加指示を出すか、最初から文字数制限をプロンプトに入れておきます。
評価点と文章の整合性が取れない場合: 「このコメントはB評価の文章になっています。A評価として適切な表現に調整してください」と具体的に指摘すると修正できます。
面談メモの整理にAIを活用する場合は人事の文字起こしをAIで整形する方法が参考になります。
まとめ
評価コメントのAI活用は、評価者の作業量を減らすだけでなく、コメントの質の安定にも貢献します。AIが担うのは文章の骨格作りで、事実の確認と人間らしい言葉への調整は評価者が担います。今期の評価サイクルで1名分から試し、自分のコメント修正パターンをプロンプトに反映していくと、回数を重ねるほど効率が上がります。
よくある質問
AIが生成した評価コメントをそのまま使っていいですか?
そのまま使うのは避けてください。AIの出力は下書きです。実際の行動・成果と照合し、評価者本人が内容を確認・修正してから使います。事実と異なる記述が残ったまま評価書に載ると、評価制度への信頼が損なわれます。
評価コメントで個人情報をAIに送ることの問題はありますか?
氏名・職位・詳細な個人実績は個人情報に該当します。社内で承認済みのAIツールを使うか、プロンプトに個人を特定できる情報を含めないように注意してください。「メンバーAさん」などの代替表現を使う方法も有効です。
評価コメントが毎回似たような表現になります。どうすれば変えられますか?
プロンプトに「前回と異なる切り口でコメントを書いてください」「この人が特に成長した点に焦点を当ててください」などの条件を追加します。前回のコメントをAIに渡し「これと重複しないように」と指定する方法も効果的です。