人事の文字起こしをAIで整形する方法
この記事の要点
面接・研修・採用会議の録音をAIで整形すると、修正作業が30分から5分に縮まる。ChatGPTやClaudeへの貼り付けとプロンプト設計の手順を人事担当者向けに解説。
結論
面接後の文字起こし整形にAIを使うと、手作業で30分かかっていた修正が5分程度で終わります。文字起こしアプリで変換したテキストをそのまま貼り付け、用途に合ったプロンプトを添えるだけです。音声認識の誤字修正、話者ラベルの整理、不要な相槌の削除、要点の抽出まで一度の操作でできます。
人事業務での文字起こし整形の使い道
人事担当者が録音を文字起こしする場面は主に3つあります。
- 面接の振り返り記録(応募者の発言を評価シートに転記する)
- 採用会議の議事録(複数の評価者の発言をまとめる)
- 研修の内容記録(講師の説明を資料化する)
いずれも共通の課題があります。文字起こしアプリの出力は「えー」「あのー」などの言い淀みが残り、誤変換が混じり、段落が切れていません。そのまま使えるテキストにするための修正作業が、実務上のボトルネックになっています。
使うAIツール
ChatGPT(GPT-4o)またはClaudeを使います。どちらもブラウザから使え、長文のテキストを貼り付けて整形できます。2026年6月時点では両ツールとも無料プランで試せますが、文字数が多い場合は有料プランの方が処理できる量が多くなります。最新の料金と制限は各社公式サイトで確認してください。
文字起こし自体にはNottaやAmiVoice、Zoom/Teamsの録音機能が使えます。会社が契約しているツールがあればそれを使い、出力したテキストをAIへ渡します。
手順
ステップ1:音声を文字起こしアプリで変換する
ZoomやTeamsの録音機能を使っている場合は、自動生成されるトランスクリプトをダウンロードします。専用アプリを使う場合はNottaやAmiVoiceに音声ファイルをアップロードし、テキスト出力を取得します。
出力例:
えーそれでは今日はですね、面接に来ていただいてありがとうございます、あのー前職のことをもう少し聞かせていただきたいんですが前職ではどんな業務を担当されていましたか?はいそうですね私はえーと営業部で主に新規開拓を担当してまして年間50社ほどを担当してました
このままでは使えません。次のステップでAIに整形させます。
ステップ2:AIへ貼り付けてプロンプトを送る
ChatGPTまたはClaudeを開き、以下のプロンプトとテキストを一緒に貼り付けて送信します。
以下は面接の文字起こしです。次の処理をしてください。
1. 「えー」「あのー」「えーと」などの言い淀みを削除する
2. 話者を「面接官」「候補者」の2種類でラベルする
3. 句読点を補い、一文ずつ改行する
4. 同じ内容の繰り返しは一方を残して削除する
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(ここに文字起こしテキストを貼り付ける)
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出力例:
面接官:前職でどのような業務を担当していましたか?
候補者:営業部で新規開拓を担当していました。年間で約50社を担当していました。
ステップ3:要点を抽出する(評価記録用)
整形済みテキストができたら、評価シートに転記するための要点抽出も同じ会話の中でできます。
先ほど整形した面接テキストから、以下の観点で要点を箇条書きにしてください。
・業務経験(年数・担当領域)
・実績(数字があれば含める)
・志望動機
・懸念点(あれば)
この出力を評価シートのコメント欄にそのまま貼り付けるか、加筆修正して使います。面接直後に5分で記録が完成するため、記憶が薄れる前に正確な情報を残せます。
ステップ4:議事録形式に変換する(採用会議用)
採用会議の録音を整形した後、そのまま議事録にまとめることもできます。
以下は採用会議の文字起こし整形済みテキストです。
以下の形式で議事録を作成してください。
【日時】〇月〇日
【参加者】(テキストから読み取れる範囲で)
【議題】採用可否の検討
【決定事項】
【主な意見】(賛成・懸念ごとに分類)
【次のアクション】
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(整形済みテキストをここに貼る)
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うまくいかない場合のポイント
誤変換が多い場合: 文字起こしアプリの精度は録音環境に依存します。雑音が多い会議室や電話越しの音声は認識精度が下がります。AIに渡す前に、明らかな誤変換(「採用」が「際用」になっているなど)を手動で直しておくと出力の質が上がります。
テキストが長すぎてエラーになる場合: 1時間以上の会議は1万字を超えることがあります。30分ごとに区切って複数回に分けて送ると処理できます。ChatGPTの無料プランは一度に処理できる文字数が有料プランより少ないため、長い音声は有料プランを使うか、Claudeで試してみてください。
話者が混在していて分けられない場合: 文字起こしアプリ側で話者分離ができていないテキストに「面接官」「候補者」を自動でラベルさせるのは難しいです。プロンプトに「面接官の発言は質問形式、候補者の発言は回答形式」と補足するか、最初の発言だけ手動でラベルを付けてから渡すと精度が上がります。
固有名詞が崩れる場合: 会社名や商品名は文字起こしで誤変換されやすく、AIも誤りを引き継ぐことがあります。候補者の前職企業名など重要な固有名詞は必ず目視で確認してください。
面接記録でのプロンプト具体例
たとえば中途採用の面接で、営業職の候補者を複数名評価する場面を想定します。1日に5名を面接する場合、従来は翌日にまとめて文字起こしを修正し、評価シートに転記するという作業が発生していました。この作業が1人あたり30分とすると、5名で2時間半かかります。
AIを使うと面接終了直後にテキストを貼り付け、3分で整形と要点抽出が完了します。5名分で15分以内に記録が揃い、翌日の採用会議に向けた準備が当日中に終わります。
研修の場合も同様です。外部講師を招いた半日研修の録音を整形する作業は、従来なら担当者が翌日から数日かけて行っていました。AIを使えば研修終了後にその日のうちに資料化でき、参加できなかった社員への共有が翌朝には可能になります。詳しい研修資料の作り方は研修資料をAIで作る手順で解説しています。
個人情報の取り扱い
面接音声には候補者の氏名・住所・前職の情報など個人情報が含まれます。社内で承認済みのAIツールを使い、データが外部のモデル学習に使われない設定になっているかを必ず確認してください。ChatGPTはアカウント設定から「データを学習に使用しない」設定が可能です。Claudeは法人向けプランでデータ利用の制限が選べます。最新の設定方法は各社公式情報で確認してください。
候補者の固有名詞(氏名・前職社名)をプロンプト送信前に「A氏」「B社」に置き換える方法も有効です。整形後に元の情報に戻してから保存すれば、外部にデータを送らずに済みます。
求人票の作成にAIを活用する方法は求人票をAIで作成する方法で詳しく解説しています。評価コメントの下書きについては評価コメントをAIで下書きする方法も参考にしてください。
まとめ
文字起こし整形は、AIを使うことで最も短時間で効果が出る人事業務のひとつです。文字起こしアプリで変換したテキストにプロンプトを添えて貼り付けるだけで、言い淀みの除去・話者ラベル・要点抽出が一度に完了します。面接1件あたりの記録作業を数十分から5分以内に縮めることを、明日の面接から試してみてください。
よくある質問
AIで文字起こしを整形するとき、個人情報の扱いはどうすればいいですか?
面接音声や候補者名など個人情報が含まれる場合は、社内で承認済みのAIツール(プライバシー規約でデータが学習に使われないもの)を使うか、固有名詞を伏せ字に置き換えてから入力してください。会社のAI利用ポリシーが最優先です。
文字起こしアプリとAI整形ツール、どちらを先に使いますか?
まずAmivoiceやNottaなどの文字起こしアプリで録音を変換し、出力されたテキストをChatGPTやClaudeへ貼り付けて整形します。文字起こしとAI整形は別ステップです。
話者が複数いる面接音声でも整形できますか?
話者分離に対応したアプリ(Notionのミーティング録音、Firefliesなど)を使うと、「面接官:〇〇」「候補者:〇〇」の形式で出力されます。その状態のテキストをAIに渡すと、話者ごとの要約も作れます。