職種別AI仕事術

マーケティングの提案書をAIでつくる進め方

マーケティングの提案書をAIでつくる進め方

この記事の要点

AIを使ってマーケティング提案書を作成する具体的な手順を解説。構成設計からスライド本文の生成まで、プロンプト例とともに作業時間を大幅に短縮する方法を紹介する。

結論

マーケティング提案書の作成でAIが最も効果を発揮するのは、「構成を考える」段階と「各セクションのたたき台を書く」段階だ。構成設計には経験があっても、実際に文字にするまでに時間がかかることが多い。AIはその両方をプロンプト1つで処理してくれる。

ただし、提案書に含める数値・競合分析・顧客固有の状況は人間が用意する必要がある。AIに渡す情報の質が、出力の質を直接決める。


使うAIツール

提案書作成には、長文生成と論理構成が得意なツールを選ぶ。

ツール特徴
Claude長い文脈を保持しながら複数のセクションを一貫した論旨で書ける
ChatGPTカスタム指示を設定でき、繰り返し使う提案書の型を登録しやすい
Notion AINotion内で直接書きながら修正できる

提案書の最終形がPowerPointやKeynoteの場合は、AIでアウトラインと本文を作り、スライドソフトに転記する流れになる。スライドの仕上げについてはマーケティングの資料・スライドをAIで仕上げる方法で詳しく解説している。


手順:AIで提案書を作る

ステップ1:提案の前提情報を整理する

AIに渡す情報を先に整理する。この工程を省くと、どのAIを使っても一般論しか出てこない。

まとめておくべき情報:

  • 顧客の状況:業種・規模・現在の課題・これまでに試した施策と結果
  • 提案の目的:新規獲得なのかリテンション強化なのかブランド認知なのか
  • 使える予算・期間:施策の現実的な規模感
  • 競合との差別化ポイント:なぜ自社の提案なのか
  • 過去の実績データ:類似施策での数値(CTR・CPL・CVRなど)

ステップ2:AIに構成案を出させる

情報が整ったら、まず構成だけを出力させる。

あなたはマーケティングコンサルタントです。
以下の情報をもとに、提案書の構成案を作成してください。

■ 顧客の状況:
- 業種:中堅の人材紹介会社(従業員200名規模)
- 課題:Webからのリード獲得が低迷。問い合わせ数が前年比60%に落ちている
- これまでの施策:リスティング広告を3年運用。直近6ヶ月でCPLが2倍に悪化

■ 提案の目的:SEOとコンテンツマーケティングへの移行で、12ヶ月後にCPLを現状の半分にする

■ 使える予算:月額80万円(内容次第で増額検討あり)

■ 提案書の読者:マーケティング部長と経営企画部長

構成案のみ出力してください。各章のタイトルと、そこで伝える内容を1〜2文で説明してください。

構成案を先に確認することで、方向性のずれを本文生成前に修正できる。

ステップ3:章ごとに本文を生成する

構成案を確認・修正したあと、章を1つずつ指定して本文を生成させる。

先ほどの構成案の「第2章:現状分析と課題の整理」を本文として書いてください。

■ 含めるべき内容:
- CPLが2倍になった要因の分析(リスティング広告市場の競争激化・自社のキーワード戦略の見直し未実施)
- Webサイトのオーガニック流入が全体の15%しかない点を課題として示す
- 競合他社がコンテンツマーケティングに移行していることを言及する

■ 文体:提案書として自然な文語体。断言しすぎず、データを根拠にした書き方
■ 文字数:600〜800字

本文のみ出力してください。見出しは「## 現状分析と課題の整理」にしてください。

章ごとに生成することで、各章の情報を精度高く渡せる。

ステップ4:数値・データを確認して人間が肉付けする

AIが生成した本文の中で確認するのは以下の点だ。

  • 数値の根拠:AIが生成した「市場規模○○億円」などの数値は独自に確認する
  • 主張の整合性:前の章で述べたことと矛盾していないか
  • 顧客固有の状況への対応:一般論に終始していないか。顧客名・業界特有の事情が反映されているか

確認後、正確なデータを入れ直し、実績数値や事例を補足する。

ステップ5:エグゼクティブサマリーを最後に作る

提案書の冒頭に置くエグゼクティブサマリーは、本文が完成してから作るのが効率的だ。

以下の提案書の本文全体をもとに、エグゼクティブサマリーを作成してください。

■ 読者:意思決定者(経営企画部長・マーケティング部長)
■ 含めるべき要素:
  - 顧客の課題を1文で(数値込みで)
  - 提案の核心を1文で
  - 期待できる成果を数値で(根拠があるものだけ)
  - 必要なアクションを1文で
■ 文字数:300字以内

[本文全体をここに貼り付け]

マーケターが遭遇する具体的な場面

場面1:新規クライアント向けの初回提案書を3日で仕上げる

社内の他チームからマーケティング支援の依頼を受けた。初回の提案書を今週末までに作る必要があるが、通常1週間かかる作業量だ。

AIで構成案を1時間で作り、各章のたたき台を半日で生成させ、残りの1.5日を数値確認・事例収集・デザイン調整に使う。全体の作業時間は変わらないが、考える時間が減り、確認と改善に時間を使えるようになる。

この流れで提案書の「構造の論理性」「網羅性」は上がる。内容の正確さは人間の確認に依存するため、そこに時間を集中させることが品質を保つ鍵になる。

場面2:年間マーケティング計画書をAIで構造化する

期初に作る年間マーケティング計画書は、複数の施策・予算・KPIを整理した複雑な文書だ。例年、作成に1〜2週間かかり、担当者の負担になっている。

AIに「年間計画書の構成案」を出力させることで、見落としがちな章(リスクと対策・評価指標の測定方法など)を構成段階で把握できる。

BtoB SaaSのマーケティング担当者として、年間マーケティング計画書の構成案を作成してください。

■ 対象期間:2026年度(4月〜3月)
■ 主な施策:コンテンツマーケティング・ウェビナー・展示会
■ KPIの軸:リード獲得数・商談化率・CAC(顧客獲得コスト)
■ 読者:経営層および事業部長

以下の点を必ず含んでください:
- 前年度の振り返りと課題
- 市場環境の変化への対応(外部環境分析)
- 施策ごとの予算配分の考え方
- リスクと対策
- 月次・四半期でのKPI測定計画

章タイトルと各章で述べることの概要を出力してください。

うまくいかない場合のポイント

出力が一般論になりすぎる

「マーケティング提案書を作ってください」だけでは、業界の教科書のような内容しか出ない。顧客の固有情報・数値・業界特有の状況をプロンプトに入れるほど、実態に近い出力になる。

AIが生成した数値が間違っている

AIは存在しない数値を生成することがある。提案書に使う数値はすべて人間が別途確認し、根拠とともに入れ直す。「AIが言っていた」は根拠にならない。

章ごとの論旨が一貫しない

1度のプロンプトで全章を生成しようとすると、前後の章で矛盾が生じやすい。章を1つずつ生成し、前の章の内容を「前提情報」としてプロンプトに含めることで論旨のずれを減らせる。


提案書と報告書を連動させる

提案書で立てたKPIの達成状況を示す報告書の作成にも、同じ考え方でAIを活用できる。マーケティングの報告書をAIで書く手順では、月次・四半期の報告書を素早く仕上げる手順を解説している。


まとめ

AIで提案書を作る際の核心は「情報の質」だ。顧客の状況・課題・数値・競合情報を事前に整理してプロンプトに渡すほど、出力は実態に近づく。構成案を先に確認し、章ごとに本文を生成し、数値と主張の整合性を人間が確認する流れを守れば、品質を保ちながら作成時間を大幅に短縮できる。

エグゼクティブサマリーは本文完成後に作ることで、全体の論旨を正確に反映した文章になる。

よくある質問

AIで提案書を作ると、内容の薄い資料になりませんか?

情報をどれだけ詳しくプロンプトに渡すかによって変わる。競合状況・顧客の課題・過去施策の実績などの具体情報を渡せば、AIはそれをもとに内容のある提案書を生成できる。情報を与えずに「提案書を作って」と投げるだけでは薄くなる。

AIが生成した提案書の数値は信頼できますか?

信頼できない。AIは文脈から「それらしい数値」を生成することがある。提案書に使う数値・市場規模・実績データは、必ず人間が別途確認し、信頼できる一次情報を根拠として入れ直す必要がある。

提案書の構成だけAIに作らせて、本文は自分で書くのはありですか?

非常に有効な使い方。構成設計はAIが得意で、人間が見落としがちな章立ての論理的な流れを補完してくれる。構成をAIに作らせ、各セクションの文章は自分で書くと、AIの速度と人間の知識を最大限に組み合わせられる。