職種別AI仕事術

マーケティングの資料・スライドをAIで仕上げる方法

マーケティングの資料・スライドをAIで仕上げる方法

この記事の要点

AIを使ってマーケティング資料やスライドを効率的に作成する手順を解説。アウトライン設計からスライドごとの文章生成まで、プロンプト例とともに紹介する。

結論

マーケティング資料を作るときにAIが効く場面は2つある。「何を伝えるか整理する」段階と、「スライドの文章を書く」段階だ。どちらも時間がかかるが、前者は構造的思考、後者は言語化力がそれぞれのボトルネックになる。AIはその両方をプロンプト1つで処理できる。

PowerPointやKeynoteの操作そのものはAIにはできないため、人間が担う作業として残るが、資料作成の全体工程は半分以下になることが多い。


使うAIツール

スライド作成では、使う場面に合わせてツールを分けるのが現実的だ。

テキスト・構成の生成

ツール特徴
Claude長い文脈を一貫したストーリーで整理できる。提案資料の論理構成に向いている
ChatGPTスライドの文章量産に使いやすい。カスタム指示で自社のトーンを設定できる

スライドの自動生成(専用ツール)

ツール特徴
Gammaテキスト入力からスライドを自動生成。デザインも同時に適用される
Beautiful.aiプロフェッショナルなデザインのスライドを自動生成
Microsoft CopilotPowerPointと連携し、テキストから直接スライドを生成できる

最新の機能・料金は各公式サイトで確認してほしい。


手順:AIでマーケティング資料を作る

ステップ1:資料の目的と読者を明確にする

資料を作る前に、次の3点を整理する。

  • 読者:誰が読むか(経営層・部門長・現場担当者・社外顧客)
  • 目的:承認を得るのか、情報を伝えるのか、行動を促すのか
  • 伝える時間・枚数:10分のプレゼン資料と、自分で読んでもらう資料では構成が変わる

この整理ができると、AIへの指示が具体的になり、出力の方向性がぶれにくくなる。

ステップ2:AIにアウトラインを出させる

まず構成を作り、確認してから本文に進む。

以下の目的でマーケティング資料のアウトラインを作成してください。

■ 資料の目的:既存顧客向けのアップセル提案(追加オプションの導入を検討させる)
■ 読者:既存顧客の情報システム部長(自社のSaaSを1年間使用中)
■ プレゼン時間:20分
■ 伝えたいこと:
  - 現在の利用状況では達成できない課題がある
  - 追加オプションでその課題が解決できる
  - 導入に必要なコストと期間の概要
■ 枚数:10〜12枚

各スライドのタイトルと、そのスライドで伝える1つのメッセージを出力してください。

アウトラインは「各スライドで伝える1つのメッセージ」を明確にするために使う。1枚のスライドに複数のメッセージを詰め込む構成になっていたら、この段階で修正する。

ステップ3:スライドごとに文章を生成する

先ほどのアウトラインの3枚目「現在の利用状況と達成できていない課題」のスライド本文を作成してください。

■ メッセージ:現状の設定では、部門間でのデータ共有ができておらず、週次レポートに人手がかかっている
■ サポート情報として入れたいこと:
  - 担当者の手作業時間が週あたり4〜6時間かかっていること
  - データの更新が手動のため、情報の遅延が発生していること
■ スライド形式:タイトル + 箇条書き3点(各点20〜30字)
■ 本文冒頭のリード文:1文(40字以内)

出力してください。

スライドごとに生成することで、各スライドの情報を正確に渡せる。全スライドを一気に生成しようとすると、各スライドのメッセージが薄くなる。

ステップ4:デザインと数値を人間が確認する

AIが生成したスライド文章で確認するのは以下だ。

  1. 数値の正確さ:「週4〜6時間」「コスト削減30%」などの数値が根拠のある情報か
  2. メッセージのブレ:スライドを流して読んだとき、全体のストーリーが通っているか
  3. 読者に合わせた言葉遣い:技術的な文書が苦手な経営層向けに専門用語が多すぎないか

マーケターが遭遇する具体的な場面

場面1:四半期の成果報告資料を1日で作る

四半期ごとの経営報告では、施策の実績・KPIの達成状況・次四半期の方針を20枚程度のスライドにまとめる必要がある。データの収集と整理に2日、資料作成に2日と、毎回1週間近くかかっている。

AIを使う場合、データ収集は人間が行い、スライドの構成と文章生成をAIに任せると作成部分の時間が大幅に短縮できる。

四半期マーケティング報告資料のアウトラインを作成してください。

■ 期間:2026年1〜3月(第1四半期)
■ 読者:経営会議(社長・事業部長)
■ 含める内容:
  - KPIサマリー(リード獲得数・CPL・商談化率)
  - 施策別の実績評価(コンテンツ・ウェビナー・広告)
  - 課題と改善点
  - 次四半期の方針と予算案
■ 時間:15分プレゼン、20枚以内

アウトライン(スライドタイトルと各スライドの1メッセージ)を出力してください。

構成が決まったら、施策別の実績スライドを「データをここに渡すので文章化してください」とセクションごとに依頼する方が、一括依頼より精度が高い。

場面2:新サービスの紹介資料を外部向けに作る

新サービスのリリースにあわせて、見込み顧客に渡す紹介資料を作る。サービスの特徴は整理されているが、どう伝えれば刺さるかが決まっていない段階だ。

AIに「読者視点での課題出発型の構成」を作らせると、自社目線でなく顧客視点の資料になりやすい。

以下の新サービスを紹介する外部向け資料のアウトラインを作成してください。

■ サービス概要:中小企業向けのマーケティング分析SaaS(リード管理・広告効果測定・レポート自動化)
■ ターゲット:マーケティング担当者が1〜3名の中小企業
■ 読者が抱えている課題:
  - 広告の費用対効果が把握できていない
  - リードの管理をExcelでやっており限界を感じている
■ 競合との差別化:導入が1日で完了・月額3万円からの低コスト

読者の課題から始まり、サービスが解決策として登場する構成にしてください。
スライドタイトルと各スライドのメッセージを出力してください。

課題から解決策へという流れは、読者が「自分ごと」として受け取りやすい構成だ。AIに「読者の課題から始める」と明示するだけで、自社目線の紹介にならない構成になる。


うまくいかない場合のポイント

スライドのメッセージが曖昧になる

「このスライドで何を伝えるか」が不明確なままプロンプトを書くと、AIも曖昧な文章を返す。各スライドの「1つのメッセージ」を先に自分で決め、それをプロンプトに書くのが最も確実な対処だ。

箇条書きが多すぎてスライドが読みにくくなる

AIはデフォルトで箇条書きを多用する傾向がある。「箇条書きは3点まで」「1点30字以内」と具体的に指定すると、スライドに収まる量に収まりやすくなる。

デザインとの整合性が取れない

テキストの長さがスライドのデザインと合わない場合は、「◯文字以内」の指定を厳密にする。PowerPointのスライドであれば「1枚あたりの文字数は100字以内」と制約を入れると、情報量が適切になりやすい。


スライド作成と提案書の連動

スライドと提案書は同じ情報を異なる形式で表現するケースが多い。提案書のテキストをベースに、AIでスライド向けに要約・箇条書き化するワークフローにすると、両方を別々に作るより効率が良い。

提案書作成の詳細はマーケティングの提案書をAIでつくる進め方で解説している。報告書との連携についてはマーケティングの報告書をAIで書く手順も参考にしてほしい。


まとめ

マーケティングのスライド作成にAIを使うとき、最もスピードに効くのは「構成を先に決め、確認してから本文生成に入る」流れだ。一気に全スライドを出力させようとすると、各スライドのメッセージが薄くなる。

生成した文章の数値・固有名詞・最新情報は人間が確認し、デザインへの落とし込みは人間が担う。AIが生成した「たたき台を磨く」プロセスを定着させることで、作成時間の短縮と品質の維持を両立できる。

よくある質問

AIはPowerPointやKeynoteのファイルを直接作れますか?

直接ファイルを生成するAIツールはGamma・Beautiful.ai・Tomなど専用ツールに限られる。ChatGPTやClaudeはテキスト・アウトライン・スライドの文章を生成でき、PowerPointへの転記は人間が行う。最新の連携機能は各ツールの公式サイトで確認してほしい。

データが多いスライドをAIで作るコツはありますか?

データはあらかじめ人間が整理し、「このデータからどのメッセージを伝えたいか」をプロンプトで指示するのが有効。AIにデータを渡して「スライドを作って」と丸投げすると、メッセージが不明確なスライドになりやすい。

AIで作ったスライドの文章は、そのまま使えますか?

使えないケースが多い。数値・固有名詞・最新情報は人間が確認する必要がある。また、会社のトーンや訴求の核心は人間が入れ直すほうが精度が高くなる。AIの出力は「たたき台」として使い、磨いてから使う。

スライド1枚ごとのタイトルとメッセージをAIに整理させることはできますか?

できる。アウトラインをAIに作らせてから、スライドごとのメッセージとサポート情報を指定する方法が実用的。構成がしっかりしていれば、文章生成の段階でのやり直しが減る。