広報の報告書をAIで書く手順
この記事の要点
広報担当者がAIを使うと、月次メディア露出報告書や発表会後の実績レポートを1時間以内に仕上げられる。数字の整理から文章化まで、広報固有の報告書でのプロンプトと手順を解説する。
結論
広報の月次報告書や発表会後のメディア露出報告書は、数字を集めた後の文章化と構成整理にAIが使えます。露出件数・掲載媒体・換算値などのデータをAIに渡し、「前月比・目標比・次月の方針」を指示すると、30〜40分かかっていた文章化が10分以内で終わります。数字の収集は人間が行い、文章化と整理をAIに任せる分担が実務での使い方です。
広報の報告書でAIが効く場面
広報担当者が書く報告書は大きく4種類あります。
- 月次メディア露出報告書:掲載件数・媒体名・露出内容を月単位でまとめて経営層や上長に報告する文書。
- 発表会・イベント後の実績報告書:プレス発表・記者発表会・展示会への取材状況と掲載実績をまとめる報告書。
- 施策の効果報告書:タイアップ広告・SNSキャンペーン・取材誘致活動の実績と考察をまとめる報告書。
- 危機対応の経緯報告書:炎上・事故・不正疑惑などの対応プロセスを時系列でまとめる報告書。
これらに共通するのは「数字と事実をもとに、何が起きて何が変わったかを説明する」という目的です。AIは特に「数字を文脈で説明する」「前後の比較を文章化する」「箇条書きのデータをまとまった文章にする」作業に向いています。
使うAIツール
文章生成には**ChatGPT(GPT-4o)またはClaude(claude-sonnet系)**が向いています。数字の計算や集計が多い場合は、スプレッドシートで数字を整理してから文章部分をAIに任せる流れが安定します。
Excelのデータを要約文に変換するにはCopilotが便利な場合もあります。社内ツールとの連携については情報システム部門に確認してください。
手順:AIで報告書を作る
ステップ1 報告に使うデータを事前に集める
AIに渡す前に、数字を集めます。広報の月次報告書であれば次のようなデータが典型的です。
- メディア掲載件数(媒体名・掲載日・内容の概要)
- 広告換算値(計算方法が社内で統一されている場合はその値)
- SNSのリーチ数・エンゲージメント数(公式アカウントの場合)
- 問い合わせ件数の変化(掲載後の比較がある場合)
- 目標値との比較(設定していれば)
このデータ収集はAIでは代替できません。情報をまとめてからAIへの入力に進みます。
ステップ2 報告書の目的と形式を決める
誰に向けての報告書かによって、強調する内容が変わります。経営層向けなら売上・認知・コストとの関係を中心に、上長向けなら施策の実行状況と課題を中心に構成します。
ステップ3 データと方針をプロンプトに書いてAIに渡す
以下は月次メディア露出報告書を作るプロンプト例です。
【役割】
あなたは広報担当者の報告書作成アシスタントです。
【依頼】
以下のデータをもとに、2026年5月の広報月次報告書を作成してください。
【報告先】
経営会議(代表・CFO・CMO・各事業部長)
【データ】
- メディア掲載実績:
- 日経産業新聞(5月12日):新製品発表を半ページで掲載。広告換算:150万円
- 〇〇ビジネス誌(5月20日号):代表インタビュー2ページ。広告換算:200万円
- ITmedia(5月8日):製品レビュー記事。PV数:32,000(媒体公式データ)
- 合計:3件、広告換算合計450万円
- 前月(4月)との比較:
- 前月掲載件数:1件、広告換算:80万円
- 件数前月比:3倍、換算額前月比:5.6倍
- 目標との比較:
- 5月目標:掲載件数3件(達成)、広告換算300万円(150万円超過)
- SNS実績(自社公式アカウント):
- Xフォロワー数:1,240(前月比+85)
- 投稿インプレッション合計:120,000(前月比+40%)
- 来月の方針:
- 6月の新製品発表に向けて媒体社へのプレブリーフィングを5件実施予定
- 〇〇展示会への取材誘致活動(6月15〜17日)
【形式】
- A4 1〜2枚
- 構成:サマリー(3行)→掲載実績一覧(表)→前月・目標との比較→考察→来月の方針
- サマリーは数字を使って結論から始める
- 表の形式:媒体名・掲載日・内容・広告換算値の4列
- 考察は「なぜ今月の結果になったか」を2〜3文で書く
- 「ご覧のとおり」「いかがでしょうか」などの定型句は使わない
ステップ4 出力を確認して仕上げる
出力された報告書を確認します。
- 入力した数字が正確に使われているか(AIが計算した数字がないか)
- 考察部分が入力情報から読み取れる内容になっているか
- 来月の方針が具体的に書かれているか
- 経営層が読んで「何が起きているか」がわかるか
修正が必要な部分は「考察の2段落目をより具体的に書いてください」のように追加指示して再出力させます。
広報固有の2つの場面
場面1:プレス発表会後の取材実績報告書
新製品・新サービスの発表会終了後、取材に来た記者数・当日の報道状況・その後の掲載実績をまとめる報告書があります。発表から1〜2週間後に経営層や関連部署に共有することが多く、スピードと数字の正確さが求められます。
【役割】
あなたは広報担当者の報告書作成アシスタントです。
【依頼】
以下のデータをもとに、新製品発表会の取材実績報告書を作成してください。
【発表会の概要】
- 発表会名:XXプロテイン飲料 プレス発表会
- 開催日:2026年5月28日(木)10:00〜12:00
- 場所:本社ショールーム
【取材実績データ】
- 出席媒体数:14媒体(招待数:25媒体、出席率:56%)
- 掲載実績(発表会から2週間以内):
- 日経新聞:翌日朝刊経済欄(5月29日)
- 〇〇フードジャーナル:6月1日号4ページ
- ITmedia Food:6月3日掲載(PV:18,000)
- その他ウェブ媒体:3件
- 合計:6件(掲載率:43%)
- 広告換算値合計:●万円(計算中)
- 当日の記者の反応:会場での質問は12件(開発背景・価格・競合比較が主)
【比較データ】
- 前回発表会(2025年10月):出席媒体9、掲載5件
【形式】
- A4 1〜2枚
- 発表会概要→取材実績サマリー(表)→掲載状況詳細→前回比較→考察と評価→次回への課題
- 「広告換算値合計」は●万円(計算中)のまま記載する
- 考察では出席率・掲載率・媒体の種類について分析する
場面2:SNS炎上・危機対応後の経緯報告書
SNS炎上や製品問題への対応が一段落した後、「何が起きて、何をして、どうなったか」を時系列でまとめる報告書が必要になります。後日の社内検証・取締役会報告・対外説明の基礎資料になります。
【役割】
あなたは広報担当者の報告書作成アシスタントです。
【依頼】
以下の記録をもとに、SNS炎上対応の経緯報告書を作成してください。
【事象の概要】
- 事象:製品パッケージの誤記(アレルゲン表示漏れ)がSNSで拡散
- 発覚日時:2026年5月20日(火)14:30
【時系列の記録】
- 5月20日 14:30:社内SNSモニタリングツールが投稿を検知
- 5月20日 15:00:広報・品質管理・法務で緊急協議
- 5月20日 16:00:事実確認完了。誤記は確認された
- 5月20日 17:30:公式SNSで第一報を発表(確認中として)
- 5月21日 10:00:正式なお詫び文を公式サイト・SNSで公表
- 5月21日 15:00:対象製品の自主回収を発表
- 5月22日〜26日:媒体取材8件に対応
- 5月27日:報道のピーク終息。炎上投稿は5月23日以降増加なし
【対応結果】
- 重篤な健康被害の報告:なし(現時点)
- 問い合わせ件数:電話280件、メール120件(5月20日〜27日合計)
- 対応完了:5月27日時点で問い合わせの90%に回答完了
- 新聞報道:3紙に掲載(5月21日〜22日)
【形式】
- A4 2〜3枚
- 構成:事象の概要→対応の時系列(表)→メディア対応実績→現時点の状況→今後の課題
- 時系列表は「日時・対応内容・判断根拠」の3列で作る
- トーンは事実の記録に徹し、感情的な表現を使わない
- 「ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」などの謝罪文は含めない(別途お詫び文書があるため)
うまくいかない場合のポイント
考察が「前月より増加しました」だけで終わる
AIが数字の変化を述べるだけで、なぜそうなったかを説明しない場合があります。プロンプトに「考察では、なぜこの結果になったかの要因を2点書いてください」と追加すると改善します。
数字が合っていない
AIが計算を誤ったり、入力した数字以外の数字を作って入れることがあります。報告書内のすべての数字は必ず元データと照合してください。特に「合計」「前月比」「達成率」などの計算結果は要確認です。
文章が長すぎる
経営会議用の報告書が長文になると読まれにくくなります。「A4 1枚以内」「本文合計500字以内」のように制約を入れてください。広報報告書は短く密度のある文章のほうが実際には読まれます。
先月と同じような文章になる
前月比が前月と似ていると、出力の文章も似てくることがあります。プロンプトに「今月特に注目すべき点は〇〇」「前月と異なる点は〇〇」を明示すると、月ごとの違いが出た文章になります。
他の業務との連携
報告書は単体で完結するより、他の広報業務と連動させると全体の効率が上がります。
発表会前の取材誘致で行った媒体対応は広報のメール作成をAIで時短する方法で効率化できます。誘致に使ったメールとその結果(誘致件数・出席率)を報告書の素材として直接使えます。
危機対応後の報告書は、広報の議事録をAIで自動作成する手順で作った対応会議の議事録を素材に使うと、時系列の記録を改めて整理する手間が省けます。会議ごとに決定事項とアクションが記録されている議事録があれば、経緯報告書の骨格が既に揃っています。
次の施策への提案につなげる場合は広報の提案書をAIでつくる進め方の手順が使えます。報告書の考察部分に書いた課題と改善案を、そのまま次の提案書の背景として引用できます。広報業務の「報告→提案→実施→報告」のサイクルをAIでつなぐと、文書間の一貫性が保たれます。
よくある質問
広報の報告書作成にAIを使うとき、どんなデータが必要ですか?
メディア露出件数・掲載媒体名・広告換算値・SNSのリーチ数など、事前に数字を集めておく必要があります。AIは数字の文章化と構成整理が得意ですが、数字そのものはシステムや手作業で集める必要があります。
AIが報告書の数字を間違えることはありますか?
あります。AIは入力した数字しか扱えませんが、計算ミスや桁の間違いが起きることがあります。報告書内の数字は必ず人間が元データと照合してください。
危機対応後の経緯報告書もAIで作れますか?
作れますが、危機対応の詳細は機密性が高い場合があります。社内ルールに従い、外部AIサービスへの入力可否を確認してから使用してください。
報告書の内容が毎月似たようなものになりますが、AIで変化をつけられますか?
できます。前月との差異・改善点・次月の取り組みをプロンプトに入力すると、単なる数字羅列ではなく分析的な記述が出ます。