広報の議事録をAIで自動作成する手順
この記事の要点
広報担当者が会議の文字起こしや録音データをAIに渡すと、1時間の会議議事録を10分で仕上げられる。媒体対応会議・危機対応会議など広報固有の場面でのプロンプトと手順を解説する。
結論
広報担当者が1時間の会議音声を文字起こして手書きで議事録を仕上げると、30〜40分かかります。AIを使うと、文字起こしデータを貼り付けてプロンプトを送るだけで、10分以内に構造化された議事録の下書きが出ます。取材前の戦略会議、媒体対応の振り返り、危機対応の記録など、広報固有の会議に対応したプロンプトを作っておくと、業務時間が大きく変わります。
広報の議事録でAIが効く場面
広報が開く会議の種類はいくつかあります。社内の広報計画会議、担当役員との事前ブリーフィング、媒体社対応後の振り返り、緊急時の危機対応会議、SNS炎上時の対処方針を決める会議など、それぞれ記録が必要な内容が違います。
これらの会議を手書きメモや記憶だけで議事録にすると、「確認事項・決定事項・アクション担当者」が混ざって後から読み直しにくくなります。AIを使うと、発言のテキストを入力するだけでこの3分類が自動的に整理されます。
特に効果が高い場面は次の通りです。
- 同時に複数の会議が進む発表前週など、1人で議事録を作るペースが追いつかないとき
- 取材後の振り返り会議で、改善点と次のアクションを素早く共有したいとき
- 危機対応で時系列の記録が後日の参照に必要なとき
使うAIツールと文字起こしサービス
議事録生成のAIツール:ChatGPT(GPT-4o)またはClaudeが文章整理に向いています。長い文字起こしテキストを渡しても構造化された出力が得られます。
文字起こしサービス:音声から文字起こしを行うには別のツールが必要です。よく使われているのは次の通りです。
| ツール | 特徴 |
|---|---|
| Zoom自動文字起こし | 会議中にリアルタイムで生成、録画に紐づく |
| Microsoft Teams文字起こし | Teams会議に内蔵、話者も自動識別 |
| Notta | 日本語精度が高め、複数話者を自動識別 |
| Whisper(OpenAI) | API経由で利用、オフライン処理も可能 |
最新の機能・価格・精度は各サービスの公式情報で確認してください。
企業の会議内容は機密情報を含むため、使用するサービスが自社のセキュリティポリシーに合っているか、情報セキュリティ担当者に確認してから導入してください。
手順:AIで議事録を作る
ステップ1 文字起こしデータを用意する
会議の録音・録画から文字起こしを取り出します。Zoomは会議後に自動生成された文字起こし、Teamsは「トランスクリプト」としてダウンロードできます。
文字起こしの品質が低い(固有名詞が誤変換されている、発言者が区別されていない)場合は、そのままAIに渡しても精度が上がりません。主要な固有名詞の誤変換は入力前に直しておくと、出力の質が安定します。
手書きメモしかない場合でも、発言内容を箇条書きにしてAIに渡せば議事録の下書きを作れます。完全な文字起こしがなくても使えます。
ステップ2 議事録の目的と形式を決める
議事録の使い方によって必要な形式が変わります。社内共有用か、役員ブリーフィング用か、媒体社に確認を取る用か。用途を決めてからプロンプトを書きます。
広報の議事録でよく必要になる項目は次の通りです。
- 会議名・日時・参加者
- 確認した事項(情報の共有・現状確認)
- 決定した事項(今後の方針・判断)
- アクション(誰が・何を・いつまでに)
- 次回確認事項
ステップ3 プロンプトを書いてAIに渡す
以下は媒体対応の振り返り会議の議事録を作るプロンプト例です。
【役割】
あなたは広報担当者の議事録作成アシスタントです。
【依頼】
以下の会議の文字起こしをもとに、議事録を作成してください。
【会議情報】
- 会議名:媒体対応振り返り会議
- 日時:2026年6月5日(金)10:00〜11:00
- 参加者:広報部長・田中、広報担当・鈴木、広報担当・山本
【文字起こし】
(ここに文字起こしテキストを貼り付ける)
【議事録の形式】
以下の構造で出力してください。
1. 確認事項(今回の取材対応で共有された情報)
2. 決定事項(次の取材・発表に向けての方針決定)
3. アクション(担当者名・内容・期限の形式で箇条書き)
4. 次回確認事項
【注意】
- 発言者が明確な場合は「田中:〜」の形式で明記する
- アクション欄は「田中・プレスリリース修正・6月7日まで」の形式に統一する
- 発言の意図が不明な部分は「(要確認)」と付記する
ステップ4 出力を確認・修正する
出力された議事録は下書きです。次の点を確認します。
- 固有名詞(社名・人名・製品名)が正確か
- アクションの担当者と期限が正しく入っているか
- 「要確認」とついた箇所が本当に不明だったかどうか
- 決定事項と確認事項が混在していないか
修正後、参加者に回覧して内容の確認を取ります。広報会議では後から「そんな決定はしていない」という齟齬が起きやすいため、決定事項の確認を明示するプロセスを必ず挟みます。
広報固有の2つの場面
場面1:発表前のメディアブリーフィング準備会議
新製品・新サービスの発表前に、社内担当者を集めてメディア向けの説明内容を調整する会議があります。この会議の議事録には「どのメッセージを誰が話すか」「NGとされた表現は何か」「取材対応できる役員は誰か」が明記されている必要があります。
【役割】
あなたは広報担当者の議事録作成アシスタントです。
【依頼】
以下の文字起こしから、発表前ブリーフィング会議の議事録を作成してください。
【会議情報】
- 会議名:新製品発表前メディアブリーフィング準備会議
- 参加者:(名前を列記)
【文字起こし】
(ここに文字起こしを貼り付ける)
【必ず含める項目】
1. 発表メッセージの確認事項(誰がどのメッセージを担当するか)
2. 回答禁止事項(価格・販路・人事など今回答えない内容)
3. 想定質問と想定回答の確認状況
4. 発表日・発表媒体の最終確認
5. アクション(担当者・内容・期限)
【注意】
- 「回答禁止事項」は特に明確に書く
- 不明確な点は「(要確認)」と付記する
この会議の議事録は後日のトラブル防止にもなります。「あの取材で回答禁止のはずだった」という食い違いが起きたとき、議事録が根拠になります。
場面2:危機対応会議の記録
商品トラブル・SNS炎上・不正疑惑などの危機対応では、「誰がいつ何を決めたか」の記録が後から重要になります。時系列で対応を追えるように記録することが、危機対応議事録の最大の目的です。
【役割】
あなたは広報担当者の議事録作成アシスタントです。
【依頼】
以下の緊急会議の文字起こしから、危機対応会議の議事録を作成してください。
【会議情報】
- 会議名:SNS炎上対応緊急会議(第1回)
- 日時:2026年6月5日 15:00〜16:30
- 参加者:(名前を列記)
【文字起こし】
(ここに文字起こしを貼り付ける)
【必ず含める項目】
1. 事象の確認(何が起きているか、現時点の状況)
2. 対応方針の決定事項
3. 対外発信の内容・タイミング(決定していない場合は検討状況)
4. 対応担当者とそれぞれの役割
5. 次回会議の日時と確認事項
【注意】
- 時系列が分かるように対応の順序を明記する
- 決定事項と検討中事項を明確に区別する
- 機密性の高い内容が含まれる場合は(機密)と付記する
危機対応会議の議事録は後日の社内確認・経営報告・外部への説明資料の素材にもなります。AIで下書きを作る場合でも、危機対応の記録は人間がより丁寧に確認する必要があります。
うまくいかない場合のポイント
文字起こしの質が低くて議事録の精度が悪い
文字起こしに誤変換が多いと、AIが内容を誤解して出力します。特に固有名詞(社名・ブランド名・人名)が多い広報会議では、入力前に主要な固有名詞の誤変換を手作業で修正することで精度が大きく上がります。
発言者が識別できていない
文字起こしに「話者A」「話者B」のように表示される場合は、プロンプトに「話者Aは田中部長(広報部長)、話者Bは鈴木担当です」と補足して渡します。
アクションと決定事項が混在する
プロンプトに「アクション欄は担当者・内容・期限の形式にする」と明記しても混在することがあります。出力後に確認し、アクションに期限と担当者がセットになっているか確認してから配布します。
出力が長すぎる
1時間の会議を全部詳細に出すと長くなりすぎます。プロンプトに「アクション欄以外は箇条書きで、1項目2行以内にまとめる」と制限を入れると読みやすくなります。
議事録から次の業務へつなぐ
議事録が完成したら、その内容を次の業務に引き継ぐプロセスをあわせて整備すると、情報の流れが止まらなくなります。
たとえば、発表前ブリーフィング会議の議事録に書かれたアクションをもとに、媒体社への案内メールを作る場合、広報のメール作成をAIで時短する方法のプロンプトに議事録の関連部分を素材として貼り付けると、メール作成の素材整理が不要になります。
広報の提案書をAIでつくる進め方で解説している提案書の構成にも、会議の決定事項を直接引用できます。議事録をAIで整理しておくと、他の文書作成の素材としても使いやすくなります。
危機対応の議事録については広報の報告書をAIで書く手順で触れている報告書の素材としても活用できます。時系列で整理された議事録は、後日の報告書をまとめる際の骨格になります。
よくある質問
広報の会議議事録をAIで作るとき、どんなデータが必要ですか?
音声の文字起こしテキスト、または手動で書いたメモが素材になります。文字起こしはZoomやTeamsの自動字幕録画機能、またはAI文字起こしサービスで取得できます。
AI議事録の精度はどのくらいですか?
文字起こしの品質に依存します。発言者が明確で、専門用語が少ないほど精度が上がります。固有名詞(社名・人名・製品名)は出力後に必ず人間が確認してください。
危機対応会議の議事録もAIで作れますか?
構造的には作れますが、機密性の高い内容を外部AIサービスに入力することは社内ルールで制限される場合があります。使用前に情報セキュリティ担当者に確認してください。
議事録を社外の媒体社や取材相手に送ることはありますか?
広報では取材後の確認用として議事録を相手に渡す場合があります。その際はAI出力のまま送らず、担当者の確認・承認を経てから送付してください。