経営企画の議事録をAIで自動作成する手順
この記事の要点
経営企画担当者がAIを使って議事録を自動作成する方法を解説。経営会議・役員会議のメモや録音文字起こしから、決定事項と課題を整理した議事録を仕上げる手順を紹介します。
結論
経営企画担当者が経営会議の議事録をゼロから書くと、1時間の会議で議事録作成に30〜60分かかります。AIを使うと「文字起こし→AIで整形→人間が確認・修正」の流れで、同じ作業を10〜15分に短縮できます。決定事項・未決事項・次のアクションを正確に抽出するプロンプト設計が鍵です。
経営企画の議事録作成でAIが特に効く場面
月次・週次の経営会議
売上実績、KPI進捗、コスト管理状況を議題とする定例の経営会議では、毎回似た構造の議事録が求められます。「前回の確認」「今月の実績報告」「懸案事項」「決定事項」「次回の議題」という固定フレームがあるため、AIが最も安定した出力を出しやすい種類の議事録です。
予算・投資の意思決定会議
新規投資の承認、予算の組み替え、コスト削減策の決定など、重要な意思決定が行われる会議の議事録は、「何が決まり」「何がまだ決まっていないか」「誰が何をするか」を明確に書くことが求められます。複数の議題が入り乱れる会議の内容を構造化するのに、AIが効果を発揮します。
使うAIツール
| フェーズ | ツール | 用途 |
|---|---|---|
| 文字起こし | Notta、CLOVA Note、Google Geminiの音声機能など | 録音から文章化 |
| 整形・構造化 | ChatGPT(GPT-4o)、Claude | 文字起こしから議事録フォーマットへ変換 |
| 確認・共有 | Notion、Google Docs | 関係者との共有・修正 |
文字起こしツールの最新の精度・料金は各公式サイトで確認してください。
手順:文字起こしテキストから議事録を作る
ステップ1:会議中にメモを取る
AIが議事録を整形しやすいように、会議中に最低限の骨格メモを取っておきます。
- 議題のタイトル(例:「5月実績レビュー」「来期採用計画」)
- 主な発言者の役職(全員の名前は不要でも役職があると後の整形が楽)
- 確実に決まったこと・決まっていないことを「○」「△」で区別
- アクション項目(誰が・何を・いつまでに)
ステップ2:文字起こしを用意する
録音がある場合はNottaやGoogle Geminiで文字起こしを行います。文字起こしが不完全でも問題ありません。AIは乱れたテキストから要点を整理するのは得意です。録音がない場合はメモだけでもステップ3以降の作業ができます。
ステップ3:プロンプトを入力する
以下は経営企画部が主催した2026年6月の月次経営会議(参加者:CEO、CFO、各事業部長)の文字起こし(または発言メモ)です。
このテキストを整形して、下記のフォーマットで議事録を作成してください。
【議事録フォーマット】
## 基本情報
- 日時:
- 参加者:
- 進行:
## 前回アクション確認
(前回の決定事項の進捗)
## 議題と内容
### 議題1:〇〇
- 報告内容:
- 議論のポイント:
- 決定事項:(確定したことのみ書く。未確定は「未決」と明記)
## 今回の決定事項一覧
(全議題の決定事項を箇条書きで整理)
## 次回へのアクション
| 担当 | 内容 | 期限 |
|------|------|------|
## 未決事項・継続検討
(今回決まらなかったことと、次回議題に持ち越す内容)
---
【文字起こし・メモ】
(ここに会議のテキストを貼り付ける)
ステップ4:出力を確認・修正する
AIが出した議事録で確認するポイントは次のとおりです。
- 「決定事項」に入っているものが本当に確定した内容か(「検討する」「前向きに進める」は決定ではない)
- 数字(売上・予算・目標値)が正確か
- アクションの担当者・期限が正しく紐付いているか
- 未決事項が抜けていないか
AIは「それらしい決定事項」を作る傾向があります。発言メモの中に「前向きに検討」と書いてあっても「〇〇を実施することを決定」と書いてしまうことがあります。決定か未定かの判断は必ず人間が行ってください。
ステップ5:確認後に関係者へ送付する
議事録の送付はメール作成もAIで効率化できます。メール作成の効率化の手順を使って、議事録添付の案内メールも合わせて作成すると更に時短になります。
録音なし・メモだけで議事録を作る
録音を取っていない会議や、後から思い出しながら書く場合もAIは使えます。
以下の箇条書きメモをもとに、経営企画が作成する議事録を整形してください。
メモが断片的でも、文脈から補えるところは補い、不明な箇所は「確認要」と記してください。
【日時】2026年6月5日 10:00〜11:30
【参加者】社長、CFO、営業部長、経営企画(私)
【メモ】
- 5月の売上:94億円(予算比-3%)
- 営業:Q2末までの回復は難しいかも
- CFO:コスト削減で利益を守る方向
- 社長:来週までに削減案を経営企画が持ってくるよう指示
- 次の課題:採用計画の見直し(CFOと経営企画で別途議論)
このレベルのメモでも、AIは5分以内に見やすい議事録に整形してくれます。「確認要」のフラグが付いた箇所だけ会議参加者に確認すれば完成します。
うまくいかない場合のポイント
AIが「決まっていないこと」を決まったように書く
プロンプトに「未確定の事項は必ず『未決』『検討中』と明記し、決定事項と混在させないでください」という指示を明示的に入れてください。それでもズレる場合は、出力後に「上の議事録で、決定として書いた事項をもう一度リストアップし、本当に確定したことかどうか検討要のものに△をつけてください」と追加で確認できます。
文字起こしの精度が低くて整形できない
完全に整形できない箇所は「[不明瞭につき確認要]」とフラグを入れてもらいます。全体を無理に整形させるより、フラグ付きの粗い出力の方が後の確認が楽です。
議事録が長すぎて読まれない
「A4一枚(600字程度)のエグゼクティブサマリー版と詳細版の2つを作ってください」と指示すると、役員向けには要約版を送るという運用が作れます。
議事録の品質を上げるAI活用:発言の意図を整理する
会議の議事録で最も難しいのは「誰かが何かを言った」という記録ではなく、「その発言が何を意味するか」を正確に書くことです。例えば事業部長が「それは難しいですね」と言ったとき、それが「反対意見」なのか「検討すると言っているだけ」なのかは文脈次第です。
AIに発言の意図を整理させる使い方が有効です。
以下の会議での発言メモをもとに、各発言者の立場と意図を整理してください。
最終的に「合意」「反対」「保留・継続審議」のいずれに分類できるか、判断が難しいものは「確認要」とマークしてください。
【議題】来期のオフィス移転案
【発言メモ】
- 社長:「コスト削減の観点からは賛成。ただし従業員への説明が先決では」
- CFO:「試算通りなら財務的には問題ない」
- 人事部長:「採用への影響が読めない。アクセスが悪くなる可能性がある」
- 経営企画(私):「6月末までに詳細試算を提出する」
この使い方をすると、議事録の「決定事項」と「未決事項」の線引きが明確になります。AIが「確認要」とマークした箇所だけを会議後に関係者に確認すれば、整合した議事録が完成します。
議事録から「次のアクション」を抽出する
経営企画の議事録で最も重要なのは「誰が・何を・いつまでにやるか」のアクションリストです。長い会議の発言録から漏れなくアクションを拾い出すのにAIが効きます。
以下の会議メモから、アクションアイテムを網羅的に抽出してください。
発言の中で「〜する」「〜を確認する」「〜を検討する」という動詞を含むものをすべて拾い、担当者・内容・期限を表形式で整理してください。
担当者や期限が不明なものは「未確定」と記入してください。
(ここに会議メモを貼る)
「担当者が未確定のもの」が出てきたら、会議後すぐに関係者に確認できます。議事録の送付前に全アクションの担当が決まっている状態にするのが、経営企画として会議運営の質を上げる一つの方法です。
定期会議の議事録テンプレートを作る
月次経営会議・週次進捗会議など、定期開催の会議には毎回共通の議事録フォーマットが使えます。AIに一度テンプレートを作らせ、それを繰り返し使う運用が効率的です。
以下の定期会議に最適な議事録テンプレートを作成してください。
毎回変わる部分は変数(例:[日付]、[出席者])として残してください。
毎回固定の部分は項目名だけ入れてください。
【会議名】月次経営会議
【頻度】月1回、第2月曜
【参加者】CEO・CFO・各事業部長・経営企画
【標準的な議題構成】
1. 前回アクション確認(15分)
2. 月次業績報告(30分)
3. 懸案事項の確認(15分)
4. 次月の重点課題(10分)
5. 決定事項まとめ(5分)
出力形式:Markdownで、すぐにNotionやGoogleドキュメントに貼れる形式
テンプレートが一度できると、翌月からは日付・出席者・数字を更新するだけで基本的なフレームが完成します。毎回ゼロから作る必要がなくなります。
過去の議事録を検索・活用する
経営企画は「以前の会議で決まったこと」を参照する機会が多い部門です。AIを使って過去の議事録から必要な情報を引き出す使い方も有効です。
過去の議事録(テキスト形式)を複数まとめてAIに貼り付け、「A事業部への投資に関する決定事項をすべて時系列で整理してください」「コスト削減に関する議題が議論されたのはいつですか」という問いに答えさせることができます。ただし、AIが参照できる文字数には上限があるため、大量の過去議事録を一度に処理する場合は分割して行ってください。
議事録作成の精度を上げる:会議前の準備
AIを使った議事録作成の精度は、会議前の準備で大きく変わります。会議が始まる前に議題と参加者の役割を整理しておくことで、メモの取り方が変わります。
会議の前にAIを使って「この会議で押さえるべき論点」を整理する準備が有効です。
以下の月次経営会議の議題について、議事録作成の観点から「必ず記録すべきポイント」を整理してください。
【議題】
1. 5月の売上・費用実績レビュー
2. A事業の新製品リリース遅延の対応策
3. 来期の採用計画の確認
各議題について「決定事項として残すべき論点」と「議論が紛糾しやすいポイント」を示してください。
この準備をすることで、「何をメモするか」が明確になり、会議中のメモが整理された状態で残ります。AIへの入力の質が上がるため、整形の精度が高くなります。
議事録の共有・管理にAIを活用する
議事録を書いた後の共有と管理にもAIが使えます。
議事録を送付する際のメールはメール作成の効率化の手順で作れます。「議事録を添付して会議参加者に送るメール」のテンプレートを一度作れば、毎回使い回せます。
議事録のタイトルと検索しやすいタグの設定もAIに任せられます。「この議事録のタイトル・キーワード・概要を20字以内で生成してください」と聞けば、後から検索しやすいメタ情報が整います。
Notionで議事録を管理している場合、AIが出力したMarkdown形式の議事録をそのまま貼り付けられます。Notionのデータベースにプロパティ(会議名・日付・参加者・決定事項あり/なし)を設定しておくと、月次で「決定事項があった会議だけ一覧する」といった運用が可能になります。
AIで議事録を仕上げた後の活用
議事録の内容を報告書の作成の素材として再利用できます。会議の決定事項をそのまま週次報告書の「進捗更新」セクションに組み込む流れを作ると、作業の重複を減らせます。また提案書の作成では過去の議事録の決定事項を「前提条件・背景」として引用することで、提案の根拠を強化できます。
経営企画の議事録は「記録」であると同時に「組織の意思決定の証跡」です。AIを使っても、決定事項の正確さと未決事項の明示は人間が責任を持って確認してください。AIが速くするのは整形の作業であり、内容の判断ではありません。
よくある質問
会議の録音をAIに渡せば議事録が自動で完成しますか?
録音の文字起こしをAIに渡すと素材として使えますが、「決定事項か未定事項か」「誰が発言したか」の判断は人間の確認が必要です。完全自動ではなく、文字起こし→AI整形→人間確認の流れが現実的です。
役員会議の内容を録音・文字起こしすることに問題はありませんか?
社内の情報管理ポリシーと、参加者の同意の有無を事前に確認してください。機密性の高い経営情報を外部のAIサービスに入力する場合は、エンタープライズ契約や社内展開されたAI環境を使うことを推奨します。
議事録の提出まで何分かかりますか?
文字起こしが済んでいる前提なら、AIへの入力から初稿完成まで5〜10分です。その後の人間による確認・修正を含めると、会議終了から30分以内に送付できるケースが多いです。