広報の資料・スライドをAIで仕上げる方法
この記事の要点
広報担当者がAIを使うと、メディア向け説明資料や社内プレゼン用スライドの構成を30分以内に作れる。プレスブリーフィング資料・発表会資料など広報固有の場面でのプロンプトと手順を解説する。
結論
広報担当者がメディア向け発表会の説明資料や社内プレゼン用スライドを作るとき、AIを使うと「何をどの順番で話すか」という構成設計が30分以内に終わります。スライド1枚ごとの見出し・本文・話すポイントをAIに出させてから、PowerPointやGoogleスライドに貼り付ける手順が実務に合っています。デザインは人間またはデザインツールが担当し、AIは構成と言葉を担当する分担が現実的です。
広報のスライド作成でAIが効く場面
広報が作るスライドは大きく3種類に分かれます。
- メディア向け資料:発表会・プレスブリーフィング・バックグランダーなど、記者や媒体社に渡す説明資料。
- 社内プレゼン資料:経営層への報告・施策提案・広報計画の説明に使うスライド。
- 外部登壇資料:業界カンファレンス・セミナー・ウェビナーで使うプレゼン資料。
これらに共通するのは「限られた枚数で情報を整理して伝える」という要求です。何を入れて何を省くか、どの順番で話すかを決めることに広報担当者は時間を使います。AIはこの「整理と構成」を速くするのに向いています。
使うAIツール
テキスト構成の生成:ChatGPT(GPT-4o)またはClaudeが向いています。スライドの見出し・本文・話すポイントを構造化して出力できます。
スライド作成:PowerPoint・Googleスライド・Canvaのいずれかに、AIが出したテキストを貼り付けます。MicrosoftのCopilotはPowerPointに直接統合されており、テキストからスライドを自動生成できます。最新の機能は公式情報で確認してください。
画像・図の生成:スライド内のビジュアルは別途デザインツールや画像生成AIを使います。AIが作ったテキスト構成にビジュアルを合わせるのが現実的な流れです。
手順:AIでスライドを作る
ステップ1 スライドの目的・想定聴衆・枚数を決める
スライドを作る前に、次の4点を整理します。
- 誰に見せるか(記者、経営層、外部観客など)
- 何を伝えたいか(一番記憶してほしいメッセージは何か)
- 持ち時間または枚数(例:5分で5枚、15分で12枚)
- ビジュアルの有無(写真・グラフ・表を使うか)
この整理をせずにAIにスライドを作らせると、一般的な内容が長々と出て、実際のプレゼンには使えないものになります。
ステップ2 スライドの構成をAIに作らせる
以下は新製品の発表会でメディア向けに使う説明資料の構成を作るプロンプト例です。
【役割】
あなたは広報担当者のスライド作成アシスタントです。
【依頼】
以下の条件で、プレス発表会用の説明資料の構成を作成してください。
【スライドの概要】
- 目的:新製品「XXプロテイン飲料」の発表会で記者・媒体社向けに説明する
- 想定聴衆:食品・健康・ライフスタイル系媒体の記者・編集者(約30名)
- 枚数:8〜10枚
- 所要時間:説明15分+質疑応答10分
【含める情報】
- 商品名・発売日・価格(仮)
- 開発背景(健康食品市場の現状・自社の着眼点)
- 商品の特徴(成分・製法・他社製品との違い)
- ターゲット消費者像
- 発売エリア・販路
- 取材・サンプル提供の案内
【形式】
スライド番号・見出し・そのスライドで伝えるポイント(2〜3文)を一覧形式で出力する
数字は「●(要確認)」として空欄にする
このプロンプトを送ると、スライド一覧が出ます。
ステップ3 各スライドの本文をAIに出させる
構成一覧が出たら、各スライドの本文テキストを順番に出力させます。全スライドを一度に出すより、3〜4枚ずつ作るほうが精度が安定します。
【依頼】
スライド1〜3の本文テキストを作成してください。
【スライド1:タイトル】
- 見出し:「XXプロテイン飲料 プレス発表」
- サブタイトル・日時・会社名を入れる
【スライド2:開発背景】
- 健康食品市場の規模と成長(●兆円・前年比●%増として空欄にする)
- 自社が着目した消費者の課題(たんぱく質不足・手軽に補給したい需要)
- 自社がこの製品を開発した理由
【スライド3:商品特徴】
- 3つの特徴を箇条書き
- 他社製品と比較した優位点(具体的な数値は●として空欄にする)
【文体】
- プレゼンで読み上げる際に自然な日本語
- 1スライドあたりの本文は100字以内
- 箇条書きは1項目20字以内
ステップ4 「話すポイント」を別途出させる
スライドに表示するテキストとは別に、各スライドで話す内容のメモを作ると、プレゼン準備の時間が短縮されます。
【依頼】
スライド2「開発背景」でプレゼンする際の話し方メモを150字で作ってください。
聴衆は記者なので、数字と事実を中心に話す想定です。
「いかがでしょうか」「ぜひ〜ください」などの定型句は使わないでください。
ステップ5 PowerPoint / Google スライドに貼り付ける
AIが出したテキストをスライドツールに貼り付け、デザインを適用します。自社のブランドガイドラインに合ったテンプレートを使うと、デザイン調整の時間が省けます。
数字・固有名詞・未確定情報は貼り付け後に確認し、空欄になっているところに正確な情報を入力します。
広報固有の2つの場面
場面1:プレスブリーフィング用バックグランダー
発表会の前後に記者に配布するバックグランダーは、スライドではなく文書形式が多いですが、構成はスライドと同じ考え方で作れます。記者が後から参照する資料なので、数字の正確さとメッセージの明確さが特に重要です。
【役割】
あなたは広報担当者のスライド・資料作成アシスタントです。
【依頼】
以下の条件で、プレス発表用バックグランダーの構成と本文を作成してください。
【目的】
新製品発表会で記者に配布する説明資料(A4 2枚、スライドではなく文書形式)
【含める情報】
- 会社概要(3行以内)
- 製品概要(特徴・発売日・価格・販路)
- 開発背景と市場データ(数字は●として空欄にする)
- 問い合わせ先(広報部名・連絡先)
【注意】
- 記者が速報記事を書く際に参照する資料
- 誤解を招く表現を避け、事実のみを書く
- 「〜と考えられます」「〜が期待されます」など推測の表現を使わない
場面2:社内広報計画の承認スライド
年度初めや四半期ごとに、広報の施策計画を経営層に報告・承認を得るスライドを作る場面があります。経営層向けには数字とKPI、コスト、スケジュールを中心に構成します。
【役割】
あなたは広報担当者のスライド作成アシスタントです。
【依頼】
以下の条件で、2026年度下半期広報計画の社内報告スライドの構成を作成してください。
【想定聴衆】
経営層3名(代表・CFO・CMO)
【含める情報】
- 上半期の広報露出実績サマリー(数字は●として空欄にする)
- 下半期の重点施策3本(新製品発表・周年PR・採用広報)
- 各施策のKPIと予算(●として空欄にする)
- 承認を求める事項
【枚数・形式】
- 8枚以内
- 結論を最初のスライドに置く
- KPI・コスト・スケジュールは表形式で出力する
- 最終スライドは「承認事項と次のアクション」にする
うまくいかない場合のポイント
スライドが多くなりすぎる
AIに丸ごと構成を任せると、内容を盛り込もうとして枚数が増えます。「8枚以内」「1スライドに1メッセージ」とプロンプトに制約を書くと引き締まります。
スライドのテキストが長すぎる
1スライドに長い文章が出ることがあります。「1スライドあたり本文100字以内」「箇条書きは1項目20字以内」のように字数制限を入れてください。スライドは読むものではなく見るものなので、短くするほど実用的になります。
「承認してください」の一文で終わる
社内提案スライドの最後に「ご承認よろしくお願いします」だけが出ることがあります。プロンプトに「最終スライドには承認事項を箇条書きにして、期限と確認方法を明記する」と指示すると具体的になります。
数字が空欄のままになっている
プロンプトに「●として空欄にする」と書いた場合、出力に「●」が並ぶのは正常です。貼り付け後に●を実際の数字に置き換える作業が必要です。このステップを省くと、数字のないスライドのままになってしまいます。
提案書・報告書との連携
スライドは単体で完結するより、関連文書と連動させると準備が効率よく進みます。
提案内容の詳細は文書形式で別途用意することが多く、広報の提案書をAIでつくる進め方で解説しているプロセスをスライド作成の前に行っておくと、スライドの内容が自動的に絞り込まれます。
スライドで発表した内容を後日まとめる場合は広報の報告書をAIで書く手順を参照してください。発表会後に実績をまとめて報告する流れをAIでサポートできます。
発表会の準備過程で出た議事録や会議メモは、スライドの素材としても使えます。広報の議事録をAIで自動作成する手順で整理した会議の決定事項を、スライドの「決定した施策」として直接引用できます。
再利用できるスライドの素材を積み上げる
広報のスライドは、毎回ゼロから作るより「素材を使い回す」仕組みを作ると継続的に効率が上がります。会社概要・製品説明・市場データのスライドは一度AIで作ってから更新型で管理し、新しい資料を作るときに流用します。
過去の発表会で使った説明資料のうち、記者から好評だったスライドのテキスト構成を保存しておき、次の発表の素材として使う習慣をつけると、品質の基準ができます。AIに「このスライドを参考に、今回の製品用に書き直してください」と指示すると、一貫したトーンで新しい資料が出せます。
よくある質問
AIはスライドのデザインも作れますか?
テキスト構成はAIが生成できますが、スライドデザイン(レイアウト・配色)は別ツールが必要です。Canva・PowerPoint・Googleスライドなどでテキストを貼り付けてデザインを適用します。
プレスブリーフィング資料をAIで作るとき、未公表情報の扱いはどうしますか?
発表前の製品情報・数字・人事情報を入力する際は、社内のセキュリティポリシーを確認してください。機密情報は仮名や括弧表記に置き換えて入力し、出力後に本来の情報を書き戻す方法が実務では使われています。
スライドの枚数はAIが決めますか?
プロンプトに「5枚以内」「10スライド構成」のように枚数を指定することで制御できます。指定しない場合はAIが内容に合わせた枚数を出しますが、多くなりすぎることがあります。