職種別AI仕事術

経営企画の資料・スライドをAIで仕上げる方法

経営企画の資料・スライドをAIで仕上げる方法

この記事の要点

経営企画担当者がAIを活用してスライド資料を効率よく仕上げる方法を解説。役員会議・取締役会・中期計画発表に使える資料の構成からプロンプト例まで紹介します。

結論

経営企画担当者がゼロからスライドを作ると、構成の検討から完成まで半日〜1日かかります。AIを使って「各ページの要点とテキストを先に文章で作る」ことで、PowerPointへの入力作業を数時間から30〜60分に短縮できます。スライドの見た目ではなく「何を伝えるか」の部分をAIが補います。

AIはスライドファイルを直接生成しませんが、各ページに入れるテキスト・見出し・箇条書きを構造化した形で出力できます。その出力をそのままスライドに流し込む形で使います。

経営企画のスライド作成でAIが特に効く場面

月次経営会議の報告スライド

売上実績・費用実績・KPI進捗を1〜2ページのサマリーにまとめる月次報告は、毎月同じ構造で繰り返される作業です。数字だけ変えた定型スライドとして運用しているケースが多いですが、AIに今月の特記事項と考察コメントを書かせることで、資料の質を上げつつ作成時間を短縮できます。

取締役会・役員向けの意思決定スライド

新規投資・M&A・コスト削減策など、役員が判断を下すための資料は「問題→選択肢→推奨案→根拠→次のアクション」という構造が基本です。この構造をAIに整理させることで、漏れや論理の飛躍を事前に洗い出せます。

使うAIツール

ツール用途
ChatGPT(GPT-4o)、Claudeスライドの文章・構成の作成
GammaAIでスライドを自動生成(見た目まで)
Beautiful.aiAIによるレイアウト最適化
Canva(AI機能)テンプレートにAI生成テキストを組み込む

GammaやBeautiful.aiは日本語対応の品質が向上していますが、最新仕様は各公式サイトで確認してください。本記事では汎用的なChatGPT・Claudeを使った手順を中心に説明します。

手順:役員向けのスライドをAIで作る

ステップ1:スライドの目的と聴衆を確定する

スライドを作る前にAIへ渡す情報として、次の4点を整理します。

  • 誰向けか(CFO・全役員・各事業部長など)
  • 何のための資料か(意思決定を求める・状況を報告する・計画を説明する)
  • 主要なメッセージは何か(一言で言うと何を伝えたいか)
  • 時間制約(15分プレゼン用?読み資料として配布?)

ステップ2:スライドの構成をAIで作る

まず各ページのタイトルと1行の要点だけを出させます。文章を全部書かせる前に構成を確認することで、後の手戻りが減ります。

経営企画部の担当者として、以下の内容をもとに役員会議用スライドの構成を作成してください。
各スライドのタイトルと伝えるべき1〜2行の要点だけを出力してください。本文は後で書きます。

【資料の目的】間接部門へのRPA導入の投資承認を取締役会に求める
【聴衆】取締役5名(CEO・CFO・事業部管掌役員3名)
【プレゼン時間】15分(スライド10〜12枚が目安)
【伝えたい主要メッセージ】
- 現在の間接業務に月1,200時間の無駄がある
- RPAで2年以内に投資回収できる
- 今期中に承認すれば2027年度から効果が出る

【背景情報】
- 導入費用:初期800万円+年間保守200万円
- 削減効果:2年目以降に年間2,400万円相当
- 対象3部門:経営企画・財務・総務

ステップ3:各スライドの本文をAIで書く

構成が確定したら、1枚ずつ本文を作ります。すべてを一度に書かせるより、1〜2枚ずつ確認しながら進める方が品質が安定します。

上記の構成の「スライド3:現状の課題と定量的な損失」を書いてください。

【制約】
- スライドタイトル:1行
- メインメッセージ(大見出し相当):1行、20字以内
- 本文の箇条書き:3〜4項目、各項目15字以内
- 補足説明(スピーカーノート用):100字程度

数字を必ず入れて、「〜が課題です」のような抽象的な表現は使わないこと。

この形式で出力させると、スライドへの貼り付け作業が最小限になります。タイトル・大見出し・箇条書き・スピーカーノートが揃った状態で出てくるため、PowerPointのテキストボックスにそのまま入れられます。

ステップ4:メッセージの一貫性をチェックさせる

全ページの文章が揃ったら、論理の流れをAIに確認させます。

以下は完成したスライドの各ページのテキストです。
このスライド全体を読んで次の観点で評価してください:

1. 「月1,200時間の損失→RPA導入→2年で投資回収」という論理の流れに飛躍や矛盾はあるか
2. 聴衆(取締役)が疑問を持ちそうな箇所はどこか
3. 削除または圧縮した方がよいスライドはあるか

具体的な指摘で答えてください。「問題ありません」という回答は不要です。

Gammaを使ってスライドデザインまで一気に仕上げる

GammaはAIでスライドのレイアウトと文章を同時に生成できるツールです。日本語の精度は向上していますが、最新の対応状況は公式サイトで確認してください。

基本的な使い方は「アウトラインを貼り付けてスライドを生成させる」です。ChatGPTやClaudeで作ったスライド構成のテキストをGammaに貼り付けると、デザインされたスライドが数分で出来上がります。細部の表現や色・フォントは手動で修正します。

うまくいかない場合のポイント

1枚に入れる情報が多すぎる

「1スライド1メッセージ」を守れていない場合、AIに「このスライドの要素を2枚に分割するとしたら、どう分けますか?」と聞くと分割案を出してくれます。

箇条書きが多くなりすぎる

「箇条書きは最大3項目、それ以上は別のスライドに分ける」という制約をプロンプトに入れると抑制できます。役員向け資料ほどシンプルな方が効果的です。

数字の根拠が弱い

「このスライドの数字のうち、根拠の説明が必要なものを指摘してください」とAIに確認させると見落としを防げます。提案書の数値との整合性もあわせて確認してください。

スライドのスピーカーノートをAIで作る

口頭プレゼン用のスライドには、発表者が読むスピーカーノートが必要です。スライドの箇条書きだけでは伝わらない補足説明・データの背景・想定質問への回答をスピーカーノートとして書かせると、プレゼンの準備時間が短縮されます。

以下のスライドのテキストをもとに、各スライドのスピーカーノートを作成してください。

【制約】
- 各スライドのノートは100〜150字
- 「このデータが示すポイント」「想定される質問と簡単な回答」を含める
- 発表者が読み上げるのではなく、頭の中で整理するためのメモとして書く

(ここにスライドテキストを貼る)

スピーカーノートを事前に持っておくと、役員から「その根拠は?」「他の選択肢は?」という突発的な質問にも落ち着いて答えられます。

プレゼン後のQ&A想定をAIで作る

経営企画のプレゼンで最も緊張するのは役員からの質問タイムです。AIを使って想定Q&Aを事前に準備できます。

以下のスライドの内容をもとに、役員(特にCFO・CEO)が発表後に質問しそうな内容を10問挙げ、各質問に対する回答案を作成してください。

【前提】
- 承認を求める稟議型のプレゼン
- 想定される懐疑的な役員が1名いる
- 競合する予算案と比較されるリスクがある

質問は批判的・懐疑的な観点で作ってください。「よく聞こえる質問」よりも「答えに詰まりそうな質問」を優先してください。

(ここにスライドテキストを貼る)

回答案はAIが作りますが、社内の具体的な文脈を補って自分の言葉に直してください。特に「競合他社との比較」「他の会社での成功事例」などはAIの情報が古い場合があり、最新情報で確認が必要です。

月次報告スライドのコメントをAIで更新する

経営会議の月次報告スライドは毎月同じフォーマットで数字だけが変わる資料です。AIを使えば、数字の変化に対する考察コメントを素早く更新できます。

以下の月次報告スライドのコメント欄を今月の数字で更新してください。

【前月のコメント(参考)】
「4月の売上は96.8億円(予算比-0.2%)。ほぼ計画通りで、A事業の立ち上がりが若干遅れた影響が残っている」

【今月の数字】
5月の売上:94.2億円(予算比-2.9%)
主な要因:A事業の新製品リリースが1ヶ月遅延

【制約】
- 60〜80字で簡潔に
- 数字を含める
- 前月からの変化のポイントを示す
- 「〜と思われます」などの曖昧な表現は使わない

前月コメントを参考として入力することで、文体と表現の一貫性が保たれます。毎月このプロンプトを使い回すと、月次報告スライドのコメント更新が5分で完了します。

スライドデザインとAIの関係

スライドの見た目(デザイン)については、現在のAIツールでできることに限界があります。

ChatGPT・Claudeはテキストの生成に特化しており、PowerPointのデザインを直接変更する機能は標準では持っていません。GammaやBeautiful.aiのようなスライド生成専用ツールはデザインまで対応しますが、日本語フォントの扱いやレイアウトの細かい制御に課題が残る場合があります。

現実的な使い方は「AIで文章・構成を作り、デザインは社内の承認済みテンプレートに流し込む」です。経営企画が作るスライドはデザイン性より論理の明快さの方が評価されるため、既存テンプレートの活用で十分な場合が多いです。

スライド作成でよく使うプロンプトのパターン

経営企画担当者がスライド作成でよく使うプロンプトのパターンをまとめます。

「一文で伝えるメッセージ」を引き出す

スライドの各ページが伝えるメッセージを一文で表現するのが難しい場合に使います。

以下の情報が入ったスライドの「メインメッセージ」を一文(20字以内)で表現してください。
読んだ人が「だから何?」と思わない、結論を先に示す形にしてください。

(スライドの内容を貼る)

「データの読み方」を引き出す

グラフや表に使うデータがあるが、「この数字から何を言うか」が固まっていない場合に使います。

以下のデータから、役員向けプレゼンで最も伝えるべき1つのポイントを選び、その根拠とセットで示してください。
「数字が大きい/小さい」という事実だけでなく、「それが問題か好機か、なぜそう言えるか」まで含めてください。

(データを貼る)

「論理の流れ」を確認する

スライドが完成した後、ストーリーラインに飛躍がないか確認する場合に使います。

以下のスライドの各ページのタイトルとメインメッセージを読んで、論理の流れを評価してください。

1. 前のページの主張が次のページの前提として機能しているか
2. 突然話題が変わっているページはないか
3. 最後のページが「だから承認してほしい(または決定すべき)」という結論に自然につながっているか

飛躍や矛盾を指摘してください。

(各ページのタイトルとメインメッセージのリストを貼る)

中期計画発表スライドをAIで作る場合の注意

中期経営計画の発表資料は、月次報告や稟議資料と異なる難しさがあります。3〜5年先のビジョンと数値目標を、外部ステークホルダー(株主・取引先・銀行)にも伝わる言葉で表現する必要があるからです。

AIを使う際に特に注意が必要な点は2つです。

一つ目は数値の確実性の扱いです。「2029年度に売上500億円を目指す」という目標と、「2027年度までに確実に達成できる施策」は明確に区別して書く必要があります。AIは両者を混同した文章を書く可能性があるため、「目標値」「計画値」「確実な施策」の区別をプロンプトで明示してください。

二つ目は外部開示に使う表現の確認です。IR資料・有価証券報告書と整合するかどうかは、法務・IR担当のレビューが必要です。AIが作った表現が既存の開示資料と矛盾していないか、「将来予測に関する注意書き」が必要な箇所はどこかについて、担当部門の確認を経てから公表資料として使ってください。

スライドの内容は提案書の作成で整理した論点をベースにすると、一貫性が保てます。また報告書の作成とセットで使うことで、口頭プレゼン用と書面報告用の資料を効率よく揃えられます。


スライド作成でAIを使う最大のメリットは「各ページに何を載せるか」を整理する作業が速くなることです。デザインより先に論理を作る。その骨格作りにAIが力を発揮します。

よくある質問

AIはPowerPointやGoogleスライドを直接作れますか?

現時点でChatGPT・ClaudeなどのAIは、スライドファイルを直接生成する機能を標準で持っていません。AIで「スライドの文章・構成・各ページの要点」を作り、人間がPowerPointやGoogleスライドに流し込む運用が現実的です。ただし一部のツール(Gamma、Beautiful.aiなど)はAIによるスライド自動生成に対応しています。

役員向けのスライドでページ数の目安はありますか?

意思決定を求める稟議型は10〜15ページ以内、報告型は5〜8ページが目安です。ただし社内文化によって異なるため、過去の承認事例を参考にしてください。

スライドに載せるデータの可視化もAIに頼めますか?

ChatGPT(Code Interpreter機能)はグラフの画像生成ができます。データを渡すと棒グラフや折れ線グラフを出力してくれますが、デザインの細かい調整は別途必要です。ClaudeはSVGやHTMLで簡単な図の構造を示すことはできますが、画像の直接生成はできません。