職種別AI仕事術

広報のアイデア出し・壁打ちにAIを使う方法

広報のアイデア出し・壁打ちにAIを使う方法

この記事の要点

広報担当がプレスリリースのフック探し・SNSキャンペーン企画・社内報ネタ出しなどのアイデア出しをAIで効率化する方法を解説。実践的なプロンプト例付き。

結論

広報担当がプレスリリースのフック探し、SNSキャンペーンのコンセプト、社内報のネタ出しをAIと行うと、思考の幅が広がり、ゼロから考えるより短時間で選択肢が揃います。AIのアイデアはそのまま使うものではなく、自社の文脈に合わせて選び、磨くための素材として使います。上手く機能させるには、背景情報と制約条件を先に渡すことと、出てきたアイデアを掘り下げる対話の続け方が重要です。

広報のアイデア出しでAIを使う意味

広報のアイデア出しには特有の難しさがあります。同じニュースを扱うのに、記者が反応する切り口を見つけなければならない。社内のステークホルダーを動かすほどの目新しさが必要な一方、ブランドのトーンから外れてはいけない。この制約の多い環境で、毎回ゼロから考えるのは消耗します。

AIを使うと、制約を渡したうえで大量の選択肢を短時間で得られます。20個の角度から考えてもらい、その中から3つ選んで深掘りする、という使い方です。AIが出してくるアイデアは必ずしも斬新ではありませんが、「自分では思いつかなかった切り口」が混じっていることがあります。

もう一つの使い方は「批判的なフィードバックをもらう壁打ち」です。「このプレスリリースのネタは弱いと思うか、どこが問題か」と率直に聞くと、遠慮のない指摘が返ってきます。人間の同僚に頼みにくい批判的なフィードバックを、気兼ねなく求められる点が実用的です。

使うツール

ツール特徴
Claude長い文脈を渡した上での発散・深掘りが得意
ChatGPT広く使われており、使い方の情報が豊富
Perplexity時事ネタや流行を踏まえた発想に向いている

アイデア出しは無料プランでも一定使えますが、背景情報を大量に渡して精度の高い発想を得るには有料プランが安定します。

手順:プレスリリースのフックを探す

プレスリリースを書く前に「どういう切り口で伝えるか」を決める作業は、記者に届くかどうかに直結します。AIを使って複数の角度から考えます。

ステップ1:ネタの情報をまとめる

発表内容、対象読者、背景、制約(言えること・言えないこと)を整理します。

ステップ2:複数のフックを出してもらう

私は[業種]企業の広報担当です。以下のニュースをプレスリリースで発表します。
記者が関心を持ちやすい切り口(フック)を10個提案してください。

【発表内容】
[具体的な内容を書く]

【ターゲット媒体】
[想定している媒体・記者層]

【自社の立場・背景】
[事業概要・市場での位置付けなど]

【制約(書けないこと)】
[株価への影響懸念・競合への言及禁止など]

各フックは「見出し案(30字以内)」と「なぜ記者が関心を持つか(1〜2文)」をセットで書いてください。

ステップ3:気になるアイデアを掘り下げる

出てきた10個のうち気になるものを選んで、さらに具体化します。

上で提案された「[フック名]」の方向性でプレスリリースを書くとします。

1. このフックで伝わるメインメッセージを1文で書いてください
2. 記者がこの角度で質問してくる想定3問と、それへの回答の方向性
3. このフックの弱点(反論されそうな点)
4. 弱点を補う追加情報・データ

批判的な視点を含めて教えてください。

「弱点を聞く」ことがポイントです。気に入ったアイデアほど自分では弱点が見えにくいので、AIに先手を打って問い返してもらいます。

場面別プロンプト例

社内報のネタを探す

全社員向け社内報の特集テーマや記事ネタを探す場面です。毎号ネタが枯渇するという悩みはどの会社でも起きます。

社員数300名のIT企業の社内報担当です。
今月号の社内報に載せる記事ネタを20個提案してください。

【社内報の方針】
- 月1回、全社員に配信(PDF形式)
- 読んで職場が少し楽しくなる内容を重視
- 過剰な「会社のPR」記事は避けている

【最近の会社の動き】
- 先月に新オフィスに移転
- 人員が25%増加し、新入社員が多い
- リモートワーク比率が高まっている

各ネタには「記事タイトル案(20字程度)」と「記事の中心となるエピソード・素材の入手先」を書いてください。

社内報の本文作成については広報がAIで社内報を作る方法で詳しく解説しています。

SNSキャンペーンのコンセプトを考える

記念日・周年・商品発売などに合わせてSNSキャンペーンを企画する場面です。

[会社名]の創業10周年を記念して、X(旧Twitter)でキャンペーンを企画します。
具体的なキャンペーンコンセプトを5案、提案してください。

【会社・ブランドの特徴】
[事業内容、ブランドトーン、主な顧客層]

【キャンペーンの目的】
- 周年を社外に発信する
- フォロワー獲得よりも既存ファンの熱量を高めたい
- ユーザー参加型にしたい

【制約】
- 景品付き懸賞はコンプライアンス確認が必要なため今回は避ける
- 工数をかけすぎない(運営は広報担当1名)

各案:コンセプト名・内容(3文)・参加者が何をするか・想定されるリスク を書いてください。

発表のタイミングと媒体の角度を考える

同じニュースでも、発表するタイミングや渡す媒体によって切り口が変わります。AIに戦略的な視点を出してもらいます。

以下のニュースを発表する際の、媒体ごとの切り口戦略を提案してください。

【発表内容】
[具体的な内容]

【想定媒体】
1. 全国紙ビジネス面
2. 業界専門誌
3. テック系Webメディア
4. SNS(X)

各媒体に対して:
- どの側面を前に出すべきか
- どの切り口で「ニュース性」を作るか
- 避けるべき表現・内容
を提案してください。

発表前のリスク・批判点を洗い出す

発表するネタやプレスリリースの方向性が固まった段階で、外部からの反発や批判的な読まれ方を事前に確認する場面です。

以下のプレスリリース案について、批判的な視点でレビューしてください。

【プレスリリース案の概要】
[内容を書く]

確認したいこと:
1. 記者が「これは弱い」「証拠がない」と感じそうな点
2. 競合他社・業界団体から反論されそうな論点
3. SNSで炎上リスクのある表現・内容
4. 改善するとしたら何を変えるか

批判的に読んでください。「問題ない」という結論よりも、弱点を探して教えてください。

このような批判的な壁打ちは、危機対応の準備にも繋がります。広報の危機対応をAIで支援する方法でさらに詳しく解説しています。

AIとの対話を深める使い方

一度で完成を目指すより、対話を続けながら絞り込む使い方が効果的です。

広げる: まず大量のアイデアを出してもらう(20〜30案)

選ぶ: 自分で気になるものを3〜5個選ぶ

深める: 選んだアイデアを「さらに5つ展開して」「このアイデアの問題点は?」「具体的にどうやるか」と掘り下げる

壊す: 「このアイデアが失敗するとしたら何が原因か」と批判的な視点で確認する

この「広げる→選ぶ→深める→壊す」のサイクルを1〜2回回すと、最初のプロンプトだけより格段に良いアイデアに育ちます。

うまくいかない場合のポイント

出てくるアイデアがすべて似たり寄ったり

背景情報が少ない状態でアイデアを求めると、汎用的な内容しか返ってきません。「業界の特殊な前提」「自社のこれまでの発信との違い」「避けたい表現」を追加で伝えると変わります。

具体性がなく使えない

「インパクトのある発信を」のような抽象的な指示だと抽象的な提案が返ります。「記者が1文で説明できるネタ」「週明け月曜の朝9時に出すと効果的な理由付き」のように、具体的な基準を指定します。

自社のブランドトーンと合わない

AIは自社のブランドトーンを知りません。「当社の広報はフォーマルで落ち着いたトーンを基本とし、キャッチーすぎる表現は避けています」のように事前に宣言してから依頼します。

まとめにかえて

広報のアイデア出しにAIを使う最大の効果は、「自分一人では到達しなかった角度を発見できること」と「批判的なフィードバックを遠慮なく求められること」の2点です。出てきたアイデアを選び育てるのは人間の仕事で、AIは選択肢の数と多様性を広げる役割を担います。背景情報を渡すほど精度が上がるため、最初の一文で終わらず対話を続けることが、このツールを活かす使い方です。

よくある質問

AIのアイデアはそのまま使えますか?

AIのアイデアは素材として使います。そのままでは文脈が合わなかったり陳腐だったりすることが多く、自社の状況・ブランドトーン・タイミングに合わせて人間が選んで育てる前提で使うのが現実的です。

アイデア出しにはどのAIツールが向いていますか?

Claude・ChatGPTのいずれも使えます。長い背景情報を渡して文脈に沿ったアイデアを出してもらうにはClaudeが向いています。いずれも有料プランのほうが質・量ともに安定します。

AIとの壁打ちと人間との壁打ちは何が違いますか?

AIは疲れず、時間帯を問わず、批判的なフィードバックを遠慮なく返します。一方で業界の文脈や自社の空気感は持っていないため、背景情報を渡す手間がかかります。両者を使い分けるのが現実的です。

アイデアが出ない理由はプロンプトが悪いから?

プロンプトの品質は影響しますが、出たアイデアから連想を広げる使い方が有効です。「このアイデアをさらに5つ展開して」「このアイデアの弱点は何か」と掘り下げていくと、最初のプロンプトより良いアイデアに繋がることがあります。