職種別AI仕事術

広報が長い資料をAIで要約するコツ

広報が長い資料をAIで要約するコツ

この記事の要点

広報担当がAIを使って決算資料・調査レポートなどの長文を短時間で要約する手順を解説。目的別プロンプト例と失敗を防ぐポイントを具体的に紹介。

結論

広報担当が決算資料や調査レポートを要約するとき、AIを使えば30ページの資料を10分以内に整理できます。ただし「要約して」と貼るだけでは使いものにならない出力が返ってきます。目的・分量・観点の3つを指定するだけで、そのままプレスリリースの下書きや社内報の素材に使えるレベルに変わります。

広報の要約作業で何が変わるか

広報の日常には、要約が必要な資料が絶えず届きます。投資家向けの決算説明資料、業界団体が発表する白書、取材前に読み込む調査レポート、経営会議の配布資料。これらを読み解いてメディア向けに再構成する作業は、時間と判断力の両方を消耗します。

AIを組み込むと、作業の構造が変わります。「読んで理解して整理する」という一体化した作業が、「AIが粗削りに整理する」と「人間が判断して磨く」に分かれます。前半の整理作業を任せることで、広報担当は判断と磨きに集中できます。

たとえば60ページの中期経営計画を、翌朝のプレス向けブリーフィング用に3分間で説明できる要点リストにまとめる作業があります。従来なら2〜3時間かけて読んで付箋を貼っていたところを、テキスト貼り付けと適切な指示で30分に縮められます。

使うAIツール

広報の要約業務に使いやすいツールは次の3つです。

ツール特徴向いている用途
Claude長文処理が得意。文章の自然さが高い要約・文書作成全般
ChatGPT広く使われており情報が多い汎用的な要約・整理
GeminiGoogleドキュメントと連携しやすい社内共有資料の処理

いずれも有料プランのほうが入力できる文字数の上限が大幅に増えます。60ページを超える資料を定期的に扱う場合は、有料プランの利用を検討するとよいでしょう。最新の制限は各サービスの公式ページで確認してください。

要約の手順

ステップ1:目的を決める

要約を何に使うかによって、欲しいアウトプットが変わります。プレスリリース用の要点抽出と、社内報の読者向け解説文では、強調すべき点が異なります。作業を始める前に以下を決めてください。

  • 誰が読むか(メディア・社員・経営層)
  • 何文字・何行が適切か
  • 強調したい観点(数値、背景、影響)

ステップ2:資料をテキストにする

PDFなどのファイルをAIに渡すには、テキストとして貼り付けるか、ファイルアップロード機能を使います。テキストコピーが使える場合はそのほうが確実です。表や図は「この部分は図のため省略」と自分でメモを入れておくと、AIが混乱しにくくなります。

ステップ3:プロンプトを構成する

以下がそのまま使えるプロンプト例です。

以下の資料を要約してください。

【目的】来週のメディアブリーフィングで3分間説明するための要点整理
【対象読者】業界担当の記者
【出力形式】箇条書きで5〜7点。各点は50字以内
【特に注目してほしい点】数値目標、新規事業、市場環境の変化

---資料本文---
(ここに資料のテキストを貼る)

この形式の核心は、「何のために」「誰向けに」「どんな形で」を先に宣言することです。指示が曖昧なままだと、AIは文章のどこが重要かを判断できず、表面的なまとめになります。

ステップ4:出力を検証する

AIが返してきた要約は必ず原文と照合します。確認すべき項目は以下のとおりです。

  • 数値(売上、成長率、計画値)が正確か
  • 固有名詞(会社名、製品名、人名)が正確か
  • 原文にない言葉や解釈が入り込んでいないか
  • 重要な注釈や前提条件が省かれていないか

AIは表現を平滑化する傾向があり、「前年比増加」を「大幅増加」と言い換えるような変化が起きることがあります。数字と固有名詞は特に注意して原文と対照してください。

場面別プロンプトの使い分け

決算資料を記者説明用に整理する場合

以下の決算資料を、明日の記者説明会で使う資料の素材として要約してください。

【想定読者】経済・ビジネス担当の記者
【分量】A4半ページ相当(400〜500字)
【構成】1)事業概況の3行まとめ、2)前年比の主要数値3点、3)今後の展望
【注意】数値は原文の数字をそのまま使い、解釈は加えないこと

---資料本文---
(ここに資料のテキストを貼る)

業界白書を社内報に転用する場合

以下の業界白書を、社内報(全社員向け)のトピックス欄に使う素材に要約してください。

【想定読者】自社ビジネスへの関心はあるが専門知識のない一般社員
【分量】400字以内
【スタイル】難しい専門用語は平易な言葉に置き換える。ただし数値は原文のまま
【焦点】自社の事業に直接関係する部分を優先する

---白書本文---
(ここに白書のテキストを貼る)

長い会議資料から論点を抽出する場合

広報が経営会議の事前資料を読んで、翌日の社外発表に何を入れるか判断する作業があります。数十ページある配布資料から「記者が食いつきそうな論点」を絞り込む作業です。

以下の会議資料から、プレス向けの話題になりえる内容だけを抽出してください。

【フィルター条件】新しい取り組み、数値の変化、業界への影響
【除外してよい内容】内部管理事項、予算の詳細、人事情報
【出力形式】「見出し:要点1〜2文」の形式で5件以内

---会議資料本文---
(ここに資料のテキストを貼る)

うまくいかない場合のポイント

要約が長すぎる・短すぎる

文字数を数字で指定していない場合に起きます。「短く」「簡潔に」といった表現は人によって解釈が違うのと同じで、AIも幅広く解釈します。「300字以内」「箇条書き5点以内」のように数字で指定します。

重要な情報が抜ける

資料の後半や注釈に重要な情報があると、AIが前半を優先して後半を軽く扱うことがあります。「第3章の数値目標は必ず含める」のように、保持してほしい情報を明示します。

原文にない表現が混入する

AIが文章を「自然な言葉」に整える際に、原文のニュアンスが変わることがあります。「言い換えや解釈を加えず、原文の表現を優先する」と指示に加えると抑えられます。それでも混入する場合は、出力を原文と照合する確認作業を丁寧に行うしかありません。

資料が長すぎてAIが受け付けない

無料プランでは入力できる文字数に上限があります。資料を2〜3回に分けて貼り、最後に「これまで分割して送った3つの資料をまとめて要約してください」と繋げる方法もあります。ただし分割すると文脈が途切れやすいため、重要な資料は有料プランで一括処理するほうが精度は安定します。

プレスリリース作成との連携

要約した内容をプレスリリースの下書きに繋げる流れを作ると、さらに効率が上がります。要約が完成したら、続けて次のプロンプトを使えます。

上の要点をもとに、プレスリリースの第1段落(リード文)を書いてください。

【条件】
- 5W1H(誰が・いつ・何を・なぜ・どのように)を含む
- 200字以内
- 新聞記事のリード文に近いスタイル
- 推測や評価は含めない。事実だけを書く

プレスリリースの本文構成については広報がAIでプレスリリースを作る手順で詳しく解説しています。

社内報への転用フローは広報がAIで社内報を作る方法を参照してください。

まとめにかえて

要約のクオリティは「何を貼ったか」ではなく「何を頼んだか」で決まります。目的・読者・分量・観点を最初に宣言する習慣をつけると、修正の手間が大幅に減ります。AIが整理したものを人間が確認・判断するという役割分担を意識すると、作業全体がスムーズになります。

よくある質問

広報がAIで資料を要約する際、どんな情報を入力すればよいですか?

要約の目的(誰に何のために使うか)、文字数の上限、強調したい観点を一緒に渡すと精度が上がります。資料のテキスト全文またはコピーを貼り付け、「プレスリリース用に300字で」と指示するのが基本です。

AIの要約をそのまま使ってよいですか?

そのまま使うのは危険です。数値・固有名詞・日付は原文と照合し、意味が変わっていないか人間が確認する必要があります。最終確認は必ず行ってください。

無料のAIツールで要約はできますか?

ChatGPT(無料版)やClaude(無料版)でも長文要約は可能ですが、入力できる文字数に上限があります。長い資料を扱う場合は有料プランのほうが安定して使えます。最新の上限は各サービスの公式情報で確認してください。

要約がいつも表面的で使えないのですが、どうすればよいですか?

「この資料で最も重要な数値と背景を3点挙げてください」のように、具体的な切り口を指定するとより実用的な出力になります。漠然と「要約して」と頼むと表層的になりがちです。