職種別AI仕事術

プレスリリースをAIで作る方法

プレスリリースをAIで作る方法

この記事の要点

新製品発表や事業提携のプレスリリースをAIで作ると、初稿作成が90分から15分に短縮される。広報担当者が使える具体的なプロンプトと、品質を保つための確認ポイントを解説する。

結論

新製品の発表や事業提携のプレスリリースをAIで作ると、情報を揃えてから初稿を出すまでが15分以内で完成します。広報担当者が手を動かすべきは「何を発表するか」の情報整理と、出力後の事実確認に絞られます。構成・見出し・代表コメントの下書きはAIに任せて問題ありません。

プレスリリース作成でAIが効く場面

プレスリリースの作成は、情報収集よりも「情報を決まった型に当てはめる」作業に時間がかかります。AIはこの「型当てはめ」が得意です。

特に効果が出やすいのは次の3場面です。

リード文の複数パターン出し

プレスリリースのリード文は、何がどう変わったかを1〜2段落で読ませる最重要部分です。「強調するポイントが違う3パターンを出す」と指示すれば、選ぶだけで済みます。

代表コメントの下書き

代表取締役のコメントは毎回書き方に悩みます。「事業の背景・期待・顧客への言葉」の3点を含めた100〜150字のコメント下書きを出力してもらい、本人に渡して修正してもらう流れが実務でよく使われます。

タイトルのバリエーション

配信プラットフォームと自社サイトで配信先が違う場合や、メディアごとに使い分けたい場合、5〜10パターンのタイトルを一度に出せます。

使うAIツール

**ChatGPT(GPT-4o)またはClaude(claude-sonnet系)**が向いています。どちらも日本語のビジネス文書生成の精度が高く、構成指定に従って出力を揃えられます。

発表前の製品情報・契約内容・人事情報をAIに入力する際は、社内のセキュリティルールを確認してください。機密情報を含む場合は、固有名詞を仮名に置き換えて入力し、出力後に書き戻す方法が実務では取られています。

手順:プレスリリースをAIで作る

ステップ1 発信する情報を箇条書きで整理する

AIに渡す前に、次の項目を埋めます。プロンプトに直接貼り付ける素材になります。

  • 発表する内容(製品名・サービス名・事実)
  • 発売日・サービス開始日・施行日など
  • 価格・提供方法・対象者
  • この発表の背景(なぜ今か)
  • 代表または担当者が伝えたいメッセージ
  • 問い合わせ先・URL

この整理を省くと、AIが情報を推測で補い、存在しない数字や事実が出力に混入します。

ステップ2 プロンプトを書いてAIに渡す

以下は新サービス発表のプレスリリース本文を作るプロンプト例です。

【役割】
あなたは広報専門のライターです。

【依頼】
以下の情報をもとに、報道関係者向けのプレスリリース本文を作成してください。

【発表内容】
- サービス名:〇〇クラウド
- 概要:中小企業向けのクラウド型在庫管理サービス
- 提供開始:2026年8月1日
- 料金:月額9,800円(税抜)〜
- 特長:①リアルタイムで在庫数を更新 ②スマートフォンから操作可能 ③既存の会計ソフトと連携
- 背景:国内の中小製造業では手作業の在庫管理が課題で、棚卸しの工数が月平均20時間かかっているという調査結果がある(出典:〇〇調査2025年版)
- 代表コメント用キーワード:「現場の負担を半分にする」「中小企業のDX推進に貢献」

【構成条件】
- タイトル(5パターン)
- リード文(150字以内)
- 「サービスの概要」「特長」「背景」「代表取締役コメント」の4セクション
- 本文全体で800〜1,000字

【注意】
- 条件に書いていない数字や事実は補わない
- 代表コメントは発言として自然な口語調で書く

ステップ3 出力を確認する

出力されたテキストを次の観点で確認します。

  • 入力した数字と出力の数字が一致しているか
  • 存在しない情報が補われていないか
  • 代表コメントが本人のトーンと合っているか
  • 配信先の規定文字数に収まっているか

数字の確認は特に重要です。AIは入力した数字を別の文脈で使い間違えることがあります。「月額9,800円」を「最大9,800円削減」のように意味を変えて使うケースが実際に発生します。

ステップ4 関係者への確認と修正

出力を素材として、次の確認を社内で取ります。

  • 代表コメントの発言者による確認・修正
  • 法務・コンプライアンスによる表現チェック(優位性の比較表現、効果の断定など)
  • 事業担当部門による数字・仕様の照合

この確認工程はAIを使っても省略できません。AIは社内の最終承認プロセスを代替しません。

ステップ5 配信前の最終仕上げ

PR TIMESやValue Pressなどの配信プラットフォームに合わせて書式を調整します。画像・図版の有無、タグ設定、配信先メディアの選定は人間が行います。

タイトルの最終版はA/Bで迷うことが多いため、ステップ2で出したタイトル5パターンから複数人で選ぶ方法が決定を速くします。

広報固有の2つの注意点

注意点1:発表前の製品情報の取り扱い

プレスリリースは発表日まで非公開です。AI入力する情報は、まだ社外に出ていない製品名・価格・体制変更を含むことがあります。社内でAIサービスへの入力可否ルールが定められている場合は、それに従ってください。

機密情報を含む場合は、製品名を「新サービスA」、提携先を「パートナー企業」のように置き換えて入力し、出力後に正式名称を書き直す方法が実務でよく使われます。出力の品質はほぼ変わりません。

注意点2:比較優位表現の確認

「業界初」「国内最大」「〇〇比XX%削減」のような表現は、景品表示法や自社のコンプライアンス基準に照らした確認が必要です。AIはプロンプトに書かれた内容を強調した形で文章に組み込むため、こうした表現が根拠なく出力に含まれることがあります。

比較・優位性の表現が出力に含まれていた場合は、根拠があるものだけを残し、根拠がないものは削除または言い換えてから配信します。

うまくいかない場合のポイント

リード文が長すぎる

「150字以内」と制約を入れてもオーバーすることがあります。「プレスリリースを見たメディアが内容を判断するために最低限必要な情報だけを含めた150字以内のリード文」と目的を添えると改善します。

代表コメントが硬すぎる

コメントの候補として渡すキーワードが少ないと、AIが汎用的なコーポレート語で埋めます。本人がよく使う言い回し・過去のコメント文を1〜2例プロンプトに貼り付けて「このトーンに近い口語調で」と指示すると本人らしさが出ます。

事実が含まれていない情報が出てくる

プロンプトに書いていない数字・効果・比較対象が出た場合は、「補完しない、与えた情報だけを使う」と明示して再生成します。

他の広報業務との連携

プレスリリースに代表の発言を引用する場合、広報の文字起こしをAIで整形する方法で解説している発言抜粋の手順が使えます。配信後の取材依頼への対応準備は、取材対応の準備をAIで行う方法で解説しています。

炎上や問題発生時の対応文は通常のプレスリリースとは性質が異なります。危機対応文をAIで作る方法で別途解説しています。

プレスリリース作成の汎用テンプレート

【役割】
あなたは広報専門のライターです。

【依頼】
以下の情報をもとに、報道関係者向けのプレスリリース本文を作成してください。

【発表内容】
- 発表事項:〔新製品発売/事業提携/人事発令/サービス変更/業績発表〕
- 名称:〔製品名・サービス名・人名〕
- 概要:
- 日付・時期:
- 価格・条件(ある場合):
- 特長・変更点:
- 背景(なぜ今か):
- 代表または担当者コメントの方向性:

【構成条件】
- タイトル(3〜5パターン)
- リード文(100〜150字)
- 本文セクション:〔概要、特長、背景、コメント〕
- 全体で〔600〜1,000字〕

【注意】
- 与えた情報以外の数字・事実は補わない
- 比較優位表現は使わない(「業界初」「最大」等)
- コメントは口語調

このテンプレートを案件の種類に応じてカスタマイズし、チームで共有しておくと担当者が変わっても同じ品質の初稿が出ます。プレスリリースは件数が増えるほどこうした型の効果が出やすい業務です。

よくある質問

AIで作ったプレスリリースをそのまま配信していいですか?

配信前に必ず人間が確認してください。数字・固有名詞・日付・引用コメントは特に誤りが出やすい箇所です。発表前の機密情報を含む場合は、社内のセキュリティルールに従って入力可否を判断してください。

プレスリリースのどの部分にAIが特に効きますか?

本文の構成作成・代表コメントの下書き・配信タイトルの複数パターン出しが特に効果的です。リード文(冒頭の要約段落)と見出しは何度も書き直すため、複数パターンを一気に出せるAIが向いています。

プレスリリースの書式はAIが知っていますか?

一般的な書式は学習されていますが、自社の配信フォーマット・ルールとは異なる場合があります。プロンプトに自社フォーマットの条件を書き込むか、過去のリリースを参考として貼り付けて指示すると精度が上がります。

英語版プレスリリースも同時に作れますか?

日本語版を確定してから英訳するのが実務では一般的です。英訳の精度は高いですが、業界用語や製品名の表記は確認が必要です。英語版もそのまま使わず、ネイティブチェックを挟むことを推奨します。