職種別AI仕事術

広報の文字起こしをAIで整形する方法

広報の文字起こしをAIで整形する方法

この記事の要点

インタビューや記者会見の文字起こしをAIに渡すと、話し言葉の羅列が読めるテキストに変わる。整形に使うプロンプトの組み方と、広報固有の注意点を解説する。

結論

インタビューや記者会見の文字起こしをそのままAIに渡し、「話し言葉を書き言葉に直す」「同じ内容の重複を取る」「時系列に並べ直す」を指示するだけで、40分の録音から得た6,000字の生テキストが2,000字の読めるテキストに変わります。広報で発生する文字起こし整形のほとんどはこの3工程で対応できます。

AIが効く整形の3種類

文字起こしの整形で広報が直面する作業は、大きく3つです。

1. 話し言葉を書き言葉に変換する

「えーとですね、まあその、やっぱり弊社としてはですね」という発言が「弊社としては」に変わります。フィラー語(えーと、まあ、あのー)の除去と、話し言葉特有のねじれた文の修正がここに含まれます。

2. 重複・脱線を除く

インタビューでは同じ内容が何度も出てきます。「そう、だからさっきも言ったんですが」のような前振りと繰り返しをまとめることで、情報量を変えずに文字数を半分以下にできます。

3. 見出しを立てて構造化する

長いインタビューをそのまま1本の文章にすると読まれません。話題の切り替わりに見出しを立て、質問と回答を整理するとウェブや社内報で使える形になります。

AIはこの3工程すべてに使えますが、それぞれプロンプトの書き方が違います。

使うAIツール

**ChatGPT(GPT-4o)またはClaude(claude-sonnet-4-5以降)**が整形作業に向いています。どちらも長い日本語テキストの処理ができ、指示した構造に沿って出力を変えられます。

注意点として、1回の入力で処理できる文字数に上限があります。40分程度のインタビュー音声を文字起こしすると1万字前後になることが多く、一度に全量を入力できない場合があります。その場合は話題の区切りで分割して処理します。

社内規定で機密情報をクラウドのAIサービスに入力することを禁じている場合は、まだ公開前のインタビュー内容や発表前の製品情報を入力しないよう注意してください。

手順:文字起こしをAIで整形する

ステップ1 生テキストを用意する

otter.ai、Notta、Microsoft Copilotなどの自動文字起こしツール、または手動で起こしたテキストを用意します。この段階ではまだ整形しません。

文字起こしツールが出力するテキストには誤変換が含まれるため、固有名詞(人名・製品名・社名)だけは手作業で確認しておきます。AIが誤った固有名詞のまま整形を進めると、修正が後回しになりやすくなります。

ステップ2 整形の目的を決める

同じ文字起こしでも、何に使うかで整形の方向が変わります。

  • 社内報のインタビューコーナー → 本人らしさを残した話し言葉寄りの文体
  • プレスリリースの引用として使う発言 → 短く簡潔に、断定的な表現に
  • 取材対応の記録として保存する → 発言の意味を変えない忠実な書き言葉変換

この目的をプロンプトに書くかどうかで、AIの出力が大きく変わります。

ステップ3 プロンプトを書いてAIに渡す

以下は社内報のインタビュー記事用に整形するプロンプト例です。

【役割】
あなたはビジネス誌の編集者です。

【依頼】
以下の文字起こしテキストを、社内報のインタビュー記事として読みやすく整形してください。

【条件】
- 話し言葉を書き言葉に変換する(「ですね」「まあ」「えーと」などのフィラーを除去)
- 同じ内容の繰り返しは1回にまとめる
- 発言の意味・ニュアンスは変えない
- 削除した情報を補完しない(書いていないことは書かない)
- 質問者の発言と回答者の発言を分けて、Q:/A:の形式で出力する
- 見出しは話題の切り替わりに自然なものを立てる

【文字起こしテキスト】
(ここに貼り付ける)

このプロンプトで出力されたテキストを、元の音声と照合して確認します。

ステップ4 出力を確認・修正する

AIの整形出力には以下の問題が出やすいため確認します。

  • 意味が変わっていないか(縮める過程で主旨がずれることがある)
  • 存在しない情報が補われていないか
  • 固有名詞が正しいか
  • 発言の口調・人物らしさが残っているか

特に社内報のインタビューでは、本人に確認を取ってから公開するのが基本です。整形後のテキストをそのまま掲載するのではなく、発言者本人または上長が読んで問題がないと確認した版を使います。

ステップ5 プレスリリース用の発言抜粋を作る場合

プレスリリースに代表コメントや開発担当者の発言を入れる場合、長いインタビュー音声から発言部分だけを抜き出す作業もAIに任せられます。

【依頼】
以下のインタビュー全文から、製品の特長や開発背景に関する発言を3〜5行で抜粋し、プレスリリースに掲載できる形に整形してください。

【条件】
- 発言の意味を変えない
- 敬体(です・ます)に統一する
- 元の発言にない情報は加えない
- 候補を3パターン出す(長さや強調ポイントが違うもの)

【インタビュー全文】
(ここに貼り付ける)

3パターン出してもらい、広報担当者と発言者が選ぶ流れが実務では多いです。

広報固有の2つの注意点

注意点1:記者会見・発表会の発言録

新製品発表や事業方針の説明会で代表が行った発言は、そのままプレスリリースや公式サイトに掲載されることがあります。この場合、整形後のテキストは法的な発言記録としての意味を持つため、整形前後を比較した最終確認を代表本人または法務に行うことが必要です。AIで整形した版をそのまま「公式発言」として掲載するのは避けてください。

実務では、AIで整形した版を「確認用ドラフト」として発言者に渡し、発言者が直接修正を入れた版を正式なものとして扱う流れが採用されています。

注意点2:オフレコ発言が混在している場合

記者との事前の立ち話や、会見の開始前後に記録されていた発言がテキストに含まれることがあります。オフレコを前提に話した内容がAIの整形後テキストに残ってしまい、そのままメディアに渡すトラブルが起きた事例があります。

AIに渡す前に、オフレコ部分と公開可能な部分を切り分けておくことが必要です。文字起こしツールが出力した全文テキストをそのままAIに貼り付けないよう注意してください。

うまくいかない場合のポイント

出力が元の文字起こしとほぼ変わらない

プロンプトの指示が曖昧な場合です。「読みやすくしてください」だけでなく、「フィラー語を除去する」「1文を40字以内にする」のように変更点を具体的に書きます。

発言の意味が変わってしまう

整形の指示と「意味を変えない」の両立が難しいことがあります。特に曖昧な言い回しや比喩表現を含む発言は、AIが「整形」の名目で意味を変えることがあります。出力後に元の音声と照合する確認ステップを省かないことが重要です。

長すぎて処理できない

1時間以上のインタビューを一度に処理しようとすると、AIが途中で処理を打ち切ることがあります。30分以内、または話題の切り替わりで分割し、セクションごとに整形してから結合します。

文体が均一になりすぎる

発言者によって話し方は違います。「この人らしさ」を残したい場合は、プロンプトに「発言者固有の表現は残す」「以下の言い回しは変えない:〇〇」と書き加えます。

他の広報業務との連携

整形した文字起こしはそのまま他の業務に使えます。プレスリリースをAIで作る方法では、代表コメントや製品説明の発言を素材としてプレスリリースに組み込む手順を解説しています。社内報をAIで作る方法では、整形したインタビューテキストを記事の下書きに変換する手順に触れています。

発言内容をメール文面に転用したい場合は、広報のメール作成をAIで時短する方法のプロンプト構成が参考になります。

整形に使えるプロンプトの汎用テンプレート

【役割】
あなたはビジネス文書の編集者です。

【依頼】
以下の文字起こしテキストを指定の条件で整形してください。

【用途】
〔社内報インタビュー/プレスリリース用コメント/取材対応記録/会見発言録〕

【整形条件】
- フィラー語(えーと、まあ、あのー、ですね の連続など)を除去する
- 同じ内容の繰り返しは1回にまとめる
- 発言の意味・ニュアンスは変えない
- 書いていないことを補わない
- 出力形式:〔Q&A形式/通し文章/箇条書き〕
- 文体:〔敬体(です・ます)/常体(だ・である)〕

【元テキスト】
(ここに貼り付ける)

このテンプレートを自社のフォーマットに合わせて調整し、用途別に保存しておくと整形作業の品質が安定します。広報チームで共有すれば、担当者が変わっても同じ品質で整形できます。

音声から文字起こしまでの工程と、文字起こしから読めるテキストへの整形工程を分けて考え、それぞれに適したツールと手順を持つことが、広報の文字起こし業務全体の効率を上げる近道です。

よくある質問

文字起こしの整形にAIを使うと、発言内容が変わってしまいませんか?

プロンプトに「意味を変えない」「削除禁止」と明記すれば、発言の改変は防げます。ただし最終的な確認は必ず人間が行い、本人または上長の確認を経てから公開してください。

どのAIツールが文字起こし整形に向いていますか?

ChatGPT(GPT-4o)やClaude(claude-sonnet系)はどちらも長い文字起こしの整形に対応しています。ただし1回の入力に上限があるため、長時間分は分割して処理する必要があります。

自動文字起こしツールとAI整形の違いは何ですか?

otter.aiなどの自動文字起こしツールは音声から文字への変換が主機能です。AI整形はその文字起こしテキストを読みやすく構造化する作業で、別工程として組み合わせて使います。

記者会見の発言録も同じ方法で整形できますか?

同じ方法が使えます。ただし記者会見の発言録は公式性が高いため、整形後に広報責任者の確認と、場合によっては発言者本人の確認が必要です。