経営企画の文字起こしをAIで整形する方法
この記事の要点
AIを使えば会議の文字起こしを議事録に整形する作業が数分で終わる。経営企画特有の役員発言・数値表現の扱い方と具体的なプロンプト手順を解説する。
結論
会議の文字起こしを議事録に整形する作業は、AIに適切なプロンプトを渡せば10〜15分の作業が2〜3分に短縮できる。経営企画では役員会議や経営会議の議事録作成頻度が高く、発言の重複削除・構造化・アクションアイテム抽出を一括で処理できるのが実質的なメリットだ。
使うAIツール
| ツール | 向いている用途 |
|---|---|
| Claude 3.5 Sonnet / 3.7 | 長文の一括処理、構造化が得意。コンテキスト長が大きく、1〜2時間分の会議も一度で処理できる |
| ChatGPT(GPT-4o) | 慣れているユーザーに。プロンプトの再利用がしやすい |
| Gemini 1.5 Pro / 2.0 | Google Workspace連携。Meetの文字起こしをそのまま貼れる環境があるなら選択肢になる |
社内の情報セキュリティポリシーで外部AIへのデータ送信が制限されている場合は、社内で承認されたツールのみ使うこと。最新の制約は自社ルールで確認してほしい。
整形の手順
ステップ1:文字起こしを取得する
Zoom、Teams、Google Meetはいずれも文字起こし機能を標準搭載している。会議終了後にエクスポートされるテキストファイルをダウンロードする。自動文字起こしの精度は概ね70〜80%程度であることが多く、固有名詞や専門用語は誤認識されやすい。
経営企画の会議では「中計」「ROE」「EBITDA」「EPS」などの略語が頻出する。これらは事前にプロンプトで正しい表記を指定しておくと後工程が楽になる。
ステップ2:議題ごとにブロックを分割する
60分を超える会議の文字起こしは、一度にAIへ送ると整形の精度が下がることがある。議題の切り替わり部分でテキストを分割し、ブロックごとに処理するほうが確実だ。
分割の目安は、議題数か「30分あたり1ブロック」のどちらか短いほうを基準にすると管理しやすい。
ステップ3:プロンプトで整形を指示する
以下のプロンプトをそのままコピーして使える。会社名や固有名詞は差し替えてほしい。
以下は経営会議の文字起こしです。次の条件で議事録に整形してください。
【整形条件】
- 話し言葉を書き言葉に変換する(「えーと」「なんか」などの口語フィラーを除去)
- 同じ内容の繰り返し発言は1回にまとめる
- 発言者ごとに段落を分け、【発言者名】を先頭につける
- 数値・日付・固有名詞は変えない
- 各議題の最後にアクションアイテムを「【AI】担当者:期日:内容」の形式で列挙する
- 略語「中計」「ROE」「EBITDA」はそのまま維持する
【文字起こし】
(ここに貼り付ける)
ステップ4:アクションアイテムを抽出する
整形後の議事録からアクションアイテムだけを取り出す処理を別途かけると、フォローアップ管理が楽になる。
上記の整形済み議事録から、アクションアイテムだけを以下の表形式で出力してください。
| No | 担当者 | 内容 | 期日 | 確認ステータス |
|----|--------|------|------|----------------|
期日が明記されていない場合は「要確認」と入れてください。
ステップ5:出力を確認・修正する
AIの出力は必ず元の文字起こしと照合する。確認すべき優先順位は次のとおりだ。
- 数値(金額・比率・期日)が変わっていないか
- 発言者の帰属が正しいか(A社長の発言がB部長に割り当てられていないか)
- 議決事項・保留事項の区別が正しく反映されているか
経営判断に関わる数値を誤って整形されたまま配布すると、誤認識が経営会議の意思決定に持ち込まれるリスクがある。確認に3〜5分かけても十分に元は取れる。
経営企画で実際に起きるシーン
場面1:四半期業績レビュー会議の議事録作成
CFOと事業部長4名が参加した2時間の会議。発言者が多く、議題が複数跨がるため、従来は整形だけで40分以上かかっていた。文字起こしを4ブロックに分割してAIで処理し、各ブロックの出力を結合した後に全体のアクションアイテム抽出を行うと、確認込みで20分以内に終わった。
場面2:投資委員会の議事録
「このプロジェクトへの投資を承認する」「条件付き承認とし、○○の達成を前提とする」といった議決事項は、発言をそのまま整形すると曖昧になりやすい。プロンプトに「議決事項は【決定】、保留は【継続審議】のラベルをつける」と追記すると、後からの検索と確認が格段に楽になる。
うまくいかない場合のポイント
問題:AIが数値を変えてしまう
プロンプトに「数値・日付・固有名詞は一切変更しない」を明示的に入れる。それでも変わる場合は、対象箇所だけ抜き出して再処理するほうが早い。
問題:発言者が混在する
文字起こしツールによっては話者分離の精度が低く、「話者1」「話者2」のような記号しか入らないケースがある。その場合は先にテキストエディタで発言者名を置換してからAIに送るほうが整合しやすい。
問題:会議が長すぎて出力が途切れる
一度に処理するテキストを減らす。AIのコンテキスト長に収まるよう、1ブロックあたりのテキスト量を調整する。Claude 3.7の場合は10万字を超えても処理できるが、それでも処理できないほど長い場合は30分単位でブロック分割するのが現実的だ。
問題:出力の文体が均一すぎて読みにくい
プロンプトに「議題の転換部分には横線(---)を入れる」「重要な決定事項は太字にする」と指定すると、読みやすさが改善する。
他の経営企画業務への応用
文字起こし整形をマスターすると、他の業務にも同じ考え方が応用できる。事業計画書の作成では事業計画書をAIで作る手順で詳しく解説している。KPI報告会議の議事録からKPI達成状況を自動集計したい場合はKPI設計をAIで行う方法も参照してほしい。役員向け資料作成については取締役会資料をAIで作る方法にまとめている。
まとめ
文字起こし整形をAIで行う場合、精度のカギはプロンプトの具体性にある。「整形してください」だけでは出力が毎回ばらつく。発言者の扱い・数値の扱い・アクションアイテムの形式を事前に明示することで、確認作業を最小化できる。最初に使えるプロンプトテンプレートを1本作り、会議の種類別に少しずつ調整していくのが最も効率的な進め方だ。
よくある質問
文字起こしの整形にはどのAIツールが向いていますか?
Claude、ChatGPT、Geminiのいずれも対応できる。長い文字起こしを一度に貼り付けるなら、コンテキスト長が大きいClaudeやGemini 1.5 Proが扱いやすい。
役員の発言を整形する際に注意すべき点は何ですか?
発言者の意図を変えないこと、数値・日付・固有名詞を誤変換しないこと、機密情報をAIに入力する前に社内ルールを確認することが重要。
文字起こしが長すぎてAIに貼れない場合はどうすればよいですか?
議題ごとにブロック分割して複数回に分けて処理する方法が有効。最後に各ブロックのサマリーをまとめて統合する。
AIが誤って整形した箇所をどう見つければよいですか?
整形後に元の文字起こしと照合し、固有名詞・数値・発言者名が変わっていないかを優先的に確認する。