購買・調達のアンケート設問をAIで作る方法
この記事の要点
サプライヤー評価・社内ニーズ調査・取引先満足度調査などの設問をAIで素早く作成する手順。購買業務固有のプロンプト例と活用のコツを解説します。
結論
AIを使えば、サプライヤー評価・社内調達ニーズ調査・取引先満足度調査のアンケート設問が、従来の1〜2時間から20〜30分で作成できます。購買・調達のアンケートは「何を測りたいか」の軸が明確なため、AIは設問の選択肢設計まで含めて短時間で展開できます。この記事では購買担当者が実際に使えるプロンプト例と手順を紹介します。
使うAIツール
ChatGPT(GPT-4o)、Claude、Geminiのどれでも動きます。本記事のプロンプトはツールを問わず使えるよう汎用的に書いています。
設問をGoogleフォームやMicrosoft Formsに転記して使う場合、「Googleフォームに貼り付けやすい形式で出力してください」とプロンプトに加えると、設問番号・選択肢・評価尺度が整理された状態で出力されます。
なぜ購買・調達のアンケート設問にAIが向いているのか
購買・調達部門がアンケートを作成する場面は複数あります。年次のサプライヤー評価、社内各部門からの調達ニーズ調査、新規サプライヤー候補への事前ヒアリング、現行取引先の継続可否判断のための満足度調査などです。
これらのアンケートは、毎年同じような項目を繰り返す定型性の高い文書です。しかし「品質・コスト・納期・対応力」という大枠は決まっているものの、具体的な設問の言葉づかいや選択肢の設計に時間がかかることが多くあります。
AIはアンケート設問のパターンを大量に学習しているため、調査目的を伝えると設問の構成から選択肢の設計まで一括で出力できます。担当者は「どんな設問が必要か」を考える前作業をスキップして、「出てきた設問が目的に合っているか」の確認作業から始めることができます。
手順
ステップ1:調査の目的と対象を明確にする
プロンプトを入力する前に以下を整理します。
- 調査の目的(年次サプライヤー評価・新規取引先の事前審査・社内ニーズ収集・取引先継続判断など)
- 回答者(現行サプライヤー・社内の調達ユーザー部門・候補サプライヤーなど)
- 評価したい軸(品質・納期・価格・対応力・環境対応・財務安定性など)
- 設問数の目安と所要時間
- 設問形式の希望(5段階評価・選択式・自由記述・マトリクスなど)
評価軸を事前に決めておくと、AIへの指示が具体的になり、出力の実用性が高まります。
ステップ2:プロンプトを入力する
以下は年次サプライヤー評価アンケートのプロンプト例です。
あなたは購買・調達の専門家です。
以下の条件でサプライヤー評価アンケートの設問を作成してください。
【調査の目的】
取引中のサプライヤー全社(約30社)に対する年次パフォーマンス評価
【回答者】
各サプライヤーの営業担当者(弊社担当との取引状況を把握している人)
【評価したい軸】
1. 品質(不良品率・仕様適合度・品質改善への取り組み)
2. 納期(遵守率・遅延時の対応スピード)
3. 価格競争力(市場価格との比較・値下げ交渉への姿勢)
4. 対応力(問い合わせへの返答速度・緊急対応力)
5. 環境・コンプライアンス(ISO認証状況・法令遵守)
【設問数】
全体で20問程度
【設問形式】
・5段階評価(1:非常に不満〜5:非常に満足)が中心
・各軸の末尾に「改善してほしい点」の自由記述1問
・冒頭に基本情報確認(会社名・担当者名・回答日)
【出力形式】
設問番号、設問文、回答形式の順で出力してください。
選択肢がある場合は選択肢も記載してください。
このプロンプトで、5段階評価の定量設問と自由記述を組み合わせた20問前後のアンケートが出力されます。
ステップ3:出力を確認して調整する
設問の言葉を自社の慣用に合わせる
「サプライヤー」「仕入先」「協力会社」など、自社内の呼称に統一します。言葉が一定していないと回答者が混乱します。
回答の尺度を統一する
一つのアンケートで「1〜5で回答」と「1〜10で回答」が混在すると集計が複雑になります。尺度を統一してください。
評価軸の比重が目的と合っているか確認する
サプライヤー選定に使うアンケートなら価格の設問を多めにする、品質問題があった取引先向けなら品質軸の設問を厚くするなど、調査目的に合わせてバランスを調整します。
具体例1:新規サプライヤー事前審査アンケート
電機メーカーの購買部門が、新規に取引を開始する前にサプライヤー候補の基本情報と能力を確認するアンケート。
プロンプトに「新規取引候補サプライヤーへの事前審査アンケートを作成してください。確認項目:会社基本情報、主要製品・製造能力、品質管理体制(ISO取得状況・検査工程)、財務状況の概要、環境対応(グリーン調達への対応)、反社会的勢力との関係否認。全体で15問程度、各設問に自由記述か選択式かを指定すること」と入力します。
「会社概要→生産能力→品質保証→財務→コンプライアンス」という審査の流れに沿った設問が出力されます。これを社内フォームに転記すれば、担当者が変わっても審査漏れが防げます。
具体例2:社内ユーザー部門向け調達ニーズ調査
製造業の調達部門が、来期の調達計画策定に向けて社内各部門の調達ニーズを把握するアンケート。
プロンプトに「来期(4月〜3月)の調達計画策定に向けて、社内ユーザー部門(製造・品質保証・研究開発・営業)に配布するニーズ調査アンケートを作成してください。把握したい情報:新規調達品目の予定、数量見込みの変化(前年比増減)、品質・仕様の変更要望、現行調達品の課題、特急調達が発生しやすい品目とその原因。設問数10問程度」と入力します。
調達計画に直接使えるデータを引き出せる設問が出力されます。
うまくいかない場合
設問が抽象的すぎて回答者が迷う場合
「各設問に具体的な判断基準を付けてください。例:『納期遵守率』は『過去12ヶ月間に発注数量の何%が約定納期内に届いたか』と定義する」のように、設問に注釈を付ける指示を加えます。曖昧な設問は回答者によって解釈が変わり、データが比較できなくなります。
設問数が多すぎて回答負担が重い場合
「回答時間が5分以内に収まるよう、設問数を10問以内に絞ってください」と制約を加えます。設問を絞り込む際は「最も重要な3つの評価軸に絞る」とAIに判断を委ねる方法も使えます。
5段階評価ばかりで単調な場合
「評価設問の後に『その評価の主な理由を選んでください』という複数選択設問を挿入してください」と追加します。定量評価と定性設問を交互に配置すると、数値では見えない背景情報が取れます。
自社の業界固有の評価項目が出てこない場合
「この会社は食品業界で、食品安全管理基準への対応とアレルゲン管理体制が重要な評価項目です」のように業界固有の要件をプロンプトに追記します。汎用的な出力になる場合は業界特有の評価基準を明示することで改善します。
内部リンク
よくある質問
AIが作ったアンケート設問はそのまま使えるか?
骨格としては使えます。ただしAIは自社の評価基準や取引先との関係性を知りません。出力した設問が調査目的と合っているか、回答者にとって答えやすいかを確認してから使用してください。
設問の数はどのくらいが適切か?
回答者の負担と回収率のバランスを考えると、サプライヤー評価なら10〜20問、社内ニーズ調査なら5〜10問が目安です。所要時間は5〜10分を上限と考えると回答率が維持しやすいとされています。
5段階評価と自由記述はどのように使い分けるか?
数値で集計・比較したい項目は5段階評価(またはNPS形式)、理由や背景を深掘りしたい項目は自由記述を使います。全設問を自由記述にすると集計が難しくなるため、量的設問と質的設問を組み合わせるのが基本です。
取引先に失礼にならないアンケートの書き方はあるか?
冒頭に調査の目的と所要時間を明記し、回答データの取り扱い方針を示すことが基本です。評価系の設問では「批判的な回答」を明示的に求めると、正直な回答が得られやすくなります。