職種別AI仕事術

商品企画の用語集をAIで作る方法

商品企画の用語集をAIで作る方法

この記事の要点

商品企画担当者がAIを使ってプロジェクト内・他部門向けの用語集を短時間で作る手順を解説。コピペ可能なプロンプト例と活用シーンを紹介します。

結論

商品企画担当者がAIを使えば、プロジェクト向けの用語集を1〜2時間で仕上げられます。ポイントは「対象の製品カテゴリ・読み手の専門レベル・含めたい用語の一覧」をプロンプトに入れることです。AIが用語の定義文を生成し、人間が自社固有の意味に修正するという分業が最も効率的です。


商品企画で用語集が必要になる理由

商品企画の仕事は、多くの部門・外部パートナーとの連携を前提としています。企画部門・マーケティング・営業・製造・品質管理・物流——それぞれが異なるバックグラウンドを持ち、同じ言葉が異なる意味で使われていることが珍しくありません。

「SKU」という言葉1つとっても、商品企画では「製品の最小管理単位(色・サイズの組み合わせ)」と使いますが、物流部門では「倉庫管理の単位」、営業では「販売単位」として扱うことがあります。このずれが、仕様確認の手戻りや在庫計画のミスにつながります。

新製品開発プロジェクトが始まるたびに、プロジェクト内で使う言葉の定義を揃える用語集を作ると、認識のずれによる手戻りを減らせます。また、新メンバーのオンボーディング、他部門へのブリーフィング、外部ベンダーへの仕様説明にも使えます。

ただし用語集の作成は「地道で時間がかかる」という印象から、後回しにされがちです。AIを使えば、定義文の初稿を短時間で作れるため、用語集を作るハードルが大きく下がります。


使うAIツール

ツール向いている使い方注意点
ChatGPT(GPT-4o)用語の定義文の生成・表形式への整理料金・機能は公式で確認
Claude 3.5 Sonnet長い用語リストの一括処理・説明文のトーン統一同上
Copilot(Microsoft 365)WordやExcelと連携しながら用語集を整理Microsoft 365契約が必要

本記事ではChatGPT・Claudeのどちらでも使えるプロンプト形式で解説します。


手順:用語集を1〜2時間で作る

ステップ1:含める用語のリストを先に作る

AIに「用語を考えてください」と丸投げすると、汎用的な教科書用語が並びます。プロジェクトで実際に使う用語集にするためには、先に「含める用語のリスト」を人間が用意する方が精度が上がります。

以下の方法でリストを作ります。

  • 企画書・仕様書から専門用語・略語を拾い出す
  • 直近の会議や社内メールで定義が曖昧だった言葉をメモする
  • 新メンバーや他部門から「これはどういう意味?」と聞かれたことがある言葉を加える

20〜30語のリストが集まれば、AIへの入力として十分です。

ステップ2:定義文を生成するプロンプトを入力する

以下のプロンプトをコピーして使ってください。【】の中を実際の情報に差し替えます。

あなたは商品企画担当者のアシスタントです。
以下の用語について、指定した読み手に向けた用語集の定義文を作成してください。

対象製品・業界: 【例:家電(調理器具)】
読み手: 【例:商品企画・営業・物流の担当者(専門知識のばらつきあり)】
定義文の方針:
- 1用語あたり50〜100字
- 専門用語を使う場合は括弧内で補足
- 自社内での使い方の文脈を優先する

用語リスト:
- SKU
- MOQ(最小発注数量)
- OEM
- ゲートレビュー
- BOM(部品表)
- PSEマーク
- パイロット生産
- 量産移行
- 競合調査
- ペルソナ
- コンセプトテスト
- NPS(顧客推奨度スコア)
- リードタイム
- ロードマップ
- フィジビリティスタディ

出力形式: マークダウンの表形式
| 用語 | 定義 | 補足・関連用語 |

このプロンプトで表形式の用語集の叩き台が出力されます。

ステップ3:自社固有の定義に修正する

AIが生成した定義文を見直し、自社の使い方と異なる箇所を修正します。確認するポイントは4つです。

  • 自社固有の略語・社内用語が正しく説明されているか
  • 「自社ではこの言葉をこの意味で使う」という固有の定義があれば追記する
  • 製品・業界の専門用語で説明が不正確なものがないか
  • 読み手のレベルに合っているか(専門家向けと非専門家向けで粒度を変える)

修正は15〜30分で終わります。修正後の用語集をNotion・Confluence・Excelなどのドキュメントツールにコピーすれば、共有・更新が可能な用語集になります。


具体例1:家電新製品プロジェクト向けの用語集

家電メーカーの商品企画担当者が、省スペース調理家電の開発プロジェクト(関係者:企画・設計・品質管理・営業・物流の計15名)向けに用語集を作った事例です。

プロジェクト開始直後に「SKU」「MOQ」「ゲートレビュー」「パイロット生産」の意味について関係者間で認識のずれがあることが判明しました。プロジェクトマネージャーが「最低30語の用語集を2週間以内に作る」という目標を立てましたが、担当者の工数が確保できない状況でした。

AIを使って30語の定義文を一括生成した結果、初稿を30分で作れました。その後、品質管理部門から「ゲートレビューの定義が当社の承認フローと違う」という指摘があり、2箇所の定義を修正しました。修正後の用語集をプロジェクトのNotionページに掲載し、全関係者に共有しました。

その後の打ち合わせでは「SKUってどういう意味でしたっけ」という確認が減り、会議の時間短縮に貢献したと評価されています。


具体例2:他部門向けブリーフィング用の商品企画用語集

消費財メーカーの商品企画担当者が、自部門の業務を他部門(主に経営企画・財務)に説明する際に使うブリーフィング用の用語集を作った事例です。

経営企画や財務の担当者は商品企画の専門用語に不慣れで、企画書を共有するたびに「フィジビリティスタディとは何ですか」「コンセプトテストは何のために行いますか」という質問が来ていました。

AIに「商品企画の専門用語を、経営企画・財務部門の担当者が読んで理解できる言葉で説明してください」という読み手の設定を明確にして10語の定義文を生成しました。

通常の用語集より「なぜその工程が必要か」という背景説明を加えるよう指示したため、単なる定義ではなく「フィジビリティスタディとは:企画した製品が技術的・経済的に実現可能かどうかを事前に確認する工程。この工程を省くと、量産段階で実現不可能な仕様が発覚して手戻りが生じる」という形式の説明が出力されました。

この用語集を企画書の巻末に添付するようにしたところ、他部門からの基本的な定義確認の質問が減りました。


うまくいかない場合

定義文が長すぎて実用的でない

プロンプトに「1用語あたり50字以内」と文字数を厳しく制限してください。短い定義を作るのはAIが得意な作業です。「詳細は関連ドキュメントを参照」という注釈を入れる方針にすると、本体の定義を簡潔に保てます。

業界固有の用語の説明が不正確

製品・業界に特有の専門用語は、AIの説明が一般的すぎる・不正確なことがあります。特に規制・認証関係の用語(PSEマーク・CEマーク・安全規格など)は、業界の正確な定義を確認してから修正してください。AIの説明を鵜呑みにすることなく、業界団体の公式資料や法令と照合します。

自社固有の略語や社内用語をAIが知らない

社内でしか通じない略語・独自のプロジェクト名・製品コードはAIには知る方法がありません。これらはプロンプトに「この社内用語は〇〇という意味です。この定義を使って説明してください」と事前に定義を入力することで対応できます。

読み手によって説明の粒度を変えたい

「技術者向け」と「非専門家向け」で同じ用語の説明を2バージョン作りたい場合、プロンプトを2回使い分けてください。「読み手:技術バックグラウンドのある設計担当者」と「読み手:商品企画の専門知識がない経営層」という設定で同じ用語リストに対して生成することで、読み手別の用語集が作れます。

要件定義の用語整理については商品企画の要件定義をAIで整理する方法も参照してください。アイデア出しフェーズで使う用語の整理は商品企画のアイデア出しをAIで加速する方法が参考になります。


用語集作成でAIを使う際の注意点

用語集は「作ったら終わり」ではない

製品の開発が進むにつれて、新しい用語が生まれ、既存の定義が変わることがあります。用語集はプロジェクトの進行に合わせて更新が必要です。Notionなどの編集しやすいツールで管理し、定期的に見直す運用を設計しておいてください。

規制・法律関連の用語は専門家に確認する

PSEマーク・薬機法・景品表示法など、法規制に関わる用語の定義はAIの説明が不正確な場合があります。法務部門・外部専門家に確認してから用語集に掲載してください。誤った定義が社内に広まることで、コンプライアンス上のリスクが生じます。

用語集の「正しさ」は社内合意で決まる

「SKUの正確な定義」は業界標準がありますが、自社のシステムや運用ルールによって「自社ではこういう意味で使う」という固有の定義が存在することがあります。AIは業界の一般的な定義を生成しますが、「自社標準の定義」は社内の関係部門と合意して決める必要があります。用語集を関係者に共有した際に「我々の部門では違う意味で使っている」という指摘が出るのは正常なプロセスです。


まとめ

商品企画担当者がAIで用語集を作る核心は「含める用語のリストを先に人間が用意し、読み手の専門レベルを指定してAIに定義文を生成させること」です。AIが定義文の初稿を一括生成し、人間が自社固有の意味に修正するという分業で、1〜2時間での用語集完成が実現できます。

用語の定義を揃えることは地味な作業に見えますが、プロジェクトが大きくなるほど、定義のズレが手戻りコストとなって返ってきます。新しいプロジェクト立ち上げのタイミングに合わせて、AIを活用した用語集作成を習慣にすることをお勧めします。

ロードマップで使う用語の整理は商品企画のロードマップをAIで作る手順、ユーザーインタビューで使う用語の標準化は商品企画のユーザーインタビューをAIで効率化する方法が参考になります。

よくある質問

商品企画で用語集が必要になる場面はどこですか?

プロジェクトに新メンバーが加わったとき、社内の他部門(営業・マーケ・製造)と連携するとき、外部ベンダーに仕様を説明するときなどです。定義を揃えることで認識のずれによる手戻りを防げます。

AIで作った用語集の精度はどのくらいですか?

一般的な業界用語の説明はおおむね正確ですが、自社固有の定義・社内略語・製品固有の仕様用語はAIは知りません。AIの叩き台に自社の定義を追記・修正する使い方が前提です。

用語集の作成にはどのAIツールが向いていますか?

ChatGPT(GPT-4o)やClaude 3.5 Sonnetが向いています。用語の説明文の生成・表形式での整理が得意です。最新の料金・機能は公式サイトで確認してください。

用語集はどのような形式で作ると使いやすいですか?

表形式(用語・定義・補足・関連用語)が検索・更新のしやすさで優れています。Notion・Confluence・ExcelなどのドキュメントツールにAIの出力をコピーして使うのが一般的です。