職種別AI仕事術

営業が長い資料をAIで要約するコツ

営業が長い資料をAIで要約するコツ

この記事の要点

長い提案書・競合資料・業界レポートをAIで即座に要約する方法。コピペできるプロンプト例と、要約がうまくいかない場面の対処法を手順つきで解説します。

結論

長い資料をAIに読ませる前に、「誰が・何のために・何字で使うか」の3点をプロンプトに書く。この一手間が、使えない要約と使える要約を分ける。

競合他社の製品資料が50ページある、業界調査レポートが英語で40ページある、社内の提案書が複数バージョンあって違いを確認したい——そういう場面で、AIを使えば数分で核心を把握できます。ただし、プロンプトを工夫しないとAIは「全体をくまなく要約」しようとして、読む気が失せる長文を返します。


使うAIツール

**ChatGPT(GPT-4oシリーズ)またはClaude(Sonnetシリーズ以上)**を使います。どちらもブラウザから無料または月額数千円のプランで使えます。PDF・Wordファイルをそのままアップロードできるため、テキストを手でコピーする手間を省けます。

ファイルのアップロードが難しい場合は、資料のテキストをコピーして直接貼り付けます。ただしモデルによって一度に処理できる量に上限があるため、章ごとに分割する必要が出ることがあります。

Microsoft 365 Copilotを導入している組織では、WordやTeamsのCopilot機能が社内データと連携できるので確認する価値があります。


手順:長い資料をAIで要約する

ステップ1 資料を用意する

PDFやWordを手元に用意します。テキストとして読めない状態(スキャン画像のPDFなど)は、AIが文字を認識できない場合があります。その場合はOCR処理が必要です。

ステップ2 プロンプトの骨格を決める

要約の質を左右するのは次の3点です。

要素具体例
誰が使う要約か「商談前に5分で読む営業担当向け」
何のために要約するか「提案の切り口を見つけるため」「競合との違いを把握するため」
どの形式で出すか「箇条書き5点以内」「400字以内の要約文」

この3点を省くと、AIは「網羅的な要約」を目指すため、読み飛ばしたくなるような長文が返ってきます。

ステップ3 プロンプトを入力する

以下をコピーしてそのまま使えます。

あなたは法人営業の担当者です。
以下の資料を読んで、商談前の5分間で把握すべきことを教えてください。

【要約の条件】
- 箇条書きで5点以内にまとめること
- 「この資料が解決しようとしている課題」「提案する解決策の核心」「数値・実績があれば抜き出す」「営業として問うべき質問があれば最後に1つ」の観点で整理すること
- 専門用語は使わず、顧客との会話で使える言葉に言い換えること

【資料本文】
(ここに資料のテキストを貼り付けるか、ファイルをアップロードする)

ステップ4 出力を検証する

AIが返した要約は、必ず原文の該当箇所と照合します。数字や社名のような固有名詞は特に誤りが起きやすいです。要約が長すぎた場合は「さらに半分の長さにしてください」と続けて入力します。

出力に抜けがあると感じたら「この要約から漏れている重要な論点はありますか?」と追加質問すると補完できます。


営業固有の活用場面

場面1:商談1時間前に競合他社の製品ページを把握する

新規開拓の商談で顧客企業の現在の取引先を調べると、競合の製品資料が30ページ出てきた。商談まで1時間しかない。

このとき上記のプロンプトで要約し、最後の質問生成部分を使います。「顧客がこの競合製品に感じているであろう不満」という視点を追加すると、商談での差別化ポイントが浮かびやすくなります。

(要約の後に追加で入力)
この競合製品を使っている顧客が感じていそうな課題や不満を、製品の特性から3点推測してください。根拠のない推測であることも明記してください。

推測はあくまで仮説として扱い、商談の中で顧客に確認するのが前提です。

場面2:社内稟議書を読んで顧客の決裁ポイントを把握する

顧客担当者から「参考に送ります」と言われて受け取った過去の稟議書が15ページ。次の提案に向けて、決裁者が何を重視しているかを読み解きたい場面です。

以下は顧客企業の過去の稟議書です。
この文書から、決裁者が何を重視してIT投資を承認しているかを読み取ってください。

【確認したい観点】
- コスト削減・業務効率化・リスク低減のどれに比重があるか
- 定量的な根拠として何が求められているか(ROI・回収期間・既存実績など)
- 稟議が通るために必要だったと思われる条件は何か

【稟議書本文】
(ここに本文を貼る)

この情報をもとに提案書の構成を組むと、提案書の作成手順と組み合わせて提案の精度が上がります。


英語資料の要約

海外ベンダーの製品資料や調査レポートが英語でくる場面は珍しくありません。翻訳してから要約するより、「日本語で要約してください」と一文添えるだけで同時処理できます。

以下の英語資料を日本語に訳してから要約してください。
出力は日本語の箇条書き5点以内でお願いします。

(英語の原文を貼る)

ただし、翻訳精度は一般的な技術・ビジネス文書では高い水準ですが、法律・財務系の専門文書では誤訳が含まれることがあります。重要な契約書類は専門家に確認してください。


複数資料の比較要約

提案書のバージョンが3つあって違いを確認したい、または複数の競合製品の特徴を横並びで整理したい場面です。

以下に【資料A】と【資料B】を貼ります。
2つの資料の違いを比較表にしてまとめてください。

比較軸:機能・価格帯・対象顧客・強みと弱み・導入事例の傾向

【資料A】
(テキスト)

【資料B】
(テキスト)

一度に処理できる量を超える場合は、資料Aだけで要約を出してもらい、続いて「この要約をベースに資料Bを加えて比較してください」と続けます。


うまくいかないときの対処法

要約が長すぎる場合:「200字以内にしてください」「箇条書き3点に絞ってください」と字数・点数を明示する。

重要な部分が省かれている場合:「○○という論点が要約に含まれていませんでした。この点について詳しく要約してください」と具体的に指摘する。

内容が資料と食い違う場合:AIが「あるべき内容」を補完して書くことがあります。「資料に書かれていないことは書かないでください」と制約を加える。

ファイルを読み込んでいない場合:ファイルを添付してもAIがその内容を参照せずに回答することがあります。「添付ファイルの本文をもとに答えてください」と明示する。


資料の要約ができたら、次の商談準備に活用するために商談前のリサーチ手順と組み合わせるのが効率的です。要約内容をもとに提案書を作るなら提案書の作成手順も参照してください。また、商談後の議事録作成はAIを使った議事録作成でまとめています。

よくある質問

ChatGPTに長い資料を貼り付けると途中で切れてしまいます。どうすれば?

モデルによって一度に処理できるテキスト量に上限があります。資料を章ごとに分割して順番に貼り付けるか、ファイルアップロード機能に対応したプランを使うと対処できます。

要約の精度を上げるにはどうすればよいですか?

「誰のための要約か」「何のために使うか」「何字でまとめるか」の3点をプロンプトに加えると、精度が上がります。また、出力後に「この要約に抜けている論点を挙げてください」と追加質問すると見落としを補えます。

社外秘の資料をAIに貼り付けても問題ありませんか?

利用しているAIサービスの利用規約とデータ取り扱い方針を確認してください。社外秘情報を扱う場合は、企業向けのAPIプランや社内プロキシ経由での利用が推奨されます。

要約した内容を提案書にそのまま使えますか?

AIが生成した要約は出発点として使えますが、数字・固有名詞・最新情報は必ず原文に戻って確認してください。誤りが含まれていても、AIは自信を持って書くことがあります。