営業の提案書をAIでつくる進め方
この記事の要点
顧客の課題整理から構成案・本文作成までAIを活用して提案書を効率よく作る手順。ゼロから書き始めない方法とプロンプト例を紹介。
結論
提案書をゼロから書くと2〜3時間かかるところが、AIを使うと構成案まで30分、本文の骨格まで1時間以内で用意できます。AIは「型」の生成が得意です。構成案・各スライドの見出し・説明文の下書きはAIに任せ、顧客固有の課題・数字・事例を人間が入れる分業で提案書の品質と速度を両立できます。
使うAIツール
ChatGPT、Claude、Geminiのどれでも使えます。提案書の下書きテキストを生成する目的であれば、いずれも実用レベルです。
スライド資料の生成には、Gamma(AI搭載のスライドツール)を使うと、テキストの入力だけでデザイン付きのスライドが出てきます。Gammaは英語主体で日本語対応は一部に限られるため、最新の対応状況は公式サイトで確認してください。
機密性の高い案件情報を入力する場合は、企業向けプランを使用してください。
提案書をAIで作る3段階の流れ
段階1:顧客の課題を整理してAIに渡す
段階2:構成案と各スライドの見出しを生成させる
段階3:各スライドの本文テキストを生成させ、人間が修正する
段階1が一番重要です。顧客の課題を具体的に整理してAIに渡すほど、出てくる提案書の内容が顧客に刺さるものになります。
手順
ステップ1:顧客の課題と提案の核心を整理する
プロンプトを入力する前に、次の情報を箇条書きで整理します。
顧客側の情報
- 業種・会社規模
- 今抱えている課題(商談で聞き取った具体的な内容)
- 課題の大きさ(何人が・何時間かけているか・コストはいくらか)
- 決裁者が気にしているポイント(コスト・リスク・スピードのどれか)
自社の提案内容
- 提案するサービス・製品の名称と概要
- 顧客の課題を解決できる理由
- 具体的な導入効果(数字があれば入れる)
- 費用感とスケジュール
この整理に10〜15分かけると、後のAI作業が早くなります。
ステップ2:構成案を作らせる
あなたは営業コンサルタントです。次の情報をもとに、
顧客提案書の構成案(スライドタイトル一覧)を作成してください。
【顧客の情報】
・業種:建設業
・会社規模:従業員500名
・課題:現場から本社への日報が紙で行われており、
集計に毎月3人×2日かかっている。
データが分散していて進捗管理が属人化している。
・決裁者が気にしていること:コストよりもスピード感と現場の負担軽減
【提案するサービス】
・モバイル対応の現場報告クラウドアプリ
・スマートフォンで日報を入力でき、本社でリアルタイムに確認できる
・他の建設会社3社で導入後、集計時間を月40時間削減した実績あり
【出力形式】
スライドのタイトルを10〜14枚分、番号付きで列挙してください。
各タイトルには1〜2行の説明を加えてください。
ステップ3:各スライドの本文を作らせる
構成案が出たら、スライドごとに本文を生成します。全部を一度に作らせるより、2〜3枚ずつ依頼する方が精度が上がります。
上記の構成案の中から、次のスライドの本文テキストを作成してください。
【対象スライド】
「現状課題の整理」
【このスライドで伝えること】
・紙の日報による集計工数:月40時間(3人×2日)
・データが本社に届くまでに1〜2日のタイムラグがある
・現場担当者によって記入内容にバラツキがあり、問い合わせが月10件以上発生している
【出力形式】
・見出し:スライドタイトル(15字以内)
・サブタイトル:スライドの要点を1行で
・本文:3〜4点の箇条書き
・ポイント一文:スライドの結論を1文で
【条件】
・数字は上記の情報をそのまま使う。推測で数字を作らない
・顧客が「自分たちのことが書いてある」と感じる具体性を持たせる
ステップ4:導入効果と費用スライドを作る
導入効果と費用のスライドは、顧客の意思決定に直結します。AIに正確な数字を持たせる必要があるため、プロンプトに事実データを明示してください。
次の情報をもとに、「導入効果と費用」スライドの本文を作成してください。
【実績データ(事実)】
・導入後3ヶ月で日報集計時間が月40時間→5時間に削減
・現場からの問い合わせが月10件→2件に減少
・上記は他社3社での平均値(最新の実績は公式資料で確認)
【費用(例として記載)】
・初期費用:(実際の金額を入れてください)
・月額費用:(実際の金額を入れてください)
・ROI:集計工数削減効果を時給換算すると約〇ヶ月で回収見込み
【出力形式】
・効果の比較表(導入前・導入後)
・費用の概要
・ROI説明の1〜2文
【条件】
・「〜が期待できます」ではなく「〜となった(他社3社平均)」という事実ベースの表現を使う
・費用は(実際の金額を入れてください)と書いた箇所は私が後から入れるので、プレースホルダーとして残してください
ステップ5:全体を確認して修正する
AIが生成したスライドテキストを全て並べた後、次の点を確認します。
- 顧客の業界固有の言葉が使われているか
- 競合と比べた差別化が明確に書かれているか
- 顧客の決裁者が一番気にするポイントを前に出せているか
- 事実でない数字が含まれていないか(特に「導入効果」の数値)
実際の活用例
ケース1:初回提案書を1日で仕上げる
新規顧客から「来週までに提案書が欲しい」と言われた場面。通常2〜3日かけていた提案書を、ステップ1〜4の流れで進めると、1日(実質3〜4時間)でスライドのテキスト骨格まで完成させられます。残りの時間をデザイン・数値確認・競合差別化の文章強化に使えます。
ケース2:複数顧客向けの提案書を同時進行する
同じ時期に3社へ提案する案件が重なった場面。各社の課題は異なるため、ステップ1の課題整理だけ各社別に行い、ステップ2〜3は同じプロンプト構造を流用することで、3件の提案書の骨格を2日で揃えられます。
うまくいかない場合のポイント
「提案書の内容が一般論になる」
顧客固有の数字や業界用語をプロンプトに入れていないことが原因です。「顧客が商談で言った言葉」と「課題の規模感の数字」を必ず入れてください。
「スライドの数が多すぎる・少なすぎる」
枚数を指定してください。「10〜14枚で構成してください」と入れると守られます。
「競合比較の内容が不正確」
AIは競合の最新情報を正確に持っていません。競合比較表を作らせる場合は、自分が調べた競合の事実情報をプロンプトに入力し、AIには表形式への整形だけを担当させてください。
「提案書の文体がバラバラになる」
スライドごとに別々に生成していると文体が揺れます。最初のプロンプトで「全スライドを通じて文体を統一してください」と明記するか、最後にまとめて「全スライドの文体を統一してください」と依頼します。
関連記事
提案書に合わせた資料・スライドの仕上げ方については営業の資料・スライドをAIで仕上げる方法で説明しています。商談後の議事録作成については営業の議事録をAIで自動作成する手順も参考にしてください。
よくある質問
AIで作った提案書はバレる?
文章そのものはAIが作ったと気づかれにくくなっていますが、顧客の業界や課題を踏まえた具体性がなければ「薄い提案書」と感じられます。AIを骨格作成に使い、顧客固有の情報・数字・事例を人間が入れることが重要です。
提案書のどの部分をAIに任せ、どの部分を人間が書くべき?
構成案・各章の骨格・一般的な説明文はAIが得意です。顧客の課題の解釈・競合との差別化ポイント・提案金額の根拠・事例の選択は人間が判断し、AIの出力に加える必要があります。
提案書の構成に正解はある?
業界や商談フェーズによって最適な構成は異なります。ただし「現状課題→あるべき姿→提案内容→導入効果→費用・スケジュール」という流れは、多くの場面で有効です。顧客が一番気にしているポイントを先に持ってくる調整は必要です。
競合他社と比較される提案書をAIでどう書く?
AIに「競合との比較表を作成してください」と指示できます。ただし競合の機能や価格をAIに断定させると誤情報になるリスクがあるため、競合情報は自分で確認した事実だけを入力し、AIには表形式への整形を担当させてください。