プロンプト技術

企画・戦略立案に使えるプロンプト集:アイデアから計画書まで

企画・戦略立案に使えるプロンプト集:アイデアから計画書まで

この記事の要点

企画・戦略立案の発散・収束・言語化の3フェーズに対応したプロンプト集を解説します。アイデア出しから1枚企画書の構成案まで、実務で使えるプロンプトをコードブロック付きで紹介します。

企画と戦略の仕事で時間がかかる部分は2つあります。アイデアを出すことと、アイデアを言葉にして人に伝えることです。AIはこの両方で作業時間を大きく削れますが、使い方が合っていないと「ありきたりなアイデアの量産」で終わります。

企画・戦略立案のプロセスを発散・収束・言語化の3フェーズに分けると、AIの使い所が明確になります。各フェーズで有効なプロンプトを順に紹介します。

プロンプト全般の基礎についてはプロンプトの書き方入門、思考の連鎖を使った複雑な問題の解き方はChain-of-thoughtプロンプトの使い方も参照してください。


企画・戦略立案の3フェーズとAIの役割

フェーズ目的AIの使い所
発散アイデアの量を最大化する制約付きブレスト・視点の強制転換
収束良いアイデアを選ぶ基準を作り絞る評価軸の設計・スクリーニング
言語化選んだアイデアを伝わる形にする企画書の構成・試算の骨格・反論の整理

多くの人がAIをアイデア出しにしか使っていませんが、収束と言語化での活用が業務効率に最も貢献します。


発散フェーズ:アイデア出しのプロンプト

制約なしブレスト

以下のテーマで、できるだけ多様なアイデアを出してください。

条件:
- 実現可能性は今は問わない
- 既存の商習慣や業界の常識に縛られない
- 似たアイデアを繰り返さない
- 30案以上出す

各アイデアは1〜2文で。説明が長くなるものは後で深掘りする。

【テーマ】
(解決したい課題・狙う機会を記述)

制約なしのブレストは量が目的です。30案出させると、後半に珍しいアイデアが出てくることが多いです。前半の「予想通りのアイデア」をスキップして後半から見ると、発見がある場合があります。

逆張り:競合と逆のことをする

以下の市場で競合他社が「当たり前にやっていること」を列挙し、
その逆をやった場合の事業アイデアを考えてください。

競合の「当たり前」を破ることで顧客価値が生まれるものを優先してください。
各アイデアに「誰にとって価値があるか」を1文で添えてください。

【市場・業界の情報】
(競合各社の主な戦略・共通点を記述)

逆張り発想は、業界内の「常識」を見つけることから始まります。「みんな高機能化しているなら、徹底的にシンプルにする」「みんな専門家向けに最適化しているなら、初心者向けに特化する」という構造です。

顧客視点の問い直し

以下の製品・サービスについて、顧客が「本当は何を解決したいのか」を問い直してください。

作業:
1. 現在の製品・サービスが解決しようとしている課題を整理する
2. その顧客が「製品を使う前の段階」で抱えている課題を想像する
3. その顧客が「製品を使った後に次に欲しくなる」ことを想像する
4. 2と3から、新しい事業の余白になりうるものを5つ提示する

【製品・サービスの概要と現在の顧客像】
(内容を記述)

悪いアイデアから良いアイデアへの反転

以下のテーマで「最悪のアイデア」を20個出してください。
次に、各アイデアの「悪い理由」を逆転させて、「良いアイデア」に変換してください。

この手法の目的は、発想のパターンを崩すことにあります。
通常の発想では出てこないアイデアを引き出すための手法として使ってください。

【テーマ】
(内容を記述)

「顧客を無視する」→「顧客の意見を取りすぎない製品開発」のような反転が生まれることがあります。強制的に枠を外すことで、制約された思考から出られます。


収束フェーズ:絞り込みのプロンプト

評価軸の設計

以下の企画・アイデアを評価するための基準を設計してください。

条件:
- 戦略目標との整合性を測れる軸を含める
- 定性でなく、できる限り定量で評価できる軸にする
- 評価者によって結果が大きく変わらない客観的な軸にする
- 軸の数は5〜7個

各評価軸に:
- 軸の名称
- 何を測るか(定義)
- スコアリングの基準(例:1〜5点で何がその点数になるか)

【評価したいアイデアの目的と制約条件】
(何のために何を評価するかを記述)

評価軸を先に作ることで、「なんとなく好み」で議論が進むのを防げます。評価軸の設計にAIを使い、評価自体は人間が行うという分業が現実的です。

実現可能性スクリーニング

以下のアイデアリストを、実現可能性の観点でスクリーニングしてください。

スクリーニング基準:
- 技術的実現可能性(現在の技術・ツールで作れるか)
- リソース適合性(与えられた人員・予算・期間で着手できるか)
- 規制・法令上の問題(明確な障壁があるか)
- 市場検証の難易度(仮説を3ヶ月以内に確認できるか)

各アイデアを「今すぐ着手可能・条件次第で可能・現時点で困難」の3分類に振り分け、
判断の根拠を1文で添えてください。

【アイデアリストと前提条件(リソース・期限)】
(内容を記述)

インパクト×難易度マトリクス

以下のアイデアを、インパクト×難易度の2軸でマトリクス分類してください。

定義:
- インパクト:成功した場合の事業への貢献(売上・利益・競争優位・顧客満足)
- 難易度:実行に必要なリソース・スキル・時間・調整コスト

出力形式:
- 4象限の分類(高インパクト×低難易度・高インパクト×高難易度・低インパクト×低難易度・低インパクト×高難易度)
- 各象限に振り分けた理由
- 「今すぐ着手すべき」アイデアの推奨(理由付き)

【アイデアリストと判断に使える情報】
(内容を記述)

言語化フェーズ:文書化のプロンプト

1枚企画書の構成案

以下の企画内容をもとに、1枚企画書の構成案を作成してください。

A4一枚に収める想定で、経営判断に必要な要素を過不足なく含めてください。

含める要素:
1. タイトル(企画の本質が伝わる)
2. 解決する課題(数値や事実で現状を示す)
3. 提案の概要(何をするか・誰に・どのように)
4. 期待される効果(定量目標があれば記載)
5. 実行スケジュール(主要マイルストーン)
6. 必要なリソース(予算・人員・期間)
7. リスクと対応策
8. 承認を求める事項

各セクションの見出しと、そこに書くべき内容を箇条書きで示してください。
本文はまだ不要です。構成だけ出してください。

【企画の概要】
(解決したい課題・提案の骨格・前提条件を記述)

構成の承認を得てから本文を書くと、「構成が違う」という手戻りを防げます。企画書作成で最も時間を無駄にするのは、書き終わってから構成を直すことです。

投資対効果の試算骨格

以下の企画の投資対効果の試算骨格を作成してください。

作業:
1. コスト項目のリストアップ(初期投資・ランニングコスト・人件費)
2. 収益・効果の試算項目のリストアップ(売上増・コスト削減・間接効果)
3. 試算に必要な前提条件の整理(何の数字が決まれば計算できるか)
4. 簡易計算式の提示

数値は私が埋めます。骨格とロジックだけ作ってください。
不確実な前提については「要確認」と明記してください。

【企画の概要と現在判明している数値情報】
(内容を記述)

反論への回答集

以下の企画に対して、承認者・役員から出るであろう反論を想定し、
各反論への回答案を準備してください。

反論は厳しめに設定してください。応援コメントは不要です。
各反論に:
- 反論の内容(「なぜ今やるのか」「競合との差別化は何か」など)
- 推奨回答
- 回答できない場合の対処法(調査・条件変更・前提の修正)

【企画の概要】
(内容を記述)

AIを批評者として使う壁打ち

企画をブラッシュアップする段階では、AIを「批評者」として使うと効果的です。デフォルトでは同意しやすい傾向があるので、批評を明示的に求めます。

以下の企画について、役員会での厳しい審査を想定してください。

あなたの役割は「この企画を通さない」立場の役員です。
企画の弱点・論理の穴・リスクの見落とし・前提の甘さを指摘してください。
応援や評価は不要です。批判だけ出してください。

指摘は最低10点。できれば15点以上。
各指摘に「致命的・重要・軽微」の優先度を付けてください。

【企画書の全文】
(内容を貼り付ける)

この壁打ちプロンプトを使った後、指摘を一つずつ潰すことで、承認率が上がります。「批評者のAI」を使って欠点を発見し、「修正を依頼するAI」で改善案を作る、という2段階が効果的です。


ビジネス全般のプロンプトテンプレートはビジネスプロンプトテンプレート集、経営幹部向けの戦略関連プロンプトは経営幹部向けプロンプト20選も参照してください。

よくある質問

企画のアイデア出しにAIを使うと、ありきたりなアイデアしか出ませんか?

制約なしで「アイデアを出して」と頼むとありきたりになりがちです。この記事で紹介する「逆張り」「悪いアイデアを逆転」「顧客視点での問い直し」などの制約付きプロンプトを使うと、通常の発想では出にくいアイデアが得やすくなります。

AIに戦略の壁打ちをさせると、本当に批評してくれますか?

デフォルトでは同意しやすい傾向があります。「批判的な視点だけで評価してください」「この戦略が失敗する理由を10個出してください」のように明示的に批評を求めることで、問題点を指摘させることができます。

1枚企画書の作成をAIに頼む場合、どんな情報を用意すればいいですか?

解決したい課題・ターゲット・提案の概要・期待する効果・必要なリソースの5点があれば十分です。情報が少ないほど抽象的な企画書になり、多いほど具体的になります。まず箇条書きで入力し、不足分は追加指示で補う方法が効率的です。