業務活用事例

採用・人事業務でのAI活用 実践できる5つの使い方

採用・人事業務でのAI活用 実践できる5つの使い方

この記事の要点

求人原稿作成・面接質問作成・内定メール・オンボーディング資料など、採用と人事業務の5つの場面でAIを使う具体的な手順とプロンプト例を解説する。個人情報の取り扱い注意点も合わせてまとめた。

結論:採用・人事業務でAIは「文書作成」と「情報整理」の補助に使う

採用・人事業務は文書作成の量が多い。求人原稿・面接質問・評価コメント・内定メール・オンボーディング資料は、それぞれ作成に時間がかかる上に、担当者によって品質にばらつきが出やすい。

AIはこれらの文書作成の下書き生成と、情報の整理・分類に使える。一方、採用の合否判断や機密性の高い人事情報の取り扱いは、AIに任せる範囲として適していない。本記事では、すぐ実践できる5つのユースケースを手順つきで解説する。

使い方1:求人原稿の作成

求人原稿は読み手がターゲット層に当たる人材かどうかを判断するための文書だ。「業務内容・求める人物像・職場の特徴」を過不足なく、読みやすい形で伝える必要がある。

求人原稿を作るプロンプト

以下の情報をもとに、求人サイト向けの求人原稿を作成してください。

【募集職種】
営業(法人向けSaaS製品)

【主な業務内容】
・新規顧客へのアウトバウンド営業
・既存顧客のアップセル・クロスセル
・月次で訪問件数30件程度、商談の進捗管理

【求める人物像】
・法人営業経験2年以上
・ツールの使用に抵抗がない方
・リモートワーク環境での自己管理ができる方

【職場環境の特徴】
・リモートワーク80%
・週1回の対面での全社ミーティング
・営業ツール(CRM・SFAなど)の整備済み

【トーン】
・具体的で正直
・誇張せず、実態に即した表現で

返ってきた下書きに、実際の給与レンジ・勤務地・評価制度などの詳細を加えて完成させる。AIが生成した「活気のある職場」「成長できる環境」といった曖昧な表現は、具体的な事実に置き換える。

求人原稿の複数バリエーションを作る

異なる求人サイトや媒体向けに複数バージョンが必要な場合、一度作った求人原稿を渡して「文字数を300字に短縮して」「20代をターゲットにした表現に調整して」と依頼すると、バリエーションを素早く作れる。

使い方2:面接質問のリストアップ

面接での質問は、採用基準に沿った情報を引き出せるように設計する必要がある。AIは職種・業務内容・評価したいコンピテンシーを渡すと、質問リストの下書きを作れる。

面接質問を作るプロンプト

以下の採用基準に合わせた面接質問を20個作成してください。

【職種】
プロジェクトマネージャー(システム開発)

【重視するコンピテンシー】
1. ステークホルダーとのコミュニケーション力
2. リスクの早期察知と対処
3. チームのモチベーション維持

【注意点】
・回答が「はい/いいえ」で終わらない行動質問を中心にする
・「今までの経験で〜した場面を教えてください」の形式で
・差別につながる可能性がある質問(年齢・家族構成・出身地等)は含めない

「行動質問(STAR形式)」を指定すると、候補者の具体的な経験を引き出しやすい質問が返ってくる。作成した質問はチームで確認し、自社の採用基準に合わないものを除いて使う。

使い方3:面接後の評価コメントの整理

面接官が複数いる場合、それぞれのメモや印象をAIで整理すると評価会議の準備が速くなる。

面接官のメモ(個人情報を除外したもの)をAIに渡して、評価項目ごとに整理させる方法だ。ただし実際の評価・合否判断は人間が行う。AIは情報整理のみに使う。

以下の面接後のメモを、評価項目ごとに整理してください。

【面接官Aのメモ】
・質問への回答が具体的で、前職での失敗事例も正直に話してくれた
・チームの連携について聞いたとき、自分の役割を明確に説明できた
・スケジュール管理の手法について質問したが、具体的なツール名を出して説明できた

【面接官Bのメモ】
・話し方が丁寧で好印象
・技術的な質問には詳しく答えてくれたが、ビジネス要件を聞くと回答が曖昧になった

【評価項目】
コミュニケーション力 / 専門スキル / 課題解決力

それぞれの項目に対して、メモの内容を箇条書きでまとめてください。

使い方4:内定承諾メールと諸連絡の文書作成

内定通知・承諾確認・入社前のオリエンテーション案内などの文書は、法的な記載要件を含む場合がある。AIは文章の下書きを作るのに使えるが、労働条件の明示義務など法的要件は人事担当者が確認する必要がある。

以下の情報をもとに、内定通知メールの下書きを作成してください。

【送付情報】
・送付先:選考を通過した候補者
・入社予定日:2026年9月1日
・回答期限:2026年6月30日

【メールに含める内容】
・内定のお知らせと選考通過への感謝
・内定書・雇用条件通知書の別途送付の案内
・回答期限と回答方法(メール返信)
・不明点があれば担当者に連絡できる旨

【トーン】
・丁寧かつフレンドリー
・形式的すぎず、候補者を迎え入れる温かみを出す

AIの下書きに、正確な氏名・役職・条件の数値・担当者の連絡先を加えて送信する。

使い方5:オンボーディング資料の作成

新入社員向けのオンボーディング資料は、会社の制度・ツール・業務フローを網羅的にまとめる必要がある。量が多く作成に時間がかかる資料だが、AIで初稿を作成できる。

以下の情報をもとに、入社初日〜1週間のオンボーディングチェックリストを作成してください。

【対象】
営業職の新入社員

【入社時に完了する手続き】
・社員証の発行
・PCとアカウントのセットアップ(IT部門が担当)
・労務関係書類の提出(雇用契約書・口座情報など)

【1週間で理解してほしいこと】
・社内のコミュニケーションツール(Slack・Google Workspace)の使い方
・営業プロセスの基本フロー(初回接触→提案→契約)
・顧客管理システムの基本操作

【形式】
・日別にタスクを整理
・担当者(本人・上司・IT部門など)を明記

作成した資料は既存の制度・手続きと照合し、実態に合わせて修正する。部門特有の情報や社内用語は人間が加える。

個人情報の取り扱い

採用・人事業務では個人情報を扱う機会が多いため、AIの使い方に注意が必要だ。

求職者の氏名・連絡先・住所・職歴の詳細など個人を特定できる情報は、外部の個人向けAIサービスに入力しない。面接メモをAIに渡す場合は個人名・年齢・居住地などを除去した形にする。

企業向けのAIツールやプライバシー保護の条件が整ったサービスを使う場合でも、社内の情報セキュリティポリシーを先に確認してから利用する。

生成AI利用全般の社内ルールについては会社で生成AIを使うときの注意点でまとめている。

採用業務の他の業務との組み合わせ

求人原稿やメール文面の作成は、AIを使ったメール作成の応用でもある。基本的なプロンプトの組み立て方はメール作成をAIで時短する方法が参考になる。

採用に使う提案資料や説明会資料の作成については企画書・提案書の下書きをAIで作る手順とコツの手順が応用できる。

まとめ

採用・人事業務でAIが効果を発揮するのは「求人原稿・面接質問・評価メモの整理・内定メール・オンボーディング資料」の5つの文書作成だ。担当者が1件あたり数十分かけていた作業が、AIの下書きを確認・修正する形に変わると大幅に時間を短縮できる。

個人情報を外部サービスに入力しないこと、採用の合否判断はAIに委ねないことの2点が、採用業務でのAI活用の前提条件だ。

よくある質問

履歴書の内容をAIに入力して選考に使えますか

求職者の個人情報を外部AIサービスに入力することは、プライバシーポリシーや社内規定に照らして慎重に判断する必要があります。氏名・連絡先等の個人情報を除いた形で使うか、企業向けプランのAIツールを利用することを検討してください。

AIが作った求人原稿をそのまま掲載できますか

そのままの掲載は推奨しません。AIは一般的な表現で文章を組み上げますが、自社の実際の職場環境・社風・報酬の詳細は反映されていません。AIの下書きをベースに、正確な情報を加えて完成させてください。

AIで面接の合否判断をできますか

採用の合否判断をAIに委ねることは、現時点では多くのリスクがあります。バイアスの問題、説明責任の問題、法的なリスクがあるため、合否の判断は人間が行い、AIは補助的な情報整理に留めることが推奨されます。