職種別AI仕事術

経費精算チェックをAIで行う方法

経費精算チェックをAIで行う方法

この記事の要点

従業員から提出される経費精算申請の規程違反・証憑不備・金額誤りをAIでチェックする手順。経理担当者の確認作業を大幅に削減するプロンプト例つきで解説する。

結論

月次の経費精算チェックは、申請件数が多い月には数時間を要する。領収書の日付・金額・目的・証憑の有無を1件ずつ確認する作業は、AIで大幅に効率化できる。申請データをAIに渡してチェックリストと照合させると、規程違反・記載不備・金額の不整合を一覧化できる。担当者は問題のない申請をスルーして、要確認案件だけに集中できるようになる。


使うAIツール

ツール向いている用途
ChatGPT(GPT-4o)規程との照合・異常値の検出
Claude(claude.ai)長い規程文書を渡してルールベースでのチェック
Excelマクロ+AI申請データをCSVで出力してAIに渡す場合

専用サービスとの組み合わせ:楽楽精算・ジョブカン経費精算・マネーフォワードクラウド経費などは一部のチェック機能を内蔵している。これらを導入済みであれば、自動承認ルールの設定で対応できる範囲と、AIの追加チェックが有効な範囲を切り分ける。


手順

ステップ1 経費規程のポイントをまとめる

AIに規程全文を渡すことも可能だが、長すぎると処理精度が下がる場合がある。チェックに使う主要ルールを箇条書きで整理しておくと安定した出力になる。

主要チェック項目の例:

  • 交通費:公共交通機関が原則、タクシーは深夜帰宅・緊急時のみ(上限3,000円)
  • 接待交際費:1人あたり上限10,000円、取引先名・参加人数の記載必須
  • 宿泊費:国内上限15,000円(東京・大阪は20,000円)
  • 書籍・消耗品:1点5,000円未満は担当者承認のみ
  • 証憑:領収書原本または電子領収書(レシートは金額3,000円未満のみ)

ステップ2 申請データをAIに渡せる形式に整える

経費精算システムのデータをCSVでエクスポートし、テキスト形式に変換する。または申請書の内容を以下の形式で整理する。

申請番号, 申請者, 日付, 費目, 金額(税込), 目的・相手先, 証憑有無
001, 田中太郎, 2026-05-30, 交通費(タクシー), 3,200円, 顧客訪問後の帰社(23時), 領収書あり
002, 山田花子, 2026-05-28, 接待交際費, 35,000円, 5名での会食(取引先A社・2名、社内3名), 領収書あり
003, 鈴木一郎, 2026-06-01, 宿泊費(東京), 18,500円, 東京出張(5/31〜6/1), 領収書あり

ステップ3 規程チェックプロンプトを使う

以下の経費精算申請リストを、当社の経費規程に基づいてチェックしてください。

【経費規程(主要ルール)】
1. 交通費(タクシー):深夜帰宅(22時以降)・緊急時のみ可。上限3,000円。
2. 接待交際費:1人あたり上限10,000円。取引先名・参加者全員の氏名・人数の記載が必要。
3. 宿泊費:国内上限15,000円(東京・大阪出張のみ20,000円まで)。
4. 書籍・消耗品:1点5,000円未満は担当者承認のみ。5,000円以上は部長承認必要。
5. 証憑:3,000円以上はすべて領収書原本または電子領収書が必要。

【申請データ】
(申請リストを貼り付ける)

出力形式:
各申請について「申請番号 / 判定(OK/要確認/NG) / 理由」を一覧で示してください。
要確認・NGの場合は、申請者に確認すべき具体的な内容も記載してください。

ステップ4 要確認・NGの案件を処理する

AIが「要確認」「NG」と判定した案件に対して、申請者への差し戻しメールを作成する。

以下の経費精算申請について、申請者への差し戻しメールを作成してください。

申請者:山田花子
申請内容:接待交際費 35,000円(5名参加、1人あたり7,000円)
問題点:参加者全員の氏名の記載がない(規程では全員の氏名が必要)

トーン:丁寧だが事務的に。謝罪は不要。
必要な追加記載事項を明確に伝える内容にしてください。

具体的な活用例

例1 月末の経費精算まとめチェック(製造業・経理2名体制)

従業員60名規模の製造業で、月末に50〜80件の経費精算が集中する経理2名体制の事例。全件を担当者2人で確認していたため、月末は残業が常態化していた。

申請データをCSVで出力してAIでのチェックに切り替えると、「OK」判定が70〜80%を占め、担当者が確認するのは残り20〜30%に絞られるようになった。要確認の件数は変わらないが、OKを一件ずつ目視確認する手間がなくなり、月末の残業時間が平均3時間程度削減された。

例2 出張費の日当・交通費の金額チェック

出張費は「日当・交通費・宿泊費」の合算で申請される場合が多く、手計算の誤りが混入しやすい。AIに申請内容と規程上の日当表を渡して計算を確認させる。

以下の出張費申請について、規程に基づいた金額計算を確認してください。

【規程:日当表】
・国内出張(日帰り):2,000円
・国内出張(宿泊あり):1泊目から3,000円/泊
・出張先が東京・大阪の場合:日当に500円加算

【申請内容】
申請者:佐藤次郎
出張期間:2026年5月28日(水)〜 5月30日(金)の2泊3日
出張先:東京(本社訪問)
申請日当:9,000円
申請宿泊費:35,000円(2泊)
申請交通費:新幹線往復 28,000円

規程に基づく正しい金額と申請金額を比較し、差異があれば指摘してください。

うまくいかない場合

AIの判定が規程と微妙にずれる

規程の文言が曖昧な場合(「緊急時のみ」「相当な理由がある場合」など)、AIの解釈が担当者の認識とずれることがある。この種の例外規定は判断基準を具体化して規程に追記するか、AIに渡すルールには含めずに担当者が個別判断する。

申請件数が多くてAIがタイムアウトする

一度に渡す件数を10件前後に分割する。申請データの形式を簡潔にまとめると処理が安定する。

差し戻しメールの文面が硬すぎる・柔らかすぎる

プロンプトに「当社はフランクな社風です」または「丁寧な文語体で」など文体の指定を加える。過去に使ったメール文面を例として渡すと文体を合わせやすい。


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よくある質問

AIが経費規程に違反している申請を見落とすリスクはある?

AIは規程内容をプロンプトで渡した範囲でしかチェックできないため、規程の記載漏れや曖昧な文言があると見落とす可能性がある。AIのチェック結果を最終判断に使わず、担当者の確認を必ず経由する運用を維持することが重要。

経費精算のAIチェックで何件まで一度に処理できる?

ChatGPTやClaudeの無料枠では1回のリクエストで処理できる量に上限がある。月50件程度なら10件ずつに分割して処理するのが安定している。有料プランであれば一度の処理量を増やせる。

従業員の個人情報が含まれる経費データをAIに渡してもよい?

氏名・行き先・取引先名などの個人情報が含まれるため、社内のデータ利用ポリシーを確認する。ビジネスプランやローカルで動作するAIを使う、または氏名をIDに置き換えてから渡すなどの対応が考えられる。

経費精算の自動承認にAIを使うことはできる?

現時点では、AIの出力を自動承認に直結させる運用は推奨されない。規程の解釈が曖昧な案件・高額案件・例外処理は人が判断する必要がある。AIはあくまで「要確認件数を減らすための前処理」として使う。