職種別AI仕事術

コンサルタントの資料・スライドをAIで仕上げる方法

コンサルタントの資料・スライドをAIで仕上げる方法

この記事の要点

コンサルタントがAIでスライド資料を効率よく仕上げる手順を解説。スライド構成の設計からメッセージライン作成・本文整理まで、具体的なプロンプト例付きで説明します。作業時間を大幅に短縮できます。

結論

コンサルタントがスライド作成にAIを使うと、「構成の設計」「メッセージラインの作成」「本文テキストの整理」という3つの工程がそれぞれ半分以下の時間で終わります。1本40〜50枚のデッキを作る場合、通常2〜3日かかる作業が1日以内に収まることもあります。

スライドはコンサルタントにとって思考の最終出力形式です。AIは「書く」部分を肩代わりしますが、「スライドで何を伝えるか」の判断は人間が行います。

スライド作成でAIを使う工程

スライド作成を5つの工程に分けると、AIが使える箇所が明確になります。

工程AI活用人間の役割
読み手・目的の定義不可必ず人間が決める
全体構成の設計骨格提案を依頼できる判断・修正
メッセージライン作成生成・改善最終確認・修正
本文テキスト生成事実確認・修正
ビジュアル・デザインテキスト変換は不可人間またはデザインツール

使うAIツール

ツール向いている用途
Claude(claude.ai)長い構成設計・論理の整合性確認・全体メッセージの一貫性
ChatGPT(GPT-4o)短いメッセージラインの生成・表現バリエーション出し
GammaAIでスライドビジュアルまで自動生成(英語が得意)
Beautiful.aiテンプレートベースの自動デザイン調整

最新の仕様は各公式サイトで確認してください。

手順:AIでスライドを仕上げる

ステップ1 :読み手・目的・枚数を決める

AIに渡す前に以下を確定させます。

  • 読み手:役員向けか、プロジェクトチーム向けか
  • 目的:意思決定を促すか、現状報告か、共通理解形成か
  • 枚数制限:15枚以内、30枚以内など
  • 提示するメッセージ:スライドで最終的に何を伝えたいか

この4点をプロンプトに明示することで、AIの出力がぶれにくくなります。

ステップ2 :構成をAIに提案させる

以下の条件で経営報告スライドの構成案を作成してください。

【目的】経営会議でのフェーズ1完了報告と、フェーズ2提案の承認取得
【読み手】社長・副社長・財務部長(技術的詳細より経営インパクトを重視)
【制約】20枚以内
【伝えるメッセージ】
・フェーズ1で原価削減余地を特定し、製品A〜Cに集中して取り組むべきことが明らかになった
・フェーズ2に進めば6ヶ月で営業利益率を3%から8%に改善できる見通しがある

【出力形式】
・スライドタイトル一覧(番号付き)
・各スライド1行説明(何を伝えるスライドか)
・アジェンダスライドの位置も含める

得られた構成案を見て、「このスライドは削除」「このセクションは順番を入れ替える」を人間が判断します。

ステップ3 :メッセージラインを作る

コンサルのスライドはタイトルがメッセージラインになることが多いです。「現状の課題」というラベルではなく、「原価の高い3製品が全体の利益を毎年2億円押し下げている」のように、スライドの主張を1文で表します。

以下の各スライドのメッセージラインを作成してください。

【ルール】
・1スライド1文(30〜40字)
・主張が明確な断言形式
・数値が使えるスライドは数値を入れる

【スライドと内容メモ】
スライド3:製品別原価と利益の関係
→ 製品A・B・Cの原価率が業界平均より15〜20ポイント高く、利益を圧迫している

スライド4:課題の構造
→ 設計段階での原価意識の欠如と、サプライヤー集中が原価高の二大要因

スライド5:競合他社の動向
→ 同業他社3社は直近2年で製品整理を実施し、営業利益率が平均5ポイント改善

(以下続く)

AIが生成したメッセージラインは、「断言が強すぎる」「数値の根拠が不明確」という場合があります。数値と断言の根拠は必ず自分で確認してください。

ステップ4 :本文テキストを生成する

以下のスライドの本文テキストを作成してください。

【スライド4:課題の構造】
【メッセージライン】設計段階での原価意識の欠如と、サプライヤー集中が原価高の二大要因

【本文に入れる内容】
・設計時に原価制約がなく、後から削減が困難な構造
・サプライヤーが主要部品で3社に集中し、コスト交渉力が低い

【条件】
・本文は3〜4行(100〜150字)
・箇条書きと地の文を混在させてよい
・「(要確認)」で事実確認が必要な箇所をマークすること

「(要確認)」の指示は、AIが推測で補完した数値や業界情報を後から確認しやすくするために有効です。

コンサル固有のスライドパターン

パターン1:3C分析や2x2フレームワークの整理

フレームワークを使った分析スライドは、AIに整理させると素早く下書きが出ます。

以下の情報をもとに、製造業クライアントの3C分析スライドのテキストを作成してください。

【Customer(顧客)】
・主要顧客は自動車メーカー3社(売上の70%)
・価格競争が激化しており、値下げ圧力が続いている

【Competitor(競合)】
・国内競合2社が製品ラインを絞り込み、専門領域で差別化
・海外競合がコスト優位性を持ち、シェアを拡大中

【Company(自社)】
・技術力は高いが、高コスト体質が収益を圧迫
・製品ラインが多すぎて、リソースが分散している

【出力形式】
・3C各要素につき、スライドに入れる箇条書き(2〜3点)
・各要素の「インプリケーション(示唆)」を1文ずつ追加

フレームワークスライドはAIが整理するのが得意な形式です。ただし、クライアント固有のデータは人間が入力してください。

パターン2:エグゼクティブサマリースライドの精錬

提案書・報告書のサマリースライドは最も重要で、最も推敲が必要なスライドです。AIを使って複数案を出し、最良のものを選ぶアプローチが有効です。

以下のスライドテキストを改善してください。改善版を3案出してください。

【現在のメッセージライン】
フェーズ1の分析結果から、今後の方針を検討することが重要です

【問題点】
・「検討することが重要」では意思決定を促せない
・「フェーズ1の分析結果から」が前置きになっている

【改善の方向性】
・メッセージラインを行動を促す断言形式にする
・数値か具体的な根拠を入れる

【参考にする情報】
・製品A〜Cの利益改善余地:年間2〜3億円
・フェーズ2期間:6ヶ月
・フェーズ2にかかる費用:X千万円((要確認))

改善案の中から最も刺さるものを選んで、数値の確認後に採用します。

うまくいかない場合

メッセージラインが弱すぎる・強すぎる

「断言形式で」「数値を入れて」という正方向の指示の他に、「『〜と考えられます』は使わない」「根拠のない断言はしない」という否定方向の指示を組み合わせると、トーンが安定します。

枚数を守れない

「20枚以内」の指示を最初に明示し、「枚数超過の場合は削除候補のスライドを提案してください」と追加します。削減判断は自分で行います。

構成の論理が飛躍する

各スライドの「前後の繋がり」をプロンプトに入れます。「スライドXでYを述べたので、スライドX+1ではZを論じる」という移行の説明を入れることで、AIが文脈を踏まえた文章を生成します。

提案書をAIで作る手順と組み合わせると、提案書本文とスライドで一貫したメッセージを作れます。

報告書をAIで書く手順も参照してください。スライドと報告書はセットで使われることが多く、同じ情報から両方を生成する効率化ができます。

成果物全体の作成をAIで効率化する方法では、スライドを含めた複数の成果物を同じ情報源から並行して作る手順を紹介しています。

まとめ

スライド作成でのAI活用は、構成設計・メッセージライン・本文テキストの3工程を対象にすると最も効果が出ます。デザインや意思決定の判断は人間が担う部分で、AIとの分業を明確にすることが品質を保つ上での前提です。

「(要確認)」を使って事実確認が必要な箇所をAI生成時から可視化しておく習慣をつけると、後工程の確認作業がスムーズになります。

よくある質問

AIはスライドデザイン(レイアウト・色)まで対応できますか?

テキストコンテンツの生成・整理はAIが得意ですが、デザインの自動適用はGammaやBeautiful.aiなどの専用ツールが担います。コンテンツはAIで作り、デザインは別ツールまたは人間が担当するという分業が現実的です。

1スライドに入れる情報量をAIに判断させることはできますか?

できます。スライドの目的と読み手を伝えた上で『1スライドの本文を100字以内に絞って』と指示すると、優先度の低い情報を削除した出力が得られます。削り方の妥当性は人間が確認してください。

既存スライドの品質改善にもAIは使えますか?

使えます。既存スライドのテキストをAIに貼り付け、メッセージラインの強化・論理の整理・冗長な表現の削除を依頼することで、修正点の洗い出しができます。その上で人間が判断して修正します。

スライドの口頭説明(トークスクリプト)もAIで作れますか?

作れます。各スライドのテキストと意図を渡し、プレゼン時の説明を1〜2分分のスクリプトとして生成させることができます。実際には話すスタイルに合わせて修正が必要です。