総務のデータ集計・分析をAIで行う手順
この記事の要点
備品管理・施設稼働率・慶弔対応件数・契約更新リストなど総務のデータ集計と分析をAIで効率化する手順を解説。ExcelデータをAIに渡す方法から、経営報告に使えるまとめ方まで具体的に説明する。
結論:集計作業をAIに任せると、分析と判断に集中できる
総務部門が管理するデータは量が多い。備品の購入履歴、施設の予約・稼働状況、契約更新のスケジュール管理、慶弔の対応件数、名刺・文書の保管管理など、Excelや社内システムに分散している。
これらを「部署別・月別で集計して、利用率が低い施設はどこか」のように分析しようとすると、ピボットテーブルの設定・グラフの作成・報告用の表整形に時間がかかる。
AIを使うと、「A列に施設名、B列に日付、C列に利用部署が入っているデータから、月別・施設別の利用件数を出して」のような指示をそのまま送れる。集計の計算をAIに任せることで、「なぜこの施設の稼働率が低いか」の考察に時間を使えるようになる。
使うAIツールと使い分け
ChatGPT(Plus以上)のデータ分析機能 ExcelやCSVファイルをアップロードすると、集計・グラフ作成・統計処理を自然言語で指示できる。「月別推移を折れ線グラフで見せて」のような指示でグラフが作れる。個人情報を含まない集計データに向いている。
Claude(ファイルアップロード) ExcelやCSVを読み込み、集計や分析ができる。グラフ生成はできないが、表形式での集計結果を正確に出す精度が高い。複雑な集計条件を自然言語で指示するときに使いやすい。
Microsoft Copilot(Excel内) Excelを開いたまま「この表の部署別平均を出して」のように直接操作できる。社員情報・給与・慶弔履歴など個人情報を含むデータには、社外に送出されないこちらを使う。
手順:総務データをAIで集計・分析する流れ
ステップ1:データの準備と個人情報の確認
AIに渡す前に、データに個人情報が含まれているかを確認する。
社外AIに渡せるデータ(集計値・匿名化済み)
- 施設・会議室の月別利用件数(部署別)
- 備品の品目別・部署別の発注件数と費用
- 契約更新予定の一覧(会社名・契約種別・更新月のみ)
- イベントの参加者数・参加率(部署別集計)
社外AIに渡す前に処理が必要なデータ
- 社員氏名・社員番号が含まれる台帳
- 慶弔の個人別記録(誰が何をいつ受けたか)
- 給与関連の個人データ
個人情報を含む場合は、集計値に変換(「氏名列を削除して部署別の集計にする」など)してから渡す。または Microsoft Copilot など社内環境のAIを使う。
ステップ2:データをAIに渡す
ExcelまたはCSVのファイルをアップロードするか、データが小さければコピーしてチャットに貼り付ける。
貼り付けの例:
以下の施設利用データを分析してください。
施設名, 利用月, 利用部署, 利用件数
会議室A, 2026-01, 営業部, 15
会議室A, 2026-01, 開発部, 8
会議室B, 2026-01, 営業部, 3
会議室A, 2026-02, 営業部, 18
会議室B, 2026-02, 開発部, 12
ステップ3:集計の指示を送る
以下はそのままコピペして使えるプロンプト例だ。
会議室・施設の稼働状況を集計する
アップロードしたExcelデータを使って、以下の集計を行ってください。
データの構成:
A列:施設名、B列:利用日(yyyy/mm/dd)、C列:利用部署、D列:予約時間数
集計してほしい内容:
1. 施設別の月間利用件数(2026年1月〜3月の3ヶ月分)
2. 施設別の月間合計利用時間
3. 部署別の施設利用件数(多い順)
4. 利用率が50%以下の施設の特定(1日あたり最大8時間として計算)
表形式で出力してください。
数値が存在しない場合は「0」または「データなし」と表示してください。
備品・消耗品の購入データを分析する
アップロードしたCSVデータを分析してください。
データの構成:
品目, カテゴリ(文具/電子機器/衛生用品/その他), 購入月, 購入部署, 数量, 単価, 合計金額
集計してほしい内容:
1. カテゴリ別の月間購入金額(月別推移)
2. 部署別の月間購入金額(多い順)
3. 前月比で購入金額が20%以上増えたカテゴリ
4. 購入金額が最も多い品目トップ10
前年同月との比較が可能な場合は比較値も出してください。
推測値は入れず、データに存在する数値のみで集計してください。
契約更新の管理リストを整理する
以下の契約管理データを整理してください。
データの構成:
契約相手先, 契約種別(清掃/警備/設備保守/その他), 契約開始日, 契約終了日, 年間費用
実施してほしいこと:
1. 今から3ヶ月以内に更新期限が来る契約の一覧(契約終了日の昇順)
2. 契約種別ごとの年間費用合計
3. 年間費用が最も高い契約トップ5
基準日:2026年6月5日
更新対応の優先度が高い順に並べてください。
ステップ4:出力の確認と追加分析
集計結果が出たら、元データと照合して数値の整合性を確認する。特に合計値・件数・パーセンテージは計算を確認する。
確認後、結果から気になる点について追加の質問ができる。「会議室Aの利用が2月に増えた理由はデータから読み取れますか」「備品費用が増えているカテゴリで、特定の月だけ突出しているものはありますか」のように掘り下げられる。
総務業務での具体的な使い場面
場面1:年度末の設備保守費用をまとめて経営報告する
年間を通じて複数の業者に支払った設備保守・清掃・警備などの費用を、年度末に経営向けにまとめる作業がある。請求書データや支払い記録をExcelで管理している場合、種別・月別・業者別の集計に時間がかかる。
アップロードした支払い実績データを集計してください。
データ構成:
支払月, 業者名, 契約種別(清掃/警備/設備保守/電気設備/その他), 支払金額
集計してほしい内容:
1. 契約種別別の年間支払い総額と月別内訳
2. 業者別の年間支払い総額(多い順)
3. 月別の総支払い額の推移
4. 前年同期と比較して増減が大きかった種別(前年データがある場合)
経営会議での報告用として、要点を3点でまとめるコメントも追記してください。
コメントは相関のみ記述し、因果断定は避けてください。
場面2:社内イベントの参加状況を集計して次回企画の参考にする
防災訓練・社員総会・懇親会などの参加記録を部署別・実施回別に集計し、次回の企画改善につなげる場面でAIを使う。
以下のイベント参加データを集計・分析してください。
(以下にコピーしたデータを貼り付ける)
集計してほしいこと:
1. イベント別・部署別の参加率(部署人数はデータに含む)
2. 参加率が全社平均を下回っている部署の一覧
3. 直近3回のイベントで参加率が低下傾向にある部署
分析結果をもとに、次回のイベント企画で検討すべき点を2〜3点でまとめてください。
ただし、参加率の低下原因は断定せず、「確認・検討が必要な点」として記述してください。
イベント企画全体の進め方については総務のイベント企画をAIで効率化する方法も参照してほしい。
うまくいかない場合のポイント
集計値がデータと合わない
データに全角数字・スペースの混在・日付形式の不統一などがあると、計算が正しくならないことがある。ExcelのCLEAN関数や「数値として貼り付け」でデータを整形してから渡す。
グラフが意図した形にならない
グラフの種類(棒グラフ・折れ線・円グラフ)と比較軸を明示する。「月別推移を折れ線グラフで、部署を色分けして」のように具体的に指定する。
データ量が多くてAIが処理できない
数千行を超えるデータは、Excelで必要な期間や条件でフィルタリングしてから渡す。不要な列を削除して必要な情報だけを含むシートを作ってからアップロードする。
集計条件が複雑で意図した結果が出ない
複数の条件が絡む集計は、一度に指示せず「まず月別の合計を出してください」「次にその結果から部署別に分けてください」のように段階的に指示する。各ステップで結果を確認してから次に進む。
データ集計の主な用途と指示の型
| 業務の種類 | データの内容 | AIへの指示の型 |
|---|---|---|
| 施設稼働管理 | 予約・利用記録 | 施設別・月別の利用率・件数 |
| 備品・消耗品管理 | 発注・購入記録 | カテゴリ別・部署別の費用推移 |
| 契約更新管理 | 契約台帳 | 更新期限の昇順ソート・費用集計 |
| イベント参加管理 | 参加記録・部署人数 | 参加率の算出・部署比較 |
| 業者支払い管理 | 支払い実績 | 種別別・業者別の年間集計 |
集計テンプレートを作ってチームで使う
毎月・毎四半期で繰り返す集計作業は、最初に使ったプロンプトを保存しておくと次回から貼り付けるだけで使える。「備品費用月次集計用」「会議室稼働率集計用」のように業務名でファイルに保存し、チームの共有フォルダに置いておく。
データの更新後にプロンプトを再利用する際は、「期間は2026年4月〜6月に変更してください」のように変数部分だけを変えて送れば、同じ集計が繰り返せる。
Excelの数式・VBAを使った自動化については総務のExcel作業をAIで自動化する方法も参照してほしい。
よくある質問
個人情報を含む総務データをAIに渡してよいですか?
社員の氏名・住所・家族情報・慶弔履歴など個人情報を含むデータは、社外のAIサービスに直接入力してはならない。集計値に加工してから渡すか、Microsoft CopilotなどOffice統合型のAIを使う。
ExcelデータをAIで集計・分析するにはどうすればよいですか?
ChatGPTまたはClaudeにExcelファイルをアップロードするか、データをコピーして貼り付けてプロンプトで集計の指示を送る。「部署別の件数を多い順に並べて」のような自然言語で処理できる。
AIによる集計結果は正確ですか?
AIは集計処理を行えるが、データの欠損・形式の不整合・全角半角混在があると計算が狂うことがある。元データを整形してから渡し、集計結果は元データと突き合わせて確認する。
グラフや表の形式で出力してもらえますか?
ChatGPTのデータ分析機能はグラフの生成もできる。Claudeはグラフ生成には対応していないが、表形式での出力やコピー可能なMarkdownテーブルで集計結果を出してもらえる。