総務のExcel作業をAIで自動化する方法
この記事の要点
備品管理・施設予約・契約更新・慶弔管理など総務のExcel業務をAIで効率化する手順を解説。数式の作成・VBAコードの生成・データ整形の自動化まで、コピペ可能なプロンプト付きで説明する。
結論:Excelの操作を言葉で指示できれば、繰り返し作業の時間が大幅に減る
総務部門が毎月行うExcel作業には、備品購入費の部署別集計、契約更新リストの期限並べ替え、会議室予約記録の集計、社員の健康診断受診管理、慶弔対応記録の更新など、パターン化された処理が多い。
AIを使えば「A列に品目名、B列に部署、C列に単価、D列に数量が入っている。部署別の合計費用を別シートに出したい」のように話し言葉で指示して、対応する数式やVBAコードを出してもらえる。Excelの関数に詳しくなくても使えるし、詳しい担当者でも複雑な処理の時間を短縮できる。
使うAIツールと使い分け
数式・関数の作成(チャット型AI) ChatGPT・Claudeにデータ構造と目的を説明すると、COUNTIFS・SUMIFS・XLOOKUP・IFSなど複雑な数式の組み合わせも自然言語で依頼できる。数式の作り方を覚えていなくてもよい。
VBAコードの生成(チャット型AI) 繰り返し発生する作業を自動化するVBAマクロをAIに書いてもらう。「毎月、A列の日付が今月の行だけを抽出して別シートに転記するマクロ」のような処理を依頼できる。
Excel内でのAI操作(Microsoft Copilot) Microsoft 365統合のCopilotを使えばExcel上でデータに対して直接指示できる。個人情報を含む台帳もOffice環境内で処理できるため、社員管理・慶弔管理のファイルにはこちらが適している。
手順:Excel作業をAIで効率化する流れ
ステップ1:やりたいことをデータ構造と一緒に整理する
AIへの依頼に必要な情報を先に整理する。
- シートの構成(何が何列にあるか)
- やりたい処理の目的(どんな結果が欲しいか)
- 出力の場所(同じシートか、別シートか)
個人情報(氏名・社員番号)が含まれるデータは貼り付けず、列の構成だけを説明する。
ステップ2:数式を依頼する
以下はそのままコピペして使えるプロンプト例だ。
備品管理シートでの部署別費用集計
Excelで備品管理をしています。シートの構成は以下のとおりです。
Sheet1「購入記録」の列構成:
A列:購入日(yyyy/mm/dd)
B列:品目カテゴリ(文具/電子機器/衛生用品/その他)
C列:品目名
D列:購入部署
E列:単価(円)
F列:数量
G列:合計金額(E×F)
やりたいこと:
1. 部署別・カテゴリ別の月間合計金額をカウントするSUMIFS数式
2. 当月(今月)の購入件数だけをカウントする数式
3. 前月と今月の購入金額を比較して増減率を出す数式
Sheet2のB3セルから入力する想定で、数式を教えてください。
契約更新管理の期限アラート
Excelで業者契約の更新管理をしています。
列構成:
A列:契約相手先名
B列:契約種別
C列:契約終了日(yyyy/mm/dd)
D列:担当者
E列:年間費用
やりたいこと:
1. 今日から90日以内に契約終了日が来る行を自動で色付けする条件付き書式(黄色)
2. 今日から30日以内の場合はさらに赤で色付けする条件付き書式
3. 期限が近い順(契約終了日の昇順)に並べ替えるボタンをシートに作る方法
数式・条件付き書式の設定方法とVBAコードを教えてください。
基準日はTODAY()関数を使ってください。
健康診断受診管理の集計
Excelで健康診断の受診管理をしています。
列構成(個人情報は含まない集計用シート):
A列:部署名
B列:対象人数
C列:受診済み人数
D列:受診率(C/Bの計算)
E列:前年の受診率
やりたいこと:
1. D列に受診率を自動計算する数式(パーセント表示)
2. 受診率が80%未満の部署に自動で色をつける条件付き書式
3. 全社平均受診率を別セルに出す数式
4. 前年比(D列とE列の差分)を算出する数式
それぞれの数式を教えてください。
ステップ3:VBAマクロを依頼する
繰り返し発生する作業はVBAで自動化できる。
ExcelのVBAマクロを作成してください。
目的:
毎月の備品購入集計レポートを自動生成したい。
データの構造:
・Sheet1「購入記録」:購入日・カテゴリ・品目名・部署・単価・数量・合計金額が入っている
・Sheet2「月次集計」:月別・部署別の集計表(行・列のラベルは入力済み)
処理の流れ:
1. Sheet1のデータから今月分(A列の月が現在の月と一致する行)を絞り込む
2. 部署別・カテゴリ別の合計金額を算出する
3. Sheet2の該当セルに値を書き込む
注意:個人情報はデータに含まれていない。
マクロ実行前に確認ダイアログを出してほしい。
処理完了後に「集計完了しました」のメッセージを表示してほしい。
生成されたVBAコードはテスト用のバックアップファイルで先に動作確認する。削除・上書き処理が含まれる場合は特に注意が必要だ。
ステップ4:エラーの解決を依頼する
数式がエラーになったとき、エラーの種類と数式をAIに伝えると修正方法が返ってくる。
ExcelのCOUNTIFS関数でエラーが出ています。
使っている数式:
=COUNTIFS(D:D,"営業部",A:A,">="&DATE(YEAR(TODAY()),MONTH(TODAY()),1))
問題の状況:
・D列に部署名が入っている
・A列に日付が入っている
・今月分の「営業部」の件数を数えたいが、0になってしまう
考えられる原因と修正方法を教えてください。
総務業務での具体的な使い場面
場面1:会議室予約記録から月間稼働率を集計するシートを作る
会議室の予約台帳から「施設別・部署別の月間利用件数と稼働率」を毎月まとめる作業がある。行数が増えるたびに集計が手間になる場合、VBAで自動化できる。
ExcelのVBAマクロを作成してください。
目的:
会議室予約台帳から月間の施設稼働率レポートを自動集計したい。
データ構造:
・Sheet1「予約台帳」:予約日(A列)・施設名(B列)・利用部署(C列)・利用時間数(D列)
・Sheet2「月次稼働レポート」:施設名を行、部署名を列とした集計表
処理の内容:
1. Sheet1から対象月(マクロ実行時に月を入力するダイアログを表示)のデータを抽出
2. 施設別・部署別の利用件数と合計利用時間を集計
3. 各施設の稼働率を算出(1日あたり最大利用可能時間は8時間×営業日数)
4. Sheet2に結果を書き込む
個人情報は含まれていない。実行前に確認ダイアログを表示してほしい。
場面2:複数部署から集めた備品請求書を一つのシートに統合する
各部署がそれぞれ提出してきた備品購入申請のExcelを一つにまとめる作業は、手動でコピーすると時間がかかる上にミスが出やすい。
ExcelのVBAマクロを作成してください。
目的:
複数部署から届いた備品申請シートを1つの台帳に自動統合したい。
前提:
・各部署のExcelは同じフォーマット(品目名・カテゴリ・数量・単価・申請部署の列構成)
・ファイルは同一フォルダ内に複数存在する
・統合先は別のExcelファイル(台帳.xlsx)のSheet1
処理の内容:
1. 指定フォルダ内の全Excelファイルを読み込む
2. 各ファイルのSheet1のデータを台帳.xlsxのSheet1に順次追記する
3. 処理が完了したら処理件数をメッセージで表示する
処理前にフォルダパスを入力するダイアログを出してほしい。
複数部署のデータを統合して集計・分析する流れについては総務のデータ集計・分析をAIで行う手順も参照してほしい。
うまくいかない場合のポイント
数式を入力してもエラーが出る
AIが出した数式は自分のExcelのバージョン・列構成・セル参照に合わせて調整が必要なことがある。エラーの種類と使っている数式をAIに再送して修正を求める。
VBAを実行しても動かない
「開発」タブが表示されていない場合はExcelの設定で有効化する必要がある。マクロのセキュリティ設定でブロックされている場合もある。「VBAを実行するための設定手順も教えてください」と追加依頼する。
複数の処理を一度に依頼すると正確に動かない
「データを整形する処理」「集計する処理」「別シートに転記する処理」を分けて順番に依頼し、各ステップで動作確認してから次に進む。
VBAで処理後に元データが変わった
削除・上書き処理を含むVBAは、バックアップなしで本番ファイルに実行しない。テスト用のコピーで確認してから本番ファイルで使う。
Excel作業の自動化テーマ別プロンプトの型
| やりたいこと | プロンプトに含める情報 |
|---|---|
| 条件別カウント・集計 | 列の構成・条件の内容・出力セル |
| 契約期限のアラート | 基準日の設定方法・色の条件 |
| 複数ファイルの統合 | フォルダ構成・対象シート・追記or上書き |
| 月次集計の自動化 | 処理の流れ・集計軸・出力先 |
| データ整形・表記揺れの修正 | 問題の内容・対象列・正規化の基準 |
繰り返し使うプロンプトを保存する
Excelの自動化で使ったプロンプトは、毎回ゼロから書かずに済むようにドキュメント化しておく。「備品費集計用」「契約更新アラート設定用」のように名前をつけて保存しておけば、次回はデータ構造の変更分だけを書き換えて使える。
チームで共有しておけば、担当者が変わっても同じ品質の自動化ができる。手順書にプロンプトを組み込んでおくと引継ぎコストも下がる。
メール・通知文書の作成をAIで効率化する方法については総務の社内通知メールをAIで作成する方法も参照してほしい。
よくある質問
AIが作ったVBAコードをそのまま使っても大丈夫ですか?
そのまま使わず、テスト用のバックアップファイルで先に動作確認する。削除・上書き処理を含むコードは特に注意が必要だ。意図した動きをするか確認してから本番ファイルで使う。
ExcelにAIを統合して使う方法はありますか?
Microsoft 365を契約している場合はExcel内でMicrosoft Copilotが使える。Excel上でデータを選択して「集計して」「グラフにして」のように直接指示できる。
プログラミングの知識がなくてもVBAを使えますか?
AIに処理の目的とデータ構造を説明すれば、VBAコードを生成してもらえる。コードの中身を理解しなくてもExcelのVBAエディタに貼り付けて実行できる。ただし動作確認は必ず行う。
総務のExcelで特に自動化できる作業はどれですか?
毎月繰り返す集計(備品費用の月次まとめ、契約更新リストの絞り込みなど)と、複数ファイルのデータ統合がVBAで自動化しやすい。関数で処理できるものは数式で対応する方が保守しやすい。